彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
拾骨さん、NoSTRa!さん、茶柱五徳乃夢さん、佐藤東沙さん、誤字報告ありがとうございます。
華やかな模様が施されたケープ付きマスクを被った長身の女が宣う。
「オタカラを横取りさせてもらいに来たよ」
――なんかイカレた女が現れた。
強盗団の面々と人質の皆さんの心が一致した瞬間だった。
「なんだぁテメェ……っ!!」
“ナーリー”ジンノがイカレた闖入者へ真っ先にキレた。
「ふっざけんなよビッチッ!!」
スベスベの実によるロケットのような勢いの滑走。瞬く間に女へ肉薄して躊躇なくスレッジハンマーを振るう。
「きゃっ、こわーい」
女はおどけながら長い右脚で易々とスレッジハンマーを蹴り飛ばし、バレリーナのように身を回して、
「は?」
手の内からスレッジハンマーを奪われて茫然としていたジンノの顔へ、優美な左回し蹴りを叩き込む。
「ぶぇっ?!」
ぐしゃり、とホッケーマスクを蹴り潰され、鼻と口から鮮血をまき散らしながら壁際にぶっ飛ぶジンノ。
「!! このアマッ!!」
瞬時にハリソンとライリーが銃を構え、即座に発砲。銃声。銃声。銃声。大理石の床が割れ砕け。タイル張りの柱が削られ。人質達の悲鳴が響き渡り。仮面の女はケープをたなびかせながら舞うように銃撃の嵐を避けていく。
「ちくしょう、当たらねえっ!!」
ライリーが道化の仮面の中で毒づく。
「いいから撃てっ! 撃ち殺せっ!!」
ハリソンは骸骨マスクの呼吸口から唾を飛ばし、二連銃身の散弾銃をぶっ放す。流れ弾が運搬袋を切り裂き、金やお宝を床にぶちまけた。流れ弾は人質達にも当たり、悲愴な悲鳴が惨憺たる阿鼻叫喚にアップグレードされた。
「ロンパオ、お前もあの女を撃――」
ライリーが小銃の弾薬を交換しながら振り向けば、ロンパオが運搬袋を投げ出して背中のバックパックを降ろし、バックパックの側面ホルスターから青龍刀をぬらりと抜いていた。
ロンパオは西の海にある花ノ国出身であり、花ノ国裏社会に属していた。が、数年前にイカレた小娘の襲撃で組織が壊滅。流れの開錠屋に身をやつしたという過去の持ち主だった。
眼前で舞うように弾丸を避ける女。見紛うはずもない。華やかな紋様の仮面から覗く暗紫色の瞳。あの目。見間違うはずもない。
あの日、父と慕った
死んだと報道されていたが、地獄の底から帰ってきたのかもしれない。
それでもいい。皆の仇を討てるのなら。
「アァアッチョォオオオオオオオ――――――ッ!!」
怪鳥染みた裂帛の咆哮と共にロンパオは仮面の女へ躍り掛かった。
花ノ国刀術は
「ホォ―――――――アアアアッ!!」
甲高い雄叫びと共に怒涛の連撃が始まる。
花ノ国特有の大胆な体裁きと流動的な運足。止むこと無き攻撃。連ね続けられる斬撃と打撃。重ね続けられる刺突と打突。さながら激流の如し。
仮面の女はどこか楽しげに暗紫色の双眸を細め、疾風怒濤の連撃に立ち向かう。弾幕のような刺突をいなし、嵐のような斬撃を避け、激烈な拳打を払い、苛烈な蹴撃を受け流す。
互いの睫毛まで数えられそうな肉薄距離の攻防。瞬きも許さぬ迫力に気圧され、強盗達も横入り出来ずにいる。
傍目にはロンパオが一方的に攻めているようにしか見えないが、実際は仮面の女がロンパオの攻撃を全て防ぎきっていた。攻撃が一切届かず、かすり傷すら与えられぬ状況にロンパオは焦れ、青龍刀を不用意に大きく振り上げる。
仮面の女はその隙を逃さず、少しばかり“本気”を出す。
振り下ろされた青龍刀を武装色の覇気で覆った左手の人差し指と中指で挟んで奪い取り、体幹を崩したロンパオの胸部へ漆黒の右正拳を叩き込む。
肉が潰れ、骨が砕ける轟音。そして、苦痛と悲憤の絶叫。
「アバ――――――ッ!!」
血反吐で放物線を描きながらぶっ飛び、壁に叩きつけられるロンパオ。ずるりと床へ落ちかけたところへ、容赦なく投擲された青龍刀がロンパオの顔面を貫き、昆虫標本のように壁へ刺し留めた。
「功夫が足りなかったね」
人質達の悲鳴に混じって仮面の女が冷笑したところへ、
「いっ―――てェな、この、腐れ穴のパープリンがあっ!!」
鼻がひしゃげ、前歯を数本無くしてイケメン顔が台無しになったジンノが怒声と共に復活。コカインのおかげで痛覚が鈍っているため、常人なら失神昏倒間違いなしのダメージでも回復したようだ。
「おやおや。大人しく失神していれば死なずに済んだのに」
ロンパオを始末した仮面の女は激憤中のジンノを一瞥し、鼻で嗤う。
「今度はきっちりトドメを刺してあげるよ」
「殺れるもんなら殺ってみろやアホッタレッ!! 俺ぁスベスベの実の能力者っ! 俺がその気になりゃあどんな攻撃もツルッと滑っていくンだよバカッタレッ! そんな俺を殺れンのかっ!? 殺せるってンのかよクソッタレッ!!!!」
鼻血をブーブーぶちまけながら怒鳴り散らすジンノ。
「へぇ……言うじゃない。なら、御自慢の力を見せてもらおうか」
楽しそうに呟き、女は矢のような勢いでジンノに襲い掛かり、
「
漆黒に染まった右拳を放つ。
覇気を用いた攻撃はたとえ相手が光になろうと、煙になろうと逃さない。摩擦係数がゼロになろうとも、例外ではない。覇気の攻撃への対抗手段は覇気による防御しかないのだ。
加えて言えば、たとえ摩擦係数がゼロであろうと、接触時の衝撃(この場合は接触時の振動と言っても良い)は物理現象として“必ず”伝播する。
すなわち。
高周波振動を内包し、武装色の覇気をまとった必殺の拳は反応の間に合わないジンノの顔面を捉え、
ぐしゃっ!
“ナーリー”ジンノの過ちは複数ある。能力を過信したこと。覇気の使い手ではなかったこと。何より、眼前の女の脅威度を完全に見誤ったこと。
これらの過ちゆえに、ジンノは顎から上を木っ端微塵に破砕された。頭を半ば失った肉体が腰を抜かしたようにへたり込む。
「えっ」
仮面の女が困惑しながら慨嘆をこぼす。
「えぇ……そこは私の攻撃を滑らせて得意面するところでしょ……なんで死んでんの」
スキッパー、ロンパオ、ジンノ、立て続けに発生したスプラッターな事態に人質達が恐慌状態に陥り、
「ぅわぁああああああああっ!!」
生き意地汚いライリーがパニックを起こし、裏口へ向かって脱兎の如く逃げ出した。ちゃっかり運搬袋を一つ引っ掴んでいくあたり、抜け目がないというか姑息というか。
「ありゃりゃ。逃げちゃった」
仮面の女は逃げていくライリーを鼻で笑うだけで、追いかける素振りをまったく見せない。
「置いてかれちゃったけど、君はどうする?」
嘲笑と共に視線を向けられ、ハリソンは髑髏マスクの下で苦々しく舌打ち。スキッパーの屍を一瞥してぼやく。
「計画が台無しだ。ホイールマンまで殺されちゃあオタカラを運び出せねェ」
「なら逃げる? 見逃してあげても良いよ。君らをイジメることも飽きちゃったし、私も適当に横取りして帰るから」
せせら笑う仮面の女に対し、ハリソンは髑髏マスクの下で『ナメられたもんだ』と鼻息をついた。
「俺がグランドラインでどれだけ過ごしてきたと思ってンだ。能力者も覇気使いもうんざりするくらい相手にしてきたぜ。それでも、俺ぁこうして現役を続けてンだ。甘く見てンじゃねェぞ」
ハリソンは装具ベストと上着を脱ぎ捨てて剛毛に覆われた上半身を露わにし、コォオオオッ! と
呼気が大きくなるに連れ、ハリソンの肉体も肥大化していく。ズボンがはち切れんばかりに両足が太くなり、二回りも大きくなった上背は馬鹿馬鹿しいほどの筋肉に覆われている。挙句は毛深い体毛が鎧の如く上体を包んでいた。
ハリソンは目を瞬かせている仮面の女を見下ろしながら、構えた。
「大人の怖さを教えてやるぜ、クソガキ」
「年寄りの冷や水って言葉、知ってる?」
仮面の女は楽しげに喉を鳴らした。
〇
「シッ!!」
鋭い呼気と共に巨拳が疾駆する。
骸骨マスクの巨漢は見た目とは裏腹に軽妙なフットワークを刻み、小刻みな高速ジャブで牽制を重ねてきた。
ボクシング。それも由緒正しいインファイト・スタイル。でたらめなナリに変身したくせに、正統派だな。
ベアトリーゼはジャブをいなし、わずかな接触から伝わる衝撃の強烈さに仮面の中で眉をひそめた。
運足と拳速はともかく、威力は私を撲殺してお釣りが来る。表では職人連中が突入の算段をしているようだし、遊び抜きで早々に仕留めるか。
見聞色の覇気で周囲を探った後、ベアトリーゼは動く。
骸骨マスクの高速ジャブを掻い潜り、大気を切り裂くように間合いを詰め、武装色の覇気をまとった漆黒の周波衝拳を腹部の水月へ叩き込む。が、
「な――ッ!?」
ベアトリーゼはマスクの中で目を剥いた。
武装色の覇気をまとい、高周波を含んだ必殺の拳を叩き込んだにもかかわらず、骸骨マスクは平然としていた。
なんと、体躯を覆う体毛が拳の衝撃を柔軟に吸収し、高周波振動を全身の体毛へ放散して無効化せしめたらしい。想像の斜め上をいった防御能力にベアトリーゼも驚愕を禁じ得なかった。
全身の体毛をわさわさと震わせながら、
「黒光りフックッ!!」
骸骨マスクが後の先を取って左フック。鋼線染みた指毛に覆われる左拳は、なるほど名称通り黒光りしている。
暴風のように迫る大きな拳を前に、ベアトリーゼはいつぞやのように身を躍らせる。左フックの拳を捉えて跳馬のように宙へ舞う。ぐるりと空中で身を捻りながら
左フックをかわされた髑髏マスクが左肩のタックルで宙を舞うベアトリーゼを弾き、深く踏み込みつつ腰を大きく捻って、
「ぶっ潰れろッ!! 黒光りメガトンスマーッシュッ!!」
隕石の如き勢いで放たれる必殺の右拳。ベアトリーゼはプルプルの実の能力で大気を蹴って離脱を図る。も、大きな右拳が先んじて襲い掛かる。とっさに腕を十字に組んで武装色の覇気で硬化し――
どがんっ!!
「ぎゃんっ!?」
強烈な拳を浴びたベアトリーゼはゴムボールのように天井、床、壁と撥ね回り、最後に運搬袋の山に突っ込んだ。
裂け千切れた運搬袋から紙幣や貴金属などが飛散し、お宝の山から女の両足がニョッキリ生えるシュールな光景に、人質達は言葉もない。
ベアトリーゼの拳を浴びた腹を撫でながら、髑髏マスクは鼻を鳴らす。
「覇気の打撃に加えて衝撃を俺の体内に流し込もうとしたようだが、無駄だっ! この状態になった俺の体毛は剛柔硬軟自在の
髑髏マスクの啖呵はベアトリーゼの耳に届いていなかった。
ダメージ故ではない。確かに強烈ではあったが、かつて“青雉”クザンから浴びた一撃に比べたら微風のようにぬるい。
お宝の山に上半身を埋めたベアトリーゼはダメージではなく、現金やら貴金属やら宝石やら美術品やら芸術品やらの中で、“それ”を目にし、固まっていた。
「う、そ……そんな……マジで……?」
“美術品”として換金所に保管されていた一対の“それ”は、木目紋様の青黒い刀身を持つ
ベアトリーゼは感激と感動のまま呟く。
「ダマスカスブレード」
髑髏マスクがトドメを刺そうとオタカラに埋まったベアトリーゼの元へ歩み寄っていくと、先んじてベアトリーゼがお宝の山から飛び起きた。
「む」髑髏マスクが怪訝そうに目を細める。
ベアトリーゼの両腕から刃が生えていた。
ブレードの刃渡りは手首の付け根辺りから、耳たぶに届くあたりまで。肘の補助具に似た機構を革ベルトで固定し、木目紋様のブレードを腕に装着しているらしい。
ベアトリーゼは機嫌よく腕のブレードを素振りし、
「おおぉ……この一体感。素晴らしい」
感動のこもった讃嘆をこぼし、暗紫色の双眸を細めた。凶暴に笑うように。
「試し斬りをさせてもらおうか」
「斬撃なら俺の体毛を切り裂けるとでも? 浅はかな……俺がこれまで剣士と戦ってこなかったと思っているのか?」
髑髏マスクの巨漢が不快そうに告げる。
も、ベアトリーゼは意に介さない。
既に相手の“手品”は割れている。確かに剛柔硬軟自在の体毛は武装色の覇気で固めた黒拳の衝撃を吸収しえるのだろう。高周波の振動を体内へ伝播させることなく放散しえるのだろう。今まで戦ってきた相手にはいなかったタイプの高度な防御能力だ。
まあ、体毛の乏しい部分に高周波振動をぶち込んで血管や内臓を破壊したり、三半規管をぶっ壊したり、等々やりようはいくらでもあるが……
この防御力の高さは試し斬りに丁度良かった。
そろそろ表に集まってきた官憲や職人達が踏み込んできかねないけれど、時間が許す限りこのデカブツで頂肘装剣を用いた体術や戦技を試したい。
「簡単に死なないでちょうだいな」
両肘から刃を生やしたベアトリーゼが躍動した。
〇
『突入っ! とつにゅーっ!! とつにゅーしろーっ!!』
駐在が拡声器で号令を下し、得物を握りしめた司直の兵隊とガレーラの職人達が換金所へ突入していく。
そして、彼らは見た。
両腕に青黒い刃を装着したしなやかな影が激しく躍り、毛むくじゃらの大男と激戦を繰り広げている様を。
華やかな紋様を施した仮面を被った影は、ケープを髪のようにたなびかせながら、宙を飛び、地を這い、滑らかに舞い、疾風のように駆け、あらゆる体勢から鋭い斬撃を繰り出し続け。
髑髏マスクを被った巨漢は丸太よりも太い腕を小刻みに、時に大胆に振るい、風切り音を奏でながら巨拳を放ち続け。
鮮烈な剣戟と激烈な拳打の応酬。大気が裂かれ、弾ける轟音。しなやかな影の刃と巨漢の黒々とした体毛が接せば、どういう訳か金属音が走り、火花が散る。
まるで旋風の鎌鼬と暴風の竜巻が争っているかのような激戦に、駐在も職人達も近づけない。
「な、なんなんだこりゃあっ!?」
今年二十歳を迎えるパウリー青年は周囲の職人達と同様、常軌を逸した死闘を前に慄然と震えるしかなかった。
ゴロツキや海賊と鉄火場を重ねた経験は少なくない。ぶっ飛ばした海賊の中に能力者がいたこともある。それでも、こんな熾烈な戦いを見たことが無い。
パウリーにはしなやかな影の動きがほとんど捉えられない。パウリーでは巨漢の拳にとても反応できない。
両者の戦いはあまりにも速く。あまりにも激しい。
しなやかな影が斬撃一つ放つ間に、いくつの牽制と陽動を行っているのか、パウリーには分からない。
巨漢が打撃一つ放つ間に、何手先まで読み、何通りの展開から手を採っているのか、パウリーには想像もつかない。
「鬱陶ぉしいっ!! 黒光りワイルドアッパーッ!!」
拳風に床の粉塵が巻き上げられるほど強烈な左アッパーが放たれるも、しなやかな影はするりと躱して間合いを取る。
「無駄だっ! 俺に斬撃なんぞ通じねェッ!!」
髑髏マスクは官憲も職人達も視界に収めていなかった。ただ眼前の小兵――あくまで巨漢に比したらの話で、仮面の女も180センチ前後はありそうな長身だ――へ怒鳴り飛ばす。
「いい加減、諦めてちゃっちゃっと殴殺されやがれっ!!」
「横入りも入ってきちゃったし、そろそろ切り上げようか」
仮面の女がアンニュイな声音で呟き、両腕を大きく広げ、まるで全身のばねを圧縮させるように身を深く屈ませた。次いで、両腕の青黒い刃が微かに鳴動し、刀身に沿ってパチパチと青いプラズマ光が走り始め――
動く。
仮面の女の足元が爆ぜ、大理石製の床が爆ぜる。しなやかな影と青いプラズマ光が大気を切り裂く。煌めく刀身に雷光のような軌跡を曳かせながら、仮面の女は巨漢へ襲い掛かる。
瞬きすら追いつかぬ刹那。
髑髏マスクの巨漢は女が斬りかかってくる一瞬の機先を制し、
「黒光りライトニングブローッ!!」
“先の先”カウンターのチョッピングライト。命中すれば、頭はおろか上半身が砕け千切れるだろう。
が、巨漢が制したと認識した機先自体が、女の
相手の“機”を外す
女は振るわれた巨拳を紙一重でかわし、巨腕を軸に螺旋を描くように肩口までするりと肉薄。新体操みたいに大きく身を捻り込みながら左の肘剣を一閃。
すぱり。
プラズマ熱をまとった刃が頑健な体毛を容易く斬り、分厚い肉を滑らかに裂き、太い骨を軽やかに断つ。
女が三回転半捻りの末に着地。と同時に、髑髏マスクを被った巨漢の首がずるりと滑り落ちた。鮮血と共に命が噴き出し、巨漢の身体がしぼみながら大理石の床に倒れ込む。
決着。
華やかなラ・ムエルタの仮面を被った女がおもむろに振り返り、官憲や職人達が息を呑み、身を強張らせる。誰もが理解していた。
この女には敵わない。この場の全員掛かりで立ち向かっても、一蹴されるだろうと。
ところが――
女は踵を返し、保管庫へ向かって一目散に逃げ出した。
「えっ!?」
惨劇を予見して身を竦めていた官憲と職人達は呆気にとられ、
「お、追え―――――っ!!」
職長の一人が叫び、我に返ったパウリーを含む数人が泡食って追いかける。追いついたところで捕縛できる自信はまったく無かったし、下手したら死ぬかもしれない。が、それでも『自分達の街』を襲われたのに黙って見逃すことなど、パウリー達には出来なかった。男の美学。
ヤケッパチ気味にパウリー達が保管庫へ飛び込んだ矢先。爆発染みた轟音と粉塵の噴流に襲われる。
「うわああっ!?」「なんじゃああっ?!」
男達が動揺し、混乱し、
「落ち着け玉無しのクソッタレ共っ! 取り乱すんじゃあないっ!!」
最年長の職人が怒声を張り、
「うわぁ……」
ようやく粉塵が落ち着いて視界が開けてみれば、仮面の女の姿はどこにもなく、保管庫の床にぽっかりと大穴が開いており、暗闇の底に地下道が覗いていた。
逃げられた。
その事実を前に、パウリー達は無意識に安堵の息をこぼしていた。
Tips
花ノ国刀術
オリ設定。花ノ国が中国モデルみたいだから中華武術っぽいものを用意してみた。
スベスベの実。
本人の摩擦係数を自在に操る強能力だけど、無敵ってわけじゃあない。
次の能力者に期待しましょう。
生命帰還。
CP9のクマドリ、王下七武海ボア・ハンコックの妹マリーゴールドのように髪の毛を自在に操り、ルッチのように筋肉量を増減させて体型を変化させたり。
ルフィのギア4もこれに当たるのかは不明。
ダマスカスブレード。
『銃夢』のヒロインが扱う武器。機甲術マウザー派頂肘装剣ダマスカスブレードが正しい名称。
肘に装着するブレードだが、バタフライナイフ機構の長刀になったこともある。
LO以降は自在に肘から出し入れが可能になった。
ダマスカスブレードを振るう際は技名が告げられないため、必殺技名を叫ぶワンピース世界ではちょっと扱いにくい。