彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
佐藤東沙さん、キャンディさん、烏瑠さん、麻婆餃子さん、誤字報告ありがとうございます。
4/2:TIPSにちょっと追加。本編に変更なし
夕陽が巨大なガラス天蓋を通じてパサージュ内に注がれる。
通りや軒先のアーク灯やガス灯がぽつぽつと目を覚まし始め、観光客達の往来も飲食店が多い辺りへ移っていく。
人形店の上階――居住階となっている一室で、ベアトリーゼは支度を進めていた。
本来なら目立たぬよう人混みに紛れて高跳びすることが理想だが、見聞色の覇気が既に建物周辺におっかない連中の展開を捕捉していた。
「監視と通信に3人。武装したツーバイツーが3個で15人。政府直轄領にそれだけ兵隊を送り込むとは」
「ドクトルの知識にはその価値があるからね。やる以上、向こうも本気よ」
暢気に微笑むステューシーに、ベアトリーゼは物憂げ顔で嘆息を返す。
「気楽に言ってくれる」
本気の連中相手に、“血浴”であることをバレる戦い方は禁止。つまり、我流機甲術は使用不可で、悪魔の実の能力は不可視・不可聴の催眠音波や三半規管を痛めつける高周波ぐらいしか使えない。
畢竟。荒事になれば、銃とヤッパを使ってのドンパチ・チャンバラになる。
まあ、それは良いとして、
「本当にこの格好が必要なの……?」
ベアトリーゼはげんなり顔で自分の格好を見回す。
身体の線にピッタリ沿ったロングスリープ・ハーフのウェットスーツ。平たく言えば、競泳水着に長袖を加えたような代物。あるいは脚部だけないウェットスーツ。これに脱着の易いサイドストラップのニーハイブーツ。
この格好でパサージュから高跳びのアシがあるヨットハーバーまで行けと?
不審者じゃん。
「ヨットハーバーでいちいち着替えてる余裕はないでしょう? 少なくとも、その恰好なら現地に到着してブーツを脱ぐだけで潜水服を着られるわ」
「それなら普通のウェットスーツを」
ステューシーは澄まし顔で応じ、なおも渋面を崩さないベアトリーゼへ悪戯っぽく口端を和らげた。
「その恰好が嫌なら、あとはビキニ――」
「これで良いです」
美貌を台無しにする渋面を作りつつ、ベアトリーゼは
長い脚を包むニーハイブーツの両足首に小型ナイフを隠し。くびれた腰に装具ベルトを巻き、ホルスターに拳銃とナイフを挿す。Fカップの胸元をプレートキャリアで覆い、パウチにカートリッジ式弾薬を詰める。
ダマスカスブレードとスケッチブック他を詰めた小振りなバックパックを背負う。
ステューシーは大きな胸を包むように腕を組み、支度を進めるベアトリーゼに“計画”を説明していく。
「島を脱出後、ログポースが示す通りにカームベルトを突っ切って東の海へ向かって。スーパートビウオライダーならカームベルトを問題なく越えられるから、最短で東の海に入れるわ。東の海にある目的地に着いたら、ドクトルと交換でアラバスタ行きのエターナルポースを渡す。ドクトルを途中で棄てないようにね」
「ちゃんと連れて行くよ」
ベアトリーゼは用意されたカートリッジ式の
武装した不審者の完成。
「じい様の支度は?」
「トランクケース一つ分にまとめろと言ったら、持っていく資料に頭を悩ませてるみたい」
微苦笑を湛えたステューシーはベアトリーゼの後ろに回り、癖の強い夜色の長髪を編み直し始め、
「ケアが足りてないわね。綺麗な髪なのにもったいない」
小さく肩を竦めるベアトリーゼの髪を三つ編み団子にしながら、尋ねた。
「アラバスタに行ってニコ・ロビンと合流したら、 “失われた100年”を追うつもり?」
「そのつもりだよ」蛮姫は即答し「約束は守る性質なんでね」
「……それ、海賊王の見届け人になるという貴女の生き方と折り合いがつくの?」
金髪碧眼の貴婦人が重ねた問いに、
「もちろん」
蛮姫は不敵な微笑みを返す。
「ロビンが選んだ者が海賊王になるからね」
絶対の確信がこもった返答に、ステューシーは少しばかり困惑する。
「それはどういう――」
「で、でで出来たぞ。ここれでよかろう?」
と、そこへくたびれ顔のドクトル・リベットが現れた。
平凡な全身ウェットスーツ姿でデカいトランクケースを抱えており、眉の無い双眸が半べそ気味。
「ぅう……ままマリージョアを離れて以来、かか重ねてきた研究のしし資料や成果の多くをこんなか形で置き去りにせねばならんとは……」
「貴方が残していく資料はベガパンクの許へ送るから、無駄にはならないわ」
ステューシーがさらっと告げると、ドクトルは眉目を吊り上げ、吃音症を投げ捨てた。
「ベガパンクだと!?ダメだダメだダメだ!!悪魔の実頼りの分際で天才を自称して恥じない男に私の研究成果を委ねるなど冗談ではない!」
「悪魔の実頼りだとしても、貴方よりずっと優秀なことは事実でしょ」
「!!ぐぅうううう悔しいいいっ!あんなインチキ野郎に劣るという評価!屈辱だ恥辱だ侮辱だ許せない!!私だって脳ミソを拡張できればあんな奴に負けないのにぃいいいっ!」
床に崩れ落ちて慟哭するドクトル・リベットを余所に、ステューシーは髪を結い終えたベアトリーゼへ向き直る。
「ドクトルは放っておいて脱出の打ち合わせを詰めましょう」
ベアトリーゼはマイペースな年齢不詳の美女と慟哭を続ける老科学者を交互に窺い、思う。
こんな調子で鉄火場に臨むの?
○
そして――
夜の帳が降りていく空。朱に焼ける水平線。夜闇と残照が混ざり合う逢魔が時。
裏路地に接する人形店の住居玄関兼店舗裏口に4人の男達が近づいていく。男達はいずれも平凡な装いで、上着の懐に拳銃を下げている。リーダー格の四十路は拘束用の縄やら錠やらを詰めた鞄を担いでいた。
4人の男達は人形店の裏口前に立ち、リーダー格の男が子電伝虫に吹き込む。
「こちらグリヤーダン。準備良し」
『シェフよりグリヤーダン。“
濁声で作戦開始が命じられ、男達は動きだす。
バールで素早く鍵を抉じ開け、男達は蛇のように屋内へ侵入していく。懐から抜いた拳銃を構え、油断なく地階と店内を捜索。人影無し。
男達は地階を捜索後、退路確保として1名が裏口前に残り、3人が上階へ向かって階段を上っていく。古びた階段がぎしりと鳴る。
先頭の男が居住階出入り口のドアノブを回した、刹那。
どかーん!
人形店の窓という窓が吹き飛び、真っ赤な爆炎と粉塵混じりの爆風が噴出した。超ムキムキマッチョのロバと馬車がガラス片に薙ぎ倒される。
爆発の衝撃波と音圧に近隣店舗も窓ガラスが割れ、パサージュの分厚いガラス天蓋すら震わせる。突如発生した爆発音に往来の人々が悲鳴と吃驚を上げて不安顔を浮かべた。
爆発騒ぎが夕闇時のパサージュに広がっていく中、電伝虫の念波通信が密やかに飛び交う。
『アボイエよりシェフ。グリヤーダンの観測反応が途絶しました。パティシエは全滅を推定しています』
『こちらシェフ。アボイエ、グリヤーダンより“
『シェフ。パティシエは“鴨”が地下水道をヨットハーバーへ向けて移動中と推定しました。鴨の傍に“
『こちらシェフ。ポワソニエ、“鴨”を追って地下水道へ入れ。レギュミール。ヨットハーバーから地下水道に入り、ポワソニエと挟撃だ』
『ポワソニエ、了解』
『レギュミール、了解』
そんな電伝虫の交信を小柄な黒電伝虫で盗聴傍受し、
「完全に食いついたわね」
人形店から少し離れたところの暗がりの中で、ステューシーは端正な顔に氷の微笑を湛えた。
「……マダム。ドクトルの資料は押収してベガパンクへ届けるのでは?」
人形店の店主を務めていた中年女性が炎上中の店舗を横目に問えば、
「あら。そんなこと言ったかしら?」
ステューシーはすまし顔で嘯き、踵を返した。コツコツと石畳を叩くように裏路地を進み始めた。
「想定より襲撃の規模が大きい。彼女が間に合ってくれて幸運だったわ。私が連中の相手をせずに済んだ。これで安全に進められる」
最上級諜報機関CP0のエージェントにして闇の帝王達に連なる『歓楽街の女王』ステューシーはプロ中のプロだ。気に掛けているヴィンデ・シリーズの
金髪碧眼の貴婦人は部下を連れてパサージュの夜闇に溶けていく。
彼女達の動向に気付けた者は誰もいなかった。
○
煌びやかなパサージュの地下水道は鼠やゴキブリ達の糞尿に流入したゴミや汚物、それにカビと腐敗と様々な悪臭に満ちている。照明器具は一切ないものの、ところどころにある排水口から地上の明かりが弱弱しく差し込んでいた。
悪臭が染みついた濃密な湿気を掻き分け、ベアトリーゼはカンテラを構えながら点検歩道を駆ける。全力疾走ならヨットハーバー傍の出口まですぐなのだが、運動不足の年寄りが一緒ではそれも叶わない。
と、背後から人形店が爆発した残響が届き、
「あああ、あのあアマァッ! わわわ私のせ成果をふふ吹き飛ばしおってェっ!!!」
地下空間に罵声を響かせるドクトル・リベットを余所に、ベアトリーゼは舌打ちした。爆破は“ビックリ箱”の域を出ている。現に見聞色の覇気で窺う限り、“敵”はこちらへ全力を注いでいた。
ウォーロードの飼い犬時代に経験したパターンだと、これは“囮”にされた可能性が高い。
だが、要人はこちらが引き受けている。最重要資料も要人の手荷物の中。
――となれば、まだ隠し事があったわけだ。これだからスパイって奴は。
苛立ちを覚えるも、然程怒りを抱かない。ベアトリーゼとて自身の敗北や捕縛“よりも”ロビンの脱出を優先させたクチだ。ステューシーのやり口は理解できる。
――再会したら一発殴らせてもらおう。
理解できるが、納得は別だ。なんせベアトリーゼにとってステューシーは仲間でも友人でもない。昨日今日知り合った政府の犬だ。
「ぶつくさ文句言ってないで急げ、ドクトル。追いつかれたらもっと面倒なことになるぞ」
「なな長年軟禁されてててきたうう運動不足の老人にむむ無理を言うなっ! ぅう! かかつてはせ世界最先端の研究をしてきた私が、ここんな鼠同然の――これも全てああの汚らわしい魚人のせいだ!」
ぶー垂れる老人を伴って走りながら、ベアトリーゼは見聞色の覇気を放って探り続けていた。
パサージュ方面からツーバイツー。ヨットハーバー方面からツーバイツー。迷宮染みた地下水道内で的確にこちらへ迫ってくる。
――えらく耳目の利く奴が居るな。でも見聞色の覇気を飛ばしてないようだし、私の見聞色の効力圏に引っ掛からない。能力者か装備か?
まぁいい。待ち伏せではなく挟撃を仕掛けてくるなら、さっさと返り討ちにしよう。
ベアトリーゼは不意に足を止め、
「ドクトル」
「なな、なんだ?」
汗だく顔で訝るドクトル・リベットへ無情動に命じた。
「そこの角に隠れて耳を塞いでろ」
カンテラの火を消し、ベアトリーゼはプルプルの実の力を使って奏で始める。
悪夢へ誘う不可聴の音色を。
○
コールサイン:ポワソニエとヨットハーバー側から進んでくるコールサイン:レギュミール、両班8名の狩人は“年寄り鴨”を挟撃するべく、地下水道を駆けていて、
――ィイン。
耳鳴りを認識した瞬間、彼らは白昼夢の世界に引きずり込まれた。
この世で一番怖いもの。この世で一番嫌いなもの。辛すぎて記憶の一番奥に封印してしまった記憶。苦しすぎて思い出したくない心の傷。
彼らの意識は悪夢に囚われ、武器を落としてその場に崩れ落ちる。
頭を抱えてうずくまり、誰かに謝罪し続ける者。自己嫌悪に満ちた懺悔を繰り返す者。気が狂ったように体を掻き毟り続ける者。茫然と虚空を見つめ続ける者。
悪夢によって身動きが取れなくなった彼らへ銃口が向けられ、地下水道の暗闇に鋭い発砲光が煌めき、乾いた銃声が轟き渡る。
弾丸が動けぬ者達に次々と命中し、彼らはぬめった地下水道の石畳へ斃れていった。
ベアトリーゼはカートリッジ式弾薬を再装填しつつ、撃ち倒した者達の許へ歩み寄る。8人の追跡者達のうち3人ほどまだ生きていた。生き残りからこちらの情報が渡ってもつまらないため、頭へ一発ずつ打ち込んでとどめを刺す。
始末した追跡者達を手早く検分。隊長格らしき2人の男から子電伝虫を回収し、ドクトルの許へ戻りながら、通信を試みる振りをして催眠音波を送り込む。
顔を覆うフェイスマスク中で、ベアトリーゼはうーむと唸った。
「なんかヌルい……ヌルくない?」
グリヤーダン、ポワソニエ、レギュミールの現場要員3班は連絡が途絶え、“特注”の観測員パティシエを含めた
――全滅。
不吉極まる単語が脳裏をよぎった直後、“シェフ”は拳銃をズボンに差して部屋を飛び出した。
本来ならまずは依頼人に連絡を取るべきだったが、この商売が長い“シェフ”は何をおいてもフェールセーフを優先。足早に表通りへ向かう。
その治安の良さから、パサージュは夜を迎えても飲食店区画を中心に人通りが少なくない。加えて、爆発延焼中の人形店周辺が消防と野次馬でごった返していた。
そんな夜の賑わいに紛れながら、“シェフ”は必死に考える。
依頼人からCP0の女諜報員やラドー島当局と交戦する可能性は聞かされていた。だからこそ実戦経験が豊富な人員を二個分隊も揃え、“特注”の者まで用意したのだ。如何に相手が政府諜報機関や海軍の精鋭だろうと、視認や交戦報告すら出来ずに撃破されるなど――ましてや現場から離れた場所にいる観測班まで潰されることはありえなかった。
おそらく、“
いや、もしかしたらハメられたのか? 俺達は何かの露払いにして――
どん。と酔っ払いのオヤジとぶつかった刹那。
「逃げちゃあいかんヨ」
どすり。
嘲りの言葉と胸に走る痛みを知覚した直後、“シェフ”の意識は永久に途絶え、煉瓦タイル敷の道路に崩れ落ちる。
刺突孔があまりに小さく深いため出血が体内に留まっていた。そのため、往来の人々は酔っ払いが転倒したと思って放置していたが、
「おい。大丈夫かい?」
お人好し達が様子を窺い――
「し、死んでるぅーっ!」「きゃああああっ!?」
騒ぎに背を向けて酔っ払いオヤジが去っていく。“シェフ”の心臓を一突きした細長いダガーナイフを懐に隠して。
○
夜のラドー島パサージュが火事と人死で騒がしい中、ヨットハーバーの付近は静謐だった。
ヨットハーバー付近の小路。
マンホールが静かに外され、穴っぽこから夜色髪の美女が頭を出す。
地表に出てしまったモグラのように周囲を見回してから、ベアトリーゼはマンホールを出て周囲を警戒しつつ、マンホールへ告げた。地下水道を走り回ったせいか尻が食いこみ気味のウェットスーツを直したいが、今は仕事に集中すべし。
「良いぞ、ドクトル。出てこい」
「まま待ってくれ。トトランクがひひ引っ掛かって」ひーひー言いながらドクトル・リベットがマンホールから這い出てきた。
歳のせいか運動不足のせいか万事の動きが鈍いドクトルに眉をひそめつつ、ベアトリーゼは油断なく警戒を続ける。
星月夜の潮騒に海鳥達の歌は混じらない。カビと鼠の糞尿の臭いに塗れた地下水道と違い、ヨットハーバー付近は新鮮な潮の香りとほんの少しの生臭さが漂っている。
泊地には桟橋に沿って瀟洒なヨットや豪華なクルーザーが幾隻も並んでおり、周辺施設――煉瓦造りの洒落たヨットハウス、揚降クレーンと修理工場、陸上保管場、船具庫に人の気配はない。防波堤やプロムナードの辺りで夜釣りをしている物好きがちらほらいるが……
待ち伏せはいない。少なくとも探知範囲には。
「すす少しくらいて手伝ったらどどうなのだね」
ドクトル・リベットが毒づきながら大きなトランクケースをマンホールから引っ張り出した。
刹那。
ベアトリーゼがドクトルを抱えて横っ飛びする。直後、プロムナードの辺りから発砲光が煌めき、連射音がつんざく。
「ほぁああっ!?」
事態を認識したドクトル・リベットが悲鳴を上げ、次いで、弾丸の嵐が吹き荒れた。弾丸が石畳で跳ねて火花が踊り、粉塵が舞い上がり、削られた石片が飛散する。
弾幕に追い立てられるように、ベアトリーゼはドクトル・リベットを抱えたまま街路樹の陰へ身を隠す。直後に『見えているぞ』と告げるように再び弾丸が飛来し、街路樹の枝が撃ち落とされた。
「ひぃっ!! お、おおおい、だだ大丈夫ななななんだろうな?!」怯えているためか吃音症がいっそう酷くなっているドクトルを無視し、ベアトリーゼは状況の把握に努めた。
プロムナードから約3、400メートル。当てることも出来たのに“わざと”外した。しかし、問題は銃撃の意図より見聞色の覇気による捜索哨戒を潜られたことにある。敵の隠蔽潜伏能力がかなり高い。
地下水道で始末した奴らは”餌”で、こいつらが本命だろう、とベアトリーゼは当たりをつけた。
弓手のプロムナードから厳つい機関銃を腰溜めに抱えた大きな影が二つ現れ、次いで、馬手のヨットハウスの陰からも一組の大きな影が現れた。やはり銃を構えている。
「まあ、そう来るわな」
金床と鉄槌――正面拘束と側面機動打撃の戦術は戦略規模から歩兵戦闘まで応用できる古典的な基本戦術だ。古典的かつ基本的なだけに確実性が極めて高い。
街路樹の陰から動こうとすれば、牽制射で射竦められる。かといって動かなければ向こうの好き放題にされてしまう。
無論、ベアトリーゼの卓越した身体能力とプルプルの実を用いた超人的機動力を発揮すれば、この状況を脱することは容易い。が、素性が露見すると後々面倒臭くなってしまうし、
それに――
迫ってくる二組の影。どちらも全身黒づくめで頭を
プロムナードから迫るツーマンセルは身長2メートル前後。後ろ首辺りにヒレらしき突起物があって、魚人っぽい。
ヨットハウスから迫るツーマンセルは身長3メートル前後。こちらは手足が異様に長く、腕に至っては肘関節が“二つ”あった。
何より、この四人の敵は感情が酷く乏しいというか、人間味が薄いというか……猛烈に不穏な気配がする。
ベアトリーゼはフェイスマスクの中で小さく毒づいた。
「厄介なことになってきたな」
Tips
ハーフウェットスーツ。
袖付き競泳水着か脚部だけないウェットスーツか。実在する。
やられ役の皆さん
シェフ:指揮官――刺されて死亡。
グリヤーダン:現場班A――吹き飛ばされて全滅
ポワソニエ:現場班B――撃たれて全滅
レギュミール:現場班C――撃たれて全滅
アボイエ:監視・通信班――催眠音波を拾って無力化
パティシエ:特殊監視員――催眠音波を拾って無力化
黒づくめ達。
ガッポイなマスク
SF系FPSの古典的名作ハーフライフに登場するコンバイン兵みたいなマスクってこと。
詳細は次回。