彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
少しばかり退屈な話をさせて頂こう。
オイコット王国領海内アラワサゴ島。
領海の端にあるオイコット王国の僻地であり、小さな集落が2つ3つあるだけのド田舎だった。王国のアラワサゴ島統治は放置に等しく、半ば領有していることを忘れていそうな島だった。
ところが、近年になって大規模な糞化石性リン鉱床が発見され、事情が激変する。
15年前の戦禍の傷が未だ癒えぬオイコット王国にとって、アラワサゴ島はにわかに金の卵を生む鵞鳥に化けた。
早速、現地に人を送って採掘場や諸々のインフラを整備し始めた矢先のこと。
アラワサゴ島近海に海賊が出没し始めた。それも“うじゃうじゃ”と。
背景を明かしてしまうが、なんてことはない。
金の話だ。ただし、政治レベルの。
オイコット近隣国――世界政府加盟国Aとしておこう。
加盟国Aはアラワサゴ島そのものを奪う気はない。僻地開発は金も手間も面倒も掛かる。が、リン鉱石が生み出す莫大な利益の恩恵には大いに関心があった。
そこで、加盟国Aはアラワサゴ島のリン鉱石権益に大きく食い込む謀略を仕掛けた。
雑草のように繁茂している海賊共を、オイコット近海へ“少しばかり”けしかけたのだ。“適度”に、オイコットを窮地へ追いやるために。
ただまあ、この手の謀略に誤算は付き物。
オイコット近海には加盟国Aの想定を超える数の海賊達が殺到し、オイコット近海を荒らし始めた。
海賊共は貨物船や交易船を拿捕するだけでは済まず、アラワサゴ島にも乗り込んで現地集落や新たに興された開拓村を襲撃。開発中の採掘施設やインフラを破壊し、金品や物資を掠奪し、女子供を強姦し、虐殺まで行う始末。
オイコット王国は海軍に事態の解決を強くとても強く要請するも、事態は一向に解決せず海賊共の跳梁跋扈が続いて被害が日に日に増していき、アラワサゴ島のリン鉱石採掘が一歩も進まない。ついには、アラワサゴ島に近い他の島嶼まで被害が及び始めた。
挙句、オイコット周辺の非加盟国――便宜上非加盟国Bと呼ぶ――が海賊と組んで兵隊を送り込んでアラワサゴ島を実効支配し、その利益で加盟国入りを目論んでいるという情報が入るに至り――
オイコット王国の堪忍袋の緒が切れる。いや、緒どころか、堪忍袋自体が吹き飛んだ。
軍の動員を決定し、さらには“義勇兵”と軍需物資を集め始めた。
アラワサゴ島近海の鎮定作戦に冠せられた名が、オイコット王国の姿勢をこれ以上ないほど雄弁に物語っていた。
作戦名:アージャント・フューリー。
抑えきれぬ憤怒。
○
戦を間近に控え、アラワサゴ島は大いに賑わっている。
オイコット王国の正規軍人。“義勇兵”。酒保商人。娼婦。アラワサゴ島に人と物を運ぶ船の船員。商人や船の用心棒。東の海のあちこちからやってきた荒事師達と、彼らを相手に商売する者達だ。
ちなみに島民と開拓村の労働者達は避難“していない”。
王国は彼らの避難を認めなかった。一日でも早くリン鉱石の採掘を始めるべく、鎮定作戦とは関係なく開発を強行している。なんせ国運を賭けた事業だ。人命など論ずるに値しない。
そんな政治的冷酷さを余所に、アラワサゴ島へやってきたバカ共は暢気に騒いでいた。
港の一部では商人や船員達が勝手に市場を開いている。“義勇兵”に参加する荒事師達はオイコット軍の登録所に並び、参加しない連中は商人や船舶に用心棒仕事を持ちかけていた。
酒や食い物を提供する店や屋台はどこも荒事師で溢れ、娼婦達が彼らの間を蝶のように行き交っている。血の気の多いバカ共が集結しているため、あちこちで喧嘩騒ぎが起きていた。
「まるでお祭りだな」
屋台の脇に設けられた臨時席――荷箱が置かれただけ――に腰かけ、ゾロはオイコット産の真っ黒なビールを呷っていた。
「ドンパチを始める前の景気づけみたいなもんさ」
相席の中年男が小魚の唐揚げを摘まみ、賑わう周囲を見回して冷笑する。
「こいつらの何人が生き残れるやら」
「含みのある言い草だな」
怪訝顔を浮かべたゾロへ、中年男はしたり顔で続けた。
「ヘータイを集めてんのぁオイコットだけじゃねえのさ」
中年男曰く――オイコット王国近海に集結した荒事師の全てが“義勇兵”や用心棒になったわけではないらしい。
アラワサゴ島を狙う側へ与する者達もそれなりにいて、海賊共の手勢に加わったり、アラワサゴ島の奪取を目論む近隣国の非正規戦部隊へ参加していたりするという。
「つまりな、こいつは海賊退治なんかじゃねえ。この島の利権を巡る立派な戦争なのさ。で、俺達の役割はさしずめ、弾除け、肉壁、囮の餌。つまり捨て駒だ。ま、御上にしてみりゃあ俺らは犯罪者予備軍みてェなもんだからな。敵と共倒れにさせたり、使い潰したりする方が好都合ってわけだ」
他人事のように語り、中年男は黒ビールをぐびぐびと呷る。
「あんたはそこまで分かっててコレに参加するのか?」とゾロが問えば。
「俺はこういう仕事が好きなのさ」
自嘲的に嗤い、中年男はゾロの得物へ目を向けた。
「三本か。二刀流で予備に一本てとこか?」
「いいや」ゾロは黒ビールを口にしてから「三本全部使う」
「? 腕は二本しかねえだろ。三本目はどうやって持つ?」
訝る中年男へ、ゾロは不敵に笑って口元を示す。
「ここさ」
中年男は呆気に取られ、ガハハと大いに笑う。どうやら冗談だと思ったらしい。
「面白いあんちゃんだ。笑わせてくれた礼に一つ情報をやろう」
「別に冗談を言ったわけじゃねェんだが」としかめ面のゾロ。
まぁ聞けよ、と中年男は真顔になり、
「こいつは噂だが、今回の件にゃあグランドラインの奴らも参加してるそうだ。もしも敵にそれっぽいのがいたら、悪いことは言わねえ」
告げた。
「ケツをまくって逃げな」
「ほぅ? グランドラインの奴らはそんなに強ェのか」
ゾロが獰猛に目を細めた。世界の頂を目指す若者にとって、自分以外の強者は打ち倒すべき障害に過ぎない。
若いねえ、と中年男は微苦笑をこぼし、小魚の唐揚げを摘まむ。
「グランドラインからわざわざ最弱の東の海に遠征してくるような奴は、そう強くはねェ。ただまあ、グランドラインで荒事師をやっている奴は総じて、四海の連中よりもずっと慣れてやがるのさ」
「慣れてる? 何に?」
ゾロの問いかけへ、中年男は薄笑いを返す。
「殺し殺されることに、さ」
○
オイコット王国領海外にある某島。
非加盟国Bが非公式に編成した『解放軍』の者達が、参集したロクデナシ共へ向けて拡声器で大義名分を喚いている。
『アラワサゴ島は歴史的に我ら固有の領土であり、オイコットによって不法占拠され、我らの資源を不法に採掘し、我らの富を、未来を奪っているっ! 我々はこの不正義な状況を正すべく起ち上がった義士であるっ! オイコットからアラワサゴを取り戻し、世界政府へ加盟して我らが持つべき権利を勝ち取るのであるっ!』
バロックワークスの面々に与えられた宿舎の一角で、ビビはプロパガンダを聞き、倦んだ気分を覚えていた。政治やこの世界の仕組みを学んでいる王女として思う。
加盟国になりたいというのは分かるけれど……これは無謀過ぎるわ。
この世界において世界政府加盟国であるか否かは、文字通り国家国民の生存権に関わってくる重大事だ。であるから、加盟国になるべく天上金を賄う資源を得たい思考と感情は理解できる。だが、彼らは世界政府の貪婪さを知らない。
おそらく、政府は非加盟国Bがアラワサゴ島を奪い取った時点で『重大な脅威』と見做し、海軍に同国の壊滅を命じるだろう。多くの民は殺されるか奴隷として接収される。同国は世界政府の直轄領になるか、近隣国へ委託統治されることになる(その場合、統治の負担は近隣国が背負わされる)。そして、オイコットはアラワサゴ島の統治能力無しと判断され、世界政府主導の開発地にされるだろう。
つまり、世界政府が美味しいところを”
誰も幸せになれない。
ビビは密やかに溜息をこぼす。この世界の非情さと無情さに。叶わぬ夢を見て血を流そうとする者達に。祖国が危機に瀕しているのに他人の戦へ身を投じる状況に。
と、集会場で開かれていた『作戦会議』へ出席していたミスター・7とミス・ファーザーズデーが戻ってきた。
「集まれ、ボンクラ共。仕事の説明をする」
ビビは腰を上げ、他の面々と共にミスター・7の許に集まった。
「近々、海賊共がアラワサゴ島近海を一斉襲撃する。その際、俺達は『解放軍』と共にアラワサゴ島の西岸に強襲上陸だ。その後、現地の集落や開拓村を制圧し、最後に南岸の港湾部を落とす……が、このドンパチがどう転がろうと俺らには関係ねェ」
ミスター・7はデコに刻んだ『7』の瘢痕を掻きながら“指令”の内容を説明する。
「俺達の狙いは金だ。アラワサゴ島のオイコット軍拠点には義勇兵共の給料や部隊運営資金が溜め込まれてる。連中のドンパチに紛れ、奴らの金を頂く」
「火事場泥棒か」とイガラムが唸る。「かなり難しい仕事だな」
戦争を利用して強盗なんて……どこまで悪辣なの。ビビは内心で反感を強めつつ、決意を新たにする。一刻も早く頭目の正体を突き止めて倒さなければ……
「あの子達を上手く利用すれば~きっと大丈夫よ~」
縦にも横にも大きい業務用冷蔵庫みたいなミス・ファーザーズデーが、ちらりと窓の外を窺う。
雑多な装備に、不揃いの戦装束をまとった“解放軍”の兵士達。その大多数は非加盟国Bの民兵達――食い詰めた貧乏人だった。例外は彼らを指揮する非加盟国Bの正規軍人か、給金と略奪目当ての荒事師達だ。
ミスター・7はデコの瘢痕を掻きつつ、面々を見回す。
「敵を最弱の海の雑魚共だと思って気ィ抜くんじゃねェぞ、ボンクラ共。銃砲の威力はどこも同じだ」
「皆~頑張りましょ~ね~」
ミス・ファーザーズデーがこてこてのアニメ声で発破をかける。
若い連中が暢気に合いの手を返していたが、イガラムは腕を組んで渋面を作っていた。
――火事場泥棒などしている余裕があるかどうか怪しいものだ。
イガラムは密やかに次代の主君を窺う。最悪、ビビ様だけは何としても御守りせねば。
たとえ我が身に代えても。
護衛隊隊長が内心で決死の覚悟を固めていることに気付かず、ビビはこの任務で手柄を上げ、バロックワークス中枢に迫ることしか考えていなかった。
これほど危険な任務で手柄を上げられたら、ビリオンズへの昇進は間違いないはず。もしかしたら、エージェントに抜擢されるかもしれない。謎に包まれているバロックワークスのトップや最高幹部達の情報を得られる機会もあるだろう、と。
この時、ビビは正しく理解していなかった。
自分が戦争に身を投じたことを。
〇
実のところ、海賊達の一斉襲撃はオイコット王国側にバレていた。
暢気な東の海の海賊に機密保持や防諜の意識があるわけもない。飲み屋でベラベラ。表で堂々とペチャクチャ。そこらでワイワイガヤガヤ。情報は駄々洩れだった。
当然、オイコット王国軍はこの情報を元に海賊の一挙撃滅を図り、海軍にも根回しを行って共同作戦を実施する。
これまで動きが鈍かった東の海の支部海軍も今度ばかりはしっかり動き、臨時編成の討伐艦隊が組織された。
巡洋艦3隻、フリゲート6隻、コルベット6隻。
参加将兵の大半が志願者であり、極めて士気旺盛だった。
グランドラインに憧れる者は海賊だけではない。
一部の海兵もまたグランドライン――正確には海軍本部勤務を望んでいた。出世や権力や名誉を欲する上昇志向から。自身が何者であるかを示したいから。より多くの海賊を血祭りにあげたいから。支部勤務より給与が良いから。
そうした海兵達にとって、この海賊討伐作戦は手柄を挙げるまたとないチャンスなのだ。
加えて、此度の鎮定作戦にはオイコット軍総司令部から“口頭で”命令が出ていた。
捕虜を取るな。降伏を認めるな。薄汚い賊徒共を一人残らずブチ殺し、その惨めな死に様を世間に晒せ。オイコットの国土に手を出せばどうなるか、東の海の端まで教えてやれ。
そんな状況を露知らず、アラワサゴ島近海にほいほい乗り込んできた海賊船が居た。
ココヤシ村出身の少女を乗せた海賊船が。
払暁のアラワサゴ島沖に砲声が轟く。
オイコット王国“義勇兵”を乗せた徴用武装船群――大砲を積んだ小型商船や大型漁船が餓狼の群れみたいに小柄な海賊船を追いかけ回していた。
「絶対に逃がすなよっ!」「沈めないよう注意しろっ! 喫水下には打ち込むなっ!」
敵船を拿捕すれば、“多少”傷んでいても高額の褒賞金が出るため、武装船群の義勇兵達は酷く生々しい闘志と戦意を旺盛に発揮している。
「クソッタレ共がっ! 海賊を襲うなんてあべこべじゃねえかっ!! ええぃちきしょうっ!撃て撃て撃て撃てっ!! 奴らを追っ払えっ!」
船長の裏返り気味の怒声と共に海賊船も艦載砲を放ち、徴用武装船群を追い払おうと試みるも、如何せんこちらは一隻で、向こうは複数隻。しかも船足で負けていると来た。
「何がひと稼ぎよっ! 私達の方が獲物にされてるじゃないっ!」
追いかけ回されている海賊船の甲板にて、ナミは頭を抱えて物陰に隠れていた。そして、武装船群が単縦陣を取って弧を描くように海賊船を片翼包囲していく様を見て、
「――まずいっ!」
ナミが逃げ出す猫のような勢いで後船楼内へ飛び込んだ直後。
武装船群の火砲が合唱、砲弾の嵐が小柄な海賊船を滅多打ちにしていく。
船体木皮が穿ち貫かれ、ヤードがへし折れ、索具が引き千切られ、帆が引き裂かれ、爆煙と粉塵と血煙が甲板も船内も満たしていく。海賊達は飛散した木片や弾殻片を浴び、吹き飛んだ船具に潰され、運が良ければ即死し、運が悪ければ苦痛という形で生命の力強さを味わった。砲声と爆発音の合奏が海賊達の悲鳴を掻き消している。
「ひぃいいい……っ!」
ナミは頭を抱え、身を縮めて恐怖を吐き出す。
10歳の時に故郷をアーロン一味に襲われて以来、海賊専門の泥棒として大海賊時代の渡世を生きてきた身だ。海戦を経験したことだってあるし、盗みにしくじって殺されかけたことだってある。
しかし、これほど激しい鉄と炸薬の暴風雨を体験したことはなかった。
今、ナミに出来ることなど何もない。ただ物陰に隠れ、固く目を閉じて身体を限界まで縮み竦め、自分が隠れているところへ砲弾が飛び込んでこないことを、何かに祈るしかなかった。
不意に、絶え間ない砲声と破壊音、船体を揺らし続ける徹甲炸裂弾の嵐がぴたりと止んだ。不気味な静けさの中でナミに聞こえるものは、穏やかな波音と船体の軋みと死に損なった海賊達の悲鳴と苦悶だけ。
ナミは怯える猫のようにそろりと物陰から這い出し、四つん這いのまま船体を穿った砲撃孔へ近づき、外を窺う。
武装船群が海賊船から離れていく。この場から去るのではなく距離を取っていた。
なんで? 仕上げに移乗制圧するんじゃないの?
セオリーから外れた行動にナミが疑問を抱いた、刹那。
島側から巨大な砲声が轟き、先ほどまでとは段違いの爆発音と衝撃にナミは亀のようにひっくり返った。
「きゃあああっ!?」
床に体を打ちつけ、散らばる木片や何かの破片に綺麗な肌が傷つくも、ナミは痛みに意識を回している場合ではなかった。
なぜ武装船の群れが離れたのか、理解してしまったからだ。
「沿岸砲で仕留める気なのっ!? どこまで念入りなのよっ!!」
ナミはオイコット軍の強烈な殺意に慄く。
それでも生存本能に従い、沿岸砲の砲撃で激しく揺さぶられる船内を這い進む。血塗れの死体や肉片の間を抜け、助けてくれと手を伸ばしてくる死に損ない達から逃げるように、ナミが後船楼の出入り口に向かえば、
「降参っ! 降参するからぁっ! もう撃つなぁっ! 撃つなぁっ! 撃つなよぉおっ!!」
傷だらけの船長が船首に立ち、煤と血に汚れた白布を狂ったように振り回していた。
「降参するって言ってんだろぉお!!」
瞬間、船首に沿岸砲の砲弾が直撃した。
ナミは見た。見てしまった。船首が吹き飛ぶ際、爆炎と高熱圧衝撃波によって船長の身体が水風船のように弾け、蒸発する一瞬を。
もはやナミは悲鳴を上げる余裕すらなかった。
船首を砕きもがれた海賊船がつんのめるように沈み始める。まだ動ける数人の海賊達が我先と海へ逃れていく。ナミも衝動的に彼らの背に続き、払暁の仄暗い海面へ頭から飛び込んだ。
無理もない。既に船は沈没を始めているし、死の恐怖に骨の髄まで竦み上がったところへ、『逃げられる』という光景を目の当たりしたのだから。
しかし、オイコット軍は非情にも砲撃を繰り返す。沈みかけていた海賊船を完全に轟沈させ、海中に逃れた海賊達を砲弾の水中衝撃波で叩きのめす。
ナミもまた大気中より高速で伝播する衝撃波に飲み込まれ、意識が薄れていく。
ノジコ、ゲンさん、皆……ベルメールさん……
この小柄な海賊船の撃沈がこの短くも激しい“戦争”の始まりだった。
〇
サイボーグ化されたトビウオライダーが吐き気を覚えるほど蒼い空と大きくうねる海の狭間を飛翔し、オイコット王国近海に進入する。
ベアトリーゼは眼下に浮かぶ船体の木片やマストの切れ端などを見つけ、巨大トビウオを一旦着水させた。球形型ヘルメットを脱ぎ、周囲を見回しながら潮風を嗅ぐ。
「懐かしい臭いがする」
「に、に臭い?」
後席で怪訝そうに首を傾げるドクトル・リベットへ、ベアトリーゼはアンニュイ顔に野蛮な微笑を湛えた。
「戦争の臭いだ」
Tips
アラワサゴ島
オリ設定。
オイコットが東京(TOKYO)の逆読みなので、小笠原(OGASAWARA)の逆読み。
アージャント・フューリー作戦。
アメリカがグレナダ侵攻作戦につけた作戦名。
ベアトリーゼ。
ついに来ちゃった。