彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
夜空はどんよりとした分厚い雲に覆われ、月明かりは届かない。
そんな夜闇の深い未明時。
2人の乙女が発掘現場に忍び寄っていく。
体の線を強調するぴっちりした漆黒のボディスーツ。肘や膝、脛にプロテクターが付いているけれど、おっぱいから腰回りにお尻、太もも、全ての線と形状がはっきりくっきり。由緒正しいステレオタイプな女怪盗スタイルであった。
雑嚢などを下げた装具ベルトを腰に巻き、コルセット型の装具ベストを装着。動きを妨げない程度のバックパックを背負っているが、まあ、そんなもんではボディスーツのセクシーは翳らない。
ちなみに、ボディスーツを着こむ時、衣擦れ防止にワセリンの塗り合いをした、かもしれない。御想像にお任せしよう。
「……本当に着る羽目になるなんて」と小声でぼやくロビン。
「見られて困るプロポーションじゃないでしょ」
ベアトリーゼは特に気にせず頭を覆う昆虫面のヘッドギアを被った。
地下深くになれば、酸素が乏しくなり健康を害するガスも多い。対ガス系ギアは不可欠。
「気にするところがズレてるわ、ビーゼ」
ロビンは慨嘆しながら同じく昆虫面のヘッドギアを被る。
互いに装備と装具を確認し合った後、2人の女怪盗は猫のように発掘現場へ忍び込んでいく。
順番に鉄条網を潜り抜け、櫓の歩哨や巡回の目を盗み、物陰を伝いながら夜闇や照明の光陰が最も深い暗がりを進む。その歩みは夜の街を散歩する猫のように澱みが無く軽やか。
「しょせん海賊だな。隙だらけだ」
ベアトリーゼがヘッドギアの中で呟く。
故郷でネズミ同然に生きていた頃に比べれば、鼻歌を口ずさんでも良いくらいヌルい。熱反応を読み取って獲物を探す捕食性爬虫類。想像を絶する捜索能力を持つ肉食性昆虫。狡猾な盗賊。強力な索敵装備を持つウォーロードの正規兵。これらの脅威と比べたら、ヌーク兄弟海賊団なんぞ案山子にも値しない。
ベアトリーゼの背に続くロビンの動きも滑らかで迷いや不安はない。
当然だ。ロビンは命を預けるほどにベアトリーゼを信頼している。その背中に続くことに何の疑いも抱いていない。
坑道出入り口前には数人の警備が控えている。
荒野の夜は冷え込むため焚火を囲み、退屈な見張り仕事を紛らわせるため、カードゲームに興じていた。警備自体は隙だらけだが、連中の目を避ける遮蔽物も暗がりもない。
強めの覇気を当てて無音で昏倒させることも出来るが、その場合は優れた覇気使いのヌーク兄弟の弟ペップに覇気を気取られる。
となれば、ベアトリーゼは背後のロビンへ顔を向け、右手で警備を示した後、自身の首を示し、喉を掴む仕草。
ロビンは首肯し、警備の海賊達を全員視界に収め、
『
ハナハナの実が猛威を振るう。警備達の肩甲骨辺りから二本のたおやかな腕が伸び、瞬時に首を極める。警備達は悲鳴を上げるどころか、事態を認識する暇もなく、頸動脈を絞められて意識を落とした。
ベアトリーゼがぐっと右拳を伸ばしてきた。ロビンは微苦笑と共に自身の右拳を合わせた後、2人は失神した警備達の脇を抜けて足早に坑道内へ侵入していった。
万事順調。
――だった。地下発掘現場へ潜り込むまでは。
発掘坑道内は木材で補強され、等間隔にカンテラが吊るされている。カンテラの照らす発掘坑道はそれなりに高く広い(作業効率の事情に加え、ワンピース世界には図体のデカい奴が多いからだろう。ヌーク兄弟からして身長3メートル台だ)。そして、坑道表面は酷く固い。
ロビンが語ったこの島の歴史を考慮するなら、この坑道は元々海底の岩石と土砂だった地層を穿り通したもの。数百年分の外気熱量と圧力で土砂が含んでいた海水が抜け去り、固く硬く絞められていったのだろう。
同時に水分が抜けていく過程で無数のクレバスを築き、サンゴや魚介の残骸などを骨材として天然の洞窟を作り上げていったらしい。人工的に掘削された坑道と天然の洞窟が混ざり、地下は迷宮と化していた。
「参ったな。こりゃ思った以上にデカい穴倉だ」
ベアトリーゼが呻くように言った。
「見聞色の覇気と能力を使っても迷いかねない。クレバスに落っこちたらどこまで行くことやら。カンテラや誘導マーカーを見失ったら、二度と地上へ戻れないかもね」
「不安になるようなこと言わないで」
「ん? 怖くなった? 手をつないであげようか?」
「体中に手を生やしてあげましょうか?」
冗談を交わした後、2人は遺跡の深層部へ向かっていく。
地表から離れていくにつれて空気が薄くなり、そこかしこに有害なガス溜まり(恐ろしいことに無色無味無臭だ)が生じ始める。そこかしこに送風機が置かれて何かしらの動力でぐりぐりと動いているものの、ヘッドギアの対ガス機構が無ければ健康を害してしまうだろう。
変化のない坑道内は時間の感覚がたちまち摩耗していく。
海賊共も坑道内の巡回などする気が無いらしく、見回りの類は全く存在しない。当然だろう。こんな迷宮を事前知識も装備も異能も無しでうろちょろしようものなら、たちまち迷子になってクレバスに落っこちる。
奴隷達もそのことを知っているから、地下発掘現場や坑道で逃げたりしない。逃げたところで地上に辿り着けない。実際、三人の奴隷が坑道内で逃げ出し、暗がりに消えていた。
迷宮で道を間違えれば、命を失う。単純で容赦のないロジック。
そうして危険な迷宮を抜け、発掘現場中層に達すると、莫大な土砂に飲み込まれたのだろう往時の建物が見え隠れし始める。まあ、まだ背の高かっただろう建物の屋根や上部だけだが。
火山灰が町全体を充填するように飲み込んだポンペイは都市の姿がほぼ完全に残っていたというが、この遺跡は空から降り注ぐ莫大な海底岩石と土砂に飲み込まれたためか、重量と圧力で圧潰していた。それでも往時の姿を想像できる程度には形態を保っている。
たとえば、焼き煉瓦造りの頑丈な建物はそれなりに姿を留めており、丸太などで補強されながら掘り出され、屋内を満たしていただろう土砂や残骸が取り除かれている。出土した往時の文物は全て運び出されていて何もない。今頃は労働キャンプの倉庫に保管されているか、マーケットで売りに出されているだろう。
坑道の踏破にくたびれたのか、遺跡を前にしてもロビンはあまり好奇心を示さない。
本命の深部へ行く前に少し休憩を取る。カンテラの吊るされた通路から外れ、暗闇の中で小休止。
昆虫面のヘッドギアを外し、汗塗れの顔を拭う。全身をぴっちり包むボディスーツ内も汗みずくだ。濡れた下着の感触がなんとも不快だった。
「小腹が空いたね」
ベアトリーゼは背嚢を下ろして行動食を取り出す。
この手の極限環境での活動はエネルギーを大量消費するので、行動食と言っても高カロリー・高タンパクのものを必要とする。2人は大量のピーナッツとこってりヌガーを押し固めたパワーバーと干し果物を押し固めたフルーツバーと燻製ベーコンの塊を齧り、ぬるい水で渇きを癒す。体にカロリーとタンパクとビタミンと塩分と水を補給。
「構造はかなり複雑だけど、カンテラが吊るされてるからマシだね。明かりが無いと本当に真っ暗で記憶力と勘だけが頼りになる」
「明かりは持たないの?」
「両手を自由に使える状態にしておかないと、いざって時対応できないでしょ? それに本当に狭いところでは松明もカンテラも持てないよ」
ロビンに答えながら、ベアトリーゼはネズミだった頃を思い出す。
「一度、盗賊から逃げるためにまったく光も音もない洞窟で数日過ごしたことがあったんだけどね、真っ暗闇の中で誰かの泣き声や囁き声が絶えず聞こえてくるんだ。
もちろん、幽霊の声じゃない。単なる幻聴だよ。
思うに、人間てのは情報遮断された完全孤独下に置かれると、本能的に他人を求めるんじゃないかな。それでちょっとした物音や気配を記憶内の人の声と結び付けて認識させるんだろうね。
それと、洞窟から出た時、最初に欲しかったものは水や食い物ではなく、本物の人間との会話だったなぁ」
「さらっと怖い語りを聞かせるの、やめて?」
ロビンが死ぬほど嫌そうに言って溜息を吐く。
「さっさと目的のオタカラを確保してこの穴から出ましょ」
「少しは遺跡探索を楽しみなよ、考古学者の卵さん」
からかうベアトリーゼに対し、ロビンはハナハナの実の力を使ってベアトリーゼの鼻をつねらせた。
ちなみに、ロビンは知らない。ベアトリーゼがもっと怖い話をしなかったことを。
ベアトリーゼが見聞色の覇気で調べた結果、この地下遺跡はかなり不安定だ。
発破でドカーンとしたりした日にゃあ、地表近くの岩盤が抜けて大崩落を起こすかもしれないことを、ベアトリーゼは話さなかった。
○
通路を抜けると、巨大な空間に出た。
どうやらこの遺跡都市の目抜き通りらしい。通りの両脇に連なる石造りの重厚な建築物達がつっかえ棒となり、降り注いだ大岩石を受け止め、その大岩石が屋根となって土砂による埋没を防いでいたようだ。むろん、長い年月の中である程度(それでも大量)の土砂が流入しただろうが、それらは奴隷によって掻き出されたようだった。
おかげで、目抜き通りを中心に数区画分の街並みが窺える。いやはや人力でこれほどの大作業を成し遂げたとは。そりゃ覚醒剤もぶっ込むわな。
「凄いわ」「やばいなこれ」
地底に登場した500年前の街並みに感嘆するロビン。
街並みの天井――大岩石や柱となっている建物群の強度に不安を抱くベアトリーゼ。
「連中の作業拠点は……あそこか」
目抜き通りの一角。元は広場か何かだったのだろう場所に大きな天幕が据えられ、大量の照明が輝き、送風機やなんやらがガンガン稼働している。
2人は猫のように人気のない暗がりを進み、広場へ近づいて物陰から様子を探った。
広場の大天幕では十数名の武装した海賊達が退屈そうにカードゲームをしたり、雑談を交わしたりしていた。便所や食堂、寝床なども用意されているらしい。
一部の真面目な海賊達が出土品や物資、奴隷の体調などを管理し、作業を監視/監督しているようだった。
そして、一個中隊規模の奴隷達――汗と泥に塗れたボロボロの着衣をまとう疲れ切った男達が、ツルハシとスコップだけで大量の土砂を削り、重たい岩石を割り、掘り出した残土などを運び出していく。
どうやら一つの建物を傷つけずに発掘しようとしているようだ。現場監督らしい男が作業手順の指示を幾度も怒鳴っている。
「あそこで図面と睨めっこしてるオヤジ。あいつが発掘の指揮を執ってる奴隷の学者かな」
ベアトリーゼが示した先には、他の奴隷達と同じ着衣ながら重労働をせず、簡易テーブルに並べられた図面と書類を開いているオッサンがいた。
そのおっさんの手元に、見るからに古い作りの書物が置かれている。
『ハッチャー日誌』だ。
「獲物は見つけたわね。後は好機到来を待ちましょう」
ロビンの弾んだ声はオタカラを前にした女怪盗そのものだった。
○
掘り出されたものの放置されている廃墟の一つに身を潜め、ベアトリーゼとロビンは互いに身を寄せ合い、偽装布を被っていた。
地底の暗がりは死人のケツより冷たく寒い。酸素の薄い独特な冷気は防護装備を着ていてもなお、体温を奪い、四肢の末端を凍えさせる。高温ガスが噴き出す環境なら話はまた別なのだが。
敵の真っ只中で火を焚いて暖を採れない以上、女二人で身を寄せ合って互いの温もりに頼るしかない。
ベアトリーゼはロビンの胸元に手を回し、真剣な口調で問う。
「……ロビン、またオッパイ大きくなってない? ねえ、同じようなもの食べてるのに、なんでロビンだけそんな大きくなるの? ねえ、なんで?」
21歳のロビンさん、身長180センチ越えのHカップ(なお、後に麦わらの少年と出会う頃にはIカップまで成長する模様)。一方、18歳のベアトリーゼさん、身長180センチ越えでFカップ。決して貧乳などではないのだが、ロビンの方が凄いプロポーションのため、相対的に胸が小さく見えるという悲劇。
「こら。揉まないの」
ロビンはベアトリーゼのデコを突きつつ、『ハナハナの実』の力を使い、奴隷の学者が使っているテーブルの裏面に耳を咲かせ、連中の会話を盗聴していた。
『教授よぉ……ほんとーにこれで終わりなんだろうなぁ? 俺達はもうこの穴倉にうんざりしてンだ。ちゃっちゃと海に戻りてェンだよ。これでハズレでしたなんてオチだったら、流石に血ィ見るぜ』
『時間が掛かったのは、土木学的必要性からだ。無暗に掘っては崩落する危険が高かった。こういう発掘作業はたとえ遠回りして時間が掛かっても、安全を確保して進めねばならん。君達とて生き埋めにはなりたくなかろう?』
『それはそーだけどよぉ……』
海賊と奴隷の学者――“教授”のやりとりに耳を傾けながら、ロビンはこの島の歴史について調べた内容を振り返る。
かつてこの島に存在した小王国。実態は都市国家に毛が生えた程度の規模だったものの、それなりに高度な文明を誇っていたという。ヌーク兄弟が掘っているこの辺りは小王国の首都ではなく小王国の窓口たる港湾都市の一角だったらしい。
となると、連中の狙いは王侯貴顕の財宝とは考えにくい。
あり得るとすれば、時の大商人か何かの宝物庫と言ったところか。平民とはいえ大商人となれば下手な貴族よりずっと豪奢で豪勢な暮らしをしているものだ。無い話ではない。
『ハッチャーがここでフランマリオンの眠り姫を見たと記している。奴は日誌に偽りを書かない。決してな。間違いなくここだ。この先に、眠り姫がいる』
ロビンの眉根が寄った。
――フランマリオン。
ロビンは『失われた100年』を追う過程で、天竜人20家についても調べている。
800年前、世界政府を築いた20人の王。そのうちアラバスタ王国ネフェルタリ王家以外の19王家は聖地に移り住んだ。その19王家の分家筋がフランマリオン家。天竜人に関する資料はそう多くないため(下々民が神たる天竜人について知るなど不遜、というわけだ)、分かっていることは多くないが、その権力は本家を凌ぐほどだという。
「フランマリオンの眠り姫ってなに?」
ベアトリーゼの問いに、ロビンはヘッドギアの中で短く息を整える。
「……これは聞きかじりだけれど、フランマリオン家は奴隷に産ませた子を政府非加盟国の国主や有力者に降嫁させることがあるそうよ。世界政府に加盟させる、約束手形として神の血を引く子を与える、といった理屈を並べて」
「外様を取り込むための政略婚みたいなもの?」
ベアトリーゼの意見は常識的に正しい。一般的な論理だ。が、天竜人の論理は違う。
「いいえ」
ロビンは忌まわしそうに続ける。
「フランマリオン家はそうやって非加盟国を恣意的に操る。国家経済を破綻させたり、社会を混乱させたり、内乱を起こしたり、戦争をさせたり、自分達の掌で国とその地に住まう全ての人々の運命を弄ぶ」
「酷いな」
ヘッドギアの中でアンニュイ顔を盛大にしかめつつ、ベアトリーゼは話を進めた。
「なら、フランマリオン家の眠り姫ってのは」
「おそらく、“出荷”された娘がこの島で天変地異に巻き込まれて命を落とし、後に冒険家ハッチャーはその亡骸を見つけた、そういうことなんでしょうね。そして、死体を公表したり持ち物を奪ったりせず立ち去った。正しい判断だと思うわ。常識的に言って、たとえ死体でも天竜人と関わることは避けるべきだもの」
たしかに、とベアトリーゼもロビンの推論に納得する。
この世界に生きる人間にとって、天竜人とは二本脚の災害だ。その絶対的地位は海軍大将すら顎で使役するほど。気まぐれに人間を殺しても罪にならず。気まぐれに人を奴隷にしても許される。奴隷にした人間をどれほど虐げても、誰も非難など出来ない。
だから、この世界の人間は天竜人と関わることを忌避する。触らぬ神に祟りなし、と。
ロビンが新たな疑問を口にする。
「彼らはなんのために天竜人の亡骸を見つけようとしているのかしら?」
「きっとロクな理由じゃないさ」
どうでも良さそうに応じ、
「いずれにせよ、これは不味いなあ」
ベアトリーゼはロビンへ言った。
「マーケットに潜伏しているだろう世界政府の出先機関は間違いなく、この発掘作業にスパイを潜り込ませてる。天竜人絡みのことも知ってるはず。私達がマーケットに来ていることも察知してるだろうけど、私達がポーネグリフ関係の資料を手に入れようとしていることまでバレてると考えるべきだよ」
「――っ!」ロビンは息を呑む。
「マーケットでは仕掛けてこないと思う。あそこで暴れると政府や海軍にも都合が悪い。でも、島から出る際、間違いなく狙ってくる」
ゆっくりと息を吐き、ベアトリーゼはアンニュイな夜色の目を鋭くする。
「予定変更だ。多少ここで派手にやってでも、速やかにこの島から脱出した方が良い。奴らが海上で網を張る前に余所へ逃げないと」
手遅れになる。
ベアトリーゼは見聞色の覇気と異能で調べた情報を基に作成した坑道と地下採掘場の地図を広げ、ロビンと共に新たな計画を練り始めた。
やること自体は単純。
陽動の騒ぎを起こし、どさくさに紛れて日誌をかっぱらうだけ。
ここは発掘現場。トラブルは付き物だ。ロビンのハナハナの実でちょっとばかり目立つ崩落を起こさせ、その騒ぎに乗じてハッチャー日誌を奪取。後は一目散にズラかるだけ。なんなら坑道の一部を破壊し、奴らを地下に閉じ込めても良い。
「それは……奴隷にされている人達まで犠牲になってしまうわ」
「どのみち私達には彼らを助けられないよ」
ヘッドギアの中で表情を曇らせるロビンへ、ベアトリーゼは言葉を選んで冷徹に告げた。本心はもっと冷酷だった。奴隷なんぞどうでも良い。ロビン以外はどうなろうと知ったことじゃない。
「重要なのは崩落の規模だね」
ベアトリーゼは話を強引に進める。
「連中の意識が完全にそちらへ向く規模の崩落が必要だ。出来れば、この採掘現場一帯を粉塵が満たすくらい大きなものが良い。でも、それだけ大きな崩落が起きた場合、この地下空間自体がどうなるか分からない」
ロビンにも秘していた事実。
この地下空間は見た目よりもずっと脆弱で危うく、とても繊細な均衡で成り立っている。
崩落の衝撃が伝播し、地下空間の崩壊を招くかもしれない。下手を打てば、数千万いや下手したら数億トンの土砂が襲い掛かってくる。ロビンのハナハナの実で巨腕を出現させても支えられまい。一瞬で磨り潰されてお陀仏だ。
「……かなりシビアでリスキーね」
眉根を寄せて端正な顔を険しくするロビンへ、ベアトリーゼは不敵に微笑む。
「いつも通りってことさ」
Tips
洞窟/地下遺跡
『砂ぼうず』の第二部における主戦場。
暗闇における人体の精神失調。
ググればいくらでも出てくる。こんなこと調べる人がたくさん居るらしい。
ロビンのバストカップ。
公式です。
フランマリオン家。
オリジナル設定。というか、現段階で判明している天竜人が少なすぎる。オリジナルにせざるを得ない。
名前の由来は『銃夢:火星戦記』に登場した火星18大公の1つで、内乱で亡びたらしいフランマリオン公から。