彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
三刀を握りしめながら、ゾロは隻眼のノコギリザメを睨み、ルフィに問う。
「こいつにゃ、2人掛かりでいった方が良さそうだ。構わねェか?」
ゾロは経験と観察眼から察していた。三人の魚人達はいずれも恐ろしく強い。特に身体が異常なほど頑健だと。事実、ルフィの一撃を受けて微塵もダメージを受けていないことが、ゾロの推察の正しさを証明している。
「ああ。これは決闘じゃねェからな」
ルフィもノコギリザメを見据えつつ、ゾロの提案に合意する。
先ほど、アーロンの巨躯に打ち込んだ拳の感触とその反応から、自分の攻撃――ゴムゴムの実の力を使った伸縮加速攻撃がほとんど通じなかったことを、きちんと理解していた。
硬ェ。いや、ただ硬ェわけじゃねェ。“俺と同じ”……いや、俺より硬ェゴムの塊みてェな感じだ。
このノコギリが俺と同じなら、ハンパな攻撃は効かねェ。
だから……
めいっぱい全力でぶん殴らねェとなっ!
しっかり考えたうえで、ルフィは正面突破を図る。それは祖父の仕込みか、義兄弟の影響か。あるいは、本人が本能的に理解しているのかもしれない。
真正面からぶっ倒すことこそ、相手に完全な敗北を与えるということを。
「先に謝っとく。間違ってぶん殴ったら、ごめんな」
「おう。俺も間違ってぶった切ったら、悪ィな」
なんとも不安なやり取りを交わすルフィとゾロだが、2人の顔は戦意と闘志に満ちていた。
「下等種族のクソガキ共メ。テメェら如キガ束になッテ掛かッテキたとこロデ、相手ジャねェんダ。このカス共と同ジデなっ!」
アーロンが近場に転がる海兵の亡骸を踏みつけ、嘲笑う。
ルフィは斃れた海兵達を一瞥し、顎紐で麦わら帽子を背に下げた。
「お前、ここの海兵達に勝ったとでも思ってんのか?」
「ア?」
訝るアーロンに、
「ここの海兵達は、お前に殺されちまったけど、俺達が来るまで、お前らに誰一人殺させなかった。死んでも守り抜いたんだ」
ルフィは吐き捨てるように怒鳴る。
「お前はここの海兵達に負けたんだ、ノコギリ!」
「八つ当たりで無人の村を壊すような奴にゃ分からねェさ」
ゾロは三刀流の構えを取った。その双眸は獰猛にぎらついている。
「ガタイは大したもんだが、こいつらの中身はみみっちぃ」
「ぶち殺ス……っ!」
アーロンはこめかみに青筋を浮かべ、2人へ襲い掛かった。
「こりゃ、骨が折れそうな奴らだな」
サンジは紫煙を燻らせながら、クロオビとチュウを見据えつつ、隣に立つハチへ尋ねる。
「ハチ。たしかクロオビってのはお前の幼馴染だって言ってたよな」
「そうだ。ガキの頃、よく2人で一緒にたこ焼きの屋台を追っかけて、小銭を出し合って……俺がいつかたこ焼き屋になるって言ったら、あいつは常連客になってやるって笑って……」
ハチは憎悪の目を向けてくるクロオビと対峙しながら、決意を固めた。
「あいつは俺に任せてくれ。俺が必ず止めてみせる」
「分かった。任せるぜ、ハチ」
サンジは目線をハチからウソップへ移す。
「ウソップ。援護を頼む。もしも俺らが倒れたら……お前が奴らを止めろ。絶対にナミさん達のところへ行かせるな。そのためならお前は死んでもいい」
真顔で薄ら恐ろしいことをいうコックに、狙撃手は思わずツッコミを返す。
「おぃいっ! 言い方っ! もうちょっと言い方を選べっ!?」
「……聞くところによると、故郷じゃ可愛い御嬢様と良い仲だったらしいじゃねェか」
サンジはマジの嫉妬を滲ませる。
俺がむさ苦しい野郎共に囲まれてクソジジイに蹴り飛ばされていた時、この長鼻野郎は見目麗しい御令嬢とイチャついていたのだ。許せねェ。許せねェぞ、長っ鼻。
「良い仲とか、俺とカヤはそんな」頬を朱に染めて照れるウソップ。満更でもなさそう。
「雰囲気出してんじゃねェッ!! ぶち殺すぞっ!!」
自分から話を振っておいてブチギレるサンジ。隣で呆れるハチ。
「いつまで……ゴチャゴチャと……」
「さっさと。死。ね」
サンジの三文芝居に付き合えぬとばかりに、クロオビとチュウが攻撃へ移ろうとした刹那。
「
口元の煙草から紫煙を引きながら跳躍したサンジが、2人をまとめて蹴り飛ばす。
「こりゃ硬ェな。相当ぶっ叩いて柔らかくしねェと、客に出せたもんじゃねェ」
「貴様……人間風情が……」
「殺。す」
蹴り飛ばされて怒りを露わにする2人へ、
「こっちのセリフだ、クソヤロー共」
サンジは短くなった煙草を投げ捨て、言った。
「ナミさんを悲しませた罪。三枚下ろし程度じゃ済まさねェぞ」
〇
ココヤシ村の郊外。林の奥。海軍や周辺町村にも秘匿されている避難所。
「ナミっ!? あんた、どうして」
小銃を肩に下げたノジコは妹の訪問に目を丸くする。が、ナミは答えずに姉を強く抱きしめた。
「無事でよかった」
「……あんたもね」
ノジコは安堵している妹の頭を慈しむように撫でながら笑みをこぼし、本題を進める。
「どうやって、村のことを知ったの?」
「色々あったの」ナミは事の経緯を省き「そっちこそ、なんで連絡が通じなかったのよ」
「駐在所の電伝虫のこと? あれは寿命で死んじゃったの。それで、新しい電伝虫を手配してる最中なのよ」
あまりにもあんまりな理由に、ナミは大きく肩を落として溜息を吐く。
「私、てっきり村の皆が……」
「ベアトリーゼが作った哨戒線に、賊が掛かった時点で避難してるから」
ノジコはナミの頭を撫でながら続けた。
「ちなみに、あんたが海に出てから海賊の襲来が三回あった。今回と同じように、避難所へ逃げ込んでやり過ごしたよ」
「海軍の屯所が出来てからは、襲来も絶えていたんだが……」
ゲンさんが姿を見せ、戦闘騒音が聞こえてくる方角へ顔を向けた。
「今回の海賊共は屯所にすら襲い掛かる手合いだったようだ。早々に避難して正解だったな」
「――知らないの?」
ナミは橙色の瞳を真ん丸にし、怪訝そうにする姉と父同然の駐在へ言った。
「村と屯所を襲ってるのは、アーロン達よ。私や皆に復讐するつもりなのよ」
ギョッとするノジコとゲンさん。いや、様子を見ていた周囲の村人達もナミの言葉が耳に届き、慄然と身を強張らせた。
「アーロン達が、戻ってきた……」
ノジコや村人達が、顔を蒼白に染める。
「復讐だと……? 己の所業を棚に上げ、我々を恨むというのか」
ゲンさんや村人達が、恐れ以上の怒りで顔を真っ赤に染める。
「今、私の仲間が戦ってるわ。私の故郷と大事な皆を護るために戦ってくれてる。だから……」
このままここに身を隠していて……そうナミが続けようとした時、ゲンさんが憤怒の吐息をこぼす。
「不甲斐ない。あまりにも不甲斐ない……っ!」
「え」
呆気に取られるナミに、ゲンさんは血が滲むほど強く拳を握り込む。
「まだ幼かったお前に村を救う戦いをさせてしまい……心優しかったお前に殺し屋を雇わせてしまい……! 挙句は、夢を叶えるため海に出たお前に……またしても、こうして私達のために戦わせてしまっている……っ!」
駐在の言葉に、村人達も激情に染まっていく。恐怖に青くなっていた者達も、徐々に怯えが薄れ……怒気を湛え始めた。
「げ、ゲンさん? ノジコ? 皆?」
皆の変化に戸惑う。ナミは気づいていなかった。自分の思いやりが、自分の献身が、ゲンさんや村の皆の矜持を、尊厳を、誇りを静かに傷つけていたことを。
そもそも、ココヤシ村の住民達は老いも若きも男も女も、命を捨てて戦える覚悟を持っているのだ。
8年前にアーロン達が襲来してきた時、ココヤシ村の住民達は死を恐れることなくベルメールを助けるため、連れ去られようとするナミを取り返すため、敢然と戦い血を流した。決定的な敗北を喫した後ですら、『子供を見捨てて生きながらえるより、意地を見せて死ぬ方がマシ』と本気で考えていたほどなのだ。
ゆえに。ナミの思いは皮肉にも、
「アーロン達が私達へ復讐しに来たというならば、私達が受けて立つっ!」「おおっ!! そうだっ!!」「復讐だと!? 返り討ちにしたるぁっ!!」
ココヤシ村の衆に火を点けてしまった。
「そんな、海軍だってやられたのよっ!?」
ナミが血相を変えて皆を止めに掛かるが、
「……だとしても、だとしてもだっ!」
ゲンさんはナミの肩に手を置き、言った。父親のように優しい顔で。
「私達はナミの御荷物であってはならんのだ。私達がきちんとナミの帰る場所を護れることを示さねば、お前は安心して夢を叶えられんだろう」
村の男衆も女衆も長老達も若者達も、ナミへ優しく、笑いかける。
「ナミ。ワシらを侮るなよ」「ナッちゃん。そう心配するなって」「そうよ。私達だって戦えるわ」
ナミは震え上がる。自分が良かれと思ってしたことで、村の皆を死地に向かわせようとしている現実に、橙色の瞳を濡らしながら、取り乱して叫ぶ。
「だめ……だめよっ! 皆、死んじゃうっ! もう嫌なのっ! 私の大事な人達が死ぬなんて、そんなこと、絶対に――」
「ナミの“姉御”」「そこまででさあ」
黙って成り行きを見守っていた、ヨサクとジョニーが口を開く。
「この人達ぁ腹を括っちまった。もう言葉じゃあ止まらねェ」
「だから、ナミの“姉御”も決めるしかねェ」
ナミは目を瞑り、歯を食いしばって―――自分の左肩を掴む。かつてアーロン一味の刺青が入れられていた左肩は、刺青の除去手術の傷痕が残っていた。
あの日、ベアトリーゼに叩き潰させたのに、生き汚く舞い戻ってきて……っ! 私の大事な人を奪っておいて、私の大事な人達を傷つけておいて、私の人生を奪っておいて、また同じことをしようとして……っ!
左肩を掴む手に力がこもり、爪がきめ細かな肌に深く食い込んでいく。
アーロン……ッ! アーロン、アーロン、アーロン、アーロンッ!!!
許さないっ!
赦さないっ!
私の人生から、私の世界から、今度こそ消してやる……っ!
「……もう止めない。だから」
ナミは血が滲み始めた左肩から手を放し、村の面々を見回す。
「私も皆と一緒に征く」
決意に染まった橙色の双眸がぎらめいていた。
〇
「にゅ……クロオビ……」
地に伏せたハチが呻く。
強化された体躯を持つクロオビによって、ハチは血達磨にされていた。
それは両者の肉体的強度の差であり、魚人空手の使い手であるクロオビに素手で挑んだハチの不利であり、心の奥底で幼馴染を傷つけたくないというハチの甘さ――優しさによる結果であり。
「裏切り者……裏切り者……殺す……殺す……殺す……」
それは、制止の言葉を重ねる幼馴染を、本気で撲殺しようとしているクロオビの冷酷さの勝利だった。
チュウと戦っていたサンジも傷だらけだ。金髪も一張羅も血と泥に塗れている。
隻腕のチュウがアウトレンジの水弾射撃に徹し、サンジの間合い外から一方的に痛めつけていたためだ。
「小賢しい魚野郎め……大人しくオロされやがれ」
「鬱陶。人間。貴様“も”。さっさ。死ね」
サンジの悪態にチュウも罵倒を返し、ちらりと瓦礫の中に転がるウソップを一瞥した。
パチンコなんて玩具でナメた真似をしくさった長っ鼻は、返礼の水大砲を叩きこんで“ぶち殺した”。
……というのはチュウの誤解だ。大の字に倒れているウソップは、もちろん生きている。チュウの水大砲の至近弾によって、瓦礫の雨を浴びてズタボロになったが、一味の中では一番傷が浅い。
しかし、心の折れ具合は深刻だった。
この戦いは無我夢中で戦った黒猫海賊団の時とは違う。この戦いは麦わら一味の一員として船と仲間と自身の誇りと命を懸けた殺し合いだ。
相手はシケたクソッカス共だった黒猫海賊団とは違う。相手は種族的に優れた魚人で、片腕になりながらも冷徹に殺しを遂行する本物の戦士だ。
恐怖が大きすぎて、ウソップはサンジのように立てない。
怯懦が大きすぎて、ウソップはルフィ達のように笑えない。
『このまま死んだ振りをしてやり過ごせ』と認めたくない自分がしつこく囁き続け、その声に抗えない。
そんな惨めさに、自分自身への失望に、ウソップは涙を滲ませながら、必死に克己を試みる。
立て! 起ち上がれっ! 動けっ! もう楽しいだけの海賊ごっこは終わりにしたんだ! ここで命を張れなきゃあ、ここで戦わなきゃあ、全力で戦わなきゃあ……! 俺はあいつらと同じように、めェいっぱい笑えなくなっちまうんだ!
しかし、ウソップの意思に反して、怯え竦んだ身体は動かない。ウソップの決意に反し、恐れ慄いた身体は応えない。
ちくしょう。ウソップの双眸から滴が溢れた刹那。
クロオビがハチに歩み寄り、右拳を高々と振り上げる。
「死ね……裏切り者……ッ!」
「クロオビ……」自分を本気で殺そうとする幼馴染を見つめ、諦念の涙を滲ませるハチ。
「!? させるか、テメェッ!!」
サンジがハチを救うべく駆ける。当然、冷徹無比なチュウはその隙を見逃さない。
「百発。水。鉄砲」
徹甲弾並みの初速と貫徹力を誇る水弾の嵐が掃射され、サンジの身体を捉える。
「ぐっ!! ぅおおおおおっ!!」
身体のあちこちから血飛沫が飛び、削がれた着衣と肉が舞う。それでも、サンジは止まらずに駆け抜け、クロオビの振り下ろした拳を蹴り除ける。
蹴り上げられた右腕のびりびりと痺れる感覚に警戒を抱き、クロオビは一旦距離を取った。
「……すまねえ、すまねえ、サンジ」
ハチは一対の両手で顔を覆う。指の隙間から、血に混じって涙が流れていく。
「クロオビはまるで別人だ……俺の言葉がまったく届かねえ。だけど、俺にはあいつを……すまねえ、本当にすまねえ」
サンジはふらつきながら傍らのハチを一瞥し、
「良いんだ、ハチ。後は俺に任せとけ」
懐から取り出した煙草を血塗れの手で摘まみ、血塗れの口にくわえた。煙草は血を吸って真っ赤に濡れていたが、無理やり火を点す。
血でシケった煙草を燻らせ、サンジは双眸を限界まで吊り上げ、クロオビを睨む。
「俺はハチほど優しくねェぞ。幼馴染を平然と殺そうとする奴に手加減なんてしねェ。俺のダチを血達磨にしやがって……ミンチにしてやるぜ、クソヤロー」
「二対一。俺達。勝つ?」せせら笑うチュウ。
「二対二だ、サカナヤロー」
サンジは大きく煙を吐き出し、にやり。
「立てよ、キャプテン・ウソップ。休憩は充分だろ」
ウソップの心に火が点った。
信頼のこもった声に。立つと信じて一切疑わない声に。仲間と認めている声に。
今まで自分の意思に一切応えなかった情けない身体へ、心の熱が巡る。背骨に力が入る。指先が動く。手が動く。爪先が動く。膝が動く。腕が動いて。足が動いて。
ウソップは立ち上がり、目元を乱暴に擦って、サンジに強張った笑みを向けて怒鳴る。
「……待たせたな、サンジッ! 二日酔いがようやく抜けたぜッ!! キャプテン・ウソップ、リフレッシュ完了だッ!!」
「まったく、難儀な野郎だ」サンジは楽しげに笑う。
「死に損ない……共が……」
「忌々。長鼻。殺す」
クロオビとチュウがそれぞれ相手を変え、戦いは第二ラウンドへ。
「あっちは盛り上がってんな。こっちも負けてられねェや」
ルフィは片膝をつき、肩で息をついていた。
体のあちこちに出来た傷から、ぽたぽたと幾粒も血が垂れ落ちている。こめかみを伝う血を拭いながら、隣で刀を杖代わりにしているゾロを見て笑う。
「ははは。ヒッデェな、ゾロ。ボロボロじゃねーか」
「そっちこそ。ボロタイヤみてーだぞ、ゴム人間」
鷹の目に斬られた傷口が開き、胸元を真っ赤に染めたゾロが笑い返す。
「下等生物ガ……シブてェな」
アーロンは潰れた左目から血を流しつつ、劣勢にあっても笑顔を浮かべる若造2人に激しく苛立つ。
ルフィ達は2人掛かりでもアーロンに圧倒されていた。
2人の連携はお世辞にも巧みとは言えなかったが、そんなことを差し引いても、アーロンの改造された身体は凄まじかった。ルフィの打撃にビクともせず、ゾロの斬撃を容易く避ける。打ち身一つ出来ることなく、薄皮一枚裂かれていない。
その一方で、アーロンもまたルフィ達を仕留めきれない。
どれだけ攻撃を食らわせても、痛めつけても、傷を負わせても、命を奪いきれない。どれほど力の差を味わわせても心を折れない。まさに不撓不屈。
「どーする? ルフィ。この鮫野郎は思ってた以上に頑丈だぞ」
ゾロの問いかけに、ルフィは立ち上がって太陽のように笑う。
「全力で思いっきりぶっ飛ばす」
「それが通じなくてズタボロにされてんだろーが。でもまあ、このままやっても先が知れてるか」
ゾロは凶猛に口端を歪め、三刀を構えた。
「残りの体力、全部絞り出して大技を出す。後のことは知らねェ。任せる」
「おう」ルフィは拳を打ち合わせる。「任された」
「テメェら劣等生物が何ヲシようと無駄だ……っ! 至高の種族タる魚人の俺ニ通じヤシねェッ! テメェらはこコデ無意味にくタバルんだっ!」
アーロンは隻眼で心底忌々しげにルフィとゾロを睨み据え、体躯を疾駆させる。
「いい加減、死にやガれッ! 下等種族ッ!!」
〇
コヨミは狙撃兵のように瓦礫の山に身を隠し、死闘を撮影し続けていた。
あの魚人達、ミホークさんに殺されないだけのことはありますね。相当なもんです。
でも、とコヨミは手早くカメラのフィルムを交換しながら思う。
あの子達はそんな魚人達を相手に、苦戦しながらも食らいついてる。昨日今日海に出たばかりの超ド新米海賊達が。
や、ただのド新米じゃないか。
能力者で“英雄”ガープの孫で“赤髪”シャンクスとウタさんの縁者。
世界最強の剣士が認めた青年剣士。
赫足ゼフの弟子である戦う少年コック。
赤髪海賊団幹部の息子。
この場に居ない美少女航海士にしても、あの“血浴”が手を貸す価値を見出していた。
粒ぞろいだ。
「……彼らにとって、これは試金石ですね」
この戦いに勝利することが出来たなら、彼らはグランドライン入りするだけの力を持つ証明になるだろう。逆に言えば、あの魚人達を倒せないようなら、グランドライン入りしたところで、他者の餌になるだけだ。
「新たな萌芽を目撃するか、若者達の夢が破れる様を目にするか……ゾクゾクしてきましたよ」
コヨミは狐のような笑みを浮かべ、カメラを構え直す。
戦いはいよいよ佳境を迎えようとしていた。
Tips
多キャラの戦闘描写。
字数が膨らんでしまう。今後は描写を絞るか、それとも、書くだけ書いてしまうか。悩みどころ。
ルフィ・ゾロVSアーロン
タイマン決闘はせず。
ハチ
根がお人好しの彼には、狂気に堕ちたとはいえ幼馴染をツブせないと思う。
サンジ。
なんか美味しい役どころになってる。
ウソップ。
無我夢中だった故郷の戦いと違い、今回こそ”本当の”初陣。なのに、相手はガチ勢。
戦い慣れしてない彼がビビっても仕方ないという解釈。
ナミ。
善意の行動がとんでもない事態を招いてしまい、巡り巡ってアーロンにブチギレ。
ゲンさん、ノジコ、ココヤシ村の皆さん。
原作でも意外と血の気が多い人達。
ナミの無自覚な曇り行為が過ぎて、ついに爆発した。
コヨミ。
平常運転。
ベアトリーゼ。
彼女が何をしているか、もとい、何をやらかしたかは次回。