彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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書き溜めが尽きました。


9:登れ登れとにかく登れ

 轟音。轟音。轟音。

 言語表記不可能なほどの、大轟音。

 

 巨岩が砕け、大小様々な岩石の雨が降り注ぎ、ベアトリーゼの能力で正気を失っていた海賊や奴隷達が叩き潰され、落着衝撃波で吹き飛ばされ、遺跡が次々と倒壊していく。

 そして、莫大な土砂の垂直落下式大津波が地下空間へ流れ込み、飲み込んだ海賊と奴隷を磨り潰し、地下遺跡群を埋め潰していく。

 まさしくカタストロフィ。

 

 その圧倒的な質量の大激流の中で、

「――――――――――――――――――――――――っ!!!」

 勇気を絞り出すように叫び、半ベソを掻くベアトリーゼが崩落口から地表を目指していた。瓦礫や崩壊口の壁面を足場に跳躍し、岩石の雨と土砂の大津波を覇気と異能の拳骨で強引にこじ開ける。

 

 そのベアトリーゼの背中にハナハナの実を駆使したニコ・ロビンが“6本腕”でしがみ付いていた。

「――――――――――――――――――――――――ッ!!」

 ロビンもロビンでその端正な顔から普段の冷静沈着さが完全に失われていた。ヘッドギアに覆われた細面は涙と鼻水と冷や汗塗れ。

 

 美女2人が美貌を台無しにして言葉にならぬ絶叫を挙げる様は、なんとも言えぬ気分を掻き立てるが、まあ、仕方ないと言えば仕方ない。

 なんせ、降り注ぐ莫大な土砂を掻き分け、土石流の隙間を潜って崩落口から地上へ出ようというのだ。無理無茶無謀どころではない。狂気の大博奕。あるいはダイナミックな自殺に等しい。僅かでもまともな頭なら、冷静でいられるわけがない。

 

 業務用冷蔵庫サイズの大岩が迫り、ベアトリーゼが『邪魔っ!!』と殴り砕く。も、大岩の陰からラグビーボール大の岩石が流星群の如く襲い掛かった。

 連打を放って岩石の豪雨を払い除けようとするも、物量差に手が追いつかない。

 

「ビーゼ、危ないっ!!」

「ギャッ!?」

 がっ! と岩の一つがベアトリーゼの頭を直撃し、色気のない悲鳴が漏れる。咄嗟に武装色の覇気で頭部を守ったが、跳躍中の着弾衝撃までは抑え込めない。姿勢が崩れて重力に足首を掴まれる。

 

 そこへ降り注ぐ土砂の壮絶な奔流。

「あ」

 ――呑まれる。

 ベアトリーゼが如何に覇気使いだろうと悪魔の実の能力だろうと、数千万トンに達するだろう土石流をどうこうできない。

 

「ピエルナフルールッ!!」

 刹那、ロビンが落下中の岩に“足を生やし”、ベアトリーゼと自身を蹴り飛ばして土石流の軌道から脱出。

 

 蹴り飛ばされた2人は壁面にぽっかりと開いていた洞窟の横穴へ転がり込む。

 間一髪、土石流から逃れたベアトリーゼは冷や汗と涙と鼻水塗れの顔をロビンへ向け、

「無事っ!?」

「ええ、無事よっ!!」

 周囲の轟音に負けじとロビンも怒鳴り返す。

「これ以上は無理よっ!! 崩落口からは登れないっ!! 危険すぎるっ!!」

 

「だけど、この横穴は進めないし、ここには留まれないっ! いつ崩れるか分からないんだっ!!」

 ベアトリーゼはいつものアンニュイ顔を明後日へ投げ出し、眉目を吊り上げてロビンへがなった。

「再アタックするっ!! 早く掴まってっ!!」

 

「ビーゼっ! 貴女、イカレてるわっ!」とロビンが涙声で罵倒する。

「知ってるっ!!」

 ははは、とベアトリーゼは泣き笑い顔を返し、

「ふんぬらばぁっ!!」

 乙女らしからぬ雄叫びを挙げて壁面を思いきり蹴りつけ、横穴の縁から再跳躍。

 

「こんなところで死んでたまっかいっ!!」

 砂漠ドクトカゲの如きしぶとさを発揮し、ベアトリーゼは涙に濡れた夜色の双眸をギラギラと輝かせ、ロビンと共に地上を目指してひたすら登り続ける。

 

 

 

 天井の巨岩が崩落し、大量の岩石と莫大な土砂が地下空間の地面――遺跡群が並ぶ目抜き通りを直撃した。

 その圧倒的な衝撃と暴圧、重量が地下空間の地面をずどんと押し抜く。

 

 語り継ぐ者が失われていたため、誰も知らなかった。冒険家ハッチャーも知らなかった。

 この遺跡の地下に広大な下水路と冠水防止の貯水機構が敷かれており、巨岩が天井となって土砂の流入を防いでいたため、無傷で残っていたことを。

 結果、天井の崩落は第二の崩落――地下遺跡の目抜き通り大陥没を招く。

 

 当然ながら、この二重大崩落は地表にも影響を与える。

 落雷のような轟音と地響きが生じた刹那、ずどっと労働キャンプに直径十数メートルの大穴が開く。

 

 さながら活火山が噴火したような粉塵の大噴出と地震に、

「な、何だあ―――――っ!?」

 ヌーク兄弟の弟にして副船長ペップが思わずポージングも忘れて驚愕した。

「に、逃げろーっ!! 穴から逃げろっ!! 飲み込まれっちまうぞーっ!!」

 海賊や奴隷の悲鳴が響き渡り、キャンプは大騒ぎになった。

 

 

 

 そして―――

 

 

 

「下の奴らが発掘作業で下手打ったンすかね……?」

「分からん。が、恐らくそーだろーよォ……」

 傍らの部下の問いかけに、ペップが茫然と大穴を見つめながら応じる。

 

 地上の彼らは地下で起きた戦闘を知らない。そのため、発掘作業の事故だと思っていた。崩落自体は一段落したが、それでも大穴の縁は思い出したように崩れ、直径を少しずつ広げている。

 

「離れろっ!! あぶねーぞっ!!」「ここらもヤベェな」「ああ。下手すっとここら一帯丸ごと落っこちっぞ」

 穴の周辺で様子を見ていた奴隷や海賊達がいそいそと大穴から退避していく。

 

 その様子を眺めながら、ペップは誰へともなく呟いた。

「おゥい勘弁してくれェ。この仕事にいくら注ぎ込んだと思ってンだぁ? 億単位だぞ億単位。それがお前ェ、これ、おゥい、全部パーかァ? マジでェ? ガチでェ?」

 

「あの、ペップ様。船長やジューコ甲板長達の、下にいた連中の救助をしねーと……」

 部下がおずおずと提言すれば、

「救助……ああ、うん、そーだなそーだ、助けねーとな」

 ペップは大きな溜息を吐き、大きな手でがりがりと髪を掻きむしる。

「兄貴はシュワシュワの実を食った炭酸水人間だ。いざとなりゃあ“奥の手”を使って這いあがってくるだろーよォ。ジューコもタフな女だ。なんとか生き残ってンだろ。他の連中は……まあ、三分の一くれェ生き残ってりゃあ上等だろーなァ」

 

 人員の補充費で大赤字だぜェ、とペップは毒づきつつ、

「地下に降りる救助隊を編成しろォ。それと崩落の危険を考慮して立ち入り禁止区域を設定すっぞ。おら、ちゃきちゃき働けっ!!」

「へいっ!! おら、お前らいつまで呆けてやがるっ! 仕事だっ!!」

 周囲に命令を飛ばす部下を横目にもう一度溜息を吐き、小声で呟く。

「……たとえくたばってても、天竜人なんかに関わるもんじゃねェなァ……」

 

       ○

 

 崩落口の底。頭上の崩落口から陽光が注ぎ、宙を漂う大量の粉塵がきらきらと輝いている。時折、がらがらと岩石や土砂が降ってくるが、概ね崩落は落ち着いていた。

 

 地下空間にいた者達の多くは莫大な瓦礫と土砂に呑まれて生き埋めになったが、ペップが予想した通り、3分の1程度は奇跡的に生き延びていた。

 まあ、その生き残っていた奴らも五体無事な者は一人もいない。骨折やらなんやらでズタボロのボロ雑巾状態だ。

 

 ずぞりずぞり、と瓦礫と土砂の隙間からでろでろの液体が染み出し、その液体は徐々に人の形を成した。

「フォ―――――――――――――――――ッ!!」

 ボロボロのケツの穴みたいな有様のコッカが怒号を発する。3メートルの背丈は変わらないが、300キロあった隆々たる体躯は見る影もなくガリガリに痩せ衰えていた。

 

 シュワシュワの実を食べた炭酸水人間であるコッカは、その肉体を液状化させることも可能であり、本来なら打撃銃撃斬撃などが通じない。ただし、覇気をまとった攻撃は例外で、ベアトリーゼの強力無比な一撃をまともに食らってしまった。挙句は大量の土砂に飲み込まれ、生き埋め。

 朦朧とする意識の中、咄嗟に体を液状化させなかったら、今頃はばらばらに磨り潰されて大地の養分になっていただろう。

 もっとも、液状化したことで周囲の土砂に水分をガンガン吸収されていき、危うく大地のシミになるところだった。なんとか這い出たものの、このようにすっかり体が痩せ細ってしまった。

 

 それでも、

「あの、腐れクソスベタ……よくも、よくも俺のビジネスを台無しにしゃあがったな――――――――――――――――っ!!」

 それでも、コッカは元気いっぱいだ。周囲の惨状を見回し、再び怒号を挙げた。

 

「ヤモォ……」

 と、そこへ壁面の割れ目から、傷だらけのデカいヤモリがにょろにょろ這い出してきた。

 

 ヤモリ頭のエロボディ女ジューコの獣形態だ。

「あやうく死ぬところだったヤモ……」

 

 崩壊が始まった刹那、意識を取り戻せなかったら間違いなく死んでいただろう。不鮮明な意識のまま獣形態になって岩盤の隙間に逃げ込み、ギリギリで九死に一生を得た。

 

「オラ行くぞ、ジューコ」

 コッカはひょろひょろの身体ながらジューコを肩に担ぎ上げ、額を青筋で満たした。

「今から、あのクソスベタを追いかけてぶち殺すっ!」

 

「追いかけるって……あの大崩落ヤモ? あいつらだって生き埋めに」

「甘ェぞっ! そいつぁ激甘な考えだぞ、ジューコッ! いいか、ああいうクソスベタはなぁ、きっちりぶっ殺さねえ限り死なねェンだよっ!! だーら、今すぐあのクソスベタを追っかけてぶち殺すんだっ!!」

 鼻息を荒くし、口から泡を飛ばしてがなり飛ばすコッカに、ジューコは呆れを隠せない。 

「船長……元気過ぎるヤモ……ほんとに人間ヤモ?」

 

「セイセイセイセイセーイッ! やられっぱなしで済ませられっかっ! たとえ死にかけてようが、きっちりやり返すンだっ!!」

 怒気を露わにしてふらふらと歩き出すコッカに、ジューコは呆れと敬意を新たにした。

 

      ○

 

 ベアトリーゼとロビンは大穴から少しばかり離れた物陰で、並んで体育座りをし、どこか呆けた面持ちで太陽を眺めていた。2人ともボロボロのデロデロで、汚れ切ったボディスーツのあちこちが擦り切れたり、裂けたりして乙女の柔肌を覗かせている。

 

 ベアトリーゼの小麦色肌の細面は涙と鼻水と汗に土砂が引っ付いて泥塗れだった。元より癖の強い夜色のミディアムヘアは半ばボンバヘッドになりかけていた。

 ロビンはヘッドギアを被っていたおかげで繊細な美貌を泥塗れにしていない。が、凄まじく疲れ切った面持ちで目の下に黒々としたクマが浮かんでいる。

 

 2人とも疲弊と消耗と致死的な危険を体験したショックで茫然自失状態だった。この場から脱出せず、物陰で体育座りをしてぼけらっと太陽を眺めるほどに。

 

 幸いなことに地上にいたヌーク兄弟海賊団は大穴の周囲200メートルを危険区域として立ち入り禁止にしていたから、じっと大人しくしている分には見つからない。

 

「ロビン」焦点の合わない目つきでベアトリーゼが呼びかける。

「なに、ビーゼ」とロビンも茫然としたまま機械的に応じる。

「生きてるって素晴らしいね」

 

 ベアトリーゼがぼけっとしたまま発した内容に、ロビンは我に返った。

「元はと言えば、ビーゼがやり過ぎたせいでしょっ!」

 ロビンは眉目を吊り上げ、ベアトリーゼの頬をつねる。

 

「痛いっ!」

 頬をつねられた痛みで意識が復活し、ベアトリーゼは唇を尖らせた。

「やり過ぎたのは認めるけど、あいつら手抜きできるほど弱くなかったんだよ」

 

「100歩譲ってそれは認めても……普通、落ちてくる土石流の中を登る? きちがい沙汰にも程があるわ」

 端正な顔を険しくして詰め寄るロビンに、ベアトリーゼは眉を大きく下げて唸る。こりゃ不味い、お説教モードだ。

「でも、土石流が止むの待ってたら生き埋めだったし、坑道の方じゃ崩れた時に逃げ道がないよ。確かに無茶で無謀だったけど、やるしかなかったんだって」

 

「……」

 ロビンはジトッとした目つきでベアトリーゼをしばし睥睨し、大きく息を吐いた。

「ここを脱出し終えたら、きっちり反省会をするから。いいわね、ビーゼ」

 

「一生懸命頑張っただけなのに……」と肩を落とすベアトリーゼ。

「それで、脱出のアイデアは?」

 後ろ腰から水筒を取り出し、ロビンは一口呷ってからベアトリーゼに渡した。

 

「夜を待って脱出しよう」

 ロビンから受け取った水筒を傾け、ベアトリーゼは疲れ切った吐息をこぼす。

「地上に残ってる連中の頭数は多くない。夜闇に紛れれば問題なくここから抜け出せる。それに」

 

「それに?」

「少し休みたい。覇気を使いすぎた」

 覇気は強力だが、比例して体力と気力も消耗する。戦闘と土石流の強行突破でベアトリーゼの体力気力はすっからかん。

「ちょっと休ませて……」

 言い終えるが早いか、ベアトリーゼはこてんと体を倒し、すぐさま寝息を立て始めた。

 

 やれやれと言いたげに小さく嘆息し、ロビンはベアトリーゼの頭を持ち上げ、自身の膝の上に乗せた。荒れた夜色の髪を右手で梳いて整えながら、左手でベアトリーゼの雑嚢からハッチャー日誌を取り出し、内容に目を通し始める。

 時折ベアトリーゼの寝顔へ向けられるロビンの眼差しは、慈しみに満ちていた。

 

       ○

 

 日が傾きかけた頃――

「血浴? 西の海の賞金首の? 悪魔の子ニコ・ロビンと組んでるっつーあの?」

「ああ、そうだよっ! あのクソスベタ、必ず八つ裂きにしてやるっ!!」

 なんとか地上に生還したコッカは、瘦せ細った体を元に戻そうと大量の飯を掻っ込みながら、弟へ地下の出来事を語っていた。

 

 ペップは兄の話を聞き、トライセラトップスをポージングしながら問う。

「兄貴ィ。血浴が現れたってこたーニコ・ロビンも傍にいたはずだ。姿ぁ確認したのかィ?」

 

「ん? 言われてみりゃー姿は見てねェ……な。だけどよォ、血浴はニコ・ロビンと組んでる。一緒に動いてるはずだろ?」

「多分な。兄貴ィよぉ。こりゃちと不味い事態だぜェ」

 ペップは首肯しつつフロントラットスプレッドへポーズを変更。

「政府はニコ・ロビンを血眼ンなって探し続けてる。言い換えりゃーニコ・ロビンの影があるところ、海軍がやってくるってな具合だぜェ」

 

「海軍だぁ?」コッカは食事の手を止め、弟を睨みつけて「……テッメー、海軍如きにイモ引いてんのかァ?」

「兄貴ィ、普段ならともかく、俺達ぁ今、ズタボロのケツの穴みてェな様なんだぜェ? 兄貴だって本調子じゃあねェし、ジューコなんて猫にも負けそうなザマじゃあねーか」

 いきり立つ兄を宥めるゴリマッチョな弟。

 

 痛いところを指摘され、コッカは不貞腐れるようにそっぽを向き、ガツガツと食事を再開する。反論が無かったことを是認と見做し、ペップは話を続けた。

「それに……俺らがフランマリオンの眠り姫を探してることが海軍にバレたら、不味いことになンぜェ」

 

 ペップは巨躯をずいっと兄へ寄せて射るように見据え、

「どうするよォ、兄貴ィ。このまま眠り姫を探し続けても良いぜェ。救助作業の過程で分かったンだけどよォ、どうやら眠り姫の遺跡は無事だったらしい。もうちょい頑張りゃー掘り出せなくもねェ。まあ、資金や奴隷、船員の再調達やらなんやらが必要だけどな。もちろん、ここで手を引いても悪かねェ。状況は散々だしよォ」

 質す。

「船長として決めてくれ、兄貴ィ」

 

「決めるまでもねェっ!!」

 コッカは眉目を吊り上げ、どがんと拳をテーブルに叩きつけた。皿が砕け、料理が飛び散る。憎悪に染まった目つきで、コッカは虚空を睨み据えて呪詛を吐く。

「ここで天竜人の“干物”を手に入れりゃあ、“奴ら”と取引できンだっ! そうすりゃあ、そうすりゃあよぉ……っ!! あのクソババアをぶち殺せるかもしれねェんだっ!」

「兄貴ィ……」

 

 ヌーク兄弟海賊団が生まれたのは約5年前。それ以前は兄弟の父ヌーク・ヴァージルが船長を務めるヌーク海賊団と名乗っていた。

 名を改めた理由は単純明快。船長だった父が死んだからだ。

 四皇の一角。大海賊“ビッグマム”シャーロット・リンリンに寿命を奪われて。

 

 ヌーク海賊団は大怪獣に蹂躙される木っ端モブの如く、失笑が漏れるほどあっさり捻り潰された。ビッグマムは心底くだらないものを見るような目を向け『お前らは殺す価値もねェ。オレの時間を無駄にした罰だけで許してやるよ』と宣い、その能力で父ヴァージルの寿命を奪い取って殺害。コッカとペップからもそれぞれ30年分の寿命を奪った。

 

 かくて、尾羽打ち枯らす大惨敗を喫したが、コッカは心折れなかった。それどころか、ビッグマムに対して凄まじいまでの憎悪を抱き、なんとしても殺すと誓っていた。

 

「あの化物クソババアをぶち殺すにゃあ、俺達の力だけじゃ足りねェっ! “奴ら”と渡りを付けにゃあならねェんだっ!! そのためにも、眠り姫をなんとしても見つけンだよっ!」

 コッカが再び、ドンッ! と卓に拳を叩きつけた。

 

 

 

 ――と同時に銃声が幾重もつんざき、船員や奴隷達がバタバタと斃れていく。

 

 

 

「なんじゃあっ!?」「カチコミかっ!?」

 目を丸くするコッカ。血相を変えるペップ。

 血達磨になった船員が息も絶え絶えに駆け込んできて、

「船長っ! 副船長っ! 敵襲だっ!! 奴らぁ――」

 銃声と共に頭を撃ち抜かれて崩れ落ちた。

 

 部下の頭からまき散らされた血と脳漿を浴び、コッカとペップは額に青筋を浮かべ、怒号を発する。

「上等じゃあゴルァッ!」「どこのクソだか知らねェがぶち殺したらぁっ!!」

 

 大騒ぎはまだ終わらない。




Tips
 瓦礫が落ちる中を大脱出。
 『砂ぼうず』オマージュ

 シュワシュワの実
 オリジナル悪魔の実。炭酸水を扱える。自身も炭酸水になれる。
 強力な能力だが、覇気使いには普通にぶっ飛ばされちゃうんだなあ。

 ロビン
 ベアトリーゼの無茶に振り回され気味。
 でも、お説教は欠かさない。年上のお姉さんだからネ。

 四皇”ビッグマム”シャーロット・リンリン
 ワンピース世界でも屈指の大怪獣。

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