彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
それは、もはや人に非ざる者達の戦いだった。
容貌“怪奇”な老海賊は、金髪を躍らせながら鳥の如く空を自在に飛び続け、海すら切り裂く剣閃を振るい、海上に屹立する巨骨や海水を獅子に変えて放つ。
怪物染みた頭部装具を被った女戦士は、プラズマ光を引きながら乱立する巨骨の間を飛び回り、老海賊の繰り出すアウトレンジ攻撃を軽やかにかわし、時折、高々と跳躍して奇襲を試みたり、巨骨を破砕して散弾のように放つ。
「色々見せてくれるじゃねェか、いったい何の悪魔の実を食いやがったっ!?」
「お前に教えてやる義理はねぇよ、鶏ジジイッ!」
老海賊と女戦士が躍動する度に、斬撃が飛び、海水や骨が獅子に化け、骨片の弾幕が吹き荒れる。蒼穹の果てまで届きそうな戦いの調べ。海域の端から端までつんざく破壊の音色。
およそ人間の所業とは思えない光景に、ある種の純朴さを持つ白塗り蛮族達は神々の戦いを見出す。
もっとも、戦っている当人――少なくともベアトリーゼはそんなロマンティシズムを欠片も抱いていない。
ベアトリーゼは戦い始めてすぐ、シキの強さを認めていた。
能力や覇気や戦技が、ではない。徹底的に主導権を握り続け、自分の戦術を相手に強制するシキの練達な戦い方が、だ。
現にベアトリーゼは、シキの術中へ完全に引きずり込まれている。
自身の跳躍で肉薄困難な高度から大技で一方的に叩かれており、奇襲や足場を砕いての飛礫攻撃はまるで通じない。
だから。
どこまでも純粋に金獅子のシキを殺すことだけを考え、冷静に観察し、冷徹に洞察し、冷酷に策謀していた。
肉体的な理由か覇気の強度か、不可聴域催眠音波は効果がないらしい。
しかし、シキが衝撃波に大きく体勢を崩した際、「おっと、危ねェ危ねェ! ジハハハッ!」と軽口を叩いて笑っていたが、あれこそ奴の弱点だと把握していた。
シキは空中を自在に飛び回っていても凧と大差なく、気流や気圧の影響を強く受ける。ただし、一方向からの衝撃波では対処されてしまう。突発性乱気流のようなものでなければ、奴を引きずり落とせまい。
熱プラズマで複数の気化爆発を同時に起こすか?
いや、大気成分や電磁気を振動させて周辺気象そのものを弄る方が確実か。プルプルの実の性質上、マクロ規模の環境操作はかなり厳しいが……気象が不安定な白骨海域は電位差が大きいようだ。この辺りに小規模な乱気流を生むことは可能だろう。
策は決まった。
ゆえに、ベアトリーゼは派手に骨の林間を飛び回ってシキの大技を回避し、時に乱立する巨骨を砕いて散弾のように飛ばし、時に電磁加速で高々と飛翔して奇襲を試みる。
全て見せ札。局所的乱気流を生み出すまでの時間稼ぎと偽装工作。
どれほど強くなろうとも、ベアトリーゼの本質は荒野を這いずり回っていた鼠だ。
鼠は小さな爪牙で喉笛を確実に引き裂くため、狡知を働かせ、密やかに罠を張り、血を流しながら、着実に機を図る。
獅子殺しの機を。
〇
シキは気づかない。
主導権を握り、圧倒的優位を確保したまま、一貫してアウトレンジから危なげなく技を繰り返し、削り減らすようにベアトリーゼを消耗させているから。
シキは気づかない。
大海賊ゆえの慢心。古豪ゆえの油断。何より20年に及ぶブランクは、シキの勝負勘を大きく鈍らせている。
シキは気づかない。
支配者ゆえの傲慢。圧倒的強者故の増上慢。弱者を慮らぬゆえに、弱者を顧みぬゆえに、シキは弱者の恐ろしさを失念している。
弱者はその弱さゆえに、姑息で卑劣で卑怯で狡猾に抗うということを。
ヒューマンガス・ジョーという現人神が斃れ、後継者候補たる王子達の多くが海に消え、大勢の戦士達を失った。
結果、白骨海域の蛮族――特に彼らの本陣たるビッグ・タジンポットに残るジョーや息子達の妻妾や内向き担当の幹部達が恐慌状態に陥っている、などとシキもシキの配下も想像すらしていなかった。
妻妾と幹部達は指導者亡き後の混乱と混沌を想像し、戦慄していた。
妻妾と幹部達はジョーと戦士達を殺戮した侵略者達が、自分達をどのように扱うかを想像し、恐怖していた。
妻妾と幹部達は潮風に乗って届く激烈な戦闘騒音と、生き残った戦士達の野蛮なチャントとトライバルロックに、不安と憂慮と怯懦を掻き立てられていた。
支配層に属すれど、武力を持たぬ妻妾と幹部達はその弱さから、駆り立てられる。
侵略者達を殺さねば、と。
戦場の舞台は海域の外れ。頼みの綱である重砲群の射程外だ。しかも、この一昼夜で砲弾を消耗しきっている。
そんな中、最年長の老婆――ジョーの本妻が命じる。
「今こそ奥の手を使うべし」
たった一発だけ試作された
〇
天性の
戦闘領域の大気が原子や分子のレベルで振動し、摩擦で生じた電磁気が少しずつ少しずつ蒸気を集めていることに。
きわめてミクロな領域で大気成分が振動――運動することで、戦闘領域の大気中熱分布と大気成分の密度が乱雑になり、少しずつ不安定化が進んでいたことに。
誤算もあった。
熱プラズマで海王類の骨などが焼け崩れたことで、灰燼が靄のように漂い、微細粒子が大気状態の変化を促進させている。一方で、粉塵の動きが大気の流動を可視化させてしまってもいた。
しかし、空を駆る金獅子はベアトリーゼの悪意を捉えられない。
シキとて数十年に及ぶフワフワの実の力を使い続けてきた経験と感覚から、大気状態の変化には鋭敏であったけれど、20年のブランクはあまりにも大きい。
感覚の鈍化に勘の狂い。戦闘による脳内麻薬物質の増加は集中力を高める一方、痛覚に通じる触感などを鈍らせてしまう(いわゆる興奮で痛みを感じないという奴だ)。
加えて、ベアトリーゼのプラズマ炎を使った派手な高速機動と、機甲術の流麗かつ危険な攻防に幻惑されてもいた。
そうして、ベアトリーゼが張り巡らせた悪意の糸に、シキは気づかぬまま少しずつ、確実に絡めとられている。
むろん、策を仕掛けるベアトリーゼとて、薄氷を踏むような危険を冒し続けていた。
勇名を馳せる古豪“金獅子”から絶え間なく攻撃を浴び、能力のマクロ的行使と覇気の駆使で体力と気力が加速度的に失われ。動きのキレが確実に落ちている。
タイトな潜水服はあちこち裂けたり破けたりで、露出した小麦肌を汗と血が伝い、粉塵が貼りついて傷ついた肌にまだら模様を描く。疲労も濃い。ダマスカスブレードを装着した両腕が酷く重い。体の過熱で熱中症の手前だ。集中力と緊張感は保っているが、いつ切れてもおかしくない。
策が成るのが先か。心身が限界を迎えるのが先か。
ベアトリーゼは後方三回転半ひねりして骨の礁の頭に降り立ち、バイザーを開けて大きく息を吐く。汗塗れの細面が潮騒に撫でられ、涼を感じる。礁の隙間――何かの頭蓋骨の鉢に溜まっていた濁り水を見つけ、迷わず口に運ぶ。
磯臭い濁り水は案の定、塩辛く腐っていたものの、ベアトリーゼは気にせず飲み続ける。後々、喉を塩分に焼かれて渇きが強くなるだろうが、今は水分が欲しい。
と、シキが巨骨の林冠に降り立つ。余裕の笑みを張りつかせているが、長時間の戦闘で少なからず消耗していた。老いた顔に浮かぶ疲労と上等な着物に広がる汗染みは、隠しきれない。
「歳は取りたかねェなあ。昔はどんな元気なベイビーちゃんが相手でも、朝まで余裕だったもんだが」
ジハハハと自嘲的に嗤いながら、シキは袖口から太い葉巻を取り出してマッチを擦る。もくもくと紫煙を燻らせながら、粉塵と水蒸気が漂う荒れ果てた周囲を見回した。
人智の及ばぬ激戦に巻き込まれた魚や海獣の骸が漂い、海面は血と灰燼で赤黒く濁っていた。周囲から死闘を観戦する白塗り蛮族達のチャントとトライバルロックが届く。
「ロックスの下に居た頃ぁ、こういう光景をよく見かけたもんだ。もっとも、浮かんでたのぁ海兵と仲間の死体だったけどな」
シキは遠い目をしながら言葉を紡ぐ。
「今やロックスを知る奴はほとんどいねェ。敗れた海賊の末路は大なり小なり惨めなもんだが……あれだけ暴れ回った怪物ヤローが名すら残せねェとはな」
「そんなこと“当たり前”だろ」
ベアトリーゼは磯臭い唾を吐き捨て、冷めた目でシキを見上げた。とはいえ、無駄話は歓迎だ。仕込みを成す時間を稼げる。
「世界政府と海軍。それに、お前ら海賊。クズ共が殺し合って残せる物なんてあるわけない。精々は想い出くらいだが、それもいずれ消える」
「ヒデェこと言いやがる」
くつくつと喉を鳴らし、シキは葉巻を吹かす。
「俺も老いた。世界を支配したところで、その時間はそう長くねェだろうな。俺の亡き後に世界を握った奴は、ロックスのように俺の存在をなかったことにするかもしれねェ」
「なんだ。自分の行いが無意味で無価値だって、今頃になって認識したか」
「本当に口の悪いベイビーちゃんだな。だが、俺の野望が無意味で無価値ってのは……大間違いだ」
シキは両腕を高々と伸ばし、凶猛に嗤う。
「たとえわずかな間だろうが、たとえ後に無かったことにされようが、関係ねェ。俺の魂が渇望して叫びやがるんだっ! この世界を手に入れろと! 支配しろと! 俺の血肉が求めやがるんだっ! この世界を奪えと! 全てを征服しろと! これは俺自身の全存在を懸けた挑戦だっ! 俺という男を完成させるための勝負なんだっ! 分かるか、小娘っ!」
爛々と目をぎらつかせ、猛々しく吠える威容は獅子の二つ名に相応しい。
「さっぱり」
しかし、ベアトリーゼは子犬を蹴り飛ばすように言い放つ。
「女に漢の浪漫は分からねェか」とがっくりする金獅子。
「ボケ老人の誇大妄想を理解しろなんて無理難題を言うな」
ベアトリーゼはヘルメットのバイザーを下げて構えを取る。
「いい加減うんざりだ。そろそろおっ
仕込みは済んだ。チャンスは一度。策を練り直す余力はない。金獅子も仕切り直す機会を許すまい。確実に機を捉え、確実に殺す。
「諦めの悪いベイビーちゃんだ。ま、俺もくたびれた。そろそろ幕にしよう」
シキは葉巻を投げ捨てて宙に浮かび上がり、
「とっておきを食らわせてやるっ! 死ぬんじゃねェぞ、ベイビーちゃんっ!!」
周囲に漂う灰燼を獅子の群れに変え、自らもまた、獅子が飛び掛かるように舵輪の生えた頭から高速急降下を始めた。
ここだ!
ベアトリーゼはプルプルの実を全力で全周展開。臨界に達する手前の大気を思いっきり蹴り飛ばした。
振動が原子と分子のカオス論的複雑運動をもたらし、突発的な気流の乱れを生み。
振動が原子と分子の不規則な結合と分離が招き、気圧の歪みを作り。
四方八方から強弱でたらめの突風が荒れ狂い、戦場の空に静電気が暴れ回る積乱雲を形作っていく。
「獅子威し“
突然生じた暴風の乱舞により、凧同然のシキの体勢を強く大きく崩させた。
刹那。
蛮姫の足元で熱プラズマが炸裂し、しなやかな体躯をロケットのように射出した。
音の壁を突き破りそうなほどの勢いで急上昇し、ベアトリーゼは未だ体勢を立て直しきれていないシキへ肉薄。
「
ベアトリーゼは蒼い炎雷をまとう右のダマスカスブレードを走らせた。
「舐めるんじゃねェ、小娘っ!!」
シキは激昂して獅子の如く咆哮し、その身を赤黒い稲妻に包む。
物理現象すら凌駕する濃密な覇王色の覇気に阻まれ、必殺の一撃は防がれた。が、ベアトリーゼは斬撃を弾かれた反動を利用し、くるりと宙返り。長い脚を太陽に向けたまま身を捻り込んで、左のダマスカスブレードを振るう。
武装色の覇気をまとい、蒼い炎雷を引き、さらには高周波の極超振動を持った刃が再びシキを襲う。
シキは額に青筋を浮かべながら真紅の覇気をより強く放ち、絶死の刃を防ぐ。
しかし、止まらない。蛮姫の刃が獅子の覇気を削り裂くように進み、迫っていく。
「ぐぅ……おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
覇気を絞り出すように雄叫びを上げる金獅子に、蛮姫は冷酷無比に告げる。
「死ね」
蒼穹を覆い隠す積乱雲の暴風の中で、蛮姫が空駆ける獅子の心臓目掛けて刃を押し込もうとした、間際――
〇
ビッグ・タジンポットの重砲から一発の特殊砲弾が白骨海域の空を駆け抜ける。
弾殻に数枚の安定翼を持ち、砲弾のケツに燃焼剤が仕込まれたロケットモーター付き弾頭は、通常弾の倍近い射程を誇る。もちろん超長距離射程砲撃は気象条件と星の自転の影響を強く受けてしまい、命中精度は大きく減退する。
そして、低い命中精度を補う手段は一つしかない。
砲弾自体の効力圏を大きくする。簡単に言えば……
破壊力をとにかく強く大きくすることだ。
ゼンマイ仕掛けみたいな時限信管が標定座標上空で作動。
信管の爆発で弾殻内に沸騰液体蒸散爆発現象が生じ、手作業で調合された特別製の液体燃焼剤が秒速数千メートルで広範囲に爆鳴気を拡散させ――信管の起爆から0.3秒後。
どっっっかぁああああああああああああんんんんっ!!
〇
戦術核の爆発と誤認しそうなほど特大の相転移反応が、空中で白兵戦をしていた蛮姫と金獅子を思いきり殴りつける。
爆心地から大きく離れていてなお、10を超える気圧と数百度に達する高熱圧波を叩きつけられ、蛮姫と金獅子が悲鳴を上げるが、両者の悲鳴は核爆発と誤認するほど強烈な爆発音に呑まれ、自分達すら耳に出来ない。
頭の芯から骨の髄まで貫き通す激烈な衝撃波に、ベアトリーゼもシキも三半規管を麻痺させられてしまい、平衡感覚を完全に喪失。意識も飛びかけており、2人は揃って重力に体を掴まれ、水面へ真っ逆さまに落ちていく。
その最中、シキは耳鼻目から血をこぼしながら、
「予期せぬ展開どころじゃあねェぞ、クソッタレがっ!」
悪態を吐きながら能力を再起動。体を宙に浮かべる。が、
「ぐぅううっ!?」
ベアトリーゼが作り出した乱流に翻弄されてしまう。
挙句、人為的に作られた積乱雲と高熱圧波が呼び水となったのか、白骨海域全体の気象が瞬く間に荒れ始めていく。
『シキの大親分っ!! サイクロンですっ! サイクロンが出来始めてますっ! すぐにお引きをっ!』
島船が拡声器で緊急退避を呼び掛けてきた。シキも幾筋もの雷光を煌めかせる巨大なサイクロンが生じ始めている様を己の目で確認する。
「こんなどんでん返しが起きるとはな……驚かせやがる」
数分前まで勝ち確定状態だったというのに、今やかなり切迫した状況に陥っていた。シキは出血で紅く歪んだ視界の端で、落ちていく蛮姫を捉える。
サイクロンに呑まれてはさしものシキも無事では済まない。蛮族との戦いで損傷している島船は言わずもがな。ここは退くしかない。だが――
ベイビーちゃんはズタボロだ。俺が今ここで確保しなけりゃ落ちて溺死待ったなし。
どうする。シキは思案する。
今の身体状態とこの乱流の中でベイビーちゃんを確保するこたぁ簡単じゃねェ。それに確保後、島船まで運ぶこともかなりキツい。
むう。とシキは唸る。
ベイビーちゃんは欲しい。この俺を殺しかけるほどの力だ。武力として配下に欲しい。来たる戦いの時、こいつの力がありゃあ……
シキは一秒にも満たぬ時間でリスクと損得の算盤を弾き、決断した。
「感謝しろよ、ベイビーちゃんっ!!」
能力を駆使し、シキは落ちていくベアトリーゼの許へ乱流を掻き分けるように急行し、身体を掴もうと手を伸ばした。
瞬間。
濃密な殺意を嗅ぎ取り、シキは反射的に身を仰け反らせた。
直後、顎先をカランビットがかすめ、幾つかのレンズが破損した多眼がぎらりとシキを捉える。
「善意に仇で応えやがって、このガキャアっ!! まったく育ちの悪いドラ猫だぜっ!」
顎髭を血に染めながら激憤するシキへ、ベアトリーゼは無情動に告げる。
「死ね」
殺意に純化されたベアトリーゼはこのラストチャンスに、オール・イン。精根を残らず使い果たすように駆動した。
シキの両足から繰り出された飛ぶ斬撃をかわすべく、肩口と背中と足元でプラズマを爆発させクイックブースト。超高速の右向け左回りをしながらシキの側面へ。
制動を掛けるために逆方向へプラズマ爆発。
あまりに高い加速度と荷重に感覚が置き去りにされ、血が片寄り、内臓が軋む。視界がレッドアウトし、ブラックアウトする。
シキの側面へ肉薄後、脳の放つ思考信号より速く反射神経系の電気信号が随意筋を強制稼働。自動的に最速の左拳が放たれる。
が、シキはベアトリーゼの左拳を避けてニヤリと笑った。しかして、勝利を確信した笑みはすぐに引きつる。
蛮姫は爪を立てるように鉤爪状の刃をシキの着衣へ引っかけていた。
「捕まえた」
ゾッとするほど冷たい悪意が放たれる。
「この、ガキャアッ!!」
シキは反射的に振り落とそうとするも、白兵戦技術はベアトリーゼの方が上だ。振り落とすどころか、武装色の硬化で右腕や両脚の攻撃を防ぐだけで精いっぱい。
ベアトリーゼはシキの押さえ込みに成功すると同時に、即座に体力を最後の一滴まで掻き出し、悪魔の実の能力を発動。
自身とシキの周囲の大気へ干渉し、電子と原子を脅して賺して喧嘩させてイオン化。
トドメに積乱雲の中で蠢く莫大な静電気を誘惑して、放電させれば。
「くらいやがれ」
通電性の高いイオンの道を、雷がシキ目掛けて一直線に駆けてくる。さながらレーザーのように。
「なぁっ!?」
驚愕するシキ。だが、さしもの大海賊も雷光より速くは動けない。
被雷の寸前、ベアトリーゼは気力を底まで浚って武装色の覇気で全身を覆う。
直後、レーザー染みた稲妻が獅子と蛮姫を直撃した。
シキの頭の舵輪や両足の刀から、ベアトリーゼの各部装具から、峻烈な火花が飛び散り、着衣の一部が焼け爆ぜ、2人の体に凄まじい電熱傷が走る。
次いで、稲妻の超高熱圧で膨張した大気が音速を突き破り、衝撃波となって2人を吹き飛ばした。
雷鳴が白骨海域の端々まで轟き、二匹の悪魔が落ちていく。
Tips
シキ
浮遊ミサイラー戦術と大火力引き撃ちマン戦法で一方的にボコるも、一瞬のスキを突かれてどんでん返しを食らう。
べアトリーゼ
ブレオン状態でミサイラーの相手はキツかった。最後は捨て身の自爆戦法。実質的な敗北。
特殊弾頭。
早い話、サーモバリック・ロケットモーター砲弾。完全にオーバーテクノロジーだけど……細かいことを気にしてはいけない(お願い)。
ロビンと再会まで毎日投稿で突っ走ろうとしたけど、限界っぽい。次回はちょっとお待ちを。