結構、初めての経験で驚きましたが、まだまだ連載が再開しそうにないので、短編でのんびりと待っていきたいです。
という事で、興味がある方は感想、お願いします。
幼馴染みに角が生えた
日常は、何気ない変化の連続である。
それを既に高校生である私こと、小林の何気ない結論である。
小学生から中学生に。
中学生から高校生に。
住み慣れている家からの引っ越し。
友人との別れ。
そんな、何気ない変化が絶え間なく起きている。
それが嬉しい事だろうと、悲しい事だろうと。
そんな日常が続くだろうと、呑気に考えていた。
だが、その変化は私が思っていたよりも突然起きた。
何時ものように自宅のマンションのドアを開き、隣に住んでいる幼馴染みであるルリを迎えに行く。
部活に入っていない事もあって、朝早くに学校に行く必要もないので、のんびりと待っていた。
そう、ドアの前で待っていたら。
「あっ、小林君。
おはよう」
「おはようございます。
今日は早いですね、叔母さん」
そう、ドアを開いて、最初に挨拶したのは、ルリの母親である叔母さんだった。
シングルマザーらしく、ルリの父親とは会った事はない。
「いやぁ、悪いね。
何時も迎えに来て」
「別に良いですよ。
どうせ、行く道、同じですし」
「そっ、だったらよろしく」
そう言いながら、叔母さんはそのまま仕事へ行こうとした。
「あっ、そうだ」
そう思っていると、叔母さんがふと、こちらに振り返る。
「ルリの頭に角生えているけど、特に気にしないでねぇ」
「はぁ、んっ?」
特に何も気にした様子もなく、叔母さんはさらっと言いながら、そのまま出掛けていった。
だが、先程の一言に、俺は思わず首を傾げる。
「角?」
角という単語が気になり、首を傾げる。
そうしていると、ドアの前で待つ事、10分。
「はぁ、どうしよう」
「あっ、来たか」
そうして、俺がドアの前で待っていると、その張本人が現れた。
俺の幼馴染みであるルリ。
この度、同じ高校に通う事になり、小学生の頃から続けている一緒に登校を行う人物。
だったのだが。
「なぁ、ルリ」
「なに」
「お前、何時の間に超人になったんだ?」
確かに、その頭には角が生えている。
しかも、かなり尖っている。
「私は別に超人プロレスをするつもりはないわよ」
「だったら、なんで角なんか生やしたんだ?」
「朝、起きたら、生えていた」
うんざりするように言うルリ。
その姿を見ると、本当に生えてるのかと思うぐらいだ。
しかし、実際に角がある以上、信じるしかないだろう。
「それで、これからどうするんだよ? 学校休むの?」
「いやぁ、角生えただけだから。
行くつもり」
既に登校している準備が終えているようで、制服を着ている。
「それじゃ、行くとするか」
「そうだね、ユカも待っているし」
そう言いながら、俺達はとりあえずバス停に向かう事にした。
「それで、どの角って、結局どういうの?」
「分からん。
お母さんが言うには、私、どうやら龍と人間のハーフらしい」
「ハーフ?」
いきなり突拍子もない話に、思わず聞き返す。
「そう、だから、ちょっとした事でも角生えちゃうみたい」
「ふーん、そうなんだ」
「というよりも、驚かないんだ」
「むしろ、叔母さんがドラゴンと結婚していた方が衝撃が凄いわ」
「そっちか!
いや、確かにそれはそれでびっくりだけど」
「それにしても、ルリの親父さんはどんな人なんだろ」
「さあ、会った事ないし。
というよりも、さらっとドラゴンだって言われたし」
「あぁ、朝に会った時にも、似たような反応だったわ」
「やっぱりそうなのかぁ」
意外と叔母さんは、けっこうさっぱりとした性格な為、娘の出生のカミングアウトもさっぱりしているのだろう。
「にしても、困ったなぁ」
「何が困るのよ」
「だって、ぶっちゃけ角って、生活に不便じゃない?」
「不便? なのかなぁ?」
俺の言葉に対して、ルリは疑問に思うように首を傾げる。
「だって、お前、それってヘルメットできないじゃん。
それって、原付やバイクの免許取っても、乗れないじゃん」
「いや、別に興味はないけど」
「えっ!?」
俺は思わず声を上げる。
しかし、そんな事はお構いなしというように、彼女は言葉を続ける。
「いや、そもそもバイクなんて乗らないし」
「まぁ、そこは自由だからな。
けど、電車に乗っている時に不便じゃない?
だって、こう、寝ている時にガクッとしたら」
それと共に、同時に俺達の脳裏には、ルリが電車の中で寝ている所。
そこで、ガクリっとした瞬間、思いっきり隣の人に突き刺さる光景。
「うわぁ、いやだなぁ。
それって、結構責任問題大きいよ」
それを想像したら、ルリは肩に力が入って身震いする。
「……ねぇ、手芸で、角カバーとか作れないかな?」
そう言いながら、思いっきりルリは自分の頭にある角を触る。
その様子から察するに、やはりこの角は邪魔らしい。
確かに、日常生活において、なかなか鬱陶しいものかもしれない。
特にそれが自分の意思とは関係なく生えたものであるならば尚更である。
とはいえ、俺としては少し気になることがある。
「……なぁ、ルリ」
「何よ」
「空、飛べるようになったら、俺、乗せてくれないか」
「いきなり、何を言っているんだ、この男は!」
そう、俺に向かって、突っ込んでくる。
「いや、ドラゴンと言えば、鉄板で炎を吐いたり、空を飛んだりするだろ。
だったら、空を飛べるんだったら、乗ってみたいじゃないか」
「いや、その場合だと、どうやって、私はお前をどう運べば良いんだ」
「えっ?」
それと共に、首を傾げながら
「おんぶ?」
俺はできるだろう方法を言う。
そう言うと、ルリはジト目で俺を見ながら
「女子高生におんぶされながら、空を飛ぶ男子高校生って」
「いや、でも他に方法がないだろう」
実際問題として、ルリの身長を考えると、背負うこともできないし、お姫様抱っこなんて以ての外だ。
だからと言って、肩車をするにしても、バランスを取るのが難しいと思う。
「それに、別に変なことしないだろ」
「はぁ!! そんなのっ、いきなりおんぶして、その、私の」
「私の?」
「おっおっぱいに触ったりしたら、どうするんだよ!!」
「別に」
「はぁ?」
「いや、今更、お前ので興奮するかよ」
そう、俺は今度はジト目で言う。
「はっはぁ!
何を言っているんだ貴様!!
あれか、照れ隠しか!!」
「まったくもって、本音だ」
そう、目の前で騒ぐルリに対して言う。
すると、ルリは少し顔を赤くしながら、
「そっそれはそれで、ちょっと傷つくんだけど」
「悪い悪い」
と言いつつ、軽く謝る。
そして、再び歩き出す。
その後ろでは、ぶつくさと文句を言いながらも、しっかりと後ろから着いて来ているようだ。
しばらく歩くと、バス停近くまで来ていた。
「あっ、そう言えば、はい、昼飯」
「何時もありがとう」
そう言いながら、俺から弁当箱を渡す。
ちなみに、このやり取りはいつも通りなので気にしなくていいぞ。
そうして、バス停に辿り着くと、ルリの親友であるユカの姿が見えた。
「ユカ、おはよう」
「おはよう」
「あっ、おはよう、ルリに小林君。
えっ、何その角」
そうしていると、ユカが俺達の姿を確認する。
それと共に思わず見つめた先には、ルリの頭にある角だった。
「どうしたの、その角?」
「朝、起きたら生えていた」
「それ、本当なの?」
「事実らしい」
ユカの疑問は最もだろう。
現に、僕だって半信半疑なのだから。
ただ、それが事実として受け入れざる得ない状況であることもまた確かであった。
「大丈夫なのぉ?」
「うん、まぁ」
ユカはそのままルリに尋ねていく。
それに対して、少し恥ずかしそうに頬を赤くしながら答える。
その様子を見て俺は思うところがある。
確かにルリには角がある。
しかし、その変化はただ角というだけの話ではない。
なんせ、普通の人には無いものが生えたのだ。
「それにしても、本当に生えているの?」
「うん、なんか私人間じゃないらしいよ」
「え……?」
そう、微妙な表情しながら、ゆっくりとバスの席に座っていく。
「「ふぅ」」
前の席で、2人は何時ものように並んで座る。
それと共に
「ねぇ、ドラゴンって、本当にいるの?」
「えっ、何?
いないでしょ?」
「あーいや、うん。
だよね」
そう、ユカは呆れたように言いながら、その視線はふと頭に生えている角を見る。
「えっ、もしかして、その角の話している?」
「うん、絶対嘘だと思うよね。
私も思うし、小林も同じだった」
「結構、あっさりと言ったからね、叔母さん」
「でもさ、何か実感湧くんだよね。
その角のせいかな」
そう言って、そっと自分の頭を触り始める。
「何、ルリドラゴンなの?」
「いや、私というか父親がドラゴンらしくてさ」
「えぇ? 何それ、まぁ、でも角生えているもんねぇ」
「そうなんだよねぇ」
そう会話している間に、ユカはそのままルリの頭の角に触れる。
優しく撫でている。
「へぇ、マジで生えている」
「何で、そんな触んの?」
そうして、ルリは首を傾げながら言う。
「小林君は、触ったの?」
「いや、触っていないけど」
「だったら、触ってみなよ」
「えっ?」
ユカからの提案にルリは何やら驚いている様子だ。
「そうだな、少し興味あるかも」
「へっ!?」
俺はそのままユカの言葉に従うようにルリの頭に生えている角に触れる。
最初に見た時のように、独特の硬い感触が伝わってくる。
それと同時に、不思議な感覚になる。
それは、俺にとって初めて感じるものだ。
「こっ小林?」
「んっ?」
そうして、触れていると、ルリの顔はなぜか赤くなっていた。
「どうしたんだ、ルリは?」
「あぁ、小林君って、こういう所には鈍感なんだよねぇ」
何故か、呆れ気味の表情になっているユカである。
そして、その後ろではルリは顔を赤くさせていた。
それが、学校まで辿り着くまでの間、続いた。
イルルは2人目のヒロイン?
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あり
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なし