イルルの1件が無事に解決した。
イルルに関しては、トールと相談しながら、今後は俺の所で居候する事になった。
これも俺の責任という事で、それを受け入れた訳だが。
「……でさぁ、イルルちゃんの件以来、ルリちょっと変だよね?」
休み時間。ユカがニヤニヤしながら俺の机に肘を乗せてきた。
「まぁ……確かに。なんか睨まれてるような気はする」
実際今日一日中ルリの視線が刺さるようだった。授業中もチラチラ俺の方を見てはプイッと逸らすし、廊下ですれ違えば「フンッ」と鼻を鳴らして走り去る。
「あれはどう見ても嫉妬だよー?」
「え? 誰に?」
「小林くん……やっぱり鈍感だね」
ユカが呆れたようにため息をつく。そのタイミングでルリが教室に入ってきたが、目が合った瞬間——
「フンッ!」
案の定、すぐに顔を背けた。
「ね? 明らかにおかしいでしょ?」
「いやでもさぁ……別に喧嘩した覚えもないし」
首を傾げる俺にユカが身を乗り出して囁く。
「イルルちゃんと一緒に住んでるって聞いたよ?」
「ああまあ……一応保護っていうか監視っていうか」
「そりゃ拗ねるわよルリちゃん……」
ユカがため息とともに肩を竦める。その視線が教室の隅に立つルリを指す。
「いい機会だからちゃんと話し合いなさい? 女の子を放っておくと面倒よ?」
「……了解」
渋々頷くとユカはニヤッと笑って席に戻って行った。
放課後——ルリを呼び止めたのは廊下の隅。教室はまだ騒がしいので少し離れた階段脇に移動した。
「ルリ……最近何か気になる事でもある?」
「……別にないよ」
即答だったけど顔はこっちを見ない。
「いやでもさっき睨んでたじゃん?」
「睨んでないし!」
急に声を荒げるルリ。頬が僅かに赤い。
「なんか……小林のせいだよ!」
「えっ俺のせい?」
「うん……だって……」
そこで口ごもり俯くルリ。長い黒髪が顔を隠してしまう。
「小林とイルルさんが……仲良さそうで……」
「仲良いって言われてもなぁ……保護者みたいなもんだし」
「そうじゃなくて……」
言いかけてまた黙る。しばしの沈黙。
やがて小さな声で続けた。
「だって小林……あんなに優しい顔するから……」
「俺? そんな顔してた?」
「してたよ……すごく優しくて……なんか悔しいっていうか……モヤモヤする」
「そうなのか?よく分からないけど、とにかくごめん」
「謝られても困る……」
ルリは両手をぎゅっと握りしめている。拳が震えているようにも見える。
その時ユカが遠くで「ガンバレ~♪」と茶化しながら手を振るのが見えた。
「「ユカぁ!」」
恥ずかしさで叫ぶ俺と照れたルリの声がかぶさる。
イルルは2人目のヒロイン?
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あり
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なし