「小林君って、ルリちゃんと付き合っているの?」
ルリが最近、体育祭で忙しくしている最中、その話題は急に出てきた。
教室にて、特に気にせずに弁当を食っている時に、その事を話しかけてきたのは神代さんだった。
「付き合うって、恋人って言う意味で?」
「うん!だって、校内でも結構ルリちゃんと一緒にいるからさ、気になって」
「そんなにか?」
それは、どうやら、他のクラスメイトも同じだったのか、そのまま見ていた。
だが、付き合うという言葉を言われても、俺は正直に言うと分からない。
「気になると言われてもなぁ、どちらかと言うと思考は保護者という感じが大きいからなぁ」
「いや、それは、そうなのか?」
「だって、毎日弁当を作っているし、時々晩飯も作っているからな」
「でっデートは?」
「どちらかと言うとユカと行動しているからなぁ」
「まぁ、確かに」
それと共に、俺が言った一言に対して、何人か納得したように頷く。
教室の空気が微妙にざわついた。神代さんの目が期待に輝いている。
「じゃあさ、小林君とルリちゃんってどんな関係なの?」
周りのクラスメイトも興味津々といった顔でこちらを見ている。俺は箸を止めて少し考えた。
「どんなって言われてもな、隣に住んでいる幼馴染みだし……」
「えぇっ!? 幼馴染みであの距離感!?」
「どういう距離感なんだよ……」
俺が聞くと、近くにいた女子数人が顔を見合わせた。
「例えば昼休みにいつも一緒にいることとか……」
「あと購買のパンシェアしたりするじゃない?」
「帰り道で傘を分け合うシーンを目撃した人もいるらしいよ?」
そう言われて思い返すと確かにそうかもしれない。でも……
「だって雨降ってるときに傘一つしかないのに分けないわけにもいかないだろ?」
「そこじゃない!問題はそこに至るまでの自然さだよ!」
神代さんが机をバンッと叩いた。
「トールの真似じゃないけど、もし俺とルリが付き合ってたらどうなるんだろうな」
試しに聞いてみたが、自分でも想像できない。なぜなら目の前の連中の言葉すべてが”保護者的”という枠組みを超えている気がするのだ。
(恋愛ってよくわからないもんな)
トールの暴走っぷりや姉に対するアプローチを見ているせいかもしれない。あれほど劇的な愛情表現とは対極にある生活を送っているわけで。
(あいつが他の誰かと付き合ったらショック受けるだろうな)
という勝手な妄想を巡らせていると
「はい、今日もお弁当作ってきたよ」
教室のドアからちょうどルリが顔を出した瞬間だった。
「ぎゃー!」
一斉に黄色い悲鳴が上がった。男子からは驚愕、女子からは羨望の眼差しだ。
(おかしいな……ただ弁当を運んできただけなのに……)
彼女の両手には風呂敷包みが三つ。俺と自分の分におまけでユカの分もあるということだろう。
「わざわざありがとう」
受け取った瞬間、彼女の手が震えていることに気づいた。
「どうした?寒いのか?」
「ううん……昨日夜遅くまで宿題やってたから少し眠くて……」
照れ臭そうに笑う彼女を見てクラスメイト達は息を呑んだ。「そこだ!」「王道!」などの声すら聞こえる気がする。
(あれ?何かまずいこと言った?)
結局授業開始までその質問責めは続いたものの答えなんて出てくる筈も無い。
けれど、俺の脳裏にある恋愛の例としたら。
(姉さんとトールのような感じじゃないから、別に恋愛関係じゃないだろうな)
身近にある恋愛に近い事が行っているのは、この2人しかいないので。
イルルは2人目のヒロイン?
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あり
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なし