お隣のルリドラゴン   作:ボルメテウスさん

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小林さん家の百合ドラゴン

 街から少し離れた河原。

 

 その河原で、その日、ルリはティッシュで鼻を擦り、くしゃみをしていた。

 

「はぶしっ」

 

 そうくしゃみを行う。

 

 だが、出てきたのは、普通のくしゃみ程度だった。

 

 それに対して、ルリは、少し悔しそうにしていた。

 

「ねぇ、まだ出ない?」

 

 そうしながら、ルリは思わず河原にいるもう1人の人物に聞く。

 

「がんばぁ」

 

 そう、ルリに対して答えるのは、彼女の母親である青だった。

 

「もぅ嫌だぁ」

 

「何言っているの、このまま放置する訳にはいかないでしょ」

 

 そう言いながら、青は特に気にした様子もなく、そのまま水筒を開ける。

 

「出ないに超した事はないけど、出せないとなると問題なんだって。

 

 どうするの、また爆発したら」

 

 そうしながら、ゆっくりとお茶を飲んでいく。

 

「このままじゃ、学校に行けないよ? 

 

 ちゃんと火の吐き方を覚えなさい」

 

「ん~~」

 

 そうしながら、ルリは体育座りをしながら、現状について思い悩む。

 

 角が生え、自分が半分ドラゴンだと判明してから翌日。

 

 学校でくしゃみを行うと同時に威勢の良い火炎放射を行ってしまった。

 

 だが、火炎放射はあの1度きりであり、火傷は既に回復していた。

 

 それは良かったのだが、問題は火炎放射の出し方が分からない事だった。

 

 このままでは日常生活に大きな問題になってしまう。

 

 だからこそ、こうして休みの河原で、火炎放射を出せないか練習をしていた。

 

 そんな時だった。

 

「あなたが小林さんの弟が行っていたハーフドラゴンですか」

 

「んっ?」

 

 突然、聞こえた声に、振り返ってみる。

 

 そこには金髪ツインテールのメイドが立っていた。

 

 容姿を見るだけでも、現実離れをしているが、その頭には角が生えており、スカートの下には尻尾が生えている。

 

 そんな彼女に対して

 

「おっぱいでかぁ!」

 

 それが一番に出てきた衝撃だった。

 

「いきなり失礼ですね、あなたは」

 

「あっごめんなさい。

 

 あれ、というよりも小林って」

 

「えぇ、あなたの隣に住んでいる小林弟のお姉さん。

 

 その方に仕えるトールです」

 

 そう、トールと名乗ったメイドは可愛く挨拶した。

 

「あっあははぁ、よろしくお願いします」

 

 そのあまりにもぶりっ子な態度に、ルリは若干、引いた様子で受け取る。

 

「それにしても、不思議ですねぇ。

 

 本当にドラゴンの、しかも見る限りでは結構大物ですねぇ」

 

 そう言うと共にトールはそのままルリを見つめる。

 

 これまで普通の女子高生として過ごしてきたルリにとって、いきなり目の前にいるトールに対して、驚きを隠せなかった。

 

 しかし同時にどこか冷静な部分もあり、今の自分の状況を考えれば納得できた。

 

「あの、それでトールさん。

 

 ドラゴンが炎って、どうやって、出しているんですか?」

 

「さぁ」

 

「えぇ」

 

 そのまま答えが分かると思い、期待して、ルリはトールに問いかける。

 

 しかし、出てきたのは、ただ一言の回答だった。

 

 その事にルリは呆然としてしまう。

 

「いや、私も知らないんですよね。

 

 だって、炎を吐くのなんて、結構基本的ですし」

 

 そうトールはあっさりと答えを出す。

 

 そして、そのままルリへと近づくと、彼女の顎を撫で始める。

 

「ふむふむ、ある程度はドラゴンの身体はできているようですね」

 

「うぅ」

 

 いきなりの行動に、思わず恥ずかしくなるルリ。

 

 それに対してトールは構わず、ルリの顔を触り続ける。

 

「あのぉ」

 

 その行動に、少し困った表情を浮かべながらも、彼女はトールに声をかけようとする。

 

 だが、その前にトールが言葉を続ける。

 

「まぁ、これだったら、あと少しですね」

 

「それにしても、小林君の知り合いに、こんな美人がいるとはね」

 

「美人って言われてもなぁ。

 

 私、感覚的には人間よりもドラゴンですので」

 

「まぁ、私、ドラゴンと結婚したしね」

 

 そう青の呟きに対して、トールは聞き逃さなかった。

 

「あの、それって、やはり本当ですか」

 

「えっ、うんそうだけど」

 

「でしたらぁ、その恋愛について、教えて貰えればぁ」

 

 するとトールは青に恋愛に関して聞いてきた。

 

 それと共にルリはとある事を考える。

 

「まさか、トールさんって、小林の事がっ!」

 

 その言葉と共に脳裏に思い浮かんだのは幼馴染みが盗られるのではないか。

 

「いやいや、なんで盗られるって、考えているの」

 

「盗られるって、誰をですか?」

 

 そう、トールはルリの後ろに回る。

 

「わぁ、びっくりしたぁ」

 

「まったく、さっきから聞いていれば。

 

 確かに私は小林さんの弟には興味ないので」

 

「んっ?」

 

 その言葉に疑問を覚え、首を傾げる。

 

 同時にルリは、こみ上げる感情と共に、すぐに離れた。

 

「まさかの百合かああぁぁぁ!!」

 

 同時にルリは、その感情を吐き出すように、河原に向かって、叫んだ。

 

「おおおぉ」

 

「出せたねぇ」

 

 そんなルリの火炎放射に対して、青は特に気にした様子もなくお茶を飲み。

 

 トールはそのまま拍手する。

 

「いやいや、なんで小林のお姉さんに! 

 

 えっ、どういう経緯で!?」

 

「えっ、聞きますか! 

 

 ふふっ、いやぁ、恥ずかしいですねぇ」

 

 そうトールは頬を赤くしながら言う。

 

 それに対して、ルリは呆れた様子だった。

イルルは2人目のヒロイン?

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