残念ですが女帝との契約は見送らせていただきます 作:嘆きの大平原
女帝との邂逅から半月経ったある日の事。
正真は、妹分達をこき使って集めた選抜レースの動画を観ていた。
時折動画を止めて凝視したかと思えば、キーボードを打つ。ひたすらそれを繰り返している。どのレースにも、メジロのウマ娘がターフを駆ける様が映し出されていた。
単なる覚え書き程度ではあるが、完成すれば妹分達それぞれに手渡すつもりだ。中には契約を結んだ子もいるだろうが、長所と欠点、改善点などはいくら挙げても問題にはならないだろう。これを活かすのは自分ではなく妹分とそのトレーナーである。
因みに彼が担当した妹分は、トゥインクルシリーズを無事に駆け抜け別のチームへ移籍済みだ。
特に問題があったわけではないし、むしろ問題なく三年間を乗り越えたからこその移籍である。元よりそういう約束で彼女を担当したのだから、他者が何を言った所で知らんがなの精神でスルーしている。
正真としては三年間で叩き込める物は全て詰め込んだ。後は新たな環境で、身近なライバルと鎬を削って欲しい。と言うか身近で活躍されると正直妬ましいと言うのもあるのだが。
こればかりは死んでも治らないだろうなぁと、正真自身諦めている。
自分がもう少し凡庸な人間で、彼女がメジロの至宝とまで呼ばれるに至らなければ……とも。
「とは言え……自慢の妹分で、最高の愛バなんだよねぇ」
身内贔屓込みの呟きが漏れる。
当の本人が聞けばさぞかし掛かっただろうし、自分の貞操も懸かったかも知れない。悲しいかな、メジロはどこまで行ってもメジロなのである。その血と宿命には抗えないのだ。
「俺に至っては
半月前の邂逅を思い出す。
まさか当人が自分の元を訪れるとは思わなかったが、妹分の戦歴を考えれば当然なのだが。
──史上初のトリプルティアラ制覇。更にはそれぞれのトライアルレースでも勝利している。
まぁ、正真からすれば妹分自身の才と弛まぬ努力が結実したからの事だ。己の功績は一割にも満たないと思っている。
実情はともかく、トレーナーとしての実績は順調過ぎる三年間だったのは間違いない。先輩方や理事長からも次の担当を……とせっつかれている。
「とは言えどうするか……」
所詮は新人に毛が生えた程度である。毛の生えそろった中堅どころや禿げ出したベテランには到底及ばない、と正真は自覚している。
なら適当なウマ娘を……と考えるも、今度は名バを育て上げた実績が邪魔をする。
次がどうあれ、自分がマグレだのおんぶにだっこの奇跡だの言われるのは構わない。
しかしそうなると、自慢の妹分までこき下ろされ気分なので単純に不愉快である。
「後方お兄様面を続行か、他に目を向けるか……うーん」
他のウマ娘の資料も集めてみようかと、頭を悩ませるのだった。
浦河正真:初代担当を他チームへ移籍させ、現在フリー。趣味は愛バとの併走だが諸事情により頻度は極稀れ。
初代担当バ:魔性の青鹿毛さん。未実装なのであえて名前は伏す。実装時に描写と違うイメージだったら何か嫌だったので、こういう扱いになった(あくまで個人的な気分とも言う)
本作ではURAファイナル後に「自分が出来るのはここまでなので、次のステップに進ませてやりたい」とおハナさんの所へ送り出されている。三者とも納得の上での移籍なので特に問題はないが、周囲が喧しい様子。
誰をスカウトする?
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