心を塞いだ少女と心が焼け墜ちた少年 作:まふゆに狂い始めた少年
その道に行くのならその最期まで救う方法を探し出せ。
大丈夫、俺たちの自慢の■■なんだから。
徐々にお腹の空腹虫が声を上げ始める四時間目。
「えーこの公式は○○が○○であるからとして……」
カリカリと黒板の板書と大事なところをノートに書き込みながら、俺はここ最近にあった出来事を振り返る。
まず昨日の深夜の出来事。
あれはいったい何だったのだろうか、あの人影のようなものはいつあそこに現れたのかも不明。
しかもまふゆの秘密を知っているような口ぶりで『彼女をよく理解しろ』と来たもんだ、ますます解らん。
そしてあの人影の名前、『初音ミク』とか言った存在。
朝のSTの時にこっそりと調べたところ、今流行りのヴァーチャルシンガーというもののキャラクターの一人らしい。
だが、ヴァーチャルシンガーというのは所謂人によって人工的に創られた存在。
──この世に肉体として実在する、なんて事は本来あってはならない事象の筈だ。
それと今日の朝の一件、あの少女を見た時に感じた、
あれは一体何だったのか。
遠くから冬弥と見ていたはずなのに彼女と目線が合ったような気がしたのは多分勘違いな筈が無い……
それに、あの目を、表情を何処かで見た気がしてならない。
一体彼女は何者なのかとぼんやりと考えつつノートを書いていると、生徒達には嬉しいお昼休みを告げるチャイムが響き、四限の授業が終わる。
皆張り詰めた風船が抜けたように談笑する。
「はぁぁ終わったぁ……やっと飯の時間だ」
「お前今日の昼何よ?」
「俺はカツサンド、そっちは?」
「ふっ、俺は特大ツナマヨおにぎりだッ! 重量500グラムのバズーカに驚くがいい!!」
隣の席の男子の会話が耳に入る。
カツサンドも羨ましいけどなんだよそのバズーカおにぎり、旨そうじゃねぇか。
さて、茶番を見るのはやめにしてご飯を食べようか、という時に何やら視線を感じたので顔を上げると、今日の朝見た女子生徒がいた、なんでさ。
よくよく見ると一年のスカーフ? っぽいのをつけているので同い年だろう。
わざわざ直接来るとか厄日なんか今日は?
「ええと、何か用事でしょうか?」
「うん! ちょっと聞きたいことがあってさ。今から出良いならちょっと付いてきて」
「は、はぁ……まぁいいですけど」
俺が困惑していると隣にいた冬弥がじーっとこっちを見て言う。
「……なんか悪いことでもしたのか、ナツ」
「そんなのこっちが聞きてぇ……」
俺はがっくしと項垂れながらその女子生徒に付いて行った。
「……よしっ、ここなら誰かに聞かれる心配もないね」
そのまま少女に連れられるまま付いて行くとそこはうちの学校の屋上だった、ちなみに結構高いから少し怖い。
「……それで? なんで屋上までくる必要があったんですか?」
「んー、それぐらい大事な話だから」
「そんなに大事なのは分かりましたけど、俺はまず君の名前すら知らないんだ。自己紹介ぐらい無いと困る」
正確には下の名前は
ただいきなり下の名前を呼ぶのは失礼すぎるだろうと言う観点から聞いている。
決して話すのが苦手だから定型文が必要だからと言うワケではない。
「おっと……そういえば忘れてたね、ボクは
暁山瑞希、まだ中間テストすら始まってないのに補講があると噂の少女がいると冬弥とC組の彰人から聞いていたが、こいつが……
「自己紹介感謝するよ、俺は夏人、気軽にナツと呼んでくれ」
「うん、それじゃあよろしく、ナツくん。さっそくなんだけど、『
目の前の少女、瑞希が質問してきたのは解ったが内容がいまいちピンと来ない。
「……? 、すまん。雪って一体だれの事なんだ?」
「あっ、えっとね……ボクは君の幼馴染の
アハハ……と気まずさを誤魔化すように瑞希は笑いながらそう言った。
あいつ、ちゃんと
──
まぁ気のせいだろう、と納得しようとした時、ズキリと頭の隅で何か錨のようなものが突き刺さる感覚がした。
それに、わざわざそのためだけのために俺をここまで連れ出したりするのか?
多分違う。もっと別の
「……なるほど。でも、本当にそれだけか?」
俺は意を決し、足をコンクリートの地面に踏みしめ、はっきりとした目つきで瑞希にそれを訊ねた。
「まぁーやっぱそう思うよね……お願いがあるんだ」
「
「あの子を、まふゆの
「────」
まふゆを助ける?
何をどうしたら
どうりで、家でも俺や家族に浮かべる笑顔に違和感があるわけだ。
恐らくだけど、あの人たちが原因だろう。
だからといって……
「すこし……質問いいか?」
「うん、いいよ」
「あいつは、まふゆはどういう状態だ?」
「今のまふゆは味覚が感じられないのと、痛覚も鈍ってるのと、好き嫌いとかのそう言う感覚的なのが解らなくなってる。正直、どうすればいいのか私にはよくわかんない」
つまり、今のまふゆは過度のストレスからくる防衛本能で味覚障害と痛覚の鈍化etc……が起こっていると。
こういう知識は
「なるほど。それと話は変わるがあんたとまふゆはどこで知り合ったんだ?」
俺がそう聞くと気まずそうにうっ、と言葉を漏らす。
「あー、えーその……誰にも言っちゃダメだよ?」
「言わねーよ、もしくはそういうフラグか?」
「フラグじゃないよ!? ……その前に、ナツって
ニーゴ、その言葉にはなんとなく聞き覚えがある。
ここ最近、クラスメイトの中でも話に上がる噂のグループ。
正式名は、25時、ナイトコードで。
四人で構成されたグループらしいが正体不明……との話、まさかな。
「まぁ、噂程度にはよく聞くよ。割と世間でも人気らしいし」
「そうなんだ……もし、そのグループにボクと雪が入ってるって言ったら?」
「……マジで?」
「マジのマジ!」
「Oh……真相はここにあったかぁ」
なんてこった、冗談がマジになるなんてあるんだな、と思っていると瑞希が話を続ける。
「それでお願いがあるんだけどさ、ボクたちのお手伝いさんになってもらいたいんだ」
君の知らないまふゆが見れるかもしれないよ?とからかう瑞希。
本当ならここで拒否すればそれで安泰なはずだ、でもそれは正しい選択なのか?
うだうだと迷っていると。
――――
誰の声か解らないけど、無性に腹が立つ声が俺をあざけ嗤った気がした。
……うるせぇ。
救えるはずの命を見捨てるのか?
……うるせぇッ。
逃げるのか、
うるせぇッ!!やってやるよ!!
そんなに言うんだったらやってやるさ、
「……分かった。引き受けるよ、ただし、俺はそんなに音楽の才能はないからそういうのには期待するなよ?」
「ぜんぜん大丈夫だよ!それより、そろそろご飯食べよっか」
「ぜんぜん脈絡なく言うなぁ……そうしようか」
俺と瑞希は青空が見える屋上の下で昼飯の焼きそばパンをモグモグと頬張ることにした。
更新したいのよりこっちの方が筆が進むのつらいんご……
と言うワケで三話目です。
瑞希が登場しましたね、これから彼はどんな風に巻き込まれるのかお楽しみに。
それと、今のうちはこのペースでも影響はないですが来年はリアル事情で恐らく執筆の時間が取れる気がしないっすね()
なので今年のうちに完結できるといいなぁ…
と言うワケで次回までゆっくりお待ちくださいませ~