心を塞いだ少女と心が焼け墜ちた少年 作:まふゆに狂い始めた少年
瑞希に言われるがままに彼女の家に上がり込む。
すると大層豪華な装飾で飾られた玄関が俺を出迎えた、コイツの家ってもしや金持ちなんか……?
「でっけぇ……」
「へっへーん、実はボクの家は
「べっ……」
何を言われたのか一瞬理解できなかった。
なんだよ別荘て、これのどこがちょっと金持ちなんだ?
大体、別荘がある時点で大富豪だって。
「おー驚いてる驚いてる♪ 、それは兎も角、入って入って~♪」
瑞希が口元に手を添えながらニヤニヤしている、はっ倒したろうかワレ。
俺は渋々瑞希に言われるがままリビングに入ると、さっき感じたままの豪華絢爛な内装が姿を現す。
どう見ても何万もお金が飛びそうなテーブルや椅子、ソファ等が置かれており、デカデカと鎮座する60型以上はありそうなテレビを見れるようになっている。
マジでコイツの家ちょっとどころじゃないくらい大金持ちだな……
「お、お邪魔する」
少し緊張しつつ一応会釈する夏人をみた瑞希がニヨニヨと揶揄う様に笑う。
「ふっふふ、緊張しちゃってる?」
「うっせ、こんな豪華な建物と内装みて緊張しねぇわけねぇだろ」
「まーそれもそうだよねー、ボクはもう
瑞希は肩をすくめて俺に言った。
「んで? 俺をここに呼んで結局何をするんだ?」
「それはだねぇ……」
待ってましたと笑みを瑞希は浮かべながら懐のポッケからスマートフォンを取り出し、音楽アプリを立ち上げてある曲を俺に見せる。
「なんだ? 『悔やむと書いてミライ』……?」
その曲名を視界に捉えた途端にスマホから発する眩しい光に包まれた。
「やっとキミに会えるね、ナツ」
────その時、誰かの声が聞こえた気がした。
三秒か五秒経ったぐらいか。
フラッシュバンを炊かれたような眩しさが漸く落ち着いてくる感覚がする。
俺が瞼を開けるとそこには何処までも続き、終わりのない無の世界が映り込む。
まるで真っ新なキャンバスをそのまま作り上げたような無機質かつ殺風景だ。
まぁいいか、これでまふゆにつながる何かが知れるならそれでいい。
「う……あ、ここは……何処だ?」
まだ少しグラグラする感覚を我慢しつつ周りをキョロキョロと見まわすと
誰だろうか、瑞希の知り合いか?
正常になりつつある頭で考えていると、すぐそばに気配を感じた。
「落ち着いた? 此処はセカイ。誰かの願いが元になってできた場所、長い間キミを待ってたよ、ナツ」
ふと声が聞こえた方を振り向くと、この前の深夜に目撃したヒトガタのシルエットがより明瞭となって現れる。
その姿は巷でもよく耳にする初音ミクの姿をしていた、正確には若干俺が知っているミクよりは髪の色素が薄いが。
ただ、あれは紛れもなく本人であると本能的に俺は理解した。
「お前、もしかしてミク……なのか?」
「うん、キミに会いたかった」
少し言葉詰まりではあるものの、ミクは無表情気味で少し嬉しそうに答えてくれた。
「……二次元上にしか存在しないと思ってたんだけどな……まさか実在するとは」
「私は、みんなの願いがあればどこにでも現れる事ができるから」
ちょっとだけえっへんとした感じでミクが言う、可愛い。
もしかしたら
だとしたら……きっと何かそれほどまでに大事なことだったのかもしれないな。
俺が口元に右手を当て、よくどこぞのちっちゃい名探偵がしてそうなポーズで考えていると、聞き覚えがある中性的な声が俺の背後の方向から聞こえてきた。
「お、いたいたー! 説明もなしに連れてきちゃってごめんねー」
振り返るとそこにはやはりと言うべきか、俺をこの世界に連れ込んだ張本人の瑞希がテヘペロ顔して立ってた。
「いや、それは何となく予想してたからそれはいい」
正直あの話し方するやつはこういう事ぐらいは解り切ってたからなぁ……悪戯好きなのが顔に出てるし。
「そっかぁ、それで今ボク達がいるこの世界についてなんだけど、ってミク!? 何時の間にナツと話してたの!?」
「ついさっき、それより奏と絵名達に説明とかしたの?」
ミクにそう聞かれた瑞希はハッとした表情を見せたと思えば冷や汗をダラダラと流し始めた、おいまさか。
「瑞希……まさかとは思うがお前、何も言ってないとか抜かさないよな?」
「あ、アハハ……その通りです……」
「何やってんだお前ぇぇぇぇ!!」
「ぎにゃあぁぁぁぁ!!?」
俺はその場で瑞希に拳骨をお見舞いした、これはオレ、ワルクナイ。
「それで? こっからどう説明するんですか?」
「ハイ……えななんは今の時間は学校だから今日は無理だから、Kは多分今なら起きてるはずだから今から読んで説明するね。雪は……最後にしておこうか」
「おう、そうしてくれると助かる」
という訳で、5分経ったぐらいにポンッと俺と瑞希の目の前にやや青みがかった白髪の少女が現れた。
まじでこのセカイとやらは何なのだろうか?
「どうしたのAmia……!? 誰、その人?」
目の前の少女が俺を見た途端にぎょっとした顔でまるで信じられないものでも見たような目で見てきたんですが。
これまたやったな?
「おい瑞希ぃ、明らかに目の前の方驚いてるが何言ったんだ?」
「え? ちょっと話したいことがあるからセカイに来てって……」
大事な話なのは間違ってねぇけどさぁ! もっとなんか言うべきことあるだろい!!
「それで伝わるわけないだろうが!?」
「しょうがないでしょそれしか浮かばなかったんだもん!」
俺と瑞希が言い合ってるのを少女はポカンとした顔で見つめた後、少しだけ俺たちに近づいて言った。
「ええっと……この人はAmiaの知り合いってことでいいの、かな?」
「ええとまぁそんなところだ、そこにいる
「そう、なんだ……ええと、うちのAmiaがすみません、私はK……です、ニーゴの音楽担当をやってます」
ペコペコと会社の社交辞令みたいにな挨拶は程々にして、どうアプローチしたものか。
……いっちょやってみるか。
「いえいえこちらこそ、俺は夏人って言います、気軽にナツとお呼びください。苗字はちょっと諸事情で今は戸籍上は
「あの雪がよく話してた幼馴染さん……!?よろしくお願いします」
「よろしくね、Kさん」
改めてKさんをよく見ると、何となくだが栄養が足りてない人の様な色白さがする。
音楽を創るのにはそれぐらい労力を要するのだろう。
「すごい日本語おかしい気がするのはボクだけかな?」
「気にすんな、きっと気のせいだ」
「たぶんそこまで変じゃない、と思うよ?」
そんなこんなでK……宵崎さんとの挨拶はどうにかなった訳だが、残りの二人にはどう説明すんだろうか。
あ、そろそろ帰んねぇとやべぇや。
「なぁ瑞……Amia、そろそろ門限やばめだから帰ろうと思うんだがどう帰ればいいんだ?」
「ああそのこと?はい、ボクにつかまっててね~♪」
「?わかっ……」
分かったと言い切る前にまた俺の視界は真っ白な眩しい光に包まれた。
待たせたなぁ!!
という訳でナツが初めてセカイに行く回でした。
えななんとまふゆにセカイで会うのは一応次回の予定です。
まふえなって……いいね(遺言)