仮面ライダーシノビ(ビルド) × 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~夢が始まり、虹が咲く場所~ 作:ラビラビfom
長めです。
スクールアイドルフェスティバルまで残り5日を切った月曜日の放課後。
直大、侑を除く同好会メンバーは青空の空の下、談笑をしていた。
そんな中、 かすみが全員に聞こえる声で問いかける。
「皆さん!この後はステージに行くんですか?」
その問に璃奈、エマ、彼方が答えた。
「うん。もう組み立て始めてるみたいだから。」
「自分のステージだから、任せっきりにしたくないよね!」
「彼方ちゃんも、今日からアルバイトお休みして頑張るよ~」
その一言を解散の合図に、果林が
「それじゃ」
それにエマが返す。
「また、明日だね」
そう言って踵を返す。
そして他のメンバーも散り散りに赴いた。
そして歩夢もそのまま歩きだそうとすると、
せつ菜に呼び止められる。
「歩夢さん。途中まで一緒に行きませんか?」
「うん…」
「本当に色々変わりましたね~。凄いですよ!同好会が復活してから間もないのに。」
「これも、ファンの皆のお陰です!」
「うん…そうだね……」
「その気持ちに応える為にも、私達はどんどん進んで行かなくてはいけませんね!」
その一言に歩夢は立ち止まってしまった。
「でも…私…」
「ん?」
ふとせつ菜は振り返ると、歩夢は追い詰められたような表情で弱音を吐き出した。
「私••••••もう••••••動けないよ••••••」
「歩夢さん……」
これから一体どうしたらいいのか、自分は何をしたいのか。
全てがよく分からなくなってしまった歩夢は、もう一歩も踏み出せなくなる。
ここから見える景色も、全て暗く色のない、虚無。
歩夢の心の中では暗いどん底にただ一人自分がポツンと立ち尽くす。
そんな暗いどん底で誰かに語り掛けるわけでもなく、ただ独り言かのように歩夢は話し始めた。
「私がスクールアイドルを始めたのは、皆の為じゃないんだ。見て欲しかったのは、たった二人だけだったの••••••」
「直大さんと侑さんですね。」
「だけど今は変わって来てて、こんな私を良いって••••••応援してくれる人が沢山居て••••••その気持ちが嬉しくて••••••大切で。」
胸に抱き締めた鞄へ意図せず 込める力が強くなる。
「今は私の大好きな相手が、侑ちゃんや直くんだけじゃなくなってきて••••••本当は私も離れて行ってる気がするの••••••でも••••••」
そんな歩夢にせつ菜は何を感じ、何を思ったのか。
「私も我慢しようとしていました。」
「え?」
「大好きな気持ち。でも、結局やめられないんですよね。」
「っ!?」
今、歩夢の心の中の暗いどん底に一筋の光が灯された。
せつ菜は右手の拳を握り、その拳を歩夢に向かって突き出すと、最高の笑顔で告げる。
「始まったのなら!貫くのみです!」
そよ風が吹き、2人の髪が小さく揺れる。
すると、歩夢から見えるもの全てに色が蘇った。
ふつふつと歩夢の心が湧き上がり、燃え上がる。
止めちゃいけない……
我慢しちゃいけない……
「そうだね!」
すると、歩夢はせつ菜の掲げる拳に自身の拳を合わせ
「ありがとう!」
歩夢は走り出す。
閉ざした蕾は、花開き、舞い上がる。
一歩、また一歩と踏み出す。
もう歩夢は止まらない。
※※※※※※
一方
夢の大橋から先へある夢の広場、そこに歩夢のステージがある。
その場所で俺と侑、歩夢のファンの3人と一緒に最後の仕上げをしていた。
「よし、これで!」
最後の最後にピンクのリボンを装飾すると、ついにステージが完成する。
「完成したなぁ……」
「うん。」
ガーデンに植えられている高めの植木にリボンや装飾テープが1本1本残らず装飾されていた。
自然を活かしたこのステージはフラワーロードの名に相応しかった。
そんなステージを見惚れてる中、今日子が質問する。
「あの、新曲って完成したんですか?」
「勿論、だからここにいるわけだし」
「流石は天才ってところだね」
「…そうかもな。」
「あれぇ? いつもは否定しているのに…」
いつもと対応が違う俺に困惑する侑。
「今だけはそう名乗るって決めたんだよ」
「えぇ~何それ…何かキモい…」
「キモイってなんだよ……全っ然キモくないからな!」
「はいはい」
と適当にあしらう侑であった。
やっぱ俺の扱い雑だよなぁ……
まあ、いいや…
さて、気を取り直して、このステージに歩夢を案内しなきゃな。
と思っていたその時。
夢の大橋を渡り、こちらへ走ってくる歩夢の姿が見えた。
「ハァ!ハァ!ハァ!」タッタッタッ
それに気づいた侑は歩夢の元へ向かう。
「歩夢!」
「侑ちゃん!」
「よかった!来てくれたんだね!」
「…あのね侑ちゃん…私…」
何か言おうとしていた歩夢であったが、
「出来たよ!歩夢のステージ!」
「え?」
侑は困惑している歩夢の手を取り、ステージの近くまで連れてくる。
「お、来たか」
「直くん?」
「俺じゃなくて、前見てみなって。」
「え、………わぁ~~~!!」
歩夢は言われた通り前を見ると、そのステージの華やかさに見惚れるように声を漏らす。
「皆で作ったフラワーロード、私と直大は相談されただけなんだけどね。」
「相談されただけじゃないだろ?侑もこのステージ作るのに手伝ってたじゃん。」
「え、そうなの?」
「ちょっとそれ!秘密にしてって言ったじゃん!」
「さぁ…なんの事かなぁ~」
「もお~。直大のバカ!!」
「バカ!?!? おい、知ってるか? バカって言った方がバカなんだぞ。」
そんな俺の返しに侑は呆れながら。
「はぁ…直大はまだまだ子供だねぇ~」
「まだ子供なんですが!!」
「ふふっ」
そんな俺たちのやり取りに歩夢は笑った。
「やっと笑ったな。歩夢」
「え、」
「最近歩夢の笑う顔見てなかったからさ。やっぱり笑顔が1番だよ。ほんとに…」
「うんうん。特に歩夢の笑顔はとびきりだよねぇ~」
そんな侑の発言に同調する歩夢のファンたち。
「そう…かな?」
そこに今日子が
「はい!歩夢ちゃんの笑顔は最高です!そんな笑顔が見たくて 皆で1つ1つ、気持ちを込めて作りました!」
「皆で1つ1つ…」
歩夢は放心状態になりながら呟く。
「歩夢のイメージにピッタリだしねぇ。花言葉だってあるんだよ?」
侑の発言に疑問を浮かべる歩夢。
「花言葉?」
そんな疑問に歩夢のファンである女子生徒たちがある花を手に持ち
「黄色いガーベラの花言葉は••••••『愛』••••••これが私達の気持ちです!」
そこには、歩夢への大好きだという好意、そして愛情が込められている。
そんな3人の表情は、それらの想いを歩夢へ惜しみなく さらけ出す。
と傍から見てる俺でも感じ取れた。
「こんな••••••私の為に••••••」
今の歩夢はきっと、自己評価を下げて、自身を卑下にし、こんな自分に何故ここまでしているのだと思っているのかも。
「あんま、こんなとか言わない方がいいぞ。まあ俺が言えたことでもないんだが」
「え、」
「そうだよ。歩夢はこんな、じゃない。」
侑の言葉に今日子たちも続く。
「可愛くて!純粋で!」
「いつも頑張っていて!」
「私達は、そんな歩夢ちゃんが大好きなんです!」
「大好き……」
おそらく、彼女たちは歩夢自身も知らない魅力を知っているのだろう。
すげーよ ほんとにさ。
ファンをも巻き込み、笑顔を咲かせるぐらいに。
「歩夢、はいこれ。」
侑は自分で選んだ発色のよいピンク色の花を歩夢に贈る。
「これは……」
「ローダンセ…花言葉は…『変わらぬ想い』。」
「それだけは変わらないってこと。」
「侑ちゃん…」
「じゃあ次は直大!」
「え、直くんもあるの?」
「いや、俺は侑ほど花言葉ってのはよく分からないし。そんなロマンチストなやり方が似合うタイプでもない。だから俺が出来ることを俺のやり方で歩夢に贈る。」
俺は、歩夢に新曲の作詞が書かれたノートとその音源を渡した。
「! 新曲…私の……」
「ああ。俺の伝えたい想い、歩夢の想いを歌詞に載せて作った。」
「聞いてみていい?」
「勿論!」
……………………
伝わってくる。直くんの伝えたい想いが
たとえ、別々の道に進んだとしても、想いは変わらない
どんなに離れていたって想いは繋がっている
もう…ズルいよ…直くんも…侑ちゃんも…ほんとにほんとに……
•••もう我慢の限界
決壊寸前の涙を滲ませながら、高ぶる気持ちのままに私は2人に抱き付いた。
☼☼☼☼☼☼☼☼☼☼
「「歩夢!?」」
突然、歩夢に抱きつかれて俺も侑も驚く。
だが、その様子見ている者が3人。
「「「ああーーー!!?ずるいー!!!」」」
え、ずるい? なんか思ってた反応と違う。
それを聞いた歩夢が残りの3人を抱き締める。
うん。というか何この状況!?
なんか色々と良い匂いが漂うんですけどぉ!?
不味い、この状況は非常にまずい!
は、早く離してくれぇ~い。歩夢さーん!
そんな念を送っていると、
「皆…大好き!」
無事、歩夢の心が花開き、晴らすことが出来た。
ほんと…よかった……
────────────────
「もう、すっかり夜だな」
「だねぇ~」
あれから、俺たち3人は家へ帰るためにテレポートブリッジ内を歩いていた。
「それにしても、3人で一緒に帰るの久しぶりだね。」
「まあ最近は、忙しかったしな。」
「うん。ごめんね。我儘言って」
「我儘言ってる歩夢もカワイイよ?」
「そうそう。てかむしろ、歩夢は遠慮し過ぎだし。もっと我儘言ってもいいんだ」
「そうかな?」
「ああ。」
そうこうしている内にバス停前に着いたその時、
きゃああああ!!!!
人の悲鳴が聞こえてくる。
「ん?」
何事だと思い、聞こえる方へ向いた瞬間 スマッシュが俺たちに向かって光弾を放とうとしていた。
「!?まずい!?」
直ぐスマッシュからの攻撃を察知した俺は2人を押すようにして、光弾を避けることに成功する。
「危ねぇ…」
俺たちが避けた光弾は停まっていた車に当たり
一瞬で複数の車が爆発。
辺りがちょっとした火の海になる。
車が焦げた匂いや火特有の独特な匂いが鼻につく。
「そうだ。侑!歩夢!大丈夫か!?」
と聞くのだが返事が無い。
「「」」
再び焦るように俺は2人の名を呼ぶのだが返事はない。
「気絶してる…」
おそらく、スマッシュからの攻撃を避ける際の衝撃で気絶したのだろう。
そう思考している間にもスマッシュは俺の元へやってくる。
「仕方ない。2人を安全な所に運ばないと。」
スマッシュが近づくよりも早く、
『隠れ身の術!』
俺は忍術を使い、2人を避難させた。
「よーし。避難完了!」
「さてと行くか……ん?なんかカラフルだなぁ……」
ふとスマッシュの姿を確認すると、カラフルでどことなく、今まで戦ってきたスマッシュたちが混ぜたような姿であった。
すると、スマッシュが星の形をした光弾を飛ばす。
「うわ!?急に攻撃してくんなよ!」
でもこれで確信した。このスマッシュは今まで戦ったスマッシュの能力が使える。言わばてんこ盛りの全部乗せ。
「まあどんなスマッシュだろうが俺が止める」
そう言って俺はビルドドライバーを取り出し、腰に巻く。
ホルダーから2本のボトルを取り出すと、ふと思い出す。
「にしても、前にもあったシチュエーションだな。」
思い出すのは、新世界となってから初めて仮面ライダーに変身したあの夜の事。
思えば、あれからスクールアイドルの事、仮面ライダーとしての戦いも全てあの夜から始まった。
あの頃よりも、背負うべきものも守るべき夢も増えた。
だから…
「俺が……皆の夢を…守る!」
軽くボトルを振り、スロットへセット。
待機音が鳴り、ボルテックレバーを回す。
ビルドドライバーからスナップライドビルダーが展開され、ニンジャハーフボディとコミックハーフボディが形成。
俺は忍者のような韻のポーズを右手で取りながら右腕と左腕を十字にクロス、 そして
「変身 !」
「さぁてと、ショウ・タイムに 行かしてもらう。」
そう宣言すると、俺はニンコマソードガンを手に持ち、走り出す。
対するスマッシュも走り出した。
「はっ!」
まず手始めに、ニンコマソードガンをスマッシュに斬り付けるのだが、 スマッシュにはあまり効いておらず、仕返しにと 太陽の熱さをニードル針に宿した、パンチ攻撃をおみまいされる。
「いってぇ!てか熱っ!」
妙にトゲが痛々しく、熱い。
というかあのスマッシュ、能力を混ぜることも出来んのかよ
厄介だなぁ……
とりあえずここは一旦距離を取るか
「ガァー!!」
スマッシュは再び、俺に殴り掛かってくるが、それをのらりくらりとなんとか避け距離をとることに成功した。
「さて距離をとったもののどうするか…」
そう思考する間にも、スマッシュは 星の形をした光弾を放つ。
「またそれか…でも…もうそれは見切ったぜ。」
俺は近くの瓦礫を吸収、再構成して 手裏剣を生成。
さらにその手裏剣に忍術を上乗せした。
『火遁の術』
「よし、名ずけて火炎烈火手裏剣!」
火を纏った巨大な手裏剣を投げ飛ばし、星の形をした光弾とぶつかり合う。
やがて、巨大な手裏剣が光弾を打ち消すと、手裏剣がスマッシュに当たる。
だがそれでもスマッシュは倒れることはなく、
「しぶといな…」
スマッシュは地面を凍らすようにし、再び俺へ攻撃を仕掛ける。
「凍らされてたまるかっての!」
俺は氷結攻撃をなんとか避けながら、スマッシュの間合いに入った。
「はっ!」
再びニンコマソードガンを斬り掛かるが、
「あれ?」
目の前にいたスマッシュが急に消え去る。
「そういえば透明になるやつもいたっけな。なら!」
俺はあの時と同じように脚部のカクレイダーシューズからスタンマキビシを取り出し、地面へばら撒く。
だがスマッシュはそのまきびしを凍らす。
「はぁ?まじか……」
俺の策が打ち消さられる。
すると、スマッシュは姿を現し、太陽と月の力を纏わせた拳で殴り掛かる。
俺は突然のことで対応出来ず、吹き飛ばされる。
「…クッ…どうする…」
スマッシュは再び透明になり、俺の視界から姿を消す。
スマッシュがどこにいるのか分からず、何も見えない。
「…なら見えるものだけを信じなければいい」
俺は棒立ちになり、目を瞑る。
そんな俺の姿を客観的に見ると諦めたように思えるだろう。
俺は神経を研ぎ澄まし、スマッシュの気配を探る。
「…………!そこだ!」
スマッシュの気配を察知した俺は、回し蹴りをするようにスマッシュを吹き飛ばす。
「さてと、戦闘を長引かせてもダレルからな…さっさと終わらせますか」
俺はニンコマソードガンのトリガーを連続で引き、忍術を発動させる。
『火遁の術!』
『水遁の術!』
『風遁の術!』
『土遁の術!』
『雷遁の術!』
俺は5つの属性の忍術をニンコマソードガンに纏わせる。
火や水といった、5色のカラーが刀身を煌めていた。
「そっちがてんこ盛りなら、こっちもてんこ盛りだ!」
そして、ニンジャボトルをソードガンのスロットにセット、
その音声と共に、スマッシュがこちらへ滑るように向かってくるが、俺はそれを迎え撃つように、剣を構える。
やがてスマッシュが至近距離まで近くなると、俺は大きく振りかぶるように必殺斬りを放つ。
「ハァァッ!!!」
〇〇〇〇〇 オール エレメント
〇〇〇『全属性斬り!!
〇〇〇〇〇ボルテックスラッシュ!』
5つの属性を纏った必殺斬りにスマッシュは耐えきれなくなり、その場で爆散した。
「ふぅ~」
いつものように成分を取ろうとしたのだが、
「あれ?成分取れないまま消滅しちまった。どういうことだ…」
「そういえばスカイもいつもなら、現れるのに来なかったな…」
そうして、俺はボトルを抜き、変身を解除。
変身解除したと同時に俺の体がどんと重くなり、その場で膝を着く。
「うっ……流石に1人で忍術を同時に使うのはキツかったみたいだな……」
前の時の戦闘で、属性の忍術を同時に使ったことはある、でもその時は分身してたから、負担もほぼ無かったんだが、
今回は分身もせず1人で同時に属性の忍術を使ったから体への負担がヤベーな…
「まあとりあえず、侑たちの所へ行くか…」
俺は無理やりにも足を動かし、侑と歩夢が居る所へ向かった。
「う…ん?」
「お、起きたみたいだな。侑」
「直大? あれ?何で私ここで寝てたんだろう。」
「そりゃ、覚えてないか。あん時さ、怪物が現れて、それで侑と歩夢が気絶したんだよ。」
「怪物が出た!? 大丈夫なの!?」
「ああ。仮面ライダーが助けてくれたからな。」
「そっか…」
どこか安堵してる様子の侑。
すると、ここで歩夢も目を覚ます。
その歩夢にも侑と同じ説明をした。
軽く休んだ俺たちは今度こそ家へ帰るために切り出す。
「さて、帰るか」
俺の一言に歩夢と侑が返事をすると、俺たち3人は足を、1歩また1歩と歩み始める。
しばらく、無言で歩いていると、不意に歩夢が「ねぇ」と俺たちを呼ぶ。
「ん?」
それに俺と侑はそう返事をすると、歩夢は感慨深そうに話す。
「前に進むって、大切な物が増えていくって事なのかな?」
「まあ、そうかもな。現に俺もあの頃よりも大切でかけがえのないものが増えていった。そしてこれからも…」
それを守る為に俺はこれからも戦う。
どんなに辛くて、苦しかったとしても、絶対に…
「うんうん。あ、でもさ」
俺に同調するように呟く侑
「ん?」
「歩夢を最初から可愛いって思ってたのは、私なんだからね?」
「ッ••••••!!」
それを聞いた歩夢は頬を染める。
「おいおい。侑さんよぉ。それは違うんじゃないか?」
「絶対!俺が歩夢を最初から可愛いって思ってたんだよ」
「いいや!絶っ対私!!」
「いやいやいや 俺だろ」
「私だって!」
「俺!」
ワタシ! オレ!ワタシ!オレ!ワタシ!オレ!────────
「ふふっ…」
そんなやり取りに歩夢は微笑むと。
「は~い!侑ちゃんも直くんもそこまで!」
私の為に争わないでぇと言わんばかりに俺たちの言い合いを仲介に入る歩夢。
「家までもう少しだから走ろう!」
そう申し出ると、歩夢は俺の右手と侑の左手を手に取り、駆け出す。
「え、歩夢?」
「ちょっ、今日はもう疲れたから走りたくないんだけど」
そんなのはお構い無しにと歩夢は俺たちを引っ張り走る。
やがて、俺たちの住んでいるマンションが見えると、俺たちの走る足も止める。
「はぁはぁはぁ…もうダメ…」
そうバテながら侑は呟く。
「侑ちゃん運動不足なんじゃない?」
「確かに!」
「うう……てか直大、さっき疲れたから走りたくないって、言ってたのに全然余裕そうじゃん!」
「まあな…侑も体力つけたらどうだ?」
「…えぇ~」
改めて仕切り直して俺たちはまた歩く。
「フェスティバルの当日は、やる事いっぱいだから、歩夢のステージはあまり見られないと思う。」
侑はふと呟く。
「私達は、皆、それぞれの場所で、それぞれのステージ••••••」
「バラバラだけど。想いは1つ!」
バラバラだけど、想いは1つか……いいこと言うじゃん。
侑だけにってな……は?
暗い夜空に、街灯の光が俺たちを照らす
「私ね、音楽やってみたいんだ!」
あの夜から今日に至るまで言えなかった夢を侑は歩夢に真っ直ぐな瞳で伝える。
歩夢は今まで聞く事を拒否していた
だが もう歩夢は逃げたりしない。
歩夢はそこから1歩も動かず、侑の夢を真っ直ぐに受け止めるように見つめる。
「2学期になったら、音楽科への転科試験を受けようと思ってる。」
「そうなんだ。私は••••••皆の為に歌うよ。」
そして、俺も続く。
「なら俺はそんな皆の夢をこれまで以上にサポートできるように頑張るとするか。」
歩夢はこの一件からさらに強くなった。
きっと歩夢はもう大丈夫だろう。
「私が夢を見つけられたのは、歩夢と直大のおかげだよ!」
「私も侑ちゃんと直くんが居たから、スクールアイドルを始める事が出来たんだよ。
侑ちゃん、直くん、今までありがとう!!」
「歩夢、直大ありがとう!」
「なんかそこだけ聞くと、永遠の別れみたいだな。」
「はぁ……もぉ!直大、何言ってんの…折角いい雰囲気だったのに台無しだよ!」
「ふふっでもそれが私たちらしいかもね。」
「まあ…そうだね。」
「ふっ………こうやって、何年経ってもバカやって笑い合えたらいいと思う。」
何年後、俺たちは一体何をしているのか分からない
でも笑顔だけは絶やさずにいきたいと思う
皆と笑い合えるそんな未来を願って、俺はこれからも走り続ける。
「うん。きっと大丈夫、私たちならね!」
「ああ、そうだな…」
ありがとう……侑、歩夢。
俺たちの今までの物語はここで終わり、そしてまた新しい物語が始まる。
そして、歩夢はあの夜と同じように階段を駆け出す。
俺たちの方へ向き合うと、歩夢は侑から贈られた、ピンクのローダンセの花を髪飾りにすると、お団子ヘアの近くに付けた。
そして、あの日と同じように歌い始める。
♬ Awaking Promise
歩夢は歌って、踊る。
まるであの夜を彷彿とさせる。
きっとあの時は俺たちの為に歌っていたのだろう。
でも、今は違う。応援してくれる皆の為のスクールアイドルになるという想い、そして誓いが感じ取れた。
歩夢の歌声やパフォーマンスはあの頃より、成長している。
俺はあの日のようにキラキラと輝くスクールアイドルの姿が見えた。いやあの日よりも もっと、もっと、輝きを放っている。
☼☼☼
「♬~~~~~~~~~」
明日へ続く、並木の道に希望の花が咲く。
私は貰った勇気を胸に抱いて、笑顔で約束を交わす。
きっと強くなるから。
だから、伝えたい沢山の”ありがとう”を────
☼☼☼☼☼
やがて、歩夢のライブが終わる。
歩夢はゆっくりと階段を降りて、俺たちと向き合う。
そして、
「これからも!」
「よろしくね!!」
ふと歩夢は夜空を見る。
(何気なく過ごしていた頃からは想像も付かない程、目紛しくて••••••でも楽しい日々!)
(私達の答えはまだ分からないけど••••••一緒に歩いて行こう!これからも、ずっと!)
───────────────────────
♬ NEO SKY , NEO MAP!
───────────────────────
少し余韻に浸り、俺たちは自宅へ向かう。
俺は2人が歩く、その後ろについて足を動かしている。
「侑、歩夢」
俺の呼ぶ声を聞き、2人は俺の方へ向く。
「ん?」
「どうしたの?」
俺は一呼吸置いて、喋り始める。
「もう分かってるとは思うけど、俺さ、2人に隠し事をしているんだ。それが一体何なのか、今は言えない。でも全てが終わったら話そうと思う。だから────」
「待ってるよ!直大が伝えられる時が来るまでいつまでも。ね、歩夢?」
「うん!勿論!待ってるから!」
「歩夢……侑………ありがとな。」
俺は自然と笑顔になった。
全てが終わったその日に伝えよう。必ず。
だが、そんな日が来ることは無い。
まさかあんなことになるなんて、この時の俺はまだ知らない。
スクールアイドルフェスティバルまで後4日。
続く………
12─3話でした。
原作だと、スクールアイドルフェスティバルまで残り2日でしたが、少し改変してます。
OVA 皆さんは見ましたか?
めっちゃ良かったですよね。(語彙力)
そして、まさかの劇場三部作の制作が決定しましたよね。
まじでビックリしました。
まだまだ虹ヶ咲は終わらないですね!
この小説の展開を色々考えていたんですけど、三部作決定ということで、また練り直さなきゃなぁと。
次回の3,5話で原作第12話の内容は終わりです。
その後は原作の13話の内容に入る前にオリジナル回を挟むと思います。
よろしくお願いします。