仮面ライダーシノビ(ビルド) × 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~夢が始まり、虹が咲く場所~   作:ラビラビfom

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お待たせしました。


13話後編 ~漆黒の忍者(ハザード)は止まらない~

 

 

Are you ready?

 

 

 

「………変身」

 

チーン....

 

アンコントロールスイッチ!

ブラックハザード!

 

ヤベーイ!!

 

 

変身を完了させると、漆黒の忍者が顔を俯きながら、佇んでいる。

 

従来のシノビに比べて黒の面積が非常に多い。というか姿は漆黒そのものである。

古来、日本に居たとされる忍者に近づいたと言ってもいいくらいに黒い。

だがその漆黒の姿の中一際目立つのは紫色と黄色の複眼であった。

 

 

 

ハザードトリガー………それは禁断のアイテム。

 

 

 

 

そう呼ばれるのには理由がある。

 

 

ハザードトリガー内部にあるタンク万能強化剤(プログレスヴェイパー)により、元のフォーム(ニンニンコミック)であるパンチ力、キック力といったステータスがハザードになると素で二倍に底上げされている。

上半身のアンダースーツ(HZアンリミテッドスーツ)内部には上記の強化剤で満たされており、徐々に変身者の肉体に浸透してハザードレベルを上昇させていく。

 

やがて、その強化剤が脳の特定部位に浸透していくと、あることが起こる。

 

そのあることが禁断のアイテムと言われている所為である。

 

このことを知っている者はこの場でたった2人のライダーのみ。

 

 

 

 

 

当然のようにハザードの危険性について知らない、同好会メンバーたちは漆黒の忍者の姿を見て各々呟く。

パァっとキラキラした目で歓喜するせつ菜。

そんな彼女にかすみは率直な感想を述べた。

 

「おお!!ついにパワーアップですか!!!」

「でも黒すぎじゃないですかぁ?何か悪者みたいですし。」

「いえこの黒さ加減がいいんですよぉ!!まさしく闇に堕ちてしまったダークヒーローみたいでぇ……くぅぅ燃えます!!!」

「は、はぁ…?」

 

その隣で演劇少女は──

「闇に堕ちたヒーロー、演劇の参考になりそう!」

 

「それどんな演劇なの!?」(困惑)

 

大きな声でツッコむかすみの隣で彼方やエマ、璃奈も呟く。

 

「凄いトゲトゲしてる~~」

「目はいつもと一緒だね」

「黒い忍者......かっこいい...」

 

 

「スーパーベストマッチ? ってどういうこと?」

「さぁ…?」

シノビの姿が変わる際に流れた音声に疑問を浮かべる侑と歩夢。

 

 

 

 

「…………」

(なんなのかしら。このとてつもなく背筋が凍るような嫌な感じ………色が悪者っぽいから? いやそれだけじゃないのかしら……)

「どしたの?カリン?」

どこか神妙な面持ちな果林に疑問を思った愛は声をかける。

「……何か…嫌な予感がするのよ」

「嫌な予感? あの新しいシノビから?」

 

「えぇ……何となくね」

(この嫌な予感が杞憂に終わることを願うわ)

 

 

 

 

☼☼☼☼☼☼

 

「ほお…それがハザードトリガーを使った姿か。

ふっ……その姿だとどっちが悪者なのか分からないねぇ…」

スカイは俺の姿を見るなり、皮肉を込めながら言う。

「さて、その力をじっくりとゆっくりと見せてもらおうかな」

 

 

 

「いいや……」

スカイはそう言うが俺は拒否する。

 

 

 

「最速で終わらせる!」

俺は俯いていた顔を上げ、そう宣言すると、スカイの方へ走り出す。助走を付けた勢いのままに黒いモヤのようなものを拳に纏い、奴の懐めがけてその拳を前に突き出す。

 

 

「…っ………」

 

それを受けたスカイは殴られた所を抑えると、1歩下がる。僅かな隙を生み出したスカイ。

その隙を俺は見逃さず、右足を地面に力強く踏み込むと、その勢いのまま、右足でスカイを蹴り飛ばした。その影響でスカイは地面に引きずられながら吹き飛ばされる。

 

「……ッ ……いいねぇ…流石はハザードトリガー。僕も回復(ヒール)する速度を上げないとやばいねぇ…」

「だったら、それが追いつかないぐらいに叩き込む!」

 

奴が回復(ヒール)するよりも、早く何度も何度も、攻撃を打ち込めばいい。

そう思った俺は、ボルテックレバーを回す。

 

ガタガタゴットン ズタンズタン

ガタガタゴットン ズタンズタン

 

Ready Go!!

ハザードアタック!!

 

その音声と共に、スカイの間合いに入ると、両拳に黒いモヤのようなものを纏わせると、最初に右の拳を前に突き出す。

それを受けて、僅かに狼狽えるスカイに俺は畳み掛けるように左の拳を叩き込もうとする。その時だった。突然、急に左腕に力が入らなくなる。

 

その影響で左腕をダランと下げると、頭や身体がフラフラし始め、右腕以外の身体全体に力が入らなくなる感覚を憶える。

 

 

「………うッ …まさか…」

 

(まずい…このままだと…ぃ意識が……)

 

段々と右腕以外の身体に自由が効かなくなり始める。

スカイは何かを察したのか笑いながら1歩下がった。

「ふっ…来たか」

 

 

 

 

急にふらつき始めるシノビを見た同好会メンバーたち

心配そうに呟く、エマや彼方、しずく。

 

「どうしたんだろう…シノビさん」

「お眠になったわけじゃないよね?」

「おそらく…」

 

歩夢は不安の色を言葉にする。同好会のメンバーの中で唯一彼の秘密を知るせつ菜もまた、心の中で彼の名を呼んだ。

 

「大丈夫…かな?」

(直大さん…)

 

 

 

 

☼☼☼☼☼☼

 

 

唯一動かせる右手で抵抗しようと、ベルトについてるトリガーを外そうとするのだが、その瞬間、頭に激痛が走る。

 

「………ぅ……」

激痛が走った頭に苦しみながらもその頭部を右手で抑える。

 

次第に 万能強化剤(プログレスヴェイパー)が頭の中の神経系を辿り、脳に働きかけると破壊衝動が湧き上がり、もう意識を失う寸前まで来ていた。

意識が朦朧とする中、再び葛城巧の言葉が脳裏に宿る。

 

 

『戦闘が長くなると、脳が刺激に耐えられなくなって理性を失う。』

 

もう何も視認出来ない。何も聞こえない。ただ葛城巧の声だけが頭の中を巡った。

 

 

「……自我…を…失って…溜まる…k─────

 

完全に意識を失い、首をガクッと俯き、両腕も気力が無くなったようにダランと下げる。そのタイミングで、煌びやかに輝きを放っていた太陽に雲が重なる。 辺りを照らしていた太陽は、雲に阻まれ、周りを暗いどん底にへと追いやる。

 

 

『その瞬間、目に映るもの全てを破壊する』

 

漆黒の忍者は、冷酷な戦闘マシーンという名の破壊兵器へと成り下がった。

こうなってしまったハザードを止めるには、ベルトに刺さっているトリガーを抜くか、変身者ごと死に追いやるかしか止めるすべは無い。

 

もしくは辺り一体の人々の生体活動が止まれば、ハザードの動きも止まるかもしれない。そうなってしまっては、バッドエンドだ。

「フッ……結局君は制御出来なかった」

スカイは嘲笑うかのように呟く。

 

「……………………」

そんなスカイとは対象的に漆黒の忍者は何も反応せずただ俯き、佇むのみだった。

 

 

 

「ほんと最っ高だよ。

さぁて、データでも取らしてもらおうかな?」

スカイはタブレット端末にあるデータ上のスマッシュを数体呼び出すと、漆黒の忍者の方へそのスマッシュたちを向かわせ、戦闘しかけさせた。

 

スマッシュたちがシノビを囲ったその瞬間、

漆黒の忍者は俯いていた顔を上げると、ついに動き出す。

 

まず手前にいる、スマッシュの頭部へ右ストレートを放つ。すると、後ろから飛びかかってくるスマッシュがいた。だがその程度の不意打ちでは、ハザードは倒せない。

そのスマッシュの姿を確認することもなく、避けると左足で蹴り飛ばした。

 

それから、次々と漆黒の忍者はスマッシュを一撃で倒していく。

 

 

「凄いですぅ!!どんどん倒していくじゃないですか!」

「動きに無駄がないや」

 

次々とスマッシュを倒すシノビに感心したように言うかすみや愛。

だがその隣で深刻そうに呟く璃奈。

 

「でも…」

「怖い?」

「うん…怖い……シノビさんがシノビさんじゃなくなったような気がする」

 

この中でシノビと戦ったことがあるのは天王寺璃奈である。スマッシュ化の影響でその間の記憶が薄れていたのだが、月日が流れると共にその記憶もちょっとずつだが思い出していく。そのためか璃奈はシノビの戦闘スタイルが変わったことをいち早く気づき、恐怖したのだった。

 

「そう? 確かにちょっと怖いけど、考えすぎでしょ?」

「考えすぎ…そう願いたいわね…」

 

楽観的に考えるかすみに果林はそう願う。

 

 

 

 

スマッシュを次々と倒していった結果残り一体となった。

 

一瞬でスマッシュに近づくと、その頭部を強い握力で掴み窓ガラスが多くある学園の校舎の方へ投げ飛ばす。

 

トドメを刺すためにソードガンを取り出し、スロットへニンジャボトルをセット

 

Ready go!!

ボルテックスラッシュ!

 

その音声と共にソードガンを水平に振りかぶるとその刃から手裏剣の形状をしたエネルギー刃を放つ。

その必殺がスマッシュに直撃すると、窓ガラスの多くある校舎へ激突すると爆散。その直後に、校舎の窓ガラスが割れた音が鳴り響く。

そう。スマッシュの爆散の影響で学園の校舎にある窓ガラスが破壊された。 それだけではとどまらず、校舎の一部もそれにより、破壊される。

 

 

「!?」

 

 

「うそ…」

「が、学校が…」

「壊されちゃった……」

 

学園を破壊されたことによる驚き。

そして、それを気にも止めないシノビの異質さ、無機質さにこの場にいる彼女たちは、シノビに対して後ずさるように足が震え、恐怖した。

 

 

 

 

「あぁ…所詮スマッシュじゃ、この程度か…」

漆黒の忍者は全てのスマッシュを仕留めると、標的をスカイに定めて走り出す。

 

「次は僕か」

 

漆黒の忍者はスカイの顔面目掛けて、拳を突き出すと、迎え撃つようにスカイも右の拳を突き出すとお互いに顔面を殴り飛ばされる。

だがその攻撃でもハザードには効いておらず、何ともないかのように漆黒の忍者はトリガー天面のスイッチを押す。

 

 

マックスハザードオン !

 

その音声と共にアラート音のようなものが鳴る。

そして、ボルテックレバーを回す。

 

ガタガタゴットン ズタンズタン

 

Ready go!!

オーバーフロー!……………………

 

漆黒の忍者は、オーバーフロー状態に入ると、黒いモヤのようなものを身に纏い、目にも止まらない速さでスカイの間合いへ近づくと、右の拳で殴る。また殴る。

ハザードの攻撃からスカイは1歩下がろうとすると、その背後にはもう1人の漆黒の忍者が居た。

 

「……分身か…」

知らずの内にシノビは分身したようだ。

背後にいた分身体のハザードがスカイの腕を掴み抑えると前に居た本物のハザードが左の拳で殴る。重い一撃がスカイの体に響く。

 

 

ハザードはやり返す暇も与えず、一方的に攻撃を加える。さらに畳み込むように右足で蹴り飛ばした。

 

ヤベーイ!!

 

「……ッ…グハッ………オーバーフロー状態でハザードレベル4.4か…やはり驚異的だね。まあ…まだ僕のレベルには追いついてないけど…」

 

そう言いながら、スカイは自身の体を回復(ヒール)する。だが、先程の一撃が重かったため、今までのように直ぐには癒えなかった。

 

「……」

 

「…だから…自我を失っている君じゃ僕には勝てないよ。色んな意味でね」

何か意味深なこと言うスカイ。

 

 

 

「……………」

漆黒の忍者は再びボルテックレバーを回し始める。

 

「無情だねぇ……後ろを見てみろよ。彼女たちが君に恐怖してるじゃないか。それでもヒーローかい?」

 

「……」

漆黒の忍者は答えない。ただ無機質にレバーを回すのみ。

ガタガタゴットン ズタンズタン!

ガタガタゴットン ズタンズタン!

 

 

「まあ…答えるわけないか。さてあれをまともに喰らうのは少々あれだ」

 

 

Ready go!!

 

左足に漆黒の霧を纏い、高く飛び上がると、纏った左足を前に突き出し、ライダーキックを放つ。

 

 

ハザードフィニッシュ!!!

 

必殺キックが直撃し、爆風が起こると、スカイは変身解除される。そして、そのダメージからなのか、その場で倒れ込む。

 

 

 

 

 

と傍から見ると、そう見えるのだが、実際は違う。

直前にデータ上のスマッシュを呼びだしたスカイはそれを盾にした事で、事なきを得る。

さらにダメージ受けた風を装い、自ら変身をあえて解除したのだった。これに気づく者は誰一人として居ない。

 

そして、その場に横たわるスカイに漆黒の暗い影が迫っている。

 

 

 

 

 

 

 

「サソリの人を倒しましたぁ!だけどぉ…」

シノビの勝利に歓喜の声を上げようとする者は居ない。

それもそのはずで 校舎の惨劇を見ると、手放しには喜ぶことは出来ないからだ。

 

「学校が…」

 

崩壊とまではいかないが、窓ガラスが全て割られており、見るからに校舎はボロボロだ。その惨状に皆、俯く中、侑がシノビの方へ目線を移すと、驚くべき光景が──

「ん?」

 

漆黒の忍者は、スカイの近くまで向かうと胸ぐらを掴み、トドメを刺すために拳に力を込める。

例え、変身解除したとしても、ハザードは止まるわけではない。息の根を止めるまで動き続ける。

 

 

 

 

 

 

それを見た、優木せつ菜は──────────

「!?」

 

 

 

 

無事にサソリの仮面ライダーを倒した。

今回のシノビさんには、かなりの違和感があったけどとりあえず、皆無事でよかった。

 

校舎は無事とは言えないけれど…

 

すると、シノビさんは驚きの行動に出る。

変身が解除され、横たわる(サソリ)の所に足を1歩また1歩と踏み出す。

 

何をするつもりなのだろうと……その時、嫌な考えが脳裏に宿る。

もしかして、いやまさか…そんなわけが、私の知るあなたがそんなことするわけがない。

自分の思い違いだと、その考えを振り切った。

でも今のシノビさんは、私の知る彼の意思を感じなかった。どこか無機質で、機械的な、まるで壊すことを目的に作られたロボットのようで。

 

 

振り切ったのも束の間、シノビさんは彼の胸ぐらを掴み、拳に力を込めて、今にでもトドメを刺す1歩手前だった。

 

ダメ……それ以上は絶対にダメだ…どんなに彼が悪い人だったとしても、殺してしまうのだけは…

 

あなたの言っていた正義じゃない…

 

 

もし1人でも命を奪ってしまったらあなたの心はきっと壊れて、後戻り出来なくなってしまう。そんなの絶対にヤダ。

 

 

 

 

 

私は、ヒーローが好きでその手の番組もよく見る。

だから、色々なヒーローを見てきた。そんなヒーローたちが戦う理由も人それぞれで…

 

実際に間近で見るヒーローは、凄かった。私もあんな風になりたいって。でもそれと同じぐらいに不安になった。前に直大さんが倒れていた事がある。その時に怖くなったこのまま直大さんが目覚めなかったらどうしようって。

 

もしこれが私のよく知る番組なら、何やかんやあって、目覚めるだろう。

 

でもこれは現実だ。そんな都合のいい事が起こるとは限らない。

だからこそ、不安で不安でしょうがなかった。

 

もしかしたら、これから戦いを続けていったその先で直大さんが命を落としてしまうことがあるんじゃないかって。

大切な直大さんが私の前から消えてしまうと思うと…

とっても…………不安だ…

 

 

だから私は気になった。

 

何故あなたは戦えるのだと。

あなたの信じる正義とは一体何なんだろうと。

 

回想~~~

 

ある日の放課後音楽室にて、せつ菜は直大に問いかけた。

 

 

『うーん。俺の信じる正義か………』

『ごめんなさい。急にこんなこと聞いてしまって』

 

 

 

『いや。別に……俺さ。最初の頃は、身近な大切な人を第一に戦ってて。 見知らぬ誰かは二の次だったんだ』

 

直大は昔を思い返すように彼女へ語り始める。

 

 

『そうだったんですか…』

 

想像が出来ない。

 

 

『まあ。今思うと俺って身勝手だったよなぁって。大切な人以外は二の次って。ヒーローにあるまじきことだよ。ほんとに』

 

 

『でも……ある仲間たちと一緒に戦っていって。その考えも変わった。誰かの力に。誰かの明日の為にって…』

 

『その仲間たちは、俺にとってのヒーローなんだ。眩しいぐらいに輝いてる光……今の俺じゃまだまだ届かないぐらいに遠い…』

『そのヒーローがさ。言ってたんだよ。誰かの力に慣れたら心のそこから嬉しくなって、クシャッとなるって……見返りを求めたら正義とは言わないってさ。ほんと凄いよなぁ…』

 

正義……

 

 

 

『でもそれを聞いて、俺もそんな風になりたいってそんなヒーローにって…そう思ったんだ。誰もが笑い合える明日の為、

Love&Peaceの為にってな…』

 

 

『ラブアンドピース……』

 

『綺麗事って言われるかもだけど。俺はそれを願ってる…それが俺の信じる正義で戦う理由なんだ』

 

(あぁ…やっぱり直大さんは凄い人です。

そんな直大さんとなら私は夢を叶えられるってそう感じる。

あなたとなら、どこまでも行ける気がします)

 

『…Love&Peace…それが直大さんの信じる正義で戦う理由…ふふっ…とっても素敵ですね!!』

 

彼女は満面の笑顔を彼へ見せた。

 

『私も…そんな平和な明日を謳っていきたいと思いました』

 

『せつ菜…』

 

『だからその為にも私の夢である。誰もが大好きだって自身を持って言えるそんな世界。そして直大さんの願うLove&Peaceな世界。それを胸にスクールアイドル活動を頑張って行きます!!

だから…一瞬たりとも目を離さないでくださいね!約束です!』

 

そう言って、彼女は小指を前に突き出す。若干固まる直大だが、彼女の思いを心で受け止めると、自身の小指をせつ菜が突き出した小指へと絡ませる。これが約束の儀式。

 

『ふっ…ああ。そうだな。約束だ!』

 

~~~

 

そうだ。約束したんだ。

私を一瞬たりとも、目を離さないでと。

今の彼は、きっと何も見えてない。暗い暗い、真っ暗な世界にいる。

 

(助けなきゃ…)

 

私は、直大さんに何度も助けられた。

彼が居なかったら、今の私は無い。

 

 

 

次は私の番なんだ。

 

 

 

「…………っ!」

 

私はいつの間にか、直大さんを止める為、無我夢中で走り出していた。

私を止めようとする。果林さんや侑さんの声が聞こえました。それでも私はその静止を振り切り、走った。

次第にシノビさんの近くまで来ると、彼を止めるため、抱きつくように彼の元へ飛び込んだ。

 

彼にしがみつき、私の想いを必死に届けた。

 

「お願いです!元に戻って下さい!どこまでも優しいあなたに!お願いです!シノビさんっ!!」

 

 

「………」

──どんなに必死に訴えたとしても、漆黒の忍者には届かない。

 

「お願いです…(直大さん…元に戻って下さい…)」

──すると、漆黒の忍者は必死な訴えが伝わったのかスカイの胸ぐらを離した。

 

 

だが、その瞬間だった。

彼女の首元掴み、壁の方まで追い込んだ。

そう。必死な訴えが通じたわけではなく、ただ標的をスカイから優木せつ菜へと変わっただけなのだ。

 

「!?………っ」

首元を掴まれ、せつ菜は苦しそうな顔をしている。

そして、ゆっくりとシノビはボルテックレバーを回し始めた。

 

 

それを見ていた、同好会メンバーは突然のことで困惑する。何故仮面ライダーがせつ菜の首元を掴み、今にでも殺そうとしているのかと。

 

「「「「「????」」」」」

ようやく、今何が起こっているか、理解が追いつくと、

侑や愛を筆頭に皆、必死に叫んだ。

 

「せつ菜ちゃん!!」

「ダメ!!シノビ辞めてっ!!」

それでもシノビには届かない。

かすみもしずくも叫んでもそれは変わらず。

 

「辞めてくださいっ!!」

「シノビさん!!お願いです。辞めて下さい!!」

 

 

シノビを止めに行こうと、この場に居る者全員、思った。

このままではせつ菜が殺されてしまうから。でも動けなかった。

動き出さなさきゃ行けないのに、止めなきゃ行けないのに足が動かない。

ハザードの恐怖に足をガクガクと震わせて、ただ佇むのみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方スカイは、その様子を嘲笑うように離れた所から見ている。

 

「ふっ…」

ここで彼女を殺したら、君の積み上げて来たもの全てが泡となり、ヒーローとしての君は死ぬだろう。もう誰も君をヒーローだと言ってくれる者は居なくなる。

 

そして、君はこの残状を目の当たりして、きっと君の心は壊れてしまうだろうね。何も無い抜け殻のような空っぽな君になる。

 

 

それも見て見たい気もする。

だが、僕の計画はもう果たされた。

 

 

仮面ライダーシノビは、学園を破壊し、スクールアイドルとして人気の優木せつ菜を手にかけようとした。この事実さえあればいい。

 

何も無い抜け殻になるのはまだ早い。

 

 

じっくりたっぷりと君を痛ぶらなきゃ、面白くないからね。

 

「ふふっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタガタゴットン ズタンズタン

ガタガタゴットン ズタンズタン

 

死のカウントダウンかのようにその音は、無情にも鳴り響く。

そして、右腕に黒い霧を纏わせる。

Ready go!!

ハザードフィニッシュ!!!

 

その音声と共に拳を振り上げようとする。

後ろに居る同好会メンバーは最後まで止めようと叫ぶ者、不意に目を閉じる者。それぞれだった。

 

 

せつ菜に手をかけようとしたその瞬間ある声が聞こえる。

 

 

「………直…大さん……」

 

その声は、苦しみながらも彼の左手を掴み、彼を呼ぶせつ菜の声だった。その声は掠れており、近くに居る人でないと聞こえないぐらい小さい声。

 

その声を聞き、一体何が起こったのか、シノビは振り上げていた右腕を下げると、せつ菜の首元を掴む手を離した。

彼女は離された瞬間、気を失いその場で倒れこむ。

 

 

その近くでシノビは頭を抱えるように苦しみだす。

 

 

「………っう……ぁ”……」

 

 

 

 

 

シノビが苦しんでいたその時だ。

スクラップ バニッシュ!!

 

その音声と共に別方向から飛んできたスカイがライダーキックを放つ。

その必殺キックがシノビに直撃すると、吹き飛ばされ爆風が生まれた。

その影響でトリガーがついに外れ、強制変身解除される。

そして、かなりのダメージ受けた為か、直大も同じくその場で気を失った。今は爆風の影響で煙が舞っているため、見えないがこのままだと同好会メンバーたちに正体がバレる。

 

 

「おっと。君の正体をばらすなら、もっと劇的にしなきゃね」

そう言うとスカイは、スチームガンから煙を出し、その煙で直大を包むと、どこか人気のない河原へと移動させた。

 

「さて、僕も退散と行こう。」

スカイも自身を煙で包ませ、この場を去った。

災悪が去ったことにより、その恐怖も軽減されると、我に帰った同好会メンバーは、せつ菜の元へ駆け出す。

 

「せつ菜ちゃん!!!」

「せつ菜さん!大丈夫ですか!?」

 

ほかのメンバーも呼びかけるが返事は無い。

 

「せつ菜先輩…もしかして」

「いや息はしてるみたい」

 

「おそらく…今は気絶してるのよ」

「よかった…」

 

 

せつ菜が無事であることに一旦安堵した同好会メンバーたち。

 

 

「とりあえず保健室に運ばないと~」

「うん。アタシがせっつーを運ぶよ!」

 

「1人で大丈夫?」

「勿論!まかせて!」

 

愛はそう言い、自分の背中にせつ菜を乗せて、保健室へと急いで向かった。

 

「そうだ。直くんに連絡しなきゃ…」

ふと思った歩夢は、早速連絡してみるのだが…

 

「…………」

 

「歩夢?」

 

「直くん。電話にでない…」

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

♬ NEO SKY , NEO MAP!

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方 星奈直大は、スカイによって移動させられた河原で気絶したまま、横たわっている。それを近くベンチに腰をかけて、呟くスカイ。

 

「君が目覚めた後が非常に楽しみだよ。ホシナクン」

 

 

果たして、君は学園のヒーローで居られるのかどうか。

 

そして、君も知ることになる。

 

 

人間の身勝手さ。醜さがね。

 

 

「ふふっ……」

 

 

続く………






13話後編でした。

ハザードの怖さを表現しようと頑張りました。


さて残り数話オリジナル回です。よろしくお願いします。
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