仮面ライダーシノビ(ビルド) × 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~夢が始まり、虹が咲く場所~ 作:ラビラビfom
前日談 ラストです
あれから1週間と少し。
俺たちは、メッセージを交わしながら、曲作りを進めていた。
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直大 『 曲 完成したぞ!』
直大 『あぁ 今送る』
直大 『分かった でも場所どこにする?』
直大 『許可が必要だぞ?』
直大 『分かった』
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と文字を打った後、せつ菜に勧められたアニメのキャラクタースタンプを押した。その時だ。聞き慣れたの声が聞こえる。
「さっきからスマホばっか見て、なにやってんの?」
その声は俺の幼なじみの侑だった。
「うーん ちょっとな 」
スマホを操作しながら、返す俺。
そこへ侑は、スマホの画面を覗き込もうとする。
が、反射的にスマホを伏せた。
その様子に侑は、ニヤニヤとした目つきへ変える。
「ふーん 彼女でも出来た?」
はい? こいつは何を言ってるんだ?
そんなわけないだろ。
「あのなぁ 俺に彼女が出来るとでも思うか?」
自分で言ってて悲しくなる…ウゥ 泣
「思わない!」
「即答かよ! 」
傷つくなぁ……
「そんなことよりさ。今日放課後、どっか行かない?」
「そんなことって……あぁ今日は無理だ。ちょっと予定があってな」
「そっかぁ…残念 」
「また今度買い物付き合ってやるから」
「別に買い物とは言ってないけど」
「買い物じゃなかったのか?」
「買い物だけど」
いったいなんだったんだ 今の会話!
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そして時間は過ぎ 放課後へ
「さてと、行きますか」
帰りのHRが終わって、少ししてから俺は音楽室に向かった。
「すまん。遅れた」
扉に手をかけ、そう謝りながら音楽室に入ったのだが、そこに信じられない光景が目に焼き付いた。
「え、な…中川?」
そこにいたのは、優木せつ菜の格好をした中川菜々であったのだ。
「あっ……」
いやいやいや、いやいやイヤイヤイヤイヤいやいや
きっと見間違いだ!そうだ、そうに違いない。
もしかして俺、疲れてるのかな。
自分の目がおかしくなったのかと、思わず目を擦る。だがその光景は変わることはなかった。
どうやら向こうも慌ててるようだ。
人が慌ててるのを見ると妙に冷静になってくる。
※※※
数分後、中川─いやせつ菜?は落ち着いたらしい。
「うぅ…ついにバレてしまいましたかぁ… 」
「いやまさか。優木せつ菜の正体が中川だったなんてな、驚いたよ」
いやほんとにまじで。でもまぁ、発覚したから分かったけど、よく考えたら、2人は意外と共通点あるんだよな。
「ほんとは、正体不明のスクールアイドルとしてやろうと思ってたんですが……まさか直大さんにバレるとは…」
「でもなんで 正体不明なんだ?」
その質問に、せつ菜は少し恥ずかしげに目線を外した。
一体どんな理由があったのだろうか。名前を変えてまで、始めたアイドル活動。彼女の根幹を表す重大な理由があるに違いない。
そう思い、俺は椅子の背もたれに手を置き、軽く体を預ける。
変に斜に構えてしまった。
「いやその……変身ヒーローみたいでカッコイイなぁと思いまして…」
ズコ~と効果音さながら、俺の両膝は力を抜け、その場で横転。
まさか、芸人さながらのズッコケ芸をすることになるとは。
無意識に出てしまったてばよ。
「大丈夫ですか!?」と俺に向けて手を伸ばすせつ菜。
※※※
俺は、仕切り直して椅子に座った。
それにしても、変身ヒーロー……ねぇ…
「でも、それだけじゃないんです」
ほかにも理由があるようで、せつ菜は語り出した。
「その……実は両親の前では、事情があって…自分が大好きなことを隠しているんです。だから、正体不明なら両親にもバレずにスクールアイドルが出来るだろうって思ったんです」
「なるほどな」
「ごめんなさい。急に変な話をしてしまって…」
「いや別に。まぁ…いろんな家庭があるからさ。何かしら事情を抱えていることだってある。だから変な話だなんていうな」
「直大さん……その…ありがとうございます」
「あとこの事は誰にも言わずにお願いします!」
その言葉には色んな想いが乗ってる気がした。
「あぁ。安心しろ。俺は口が堅いからな」
そして、切り替えるように椅子を引き、その場へ立つ。
「さぁ気を取り直して、曲、持ってきたんだ」
「そうでしたぁ!!」
忘れてたのかい!
「ほいこれ。完成した作詞だ」
「 わぁ…ありがとうございます!!」
作詞ノートを渡した途端にペカーとわくわくしたような顔で、せつ菜はノートを開いた。
※※※
数分経ち
歌詞を読み終わったのだろう
せつ菜は満面の笑みで感想を言う。
「とっても、いい歌詞です!!」
「そして曲名は『CHASE』だ」
「 CHASE …… いい名前です!」
「じゃああとは、曲だな。実はこれせつ菜が見ていた時に浮かんだメロディ を改良して作ったんだ!」
「そうなんですね! 私 あの曲好きです!!」
作曲した 音源をスマホから流そうとしていると──
「そのもしよかったら。演奏して欲しいです!」
「俺が?」
「はい!!」
「わかった! しっかり 聞いとけよ!」
まさか二度も、人前で演奏するなんてな。
でも…悪くないかも
♬ Chase offvocal guitar ver,
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俺は弾き終わりギターを置くとせつ菜が呟く。
「とっても 最高です!!」
そう言いながら、せつ菜は飛び込むように抱き着いてきた。
「っと あぶな!」
足に力を入れ、なんとか受け止めた。
「私の目には狂いはなかったです!!」
「そっか…喜んでもらえてなによりだよ」
自分で作詞作曲した曲誰かに聞かせて感想を言ってもらえる……
それが…こんなにも嬉しい気持ちになるなんて。
ん? この子いつまで抱きついているのかしら。
そろそろ離れて欲しいんですけど、色々ヤバいというか、柔らかい何かが──いやこれ以上は辞めておこう。
平常心 俺の心に 平常心
直大 心の一句
「あの……そ、そろそろ離れて欲しいかなぁ…って」
自分が思ったより、とんでもないことをしてると感じたせつ菜は顔を赤くしながら離れた。
「す、すいません/// つい嬉しくなって暴走してしまって」
「ま、まぁ…そういう所が、せつ菜の良いところだけどな」
…できれば、急に抱きつくのは心臓に悪いので、控えていただけると助かりますわ。
※※※
そして時間は経ち、いつの間にか下校時刻になっていた。
「もうすぐで下校時刻ですね。今日はありがとうございました!」
「あぁ。こちらこそありがとう」
せつ菜はふと、窓越しに空を見上げた。夕陽が俺たちを照らす。
「あとはこの曲を世界に届けるだけです」
「世界に届けるか… ならChaseのパフォーマンス動画をネットに挙げるとかいいんじゃないか?」
「いいですね! あっでも衣装があった方がいいですよね」
「それなら服飾同行会に依頼するのはどうだ?」
「それです!」
「あとは、編集する力があればできるのですが」
「ああ…それなら 知り合いに情報処理学科の子がいるから聞いてみるわ」
この場に宮下がいたら愛だけに、とか言いそうだな。
なんだか、ここまでポンポン案が出るなんで自分でも少し驚く。
「ホントですか! お願いします!」
「何からなにまでありがとうございます!少し頼り過ぎな気がしますが」
「別に俺に出来ることなら何でもするからな」
そうして、俺たちは帰る支度をした。せつ菜は、音楽室の隅に置いてあった、ブレザーを手に取り、羽織る。ストレートな黒髪は、三つ編みに変え、メガネを装着すると、彼女は中川菜々に戻った。
なんだろう最初は、さっきまで目の前で熱く語っていた少女と、生徒会長として振る舞う彼女が同一人物だと言う事実にまだどこか現実味がなかった。だが、彼女と話すにつれて、その事実は俺の中で強固なものへとなった。
これが俺たちの物語の序章なら、この日が次の章の始まるターニングポイントなのだろう。いや、序章はまだもうちっとだけ続く。
何故なら、まだせつ菜が世界へと公開されてないのだ。
※※※※※
1年生の3学期もほぼ終わりかけの、3月中旬。
俺とせつ菜は、いつもの事ながら、音楽室へ集まっていた。
今日、一世一代のイベントがある。
そう、ついに優木せつ菜を世界に届ける日がきたのだ。
「ついに 完成しました !」
いや~長かったここまで来るのに寝る間も惜しんで……
とまあ、冗談は置いといて
「よーし! あとはアップロードするだけだな」
「は、はい!……で、では…ぃぃ、一緒にお、押しましょぉぉう」
いつものバカデカハキハキボイスはどこにやら。心ここにあらず。さっきから、ずっとせつ菜はそわそわして、音楽室内を行ったり来たりしている。
「震えてんじゃねぇか ! 」
そう言ってはいるが俺も、少し震えている。
気を取り直した俺たちは、人差し指をエンターキーに乗せた。
「では、せーのでいきましょう!」
「あぁ…」
ああ。ヤバい緊張が止まんねぇ。暑くもないのに額に汗が垂れるぐらいには。やがて、深い深呼吸をした俺たちは声を揃える。
『 「 せーの !! 」 』
───エンターキーが遂に押された。
「あぁ、押してしまいましたぁ!」
「あぁ…きっと大丈夫…大丈夫だ……」
俺もせつ菜も少し、いやかなり動揺している。
中身の入ってないペットボトルを持っては、キャップを閉めたり緩めたりと。謎の行動するぐらいに。
※※※
「っ…ちょっ……せつ菜!」
アップロードしてから少し経ち俺はパソコンを見ると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
「はい?」
呼ばれたせつ菜は、椅子をパソコンの前まで引き、俺の隣へ並ぶと、パソコンの画面を見るため、近づけた。
「……っ!? 動画に視聴数がどんどん増えて!高評価も押されていきます!!あっコメントもきました!!」
「ヤべぇーな」
自身のキャパを超えた出来事に俺は完全に考えるのをやめた。
「ホントに…よかったですっ…」
「あぁ……よかったな」
せつ菜は大粒の涙をこぼしながら、震える声で漏らした。
嬉し泣きとは正にこのことだ。
俺はそれに穏やかに返した。
ここに至るまで、彼女は様々な努力を重ねた。パフォーマンス力の特訓。そのための体力作り。歌詞力を高めるためのボイストレーニング。衣装の考案。俺は途中から、彼女の夢に関わったから、全てを見ていたわけではないけど。
だからこそ、せつ菜の努力が報われて、俺は心の底から嬉しくなった。
※※※
せつ菜は改めて向き直すと、声を上げた。
「ここまで来れたのは直大さん、あなたのおかげです!」
「何言ってんの。俺だけじゃないこの動画を作るのに手伝ってくれた人達。それにせつ菜がここまで頑張った結果だよ」
俺がやったこと以上にせつ菜の想いが強かったからこその結果なんだ。
「そうでしょうか?」
「あぁ…もっと自分に自信を持て」
ま、俺が言えたことじゃないかもだけど。
「そうですね!!」
せつ菜はここで真っ直ぐにその場へ立ち上がった。
「これからも 頑張っていきますよぉぉお!!」
そう言って高らかに腕を上げた。
俺も彼女の隣に立つ。
「またなんか必要なことがあったら、言ってくれ。どこへでも駆けつけるからな」
彼女の夢はまだ始まったばかり。
それでも、あんたとなら、最っ高の景色が見える気がする。
俺は心の底からそう思った。
───こうして、スクールアイドル 優木せつ菜 は始まった。
※※※※※※※
時は流れ、1年生の終業式を終えた俺は、春休みを迎えていた。
俺は自室で勉強をしていると、玄関の方から侑の声が聞こえてきた。
「おーい、直大~!」
自室を出て、声のする方へ向かう。
「ん? どうした?」
「直大宛てに宅急便だって。はい!」
侑から荷物を受け取る。
少しズシッとした重さを感じたが、両手でしっかりと持ち上げた。
「おぉ、サンキュ」
なんか頼んだっけな?
そう思いながら送り状を確認すると、差出人の名前が書かれていなかった。
「あれ?差出人不明?そんなことあるのか?」
疑問に思いつつ、俺は自分の部屋の扉を開ける。
「さぁて、何かなぁ~」
床に荷物を置き、ペリペリとガムテープを剥がしていく。
そして、ダンボールの蓋を開けた。
中に入っていたのは、一つのアタッシュケースだった。
俺は思わず息を呑む。
嫌な予感がした。
それでも意を決し、ゆっくりとアタッシュケースを開く。
「これは……!…なんで……」
ケースの中に入っていたのは、赤いレバーと銀色の歯車が付いた黒いベルト。
――ビルドドライバー。
さらに、その隣には二本のボトルが収められていた。
紫色の忍者の手裏剣を模したボトル。
黄色い漫画のコマを模したボトル。
その二本は、俺が前の世界で使っていたものだ。
戦友と言ってもいい、大切なボトル。
そして、その二本のように色が付いていない、無地の空のボトル――エンプティボトルが複数本入っていた。
「どうして、これが……」
動揺を隠せないまま、ケースの中を見渡す。
すると、もう一つ気になるものが目に入った。
大きな液晶パネル。
まるでスマートフォンのようだが、通常のスマホよりもずっと大きく、無骨な形をしている。
その背面には、ボトルを一本差し込めそうな穴が開いていた。
「これは……ビルドフォン?」
前の世界で戦兎が使っていたスマホに似ている。
だが、ところどころ色や形が異なっていた。
それ以外に、ケースの中に入っているものは何もない。
「でも、なんでこれが俺のところに……」
俺は、ビルドドライバーとボトルを見つめる。
胸の奥に、かつての戦いの記憶が蘇ってきた。
「……また戦えってことか?」
誰が、何のために。
どうして今になって、俺の前にこれを送りつけてきたのか。
答えは、どこにもなかった。
───こうして、止まっていた歯車がまた動き出す。
※※※※※
同時刻──ある場所にて
「どうやら、実験は成功だ!」
男はモニターに映し出されたデータを確認しながら、満足げに笑う。
「さてと……この腐った社会を、壊しますか」
続く……………
これにて 前日談 は終わりです
次回から 本編 開始です