仮面ライダーシノビ(ビルド) × 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~夢が始まり、虹が咲く場所~ 作:ラビラビfom
エマ 「ぜ、前回の虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、with 仮面ライダーシノビは!」(アセアセ)
「仮面ライダーシノビで星奈直大がいるスクールアイドル同好会、一同は青海にあるウォーターパークに遊びに来ていた。
そんな中、突如現れたネビュラヘルブロスが人々を襲う。そこに立ち向かったのは、星奈直大だった。
そして、彼から頼られた2・3年生たちは、彼の後方支援という形で立ち向かい、一度はヘルブロスを追い詰めたのだが……」
「って…あらすじ紹介している場合じゃないよ~…直大くんが……」 (ワナワナ)
彼方 「エマちゃ~ん。とりあえず一旦深呼吸しよっか。」
「彼方ちゃん…うん。そうするね。」
「落ち着いた~?」
「うん。もう大丈夫。」
「よ~し。次は彼方ちゃんが紹介するよ~。
やっとの想いで追い詰めた、その時~
黒い煙が突如、包まれネビュラヘルブロスは強化されてしまった。
あまりの強さに、変身していない直大は重い一撃を与えられてしまう。
反撃も出来ず、首も掴まれて、意識を失いそうになる。」
「これ、かなりヤバめな展開かも~~」
エマ 「そんな時、1年生メンバーがベルトを持って現れ、愛がそのベルトを受け取り、彼に向かって投げる。なんとか直大は、掴むことに成功する、
だが次の瞬間、ネビュラヘルブロスは無情にも彼を投げ飛ばし、銃撃を与え、深い闇の底へと沈めたのだった。」
「かなり、絶望的な展開になってしまったぜ……」
「うん…このままじゃ…ゼツボウみが強くて、もはや木だよ……」
「……言葉のチョイスが…何か変なんだぜ……」
「気を取り直して~~
これから一体どうなってしまうのか~~気になる OES 第6話へ~」
「「 どうぞ~ (どうぞ〜~~~)」」
冷たい。
寒い。
暗い。
ここはどこだ………
ああ…そうか…俺は負けたのか。
─なんの音も聞こえない青色の世界に身体はふわふわと浮いて、重く沈む。それに抵抗しようと、水中でバタバタと足を動かす。だがその抵抗も虚しく、ただ落ちていく。水へ飛び込んだ衝撃からか、水を飲んでしまったようだ。プールの塩素の独特の匂いが口の中を侵食した。
声を出そうにも、ゴボゴボと目の前に泡が出現するのみ。
差し込む光に手を伸ばしても、ゆらゆらと揺らいですり抜ける。
底は闇だ。目の前に段々と闇が覆っていく。手を伸ばそうにも、もはやその光は届きそうもなかった。
この寒さで感覚がなくなってきたな…
息も……もう続かない…
このまま…終わるのか…
─抗おうにも、その力すら残ってない。まるで旧世界で自分が消滅した時のことを思い出す。
全ての力を出し切り、戦い終わった後、幼なじみの目の前で遺体すら残さず、キラキラと粒子状となって消滅した、あの夏の日のことを。
抗おうとしても、その死の運命から逃れられなかった。
今回もそうなるのだろうか。
このまま、深い深い闇に覆われてその生命を終えてしまうのだろうか。
命の灯火はこうも簡単に消えてしまうのか。
人はこんなにも脆い生き物なのか。
あらゆる疑問が何個も浮かんで来る。
だが、その疑問に答える者は居ない。
そう思っていた────
その時、脳内に聞き覚えのない誰かの問いかけが聞こえた。
『諦めるのか?』
幻聴まで聞こえるなんてな………
どうやら本格的に終わり…みたいだ…
─だが、幻聴と思わしき声は、問いかけるのを辞めない。
『お前には守りたいものがあるんだろ?』
守りたいもの………
─ 幻聴の問いかけから、脳内に浮かんでくる。かけがえのない仲間の姿が。
『叶えたい理想が』
理想…
『それとも全部ウソで………ニセモノだったのか………』
─嘘、偽物という偽りの言葉が彼の心深くに刺さった。
俺の信じてた想いは、理想は、
全てウソで……ニセモノだった…?
いや、
─彼は、そんな言葉では折れない。強き心が彼の中に確かにあるからだ。それは塗り替えることは出来ない。
違う、俺の想いは、ウソでも偽物でもない。
確かに
紛れもない、ホンモノで真実の想いが─
でも…
─彼は迷う。どうすればいいのか?と。たとえ折れない心を持っていても、時に悩み、苦しみ、絶望するのだ。
『諦めたら、そこで終わりだ。お前はどうする?』
俺は……
俺はどうしたいんだ…? このまま、底に、闇に覆われていくのを黙って待てばいいのか?
いや─違うだろ。俺はいつだってそうだった。どんな逆境も、苦しみも跳ね返してきたじゃないか。
やるべきことはひとつ。
もう決まってる。
そうだろ?
─彼は自分自身へ問いかける。自分の心を震え上がらせるように。
そうすると、胸の中で何かが湧き上がってくるのを感じた。水の中に包まれているはずなのに寒さは感じない。どこか暖かい。
俺は……
諦めない…諦めてたまるか…俺はみんなを守る。守りたい!
…こんな所で終わらせない…
何度でも掴んでやる!
希望の光を…無限の虹を、みんなの夢を!
─彼の心にふつふつと燃えるような灯火が湧き上がった。
そして、必死に差し込む光を掴もうとする。何度も、そう何度でも。意識が無くなりかける瞬間瞬間まで、もがき続ける。
例えそれが無駄な悪あがきなのかもしれなくても。
信じ続ける。
諦めない限り…きっと──
─やがて諦めないという強い想いが、ライダーシステムを動かした。
先程、愛に渡され、ブロスに撃たれる直前にやっとの思いで腰に巻いたスクラッシュドライバーがネイビー色に光り始める。
同時にヴァリアブルゼリーが直大の周りを包む。
そして水の渦が現れるとそのまま、ゼリーの力で急速に地上へと上昇し始めた。
ニンジャは再び、みんなを守るために立ち上がる。
~~~~~~~~~
真っ黒で深い闇に覆われたような暗い空間で何かの声がこだました。
「ふっ…それでいい。お前はそのままで……」
この声は一体誰から発されたのか、それはまだ、分からない。
~~~~~~~~
※※※※※※※
「先輩…」
桜坂しずくは震えるように口を零した。彼女もまた、彼を失った悲しみで深い闇の淵へと堕ちそうになっている。
約束…したじゃないですか……先輩…
…どうして……
…私は…まだ先輩に何も伝えられてないのに……
…いやです…こんな……終わり方…なんて……
「…………」
しずくの絶望が頂点に達した。
もう立つこともままならず、膝から崩れ落ちてしまうぐらいに。
それは、しずくだけではない、他の彼女たちも表情は重く、暗い。
ネビュラヘルブロスは、そんな彼女達にゆっくりと近づく。
これは、謎の人物─エックスがブロスへ命令したもの。
コツコツと歩みを寄せているブロス─すると、急にその歩みを止めた。
何故、足を止めたのか、それは彼が落ちたプールの水からブクブクと音が聞こえたのだ。何かが下から上昇して来るような振動も感じる。
そんな次の瞬間、プールの水がグルグルと渦を巻き始めた。
「何が…」
「もしかして…」
彼女たちは何かを察する。
もしかしたらと…
やがて、その渦の中央から、ゼリーに包まれた紺と青紫色の何かが飛び出す。
そして、プールの水を巻き込むように飛び出した何かは、歩みを止めていたブロスを飛び越え、彼女たちの居る前へと着地した。
クセの強い音声が鳴り終わると同時に紺と青紫色の何かは、包まれていたゼリーが身体へ収束したことでその姿を現す。
──ネイビーカラーでゼリー状のマフラーをたなびかせた青紫色の仮面の戦士で忍者─
そう、星奈直大…仮面ライダーシノビアクアだった。
彼女たちは、その背中を見て妙な安心感が現れた。さっきまで絶望の底に居たはずなのに。そして、彼の名を呼ぶ。そんな彼は彼女たちの方へ振り向くと──
「もう大丈夫だ。」
たったの一言で彼女たちは安心するように口角を上げ、希望の虹が咲き誇る。
そして彼は、ブロスの方へ向き直す。
「タイショウヲ…カクニン…」
「あんたには、かなりボコボコにされたからな………さぁ…ここからは…ショウ・タイムに…行かしてもらう!」
韻のポーズを右手で取りながらそう言って、足をグッと踏み込むと同時にプールサイドの水を吸収、全身に水を包み込むような水柱が出現。
(この状態は…!?
とにかく、行きますか。)
そして、水柱状態のまま拳や蹴りをブロスに向かって連続で打ち込んだ。
「はぁああ!」
先程、生身のまま与えたダメージを軽く超え、ブロスは耐えきれず、吹き飛ぶ。水を吸収し、水柱の状態のシノビアクアはパワーやスピードが桁違いに変わっていた。
秘められた真の力を引き出したと言ってもいいだろう。
(すげぇ…なめらかに動くな…
でもまさか、シノビアクアに隠された力が眠ってたなんて…
水ってやっぱ…侮れない。)
「まだまだ!!行くぞ!」
直大は再び水を吸収、水に包まれ、流れるように移動すると、ブロスの間合いに近づく。水で生成した、2本のクナイでブロスをいあいぎり。直大は止まることを知らない。
ブロスはそれによりダメージを覆う。それに負けじと腕からエネルギーカッター生成、直大に向かって射出する。
─だがそのぐらいのものなら簡単に弾ける、その後の奴は隙だらけだ。
直大は腕で簡単に弾くと、持っていた2本のクナイをブロスに向かって投げ、命中したことでブロスは数歩下がる。
奴は追い込まれていた。
もう、勝敗は決まったも同然だろう。
「ん?」
「………」
だがブロスは次の瞬間、最後の力を振り絞るように多数のガーディアンを生成した。東都、西都、北都のガーディアンが入り交じるように。それによってネビュラヘルブロスの姿がガーディアンたちで隠れてしまった。
「ガーディアンを生成出来たのか…ちょっと数も多いし…」
─さてどうしたものか、と考えるがいい案は出てこない。この手の数の多さは拳や蹴りで、ぶっ倒す。それが一番手っ取り早い。
多数のガーディアンへ立ち向かおうとする。
だがその時、熱く元気な声が彼の耳に入った。
「直大さぁぁーーん!!かすみさんのボトルを使ってくださぁぁい!!」
「え?かすみんのボトル?」
元気よく言ったせつ菜とは裏腹にかすみはそれを聞き、当然困惑した。
「え、いや…あれは少し使いづらいというか…」
──前に使った時、スマッシュに逃げられたこともあるし。
その後、使い方をどうするか考えを凝らしたことでなんとか使えたわけだ。
正直、あのボトルの使い方、一体何が正解か分からないんだよなぁ…
使いづらいと言われたことでカチンと来たのか、かすみは猛抗議し始める。
「なんでかすみんのボトルが使いづらいんですか!!そんなことはありません!!ササッと使って下さい!」
「えぇ…」
「直大さん!」
かすみの圧とせつ菜の圧が強くのしかかる。
──仕方ない。
「分かったよ。」
直大は渋々、了承しライトイエローカラーの王冠フルボトルをスロットへセット、レンチを下ろす。だが潰れない。
ディスチャージボトル! 潰れなーい!
ディスチャージクラッシュ!
直大は右手からヴァリアブルゼリーを放出すると、金色の王冠が出現した。
「あぁ…やっぱこうなるよなぁ…」
──本当にコレどう使えばいいんだよ…鈍器として使うか?
と思っていたら、せつ菜が体を大きく使ったジェスチャーをしながら言ってくる。
「直大さん!その王冠を頭に乗せてください!始祖光来です!!」
「……………は?しそ?え、なんて?」
直大は困惑し、聞き返す。勿論せつ菜以外の彼女たちも。
すると、かすみが後頭部の髪を搔くように
「あぁもう焦れったいですねぇ~!何でもいいですから、ささっと頭に乗せてくださいセンパイ!しそ…なんとかかんとかを」
「始祖光来ですよ、かすみさん!」
「名前は何でもいいですぅ!」
それを受けて直大は考えることを辞めた。
「……仕方ない…それ。えぇと…しそこうらい?」
直大はそう言って、黄金の王冠を頭へ被るように乗せる。
すると、
「うわ。なんだこれ…肩からマントが出てきた!?」
王冠を頭へ乗せると、途端に肩からヴァリアブルゼリーが放出された。
そのゼリーが肩を包むと、肩部を保護する装甲─シュリケンパックショルダーから黄金のヒラヒラしたマントが現れる。そしてもう1つ。
「今度は槍!?」
右手から同じくヴァリアブルゼリーが放出すると、赤く長い槍─ランスが生成された。
「一体何なんだこれ……」
─お兄さん…王冠ボトルにこんな能力があったなんて聞いてないよ!?
そんな困惑する直大を他所にせつ菜は興奮する。
「うおおお!!まさか成功するなんて…正しく邪悪の王…
直大さん!邪悪の王様の力で一網打尽です!」
「邪悪の…王様………?」
せつ菜の言ってることはさっぱり分からない直大だったが、気を取り直して、そのままガーディアンたちの方へ向き直す。
「もう何でもいい。一気に倒す!」
直大はガーディアンの方へ飛び込むように走り出すと、長く赤いランスで一気に薙ぎ払う。
「それっ!」
今度はランスを突く形でガーディアンへ攻撃。
(おお!中々リーチがいいなコレ。使いやすいかも!)
直大はランスの使い方に段々慣れていくとガーディアンを倒す速度も上がっていた。それにより、次々と倒していく。
「これで!」
直大は畳み掛けるようにランスを投げると、ガーディアンに命中。すぐさま、左手にツインブレイカーアタックモードで装備。カブトムシとハチのボトルをスロットへセット。
独特な待機音が流れ、
それと同時にガーディアンは直大の方へ向かって来た。
「ガーディアンの癖に頭が高いんだよ!」
そう言うと、ガーディアンは突然、ビシッとその場で止まった。
「……え?なんで?」
これは王冠ボトルの能力。
王様からの命令、圧力などからガーディアンのような下々は上の者に絶対逆らえないという力が発生しているのだ。
「よく分からんが、これなら倒しやすい。」
直大は気を取り直して、左手に力を込めた。
すると、ツインブレイカーの先端が大きく伸び、カブトムシの角とハチの針が混ざったようなものに変わる。
「はっ!」
その音声と共に左腕を大きく振りかぶって、ツインブレイカーの必殺攻撃をガーディアンへ当てることで一掃する。
ほとんど倒したことでネビュラヘルブロスは姿を現す。
このタイミングでドライバーのスロットを王冠ボトルからニンジャゼリーに戻す。よって、王様状態は解除され、通常の状態へと戻った。
「よーし、次はあんたの番だ!」
そう指さしながら言うと、ブロスは近くに居る全てのガーディアンを吸収、巨大なネビュラヘルブロスへとなってしまった。
「えぇ………でかくない?…」
直大はあまりのデカさに見上げながら呟く。
同じく同好会メンバーも同じことを思う。
「デカすぎじゃないですか!?」
「あんなに大きいのどうやって倒せば…」
「そもそもどういう原理で巨大化したんだろう…」
かすみや侑、璃奈が不安げに各々呟く。
だがせつ菜はどこか余裕そうだ。笑っているようにも見える。
そして、大きな声で言い放つ。
「直大さぁーん!!
敵側が追い込まれての巨大化は、敗北フラグです!やっちゃってください!!」
「フラグって……」
─恐らく、何かに影響されてその考えに至ったのだろう。
そもそも、巨大化は敗北フラグ!なんてそんなメタすぎるセリフはどうなんだとも思う。大体、これは現実なのだから、そのようなフラグが適用されるとも思えないが…
だがまあこの際、フラグだろうがなんだろうが自分のやるべきことは変わらない。
こういうデカブツには、あれこれ考えずぶっ壊すのが手っ取り早い。
「それに…こんな所で狼狽えてる場合じゃない。あいつとの約束があるからな!」
「……!先輩…」
挿入歌 ♬ IZANAGI~
─彼女と交した願いは、
褪せぬ、
直大は闘志を燃やすと、再びプールの水を吸収、そのまま全身に水を包ませ、水柱を上げる。
そのタイミングで巨大化したブロスは直大に向かって大きな腕で振り下ろしてきた。
「よっ!」
直大はそれに素早く、足で地面を蹴って避ける。
さらに、ニンコマソードガンを手に持ち、忍術を発動。
『分身の術!』
一人、二人、三人とどんどん数え切れないぐらいに直大は分身する。ブロスは増えた直大に混乱しながらも、拳で殴り飛ばす。
だが
「残念、それは俺の分身だ。」
ブロスは次々と分身体を倒していくが中々、本物にはたどり着けない。そんな中、本物の直大はその間に全身で吸収した水を背中に集中、十字型の巨大な手裏剣を生成させるために、直大は力を込める。
やがて、ブロスは全ての分身体を消滅させた。残るは手裏剣を生成している本物の直大のみである。だが、直大はもう手裏剣を完成させていた。
ブロスは一歩遅かったのだ。
直大は、すぐさま十字型で水を包み込ませた─巨大水手裏剣を手に持つ。
そして、速攻でドライバーのレンチを下ろす、それによって生成した水手裏剣がさらに大きくなる。
「これで…終わりだぁぁ!!!」
直大は高く空へ飛躍し、そう叫ぶ。
そして巨大な水手裏剣を持つ手に力を込めて投げ飛ばす。
ブロスも最後の悪あがきとして、エネルギーカッターを生成、そのカッターを丸い光弾に変えて放つ。それによって、水手裏剣と光弾がぶつかり合う。その衝撃はかなりのものだった。
同好会の彼女たちもその衝撃から来る風などから目を開けられないぐらいには。
「いっけぇぇ!!」
直大の気合いから、水手裏剣は光弾を追い返し、消滅させる。そしてそのまま、ブロスの胸部へと巨大な水手裏剣が命中。それによって、ブロスはジリジリと稲妻を走らせ、爆散。その爆散と同時に水が雨のように流れた。
「はぁ…はぁ…ふぅ~」
直大はネビュラヘルブロスという脅威を無事倒せたことで安堵の息を漏らした。爆散の影響で煙が巻いていたのだが、その煙も次第に無くなる。そこにはブロスが元の大きさに戻り、横たわっていた。それに直大はブロスの元へ向かおうとする。
だがその時、ある男が目の前に現れた。
「!…スカイ…」
「約一週間ぶりといったところかな」
黒髪に白メッシュの男──スカイであった。
スカイはそう言って、ブロスの横たわっている近くに落ちていた、ネビュラスチームガンを拾う。直大はそんな奴に問いかける。
「今度は何をしようとしているんだ…」
「さぁ…僕にも分からない。」
「……は? どういう意味だ!?」
「…ただ、こいつを回収しに来ただけさ。」
スカイはネビュラスチームガンを見せつけると、倒れているブロスへ空のボトルを向けた。すると、たちまちブロスであったものは人へ変わる。なんと、ついさっきしずくをナンパしていた男の一人だったのだ。
直大は心底驚くように声を漏らす。
「……!……正体は人だったのか…」
驚く直大を尻目にスカイは───
「さぁて、僕の任務はこれで終わりだ。
それじゃあ。また会おう。」
「おい!待て、話はまだ──」
話すことはもう終わったと示すようにスチームガンで煙を巻き、この場から消えた。
「スカイ……」
──人を使いネビュラヘルブロスに変えてまで、何をしたかったのか。
スカイにも分からないとはどういうことなんだ?
ただはぐらかしただけなのか、それとも本当に分からないのか。
疑問は減るどころから増えていくばかり。
でも…だからこそ奴のことを知りたいと強く思う。
「直大さぁーーん!!」
諸々考える直大だが、せつ菜を筆頭に自分の名を呼ばれたことで今は考えるのを辞めた。
そして、直大は戦いによって傷ついたウォーターパークを直すため、ドライバーのレンチを深く下ろす。
『スクラップヒーリング!』の音声が鳴り液状化、
それにより、戦いで傷つく前の元のパークへと戻ったのだった。
だが、直大は先程までの戦闘から蓄積されたダメージによって限界を迎え、その場で倒れ込んでしまう。
やはり、壊されたものを直すというのは、体にかかる負担が大きい。
~~~~~~~
「……はぁ……今日は疲れたなぁ…色々と」
─夕陽から差しかかかる光に当てられて、とぼとぼと足を運びながら星奈直大は呟く。
あれから、ネビュラヘルブロスから勝利を掴んだ直大は、限界を迎えて、その場で倒れ込んだ。次に目を覚ましたのは、少し前まで天高く空に上がっていた太陽が沈んで、オレンジ色の光で辺りを照らしていた頃だった。
要するに夕方だ。
「色々お疲れ様です。先輩!」
─先輩と彼を呼び、歩幅を合わせながら歩くのは桜坂しずくだった。そして、そのまま夕暮れの空を見ながら、今日のことを思い出すように呟く。
「でも…本当に…色々ありすぎましたね。」
「ああ。全くだ。
まさかこんなことになるなんて昨日の俺は思ってもなかっただろうな。」
ウォーターパークに来たかと思えば、謎の選手権が始まり、そこから逃げて泳いで、まさかナンパに出くわすなんて。
まあ、その後の怪物騒動が今日一の疲労に繋がっているとは思うが。
カイザーシステム。 そしてネビュラヘルブロス…
スカイも次のステップに踏み込んでいるということなんだろう。
そうなると、俺も現状のままじゃダメかもしれないな。
俺も強く。そして、あいつの事を少しでも知るためにもな。
ただ一番の問題は知る方法だよなぁ…
どうしたら、いいんだろ。
分からない…
「はぁ…」
思わず、ため息を零してしまうぐらいには分からない。
「先輩?」
「え、あ…うん…どうした?」
「それはこっちのセリフですよ。先輩。
あの……もしかして、また一人で何か…抱え込んでいるんですか…?」
桜坂は、勘が鋭いな。
ほんと…何でも見透かされてそうだ。
「あーいやまぁ。ちょっと考え事をな。まあ大した事じゃないから。」
今、そう言ったがそれは嘘。かなりの大した事なんだ。スカイと向き合いたいと思うからこそ。
でもなるべく心配はかけさせたくないから。今はそう言うしかない。
でも、限界まで考えて、悩んでそれでも分からない時、頼りたいなって思う。
まあでも実際、いざ頼ろうと思っても、ついつい素直になれず、頼るのを躊躇してしまう自分もいるんだけどな…
「そう…ですか。でも必要とあれば、いつでも私に話してくださいね。先輩の力になりますから!」
優しいな。桜坂は…ほんと「気配りも出来て、優しくて、おまけに可愛いときたもんだ。まさに完全無欠!ってな。
ほんと良い後輩を持ったもんだ…うんうん…ん?」
なんか桜坂の顔が真っ赤なリンゴのようになっていた。なんで?
何故顔を赤くしているのかは疑問だ。いやほんとになんでなん?
何も言ってないのに…
あ、もしかして、夏の暑さにでもやられたのか?
「か、可愛いって……///」
可愛い?……ん?
あれでも待てよ。もしかしてさっきのやつ─
「あ、」
──声に出てた…
ああああ!!心の中で言ったはずが…現実に現れたあああああ!!!
もうなんで…こう…なるのよ……
「あ、いやごめん。今のは本心?いや口が滑った?いやいや。まあとにかくあんま気にしなくていいぞ?」
それに俺が言ったことなんて、桜坂にとっては気にするものじゃないと思うけど。そんなに照れるもんなんだろうか。
だって俺だよ?
今をときめくイケメン俳優みたいな華やかさとか、かっこよさも無ければ、スポーツに長けた才能もない。
強いていうなら、曲と歌詞を作ることしか出来ない。(長けた才能というのもおこがましいけど。)
ただ数学が嫌いな平凡な高校生で凡人だと思ってる。
いやほんとに。
─などと心の中で申している直大と未だ顔を赤くしているしずくである。そんな2人の間にはなんとも言えない空気が漂っていた。
すると、2人より前に歩いていた彼女たちが近づいた。
さっきの2人の会話が彼女たちの耳に入ったことで。
「相変わらず、女の子をたぶらかしてるみたいね? 直大」
「はい?」
「無自覚って時に罪だよね。」
「え?」
「まあ、センパイに乙女の気持ちなんて、これっぽっちも分かるわけないのは知ってますけど…これはちょっとぉ…世間は許してくれませんよねぇ……」
「は?」
朝香先輩はともかく、侑だけには言われたくない!
あとかすみはなんだそれ。どっかで聞いた事ある言い回しだぞ。
─と心の中でツッコミを入れる直大。そんな彼に彼方は緩やか~に一言呟く。
「無自覚タラシってやつだね~~」
「…え……いやいや。」
─直大は全力でブンブンと手を振って否定する。「そんなことないでしょ!」と、だが愛や璃奈は深く頷き、同意した。
「確かにホッシーってそういう所あるかも。」
「りなちゃんボード![ソレな]!」
「えぇ…」
─その隣でエマは 「タラシって?」と?マークを浮かべていた。
そんなエマに気づいた直大は─
お、これはエマ先輩は俺の事を無自覚タラシだと思って無いのかもしれない。うん。きっとそうだ。いや~やっぱ頼れるのはエマ先輩だよなぁ……
──その頃、エマは疑問に思ったことを考えた結果、一つの結論を導かせた。
「あ、汚れをゴシゴシ取るアレのことだね!」
「…うんうん。この茶色ボディで増殖したカビや汚れをゴッシゴッシ!ってな!…ってそれはタワシぃい!!!…ですからぁあああ!」
「センパイが…ノリツッコミした……」
「これが、本場の関西ノリツッコミ…りなちゃんボード[感激]!」
「エマさん。直大のノリツッコミに…動じて…ない…」
「というか、理解がまだ追いついてないのか、キョトンとしてますよね。」
うぅ………
…ついつい、ノリに乗ってツッコンでしまった……
…入りたい。穴があったら…潜り込みたい!!
あと一つだけ、天王寺、俺は生まれも育ちも関東だ…
本場のノリツッコミの『ほ』の字も心得てないです。
「ホッシー……」
ん?なんだよ。いいぜ。どんな言葉でも受け入れてやろう。
「いいね!」
何があああああ!!
─そんな悶えている直大を尻目に、間髪入れず歩夢がエマへ解説した。
「エマさん。タラシと言うのはですね──
ちょっと歩夢……そんなことエマ先輩に教えなくていいから……
「はぁ…………ん?」
─今日一のクソデカいため息を零す直大へせつ菜は近づくと、
「直大さん!安心してください!例え無自覚でも!タラシでも!はたまた、タワシでも!直大さんはヒーローということは変わりありませんから!」
「ああ。うん。そうね……」
…それだと、イマイチフォローになってないんだよなぁ……
あと、タワシから離れなさい。
「はぁ……みんなボロクソに言い過ぎじゃない…?…一応これでもさっきまでボロボロに戦ってたのよ。えぇ…」
ほんとさっきまでの温度の変わりように驚く。
まあただ、こんな日常を守りたくて、戦ったからこそ、結果オーライではあるんだけど。
「そこはもちろん分かってるって。ね?みんな。」
─その問いかけに みなまで言うな と言わんばかりの頷きしかない。
「ありがとう直大!」
─その侑の感謝を筆頭に皆、笑顔で感謝をしてきた。
「……みんな……」
「直さん。こういう時なんて言うか知ってる?」
「……そ、そりゃあ。もちろん知ってるって…
えぇと……ど、どういたしまして…」
嗚呼、やっぱり…面と向かって感謝されるのは慣れそうにないみたいだ。
今後もきっと。
~~~~~
─帰る道中、どこかの会話の中で果林は言った。
「でもほんと、ヒヤヒヤさせてくれるわよね。直大は」
─それに歩夢は酷く共感した。
「あ、分かります。
直くんって、ホンっトに自分のことは二の次で……
もう心配する身にもなって欲しいですよ…」
─そう言って、ジト目で見てくる歩夢。
耳が痛い話だ。
「だそうよ? 直大 」
ここで話を振るとは、意地の汚い先輩っすね。
「あーいや…まぁ…」
言葉に詰まった。
何か言おうとしたけど、なんも言い返せん。事実だし。
ぐうの音も出ないとはこのことだ。
まあ…これでも、自分のこともしっかり考えてるつもりなんだけどなぁ…
それに…あの状況で俺が傷つくのはしょうがないと思う。
あの場でアレと戦えるのは、俺しか居なかったわけだし。
みんなを守るため、戦う上で自分が傷つくぐらいの覚悟は出来てるつもりだ。
ほら『撃っていいのは撃たれる覚悟のあるヤツだけだ』って言葉聞いたことあるだろ。
その言葉は、きっと戦いのことでも当てはまると思う。
強大な敵と戦うには、自分もそれなりの傷つく覚悟が必要なんだ。
誰かに拳を振るうというのは、それぐらい重いものなんだと思う。
俺は、遊び半分とか私利私欲の為なんかじゃなくて、誰かを守りたいと強く思うからこそ、この拳を振るう意味や重みを深く認識する必要があるんじゃないかって。
まあ、ただ…それでみんなに心配されているようじゃ…ヒーローとしては、まだまだ未熟。半熟玉子のように半人前だ。
ほんと、ヒーローとしての道はまだまだ険しいよ。
─歩夢にそう言われ、果林にも話を振られるが何も言い返せず、言葉に詰まり心の中で考えてしまう直大。
そんな直大を察してか、彼方やエマがこの場の空気を変えた。
「まぁ…無事勝てたことだしねぇ~~」
「無事で何よりだね!」
せつ菜たちもそれに続く。
「私は直大さんなら、負けないと思ってました!」
「うんうん。せっつーの言う通り!」
「あの大きな手裏剣…凄かった……」
「まあ、かすみんのセンパイですから!凄いのも納得ですよ。」
「かすみさん…凄いドヤ顔…」
「ん?なんか言った?しず子。」
「ううん!? 何も…」
無事、人々を守れたのはよかった。何事も誰も怪我もせず、犠牲者も出ずに。
ただ…一つ心残りがあるとすれば……
「でも…コンテストは守れなかったな……」
「先輩……」
そう。怪物騒動による、秩序の乱れ、混乱などから、開催予定だったお台場ビーチコンテストは中止になった。
ただ、ウォーターパーク内は修復されたことで損害はほとんど無く。
数日は定休することにはなったそうだが。
「ただまぁ……コンテストは中止になっちゃったけど、俺にとって…ビーチガールは……………
同好会のみんなだけどな。」
たった一人、一番を決めるのは、今の俺には出来ない。
みんな、それぞれの輝きを持ってる。
そんなみんなの輝く姿がたまらなく見たくて、大切で大好きなものだから。
勿論それは、スクールアイドルではない侑も輝きを持ってる。
みんなみんな、色とりどりの輝きがあるんだ。
だから、俺にとってのビーチガールはこの虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のみんななんだ。
それは、嘘でも偽りでもない。紛れもない真実だ。
「あ、そうだ。一番のビーチガールも決まったってことで、これからもよろしくな。その…
「…………え?」
─ニンジャはポロっと一言、演劇少女に言った。
たった3文字の彼女の名を。
~~~~~~
─突然の名前呼びという不意打ちを掛けられ、しずくは身も心も固まる。その場で1歩歩みを止めるぐらいには、動揺している。
ただ、ポカンと口を開く事しか出来ない。
遂に名前を呼ばれて、嬉しいはずなのに返す言葉も出ない。
ほんのり、耳も赤く染め上げてきた。
顔の周りも何故か、熱かった。
─そんなしずくの様子に彼は不安げに呟く。
「えぇと……何か、反応無いと、怖いというか…なんというか…
…あれ?もしかして…なんか…間違えた…!?」
「あ…いえ!そ、そうではなくて…」
慌てて否定に入る。それはブンブンと首を振るよう必死に。
「…ただその………どうして……」
「どうしてって…
忘れたのか? ほらビーチガールなった時の願い。」
自分で言い出したことだ。忘れるわけがない。
「…名前………呼びですよね。」
「そうそう。」
「でも、あれは…」
コンテストでビーチガールに選ばれたらっていう願いだった。
コンテストが中止になった今、その願いは無効なはず。
「いや、まぁコンテストは中止になっちゃったんだけどさ。」
「なら…」
「でも…さっき言っただろ?…俺にとってのビーチガールは同好会のみんなだって。
ってことは要するに!しずくはお台場ビーチガールってことだ。
だって、一番になったんだからな。」
なんというか、めちゃくちゃだ。ゴリ押しにも程がある。
そもそも、一番という割に全然、選べてない。
どうせ選ぶなら、たった1人を選んで欲しいとも思う。
…屁理屈のような。逃げなんじゃないかとも取れる。
ヘタレすぎだ。
でもそれが…私が好きになった人なんだ。
たった1人の。
「先輩……」
─彼は改めて告げる。輝く星のようにニカッとした笑顔で。
「だから、改めて、これからもよろしくな。
そもそも、このタイミングで言うのもあざとい。
ずるい、ズルすぎる。
あざとくて、ずるい。
でも……好き。
─彼女もまた、同じような笑顔で返す。
「はい!こちらこそ、よろしくお願いします!
ニンジャと演劇少女の関係がまた1歩進んだ。
僅かな1歩かもしれない、でもこの1歩は2人にとって大切な1歩なのだ。
続く………
前回、今回で夏の番外編は完結と言ったな、あれは嘘だ。
もうちっとだけ続くんじゃ……
といっても、本当に次で最後です。
さてさて、直大はシノビアクアの真の力を解放させました。
水を吸収して、水柱を上げる。水柱状態です。
全身に水を包ませたまま、戦う形態で、パワーもスピードも桁違いに変わります。ただ、水を大きく吸収出来る場所でないと、この状態には慣れないですが。
あれですね、ポケモンのサトシゲッコウガをイメージしています。
やっぱり、水で忍者といえば、これのイメージが強いんで。
最後の水手裏剣しかり。(初のポケモンがXYの民)
あと直大は相変わらず、ヘタレスキルを発動させすぎですね。
クゾザコヘタレナメクジめ。
誰か一人を選べる日は来るのかどうか…
因みにここまで描写してあれですけど、まだ決めてないんですよね。
誰がヒロインなのか。
まあ多分、話が進めば、決まっていくでしょう。(未来の自分へ丸投げ)
途中の、どこかの王様はご想像にお任せします。
話は変わりますけどあと少しで、終わっちゃいますよね。(寂しい。)
ということで、次こそ完結です!
ではまた次回。