仮面ライダーシノビ(ビルド) × 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~夢が始まり、虹が咲く場所~ 作:ラビラビfom
時刻は、18時半を過ぎた頃。
夏の思い出作りもこれにて終わり、後は帰宅するだけかと思っていたが、
ここで宮下が「よーし!今日はみんなで夕飯だー!」と言い出したことで、行先が駅から、お台場にあるデックス東京ビーチ付近へ向かうことになった。
ほら、あそこって色んなレストランとかあるし。
アクアシティにも直結しているから、とにかく何か食べる所を探すなら、そこへ行くのが1番楽だ。
道中、みんな思い思いの会話に花を咲かせていた。
今日あった事やこれからのことなどなど。
因みに俺はそんな、みんなの会話を小耳に挟みながら、夕焼けの道を歩いた。
やがて、デックス東京ビーチに着き、木材と同じ色で出来てる階段を登り、海側に広がるシーサイドデッキへと足を踏み入れた。
ここから、色んな景色が見える。建造物も。レインボーブリッジとか、東京タワーとかな。その中でも、デッキ内に鎮座されている、ODAIBAという大きく書かれた文字が光っていた。
いつも、空が暗くなると、光ってるよなこれ。
年中無休のイルミネーションってな。
「うわ~!ねぇ、みんな見て見て、」
そう言って、足を止めたのは、宮下であった。
「ん?なんだ?」
なんだなんだと、一同、宮下が指さす空へと顔を向けた。
するとそこには、鮮やかな紫色の空が広がっていた。
正しくは、夕暮れの赤いオレンジ色の光と空の青い色が混ざりあったような紫色。
「うわ~綺麗~」
エマ先輩がそう言った。
他のみんなも目をキラキラ輝かせるように、その鮮やかな空を見上げた。
どこか、この空に吸い込まれそうな、幻想的で神秘的な何かを感じる。
すると、 歩夢が疑問を零した。
「この空の名前ってあるのかな?」
「さぁ?あるんじゃないか?」
「調べた…、この空は逢魔が時って言うみたい。」
天王寺が瞬時にスマホで調べ上げた名前を言った。
ほぇ~何か、強そう。
王様になろうかな。
「へぇ…なんか不穏な名前だね。」
確かに歩夢の言うように何か災いが起こるんじゃないかと思えるような名前にも感じた。
この幻想的で神秘的な空から、余計そう思わせてくる。
「でも…綺麗だ。」
「ですね!!」
そんな、夕方と夜の狭間の綺麗な空を俺たちは見つめ続けた。
やがて、夕暮れの日がお台場の海に落ちると、中天を藍色の闇が満たし、月は高々とゆっくり昇り始めた。
どうやら、完全に夜になったようだ。
時刻は、いつの間にか19時の針を指し示していた。
こんな時間にもなると、いつお腹がグゥ~グゥ~鳴り響くか分からない。そろそろ進もう。
「そろそろ行くか。」
「だね。」
そうして、俺たちは、止めていた足を動かし、月の光が照らされた夜の道を歩き出した。
さぁて、何食べよっかなぁ……
今日の俺は、かなり頑張ったわけだし、ご褒美と称して、いっぱい食べよう。腹が減っては、戦は出来ぬって言うし。まあ、今日はこれから戦いの予定はないけど。
こう頑張った日は、ガッツリ食べたい。
あ、焼肉とかいいな。ああでも、ラーメンもありだってばよ。
オムライスとか?
ううん…選べん。
「ねぇ。」
色々な食べ物を思い浮かばながら歩いていると、朝香先輩に呼ばれた。
「なんですか?」
顔色を見ると、どこか真剣そうに見えた。
その真剣さに、ちょっとした緊張感が走った気もする。
だが、あえて、少しおどけてみるよう振舞ってみた。
え、なに? まぁたなんかやっちゃいました?
みたいな感じで。
そのおどけも意味なされず、朝香先輩は口を開く。
「ねぇ直大、さっきのしずくちゃんとの会話なんだけれど 」
「え、あれすっか。…それが何か…?」
何故今、さっきの出来事を。
しかも、朝香先輩が。
あ、さっきのしずくとの会話に思う所があったりしたのかな?
そう考えていると、先輩は驚くべきことを口にした。
それはもう、目が飛び出るぐらいには。(個人的な感想です。)
「直大は私たち″も″
これから、″名前″で呼んでくれるのよね?」
・・・・・・・・・?
………は?今なんて言ったこの人…
聞き間違えか? 聞き間違えだな。聞き間違えだろ。
うんうん。どうやら俺の中では満場一致だったようだ。
異議なーし!
はい解散ー!
ってしたかったけども、そういう訳にはいかず。
とりあえず、おどけてみよう。
リベンジだ。
「あの…今なんて? 多分聞き間違えかな…あはは…」
全く、最近耳が遠いのなんのって。
とおどけるように乾いた笑いをするが、朝香先輩は、それでは止まらなかった。
「だ・か・ら。これから名前で呼んでくれるんでしょ?…ふふっ…」
─どこか、からかうように近づいて、微笑みかけてくる。
あまりの近さに、一瞬時が止まった。ドギマギしたのかもしれない。
なんということだ…
…えぇと………1つ言おう、言わしてくれ
…なんでこうなったああああ!!
俺の心の叫びを誰か聞いてくれ。
もうはち切れそう、俺の心が叫びたがってるんだい。
ほんとになんでこうなったん…
─それからというもの、なんとか自分を持ち直し、果林から1歩引いて、直大は口を開く。言い訳をするように。抵抗してみせた。だが─
「…あーいや…それはしずくとの約束からで…先輩を名前で呼ぶとは…言ってn─「でも、確かさっき直大にとって、私たち全員がビーチガールと言ってたわよね?
なら、私たちも名前で呼んでくれても良いんじゃない?
”一番”なんだから……ね?」
─″1番″という文字を強調するように言うと、今度は不敵に笑いかけてきた。
でももへったくれもねぇと言い返そうとしたが辞めた。
それにしても、まさか、そこを突くとは…
誰だ、朝香先輩に隙を見せたのは!
俺だ…
「いや…でもですね…」
確かに隙を見せた、俺が悪い。が諦めん。
そんな抵抗も朝香先輩がみんなの方へ振り向いたことですり抜けた。
「愛たちはどう?」
─それは、直大から名前で呼ばれていない彼女たちに問いかけた。
すると、璃奈が一番に手を挙げた。
「私は呼ばれたい。直さんに…璃奈ちゃんボード[ダメ…かな?]」
うぅ……つぶらな上目遣いは反則だ。キラキラしすぎだ。眩しいぜ。
「あたしも呼ばれたいな!…なんて…実は今までなんで呼んでくれないんだろうって思ってたし。」
え…そうだったのか。てかなんでそんなしおらしそうなんだ?
「彼方ちゃんも同じく~だぜ。」
近江先輩まで…
「でもなぁ…」
─それでも納得しない直大は唸る。
そんな姿の彼に果林は言う。再び、真剣な表情で。
「私は密接に関わって、あなたやみんなと関係を作り上げてきたつもりよ。少なくともあなたのことを信頼しているわ。頼れる後輩だってね。まあ、今日みたいに危なっかしくて、心配もするけど。
要するに、私も愛達と一緒よ。
私は、”朝香先輩”より、もっとフランクに呼んで欲しいわ。ほら、どこか壁を感じるから。朝香先輩だとね」
その言葉に直大は、何も返せなかった。
それは、壁という言葉に引っかかりを覚えたからだ。
「……」
壁か……
その壁ってのは、今まで自分がライダーであることをみんなに必死に隠すために被っていた偽りの仮面のことだろう。
先輩はきっと、気づいてた。俺がその仮面を被っていたことを。
前に俺が仮面ライダーなんじゃないかと、疑ってたわけだし。
この仮面を被っていたのは、みんなを戦いに巻き込ませないため、そして、もう誰も失わないためだった。
もうこれ以上、悲しい思いをしたくなかったから。
だから俺は、わざと1歩引いたように苗字でみんなを呼んでた。
☼まあ、せつ菜たちは成り行きで下の名前で呼ぶことになってたんだが…☼
それと同時に気恥ずかしさがあったのもある。(しずくとか特に。)
まあ、その仮面も…みんなにシノビだってことがバレたあの日に剥がれたんだけど。
みんなに救われてな。
「これでも…難しい…かしら?
もし、難しいなら…これ以上はもう言わないわ。」
あなたが決めてと、口に出されなくてもそう言われている気がした。
実は、しずくを名前で呼ぼうとした時、あれかなり勇気を振り絞ったんだよなぁ…
まさか、こんな展開になるとは…
まあ、俺がオンリーワンを選べなかった原因から、朝香先輩に隙を突かれたわけだ。
いい加減、覚悟を決めよう。
「分かりましたよ。その願いも引き受けます。
果林先輩。」
──そう言って、直大はお返しとばかりに笑いかけてきた。
果林は何かが少しザワついた。
「……、」
─それを受けて、僅かに頬を染める。自分でも何故なのかは分からなかった。思ったより、破壊力があったのかもしれない。今まで苗字呼びであったから。
だが、染めた頬を彼に気づかれない瞬時の速さで持ち直す。
途端にいつものような、余裕のある表情へと戻すと、クスリと微笑むように返す。
「別に願いとは言ってないけど…ね…ふふっ」
ほんと、この先輩は侮れないな。
ふぅ…にしても、どもらずに言えてよかった、よかった。
さぁて、無事名前を呼んだわけだし。
足を進めよう。
「さぁ、みんな行くぞ~」
そうして、俺たちは足を踏み出した。
と言いたかった…
「直さん。」
そう言って、服の裾を掴む天王寺。
逃がさないぞという意思を感じる。
で、ですよね~ 。逃れられないっすよねぇ…
「えぇ~~その……り、璃奈。」
「むんっ!直さん。改めてよろしくね。」
一瞬どもりかけたが、なんとか言い終わると、天王寺─いや璃奈は満足気に言った。心做しか、嬉しそうに笑っているようにも見えた。
そんな彼女を見て、少し、妹を思い出した。
もうここには居ない妹の姿が重なった…のかも。
あれだな、璃奈はこの同好会の妹、と言ってもいい。
それぐらい、キュートってわけだ。
「じゃあ。次は彼方ちゃんの番だねぇ~~」
うう……
いいか狼狽えるな、星奈直大。精々当たって砕けろ。
自分を鼓舞したことで、名を呼ぶ。
「はい……彼方先輩。」
「は~い。直大くんの先輩の彼方ちゃんで~す~。よく出来ました。」
そう言って、柔らかい笑顔で微笑みかけられた。なでなでも同時に。
なんだろう、もし俺に姉がいたら、こんな風に褒められたり、したのかもなんて思った。俺は兄の立場だったからこそ、そんなたらればの想像をしてしまう。
璃奈が同好会の妹でエマ先輩がこの同好会の母なら、彼方先輩は同好会の姉といった感じか。
「ホッシー!あたしもあたしも!」
と宮下が太陽のような表情で催促するように言うと、目の前まで近づいてきた。
何か近くない?
「ち、近いから…離れろ………愛。」
こう、連続で異性の下の名前を呼ぶともなると、慣れてきた!なんてことはなく、普通にまだ恥ずかしい。
対して、みy─愛の反応とは言うと、
「………」
無言であった。
ん?あれぇ? 何も言ってこないぞ? 何どうしたの急に黙って、真顔ですよ。真顔。さっきまで、明るく催促してたのに。
と思っていると、次の瞬間、
「……うん。ホッシー!」
途端に表情が明るくなった。ぱあっと明るく、今にでも沈んだ太陽が舞い戻って来る気さえする。
ホントこいつもかすみに劣らず、表情が豊かだよな。
と下を向きながら、思う。
………ん?
何かの勘が働いたのか、思わず顔を前に向けた次の瞬間、目の前に愛の顔があった。それはそれは、めちゃくちゃ目の前に。相手の息がかかるぐらいの近さだ。
なんか妙な暖かさと柔らかい感触もする。
これは…
今一体何が起きたのか、瞬時に理解すると同時に体ごと1歩後ろに下がった。
何このフィジカル。やばいこのままだと倒れる──
─そう思った直大はなんとか足をグッと踏み込むことで倒れず、受け止めた。
─そう愛が助走をかけて、こちらへ飛び込むように抱きついてきたのだ。
慌てて、離れるように懇願する。
「お、おい、愛!急に抱きつくなって!!」
「愛さん何も聞こえなーい!」
「おおいっ!今答えたってことは聞こえてるだろそれっ。」
「知らなーい!」
抱きつかれてるから、顔は見えないがすげーふざけてるぞこいつ。
もうなんなん。俺の心の蔵が持たないんだけど。
何殺したいの?そうなの?
早く離れてくれませんかねぇ…
ああもう…
てか、こんなこと前にもあったな。
全く…相変わらず、距離感、バグり散らかりすぎだ。
ほんとに。
「ふふっ、仲良いいね。2人とも♪」
「愛さんと直さんは、いつもあんな感じ。」
「へぇ~~お熱いねぇ~~」
エマ先輩と彼方先輩が微笑ましいものを見るように言ってくる。
違うんです。俺と愛はそんな関係じゃないんです!
あとこら璃奈、サラっとホラを吹くんじゃないよ。
と喉から出かかると、ここでハッとした。
ここは公共の場なのだ。
もちろん、俺たち以外にも、人は居るわけで。
なんか、道行く人からの視線が凄いんだよなぁ…
それなのにも関わらず、なりふり構わずに抱きつきよって。
ああ。今すぐにでも、どっか消えたい。
それに、他のみんなからの視線も痛いんだが。
特にしずくと歩夢。
「先輩。たのしそうですね。ふふっ…」
「直くん?」
ヒェッ…笑ってない。笑ってないですぞ…
あと、歩夢さんのその名前呼ぶだけの威圧感はなんなの。
あ、なんかよく見ると、侑とかすみもなんか変な顔?してる。
「ふーん。」
「デレデレしちゃって。」
侑は何その、何かを察しましたよ、みたいな顔は。
絶対誤解してるぞそれ!
あとかすみ、俺は断じてデレデレしてないっ!
本当に少しもこれっぽっちもドキドキもドギマギもしてないです。
ん?
すると、 今通った人たちから、「うわなにあれ修羅場?」 「やば~」みたいなこと言われたんですけど。
違います、修羅場じゃないんです……うぅ…
た、助けて、生徒会長!と思い、近くにいるせつ菜へ微かな声で 「せつ菜~お助けを……」と助けを求めた。
そう助けを求めたものの、せつ菜はどこか上の空だった。
モヤモヤするような感じで何かを考え込んでいるようだ。
「せ、せつ菜さ~ん?…あのぉ… 」
再び、微かな声で呼ぶが全く反応はない。
え、何もしかして、見放された?
いや、辞めて見放さないでおくれぇ…(切実に)
そんな思いが枯れた葉っぱのように風で消え去ろうとした。
だが、そんな葉っぱに救いの手が。
「ほら、せつ菜、貴方のヒーローさんが助けを求めてるわよ。」
おおう!!ナーイス!レスキュー!
そんな果林先輩が話しかけたことでせつ菜は、ハッと我に帰ったようだ。
「……え、あ、はい!
愛さん。それぐらいにして、そろそろ行きましょう!」
「そうよ愛。直大にからかいがいがあるのは、分かるけど。」
そうだそうだ!離れろー!離れろー!
てか、からかいがいがあるって……やられる方はたまったもんじゃないんで…自重して欲しいんすけど…
「ちぇ~……」
そう言われたことで愛はどこか不満げだが、渋々と離れてくれた。
ふう~開放された。でもなんだろう、なんか名残惜しいな。
「ホッシー。」
ん? なんか改まって、俺を真っ直ぐ見つめてくる。
さっきと違い、どこか真剣だ。頬も少し赤く見えた。
と思ったが、それは気のせいだったようで、いつもの明るい太陽のような笑顔を見せる。
「さっきのは、ありがとうのハグで、そして、これからもよろしくって意味のハグ。だからよろしくねっ!ホッシー!」
……全く、それならそうと言えよ。変にドギマギしたわ。
でも、それが宮下愛という子だ。
スキンシップは、激しいし、たまにボケたり、ダジャレを突然ぶっ込んだりでツッコミもする方も大変だ。
でも、楽しいんだよな。一緒にいると、自然と笑顔になる。
だから…
「……ああ。よろしくな。」
これからも、見せてくれ、笑顔の絶えない、楽しいの天才を。
と、まあかっこよく返事をした(自称)次の瞬間、「グゥ~」と誰かの腹の虫がこの場に響いた。それに対して、せつ菜がクスリと笑うと─「お腹空きましたか?直大さん。」と、え…俺!?
え、なんで俺? 今のは俺じゃないはず。
と喉から出かかった瞬間、再び「グゥ~」と腹の虫が鳴った。
「あ…」
今、鳴り響いたことで、さっきの腹の虫は、自分から鳴ったのだと理解した。
妙な気恥しさが込み上げた。
なんか恥ずいな。
まあでも、ここは開き直って───
「ああ。腹が減り過ぎて、もうやばい。早く行こうぜ!」
「はい!行きましょう!!」
「よーし、
!
──そうして、星奈直大は、また足を進めた。それに続いて、せつ菜、愛、歩夢、侑、璃奈、しずく、かすみ、彼方、エマの順で歩み出す。
あとは、青髪でウルフカットの朝香果林、彼女ただ1人。
──するとここで、突然だが、果林はふと思う。
それは、仮面ライダーシノビである、星奈直大の危うさについてだ。
なんというか、今日の彼に危うさを感じた。
思えば、直大との出会いは、あの道案内からだったわね。
なんであの時、彼に道に聞いたのかは、今でも分からない。
でも、あの出会いからまさかここまで、直大と関わるなんて、あの時は思いもしなかったでしょうね。
今まで、彼には何かを隠すような偽りの仮面を被ってるように見えていた。
誰にも悟らせないように必死で自分を押し殺しているように。壁というか、違和感というものが私の中にあった。
だから彼をよく観察してた。気づかれないよう、自然に
彼を名前で呼ぶようにしたのも、どこか彼を知りたいと思っていたからなのかもしれないわ。
その隠していたものの正体が
『俺は…怖いんだ。また誰かを失うのが……もうあんな思い二度としたくないから…』
一体何が彼の過去にあったのかは知らないし、分からないわ。
でも、同時にもっと、彼のことを知りたいと。
まあ中々、話してはくれないけどね。
守りたいと思ったのもこの時だったわ。
今回、どんなに満身創痍だったって、周りを巻き込まないように戦って、結局自分一人が傷ついてた。
思えば、あの時もそう。あのサソリの子から、私とエマを守るため、逃がすために自分を犠牲にしてた。どんなに自分が傷ついても。
何が彼をそうさせるのか、正直の所、分からない。
〈
ね…
その
大切な人、身近な人なら分かる。
でも見ず知らずの他人に命をかけてまで守ろうとするのは、少し異常にも感じる。
自分の命を失うことに躊躇いがないといったところだろうか。
それで、みんなを守れるならと。
そこが正直、分からない。私にはそんなこときっと出来ない。
だけど、彼はその
でも、その
私たちは、結局の所、どんなに直大を守りたいと、思って行動しても、全く守れていないのよね。今回、それを凄い思い知らされたわ。
私たちに力があればとも思う。
でも、何も無い。無力だ。
彼の危うさも嫌という程、今日、分かった。
何となく分かってたつもりだったけど、まだまだね。
彼の性質を一言でいい表すなら。
自己犠牲の塊───
いつか、身を滅ぼすことになっても、おかしくない。
彼って、超がつくほどの不器用だから。
頼ることをついつい、遠慮して、自分一人で抱え込むぐらい。
まあ最近は、少しでも私たちを頼ろうとしているのは伝わるわ。
ほんの少し…だけね。
凄い子供っぽい一面もある。そんな彼をつい、からかいたくなってしまう。でもその中には、確かな強い思いがある。
さっきもそうよ。中々、名前で呼ぼうとしなくてウジウジとしてたと思ったら。急に真っ直ぐな目で見つめられるんだもの。
よく見ると、どこかかわいいというか中性的というか、そんな顔している彼でも、いざという時は、決めてくる。戦うときもそう。
男の子なんだと感じさせられる。
無駄にドキッとさせられっぱなしね。まあだから、仕返しに彼をからかうのだけれど。
要するに不器用──それが、これまで彼と接した中で分かったこと。
まあ、私が言えたことでもないかもしれないわ。
私も一人で抱え込んでいたから、
そんな私をエマたちが救ってくれた。
時にライバルで仲間の彼女たちに。
──思い出していたその時、偶然か否か、ある声が果林を呼んだ。
「おーい!果林ちゃーん!」
と少し離れた先から彼女の綺麗なエバーグリーンの声が透き通った。
これは親友のエマ・ヴェルデの声だ。
果林が中々来ないと思い、声をかけたのだろう。
「えぇ、今行くわ。」
そう言って、果林もまた、みんなを追いかける。
すると、さっきまで果林が考えた渦中にいた当の本人が話しかけてきた。
「…大丈夫ですか?」
何か考え込んでいるように遠目から見えたのか、心配そうに彼は口を開く。
ほんと、しずくちゃんが言う、直大はあざといと言うのには頷ける。
周りの空気に敏感なのかしらね。
でも…ある一定の思いには、かなりの鈍感らしい。
そこもまた、あざとい。
しずくちゃんも、大変ね。
こんな、鈍感ヘタレ忍者を振り向かせるのはかなり苦労するわね。
なんて、他人事のように言ってみたり………
まあそこは置いときましょう。
「ええ、ちょっとね。どうやったら方向音痴を直せるか、考えてたのよ。」
「なるほど……え!?いや何故に今…………まあでもそうですねぇ……」
そう言って、唸るように考えている直大。
素直というか、なんというか。
まあそれが、彼なんだろう。
「なんて、冗談よ。ふふっ…」
そう言って、子供が悪戯っぽく舌を出すように笑う。
「えぇ……なんですかそれ!?」
ほんと、彼をからかうのは、楽しい。
こんな日常が続くことを願う。
だから私は、いや私たちは彼を1人になんてさせない。
どんなことがあってもね。
──星が輝く夜空に果林は、1人決意するのだった。
これにて、長い夏の思い出作りの1日が無事に終えた。
1ヶ月以上あった夏休みもまた、終わろうとしている。
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その日の夜、スカイは、謎の人物?─エックスに問いかけた。
それは、今回のことについて。
「結局、何の意味があったんだい?」
「だから、言ったろ、ソレの実験、データが欲しいと。」
ソレとは、ネビュラスチームガンのことを指す。
データ、実験ね。
「言っとくが、僕はこれを使うつもりは無い。」
このアイテムを作ったのもこいつの指示から作ったもので渋々といったところだ。それに使うつもりが無いというより、使いたくないが正しいのかもしれない。こんなものを…誰が使うかと。
「だろうな。お前はそう言うと思った。だから、ソレの使用者を俺が選別した。」
「選別……しただと?」
「ああ。お前と似たような、思想を持った者さ。」
「僕に似た思想……」
一体、どういうやつなんだ。
それに、こいつは一体何を考えている。
思考が全くと言っていいほどに読めない。
「まあ、そう。気張るな。
安心していい、お前の理想を叶えさせる、それが俺の目的だ。
だから俺を信用しろ。」
そう言って、エックスは愉快に笑った。
信用…ね…
僕の嫌いな言葉だ。
「僕は……誰も信用しない。」
「そうか、まあそれが、お前か。」
信用なんて、言葉は偽りだらけだ。
たとえ、それが僕に戦うための知恵と力を与えた奴だとしても。
信用なんて…しない…してたまるか…
※※※※※※※※※※
夏の思い出作りから、1週間も経つと、夏休みは終わり、新学期が始まっていた。
そんな、スクールアイドル同好会の部室で、ある話し合いを行われていた。それは──
「スクフェス第2回の告知PVをオープンキャンパスで公開する…か…しかも、期日は…1週間とそこら、こりゃ、また大変そうだ。」
──少年少女たちの新たな試練という名の物語が今、始まろうとしていた。
そして、シーズン2へと続く………
はい。なんというか、番外編と言いつつ、番外編じゃなかった気が。
物語も動いていたり。色々何かをばらまいたりと。
必要な回だったというわけですね。
あとUA数が2万を超えてました。
ありがとうございます。これからも頑張る所存で行きますぜ。
それでは、次回からシーズン2 、テレビアニメ第二期の内容に入っていきます。
また次回。