仮面ライダーシノビ(ビルド) × 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~夢が始まり、虹が咲く場所~ 作:ラビラビfom
お待たせしました。
これより、シーズン2スタートです!
「…………」
暗い暗い、雨の夜、少年は公園で一人、泣いていた。
その公園で人を待っていた、何時間経っても、途中で雨が降っても、変わらず、人を待ち続けた。
たった2人の友人を───
どんなに雨に打たれても、その場を動こうとしなかった。
きっと、信じていたんだ。
一筋の希望を。心のどこかで。
だが、結局……辺りがどこまでも暗い、闇に染まっても、誰も来なかった……
少年は泣いた。
いや─実際は泣いていない、心が泣いていたんだ。
悲しくて、苦しくて、孤独で。
また自分は1人になってしまったと…また……孤独で何も無い空っぽな自分に……戻ってしまったと…
そんな少年に近づく者が一人居た。
男は言った、「君は今……1人か?」と
「……………」
少年は答えなかった。何も喋らなかった。
何かを察したのか、男はまた口を開く。
「うちに来い。」
そう言って、男は手を差し伸べた。
少年は何を思い、何を感じたのか、その男の手を取った。
また、信じようとした、人を…希望を…
だが、何年の月日が経ち、その手を取ったのが間違いだと少年は気付かされた。
少年は結局──どんな世界に変わろうと、孤独だった。
※※※※※※※※
──8月が終わった、翌日の9月1日、木曜日。
9月になっても、まだ夏の暑さは地続きしている今日この頃。
早く、秋になってくれと願う少年─星奈直大とそんな彼の幼なじみの上原歩夢の2人は、学校の校舎の階段を登っていた。
余談だが、さっきまで、彼のもう1人の幼なじみ高咲侑も居た。だが、途中で別れた。それは、2人と教室に向かうまでの道が違うからだ。
「今日から新学期…か…」
「なんか、嫌そうだね。直くん。」
「いやまぁな。こう夏休み明けの学校ってどこか憂鬱になる。ならない?」
「うーん…私はそんなに。むしろワクワクする…かな?」
オラ…わっくわっくしてきたぞぉ…ってやつ?
なに戦闘民族なの?急に金髪になるん?
「あ、でも今年は今まで以上にワクワクするんだよね。ほら、スクールアイドルフェスティバルの第2回とか、あと学園祭とかもあるし。なんだかんだ。2学期も楽しそうじゃない?」
「まあ……それは一理ある。」
去年と今年では、決定的に違うものがある。
それは、スクールアイドルという、一つの輝き、言わば大好きなものが出来たということ。
そう、今年の5月、俺たちはスクールアイドルの活動を始めた。
あ、俺はアイドルじゃないぞ。ってそんなの知ってるか。
歩夢の夢をみんなの夢を応援して、サポートするために。
俺と侑は、運動部にいるようなマネージャーという立ち位置でこの同好会に居る。
みんなの練習メニューを考えたり、体調面とか、あと何より、大きなことといえば、みんなの曲を作詞したり、作曲したりしている。
最近では、侑も。
そして、8月の夏休み真っ只中、俺たちは大きなイベントを成功に収めた。
みんなの夢を叶える場所─スクールアイドルフェスティバルを。
たった数ヶ月、されど数ヶ月、まさか、あそこまでの大がかりなイベントをやるなんて思ってなかった。これは夢なんじゃないか、なんて錯覚するぐらい。
まあ、もし夢なら覚めないで欲しいものだ。
それぐらい、俺たちの中でスクールアイドルという存在は、日に日に大きくなっている。
「ただ、スクフェス2に関して、告知をどうやるか決まってないけど」
さぁ、第2回やるぞー!!って意気込んで話を進めてはいる。ちょっとずつだけど。
そこで、第2回を開催する旨をどういう形で告知すれば、どどーんと盛り上がれるのかを今考えている。
ほら告知するタイミングって超大事じゃん?
告知したはいいが、タイミングを間違えて、あんまり広まらなかったりとか。まあ流石にそれはないか。まあでもどうせ告知するなら、ファンのみんなをドドーンと歓声が沸きあがるぐらい盛り上がらせたいよなぁ…
やっぱライブをした後にドーンと発表がいいのかも。
だがもしこのまま、決まらず、自然消滅なんてことにはならないといいな。
終わらないよね? 終わるなよ。スクフェス2!
なんーて、自然消滅はまずないな。これだけは言える。
「そのことなら、今日、みんなで話し合うみたい。せつ菜ちゃんからメッセージ来てたよ。」
「えっ、そんなの来てたっけ?
…あ、ほんとだ。来てたわ。」
スマホを見たら、全体のグループラ〇ンに投下されていた。
そういえば、せつ菜元い中川は、今日の朝、(今も朝ではある)生徒会の活動があったらしいな。なんでも、何かの集まりで。
「もう、ちゃんとしてよ。」
「へいへい。」
そんなこんなで、普通科2年の教室へと着いた。
教室に入ると、ある男子から声をかけられる。
「お、相変わらずの同時登校、熟年夫婦って感じ?さすがは幼なじみ。」
熟年夫婦? それは俺じゃなくて、侑と歩夢のことを指すんだぞ。
分かってないなぁ……
「はぁ…お前の減らず口も相変わらずだよな。えぇと…誰だっけ?は……は、橋本さん?」
「おい!それわざと間違えてるだろ。羽島だ。羽島!」
「あぁ。そういえばそんな名前だったな。」
こやつとは、いつもこんな似たようなやり取りをしている気がする。
とりあえず、忘れている人もいるだろう。こいつは同じクラスメイトの
一応、恩義はあるんだが、本人がこんな性格だしな。
「全く、酷いもんだぜ。あれ?そう言えば、高咲さんは?」
「ああ。侑なら転科したぞ。」
そう、侑は、あの転科試験を無事通過し、晴れて普通科から音楽科へと転科となった。今頃、音楽科の教室に登校しているだろう。
だから、元々俺の席の前にあった侑の席である机と椅子にはもう誰も居ないというわけだ。
「え、そうなの!?」
そっか、クラスメイトの大半は知らないか。
夏休み中に転科すると決めたわけだし。
突然、新学期になったら、居ないんだもんな。
驚くのも無理はない。
「ああ。音楽科にな。」
「へぇ、音楽科に…これは、うちのクラスの女子が泣いちゃうなぁ…」
「え、なんで?」
「いやほら、高咲さんって、うちのクラスの女子の中で密かに人気あったのよ。」
「そうなのか。」
まあ、あいつたまにキリッとした目をしてる時があるし、男の子なの?って錯覚することもある。特に中学の時は、今みたいにツインテールの髪型ではなく、男っぽい短髪だったから余計に。
「あ、そういえば音楽科といえば、音楽科に留学生が来るらしい。いつからかは知らないけど。」
「留学生?」
「ああ。なんでも、音楽界ではかなりの有名人らしい?」
「ほぉ~ん。有名人ねぇ…」
「あ、そうそう。うちのクラスにも転校生が来るって。」
「転校生?」
転校生か。俺も中学の時に1度転校したっけな。侑たちの居る中学に。
というか、そんな情報、どこから仕入れたんよ。
なに?情報屋なの?サッカー部部長からジョブチェンジしたの?
「女子かな。女子だと、いいなぁ……」
出会った時から変わらずのチャラ男具合に頭を抱えた。
全く、チャラチャラしおって。つけ麺でも食っとけ。
「はぁ…相変わらず。女好きというかなんというか。」
そう呟くと、羽島は眉間に皺を寄せて、反論した。
「はぁ?星奈はいいよな!女の子だらけの同好会で…さぞかし楽しいんだろう。俺なんてサッカー部……男ばかり。…うぅ…このハーレム野郎。」
ハーレム野郎だ…と…
なんだその不名誉な呼び名は…
大体、アニメのラブコメ主人公じゃないんだから…
そもそも、ハーレムなんて築いた覚えはない。築けるわけがない。築くつもりもないし。
「あのなぁ、別にみんなとはそんな関係じゃないぞ。
なんなら、男1人で肩身狭いまである。あ、そうだ。男子の新入部員でも勧誘してこよっかな……」
そろそろ。新入部員の1人や2人増えてもいい頃合いかも?
まあ、これ以上増えるとあの部室じゃ狭くなりそうだが。
「そんな関係じゃない、ねぇ…どうだか。」
「俺がモテるとでも? 天と地が裂けてもないだろ。」
俺がモテるわけないんだよなぁ……
第一俺とみんなじゃ、釣り合わない。
月とスッポンだ。因みに俺がスッポンな。
その発言に羽島は酷く納得したように腕を組み、口を開く。
「まあ…それもそうだな。」
「納得されても腹立つな…」
まあ事実だからしゃあないけど。
「あ、そうだ!星奈!」
「ん?」
急にテンション高いな。
どした。
「次のライブが決まったら、俺に1番に教えてくれよ。」
「え、別にいいけど。え、なにもしかしてお前。」
まさか…と何かを察したように目線を向ける。そんな羽島は、後頭部をポリポリと掻きながら言う。
「いや~実はこの前のフェスティバル見たらハマっちゃってさぁ……特に朝香先輩!なんか、溢れ出る情熱!みたいなパフォーマンス。そして、あのスタイルの良さ。正しく、オトナのお姉さんって感じ。くう~最高だぜ!」
どうやら、あのフェスティバルでまた1人堕ちたみたいだ。
スクールアイドルという沼に。
「あと、あれ曲がいい。ViViD WORLD!くぅ~…作ったやつは分かってるなぁ…って」
「そりゃどうも。まさかそこまで、羽島に言われるなんてな。」
「いやいや、俺って、案外星奈のこと買ってんのよ。」
「そうか…」
また変にむず痒くなってきた。
人から褒められるのは、慣れない。
「まぁ、そうだな。果林先輩に伝えとくよ。うちのクラスメイトが先輩に堕ちたみたいですって。フルネームで。」
だが、羽島はブンブンと手を振った。
「いやいや、そこまでしなくていいって、俺は推しに認知されたくないタイプのオタクなんだって。」
「なんだそれ。」
まあ、誰もがそれぞれの推し活の流儀があるってことか。
「あ、私もライブやる時、教えて欲しい!」
──直大たちの会話が聞こえていたのか、クラスメイトの女子がそう言う。それを皮切りに、女子たちが「私も!」とか、男子からは「俺も教えてくれ~星奈ー!」とかなどを言い、いつの間にか直大を囲っていた。
「あぁもう分かった…わかったから一斉に言うなって…」
──何とかクラスメイトを宥めようとする直大である。
でもまさか、クラスメイトのみんながこんなにもスクールアイドルへの熱が凄いことになってるなんて。
夏休み前の教室じゃ考えられないかもな。
まあそれだけ、スクールアイドルの起こす力は凄いってことだ。
「ふふっ…大変そうだね。直くん。」
「笑ってないで助けてくれよ。歩夢…」
てか、なんでみんな、俺を囲むんだよ……はよ離れい…
──未だにクラス中に囲まれる直大を見て、歩夢は微笑む。きっと歩夢もまた、同好会─いや、スクールアイドル自体の人気が上がっていることを肌で実感し、嬉しくなったのだ。
そんなタイミングで、このクラスの担任がやってきた、と直大は思ったが違った。クラスメイトもまた、それに気づく。
「ほらそろそろ席につけ~」
──その一声にクラス中はとりあえず、自身の席へと座り始める。
あれは…確か、しずくが所属している演劇部の顧問、蛇坂先生だ…
今年の4月からうちの学園に着任。普通科では、世界史など社会科目を主に担当している先生だ。
演劇部の顧問なのに国語じゃないんだと思うだろう。俺もそう思う。
そして、学園内で俺が仮面ライダーだと知る、数少ない人物の一人でもある。
でも、なんでうちのクラスに?
──そう思っているのは、直大だけではなく、クラス中も同じことを思っているようだ。何故此処に?と。そして、うちの担任はどうした?と。
「驚いている人も居るだろう。実は、前任の先生が育休に入った。
そのため、残りの期間(2年生の)を私が、受け持つことになった。」
なるほどな。
国が法律で定めた制度ってやつをフル活用したというわけか。
そういえば夏休みに入る前に、最近子どもが生まれたとかなんとか言ってたような気がする。
にしても、自分の子どもが生まれるってどんな感覚なんだろうか。
うーん…
イマイチ想像出来ないな。自分の子を持つってことに。まあ、そんなことを考えるよりも前に俺は結婚出来るのかどうかも。というかそもそも彼女すら出来るか微妙だ。
いやそれ以前に俺の将来は一体どうなって……
辞めよう。こういうことを考えると鬱になりそうだし。
あぁ…将来のことなんてクソ喰らえ…
もう考えるのや~めた。
「多分ほとんどが知ってるとは思うけど、これから君らの担任になる、
ということで結果として、蛇坂先生が俺の、2年Dクラスの担任となった。
そんなこんなで、新学期の始業のベルが鳴る。まずは、新学期明けのHRからだ。今日の日程としては、その後始業式を行い、後は解散といった形だ。
2年生の2学期…か。
3年間の学校生活と大きく見れば、ついに折り返し地点といったところだろうか。ほんと時間というのはあっという間だ。
ちなみにもう既に蛇坂先生はクラスに馴染んでいるようだ。
まあ、1学期からこのクラスで何度も授業しているわけだし、馴染むのもすぐなのは納得出来る。
それに、蛇坂先生って結構気さくな人なんだよな。生徒の心を掴むのも上手いというか。
軽く雑談をすると、蛇坂先生は先程羽島が言っていた、転校生について触れた。
「さて、今日からうちのクラスに仲間が出来る。」
そんな蛇坂先生の言葉にクラスメイトがザワザワし始める。
男子からは、「女子かな」「可愛い子がいい」とか。
逆に女子からは、「イケメンがいい」なんて言ってたり。
「ねぇ、直くん」
「ん?」
──小声で歩夢が隣の彼へ話しかける。
直大の右隣の席は歩夢。列の最後尾で窓際。ここから見える空の景色も中々に良い。
「どんな子だろうね。」
「さぁな。」
「直くんも女の子が良いって思ってる?」
「別に、誰でも構わん。」
「そっか。」
──2人は今までも、席が近いと、こういう形でよく話すのだ。
次第に教室中に生徒の話し声が大きくなり始めたところで、先生が声を上げた。
「ほら静かにせい。とっとと紹介するから。ちなみに男子2人だ。」
男子2人という言葉から、クラスの男子たちは「えぇ~」と不満そうに口を尖らせる。
別に男子でもいいだろうに。
「入っていいぞ~」
先生がそう言うと、転校生は言われた通り、教室の扉を開き、中へと入ってくる。あれ?2人って言ってたけど1人しか居ないな。
「あれ?もう1人は?」
先生も同じことを思ったらしく、転校生に聞く。が、転校生は知らないといった感じだ。あ、あれかな、転校初日で遅刻するっていう、アニメでよくあるやつ。
「まぁいいか。じゃあ取り敢えず、簡単に自己紹介、お願いしていいか?」
その問いかけに転校生はと言うと。
「はぁ……」
ため息だ。心底、面倒臭いという訴えが肌で感じた。
まあ、確かに自己紹介はめんどくさいよな。分かる。
ちなみに転校生は、どことなくオーラがあった。
なんだろう。ドス黒い何か?みたいな。よく分からないけど。
「……
転校生─元い夜崎怜斗は少しダルそうに自己紹介をする。だが、名前を言ったのみで。それ以降は何も言わなかった。どこから来たとか。そういうよくあるテンプレを。ただただ教室中に沈黙が訪れる。
おそらく、今この場で全員思っただろう。
『『『(自己紹介)それだけぇ!?!?!?』』』と。
そんな、訪れた沈黙を破ったのは、蛇坂先生だった。
でも、どこか苦笑気味に。
「…これから、よろしくな。夜崎。みんなも夜崎のことをよろしくな。さて、夜崎の席は……と……あそこだ」
蛇坂先生が軽く、教室中を見回す。やがて、空いてる2つの席を見つける。1つは、元々侑の席だった、俺の前の席。もう1つは、そことは全然違う場所にある廊下側の席。
蛇坂先生が指さしたのは後者だった。
ということは、俺の前にはまだ顔も名も知れぬ、もう1人の転校生が座るということなんだろう。
☼☼
──そうして、夜崎怜斗は指示された自分の席は向かうと誰もが思っていた。
だが、彼は指示された席とは別方向へと足を運ばせた。
やがて、窓際の最後尾の席の前へと立つ。そして、その席に座っている男子生徒に向かって、言い放つ。
「あんたが星奈直大か。」
──再び、この教室中に沈黙が訪れた。
・・・・・・??
──急に自分の名前を呼ばれた直大は困惑すると同時に1つ疑問が浮かんだ。
何故、自分の名前を知っているのかと。
数秒たち、沈黙を今度は直大が破る。
「え?……そう…だけど。…なんで俺の名前を?」
──当然の疑問を口にしたが、彼はその疑問には答えず、鼻で笑った。何かを確信し、バカにしたような笑みを。
そして、彼はそのまま直大へ背を向けると──
「………弱そうだな。」
──そう捨て台詞のようなものを吐くと、彼はようやく自身の席の方へと足を運んだ。
「………??」
え、なにいまの?え、ほんとになに?弱そうってなに?
どういうことなん????
──結局直大の疑問は晴れることはなく、2学期最初の学校は終わりを迎えた。
余談として、今日、もう1人の転校生が教室に登校することはなかった。
続く……
はい。17話前編でした。
直大たちのクラスでの描写って何気に初だったりしますね。
これからは、増えていくかも。
一応学園ヒーローモノ?なので、転校生イベントを盛り込んでみました。
一体彼は何者なんでしょうね?
それもまた、物語が進めば明かされていくでしょう。
続きは今週中に投稿する予定です。
では、また次回。