仮面ライダーシノビ(ビルド) × 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~夢が始まり、虹が咲く場所~ 作:ラビラビfom
ギリギリ今週で投稿出来ましたぜ。
この世界は、悪意に満ちている。
─ある人がどこまでも広くて、壮大なこの世界を美しいと言った。
だが、僕はそうは思わない。
欲望、恨み、妬み、裏切りといった人間の醜い悪意がこの世界には存在する。とてもじゃないが、美しいとは到底思えない。
人の醜い悪意が、この世界を濁らしているのだ。
美しかったはずの自然も景色も人間の身勝手な都合という名の醜い欲望、エゴで汚染されていく。
それだけじゃない。人は自分に無いものを待っている者に嫉妬する。挙句、自分がそれを持っていないからと、持っている他者へ平気で攻撃する。馬が合わないから対立する。そして、強者側に居たやつが周りと群れて、たった1人の弱者を寄ってたかって攻撃するなんてこともある。
いわゆるいじめというやつだ。
自分が気に入らないから、いじめられる相手が悪いからと、自己都合な言い分を正当化する。悪びれる様子もなく、人を攻撃するんだ。
そして、何より僕が言いたいのは、人は平気で裏切る生き物だということ。
人は、自分が何より大切なのだ。
例えば、心から信頼している友人が居るとしよう。だがある日、その友人が自分にとって、都合の悪いことが起こった。
すると、その友人はたちまち、友を裏切った。自分に都合が悪くなると、どんなに仲が良くても、友を簡単に裏切れる。
自分が何より大切だから。保身に走る。自分は助かろうとする。自分が標的にされないように。いじめでよく聞く話さ。
そして、これが1番人間の本性がより濃く出ることがある。
それは、自分の命がかかっていると分かった時だ。
どんなに関係を築いていても、又は互いに親友だと認め合う仲でも、同じだ。裏切るんだ。言ったろ、自分が何より、大切だから。
口では、俺たち親友だよな!とかどんなに綺麗事を並べようと、心の内では自分さえ良ければいいと思っている。
そんな悪意を持った身勝手で醜い人間がこの世界には何千何万と存在している。それがこの腐った世界さ。
この腐った世界では、強者が正義、弱者など見向きもされない。
僕もそうだった。
危険を犯してまで、他人を…弱者を守ろうとする、そんなお人好しはこの世界には誰一人として居ない。
そう思っていた。
星奈直大───彼だけは違った。
どんなに自分がボロボロになろうと、たとえ命を失いそうになっても、見ず知らずの他人だからとか関係なく。
等しく、人間を守ろうとしている。
彼だけは、手を差し伸べている。
たとえ悪意を持った人間でも、自分自身を嫌っている人間までも分け隔てなく守ろうとする。それが、弱者でも。
いわば、自己犠牲の精神を持ち合わせたバカでお人好しだ。
彼みたいな人間はそうそう居ない。
居るとしたら、彼の仲間くらいなものか。
僕は、そんな彼が好ましくもあり、それと同時に嫌いだ。
綺麗事ばっかり吐き捨てる。
『人は変われる!どんなことがあっても!』
『人はいつか分かり合える、だって、同じ
しまいには、 『誰もが笑い合える明日─Love & Peace 』のために戦うと言った。それが彼の叶えたい理想だと。
バカだと思った。叶えられるわけがない。人なんてどんな天変地異が起ころうと、分かり合えるはずがないのだから。
彼は現実が見えてない。
だから、平気で愛と平和なんて言葉を口にする。
綺麗事を吐き捨て続ける。
だから、僕は彼を潰す。そんな理想なんて叶うわけないと、証明をするために。
そして、僕の理想…
誰も踏みにじられない世界を叶えるために。
「まさか、お前が素直に命令を聞くとはな…」
─謎の人物?エックスがある作業をしているスカイへと話しかけた。
声が聞こえたスカイは動かす手を止めて、エックスへ言い返す。
「別にあんたの命令だからじゃない。
「そうか」
あのスクールアイドルフェスティバルとやらが開催されたあの夜、僕の前に現れた謎の存在エックス。かれこれ、奴が現れてから2週間以上が経ったが、変わらず思考は読めない。奴は、僕の理想を叶えるのが目的だと言っていたが、信用は出来ない。
もとより、誰も信用しないのが僕だ。
「そろそろ俺を信用して欲しいものだねぇ…」
─どこか、ふざけるような口調で言う。
こんな、奴のふざけた態度には慣れた。まあたまにイラッと来るが。
「言ったろ。僕は誰も信用しないと。」
「それは、自分自身も含まれているのか?」
「……」
言葉に詰まる。
何故だ。こんな奴の揺さぶりに何も言い返せない。
なんでだ…
なぜ…
いや…違うな…図星だったんだ。
「そう…かもね」
ほんとは、分かってた。
僕は他人を…人を信用しない。どんなことがあっても。
そして、心の底から僕は……自分すらも信用していないんだ……
何もなくて、空っぽで、偽りだらけな自分を。
たった一つ信じられるのは、僕の叶えたいと思った理想だけ。
この思いだけはホンモノだ。
理想を叶えるためなら、僕は信用していない奴であろうと、利用する。
利用してやる。
すると、唐突にこの場の扉が開く。
開いた瞬間、この場に純粋な黒髪で前髪を下ろした男が入ってきた。
「はぁ……ほんと辛気臭いっすね。ここは…」
入ってくるなり、ため息をこぼす。
スカイはそんな男に向かって、目線を向ける。
「お前か……」
「そんなイヤそうな顔しないで下さいよ、センパイ。」
「辞めろ、僕は君の先輩になった覚えはない。」
センパイと言う言葉に妙な気持ち悪さを感じ、スカイは否定する。
すると、男はスカイの肩に手を置くと、どこか煽るように口を開く。
「いやいや、俺より先にあの方に選ばれたんですからセンパイッスよ。…ふっ…」
嫌味にも取れる言い方にスカイは嫌悪感を抱く。
彼が言うあの方とは─おそらく、エックスのことを指すだろう。
「……」
選ばれた……か
…違うな…僕は僕自身で選んだ道だ。
誰かが敷いたレールを歩んだ覚えはない。
僕の決めたレールに沿って、進んでいる。
「君と、一緒にしないで貰いたいね。」
こんな素性も知らない奴と一緒になどされたくもない。
さて、この生意気な奴は一体誰なのか。
そうこの男はエックスに連れられて、数日前、僕の前に突然現れた。
エックスが言うには、僕と似たような思想を持ったものらしい。
それがほんとなのかどうか、分からない。
どこか、態度は生意気な後輩みたいな印象。
まあ僕は、こいつの先輩でもなんでもない。ただの他人だが。
彼のことについて、僕は何も知らない。
いや、どうでもいいといった所だろうか。
興味が湧かないんだ。
僕が唯一興味のある他人と言えば、やはり
出来もしない、理想を綺麗事を語る彼に僕は心底、興味が湧く。
何故、そう思ったのかは、僕自身も分からない。
感じたことのない、感情が僕に芽生えているのかもしれないね。
そんな考えに更けていると、男は僕が操作しているPCを見るなり、何かを思い出しかのように催促し始めた。
「あ、そうだ早く、スマッシュの研究終わらせて、新たなガスを生成してくださいよ。」
新たなガスとは、僕が今、研究しているものだ。もっともエックスからの渡された情報元から生まれたものだが。
新たなといっても従来のネビュラガスを少し改良したもの。
要するに戦いも次のステップへと上がるということさ。
僕の理想を叶えるためには、力が居る。
誰にも負けない力が。
「仮に生成出来たとして、君に使わせるわけがないだろ。」
「そりゃないっスよ。センパイ~」
ほんと、彼のセンパイという呼び方に吐き気が出る。が、気になることが1つある。聞いてみるとするか。
「1つ質問しよう、君はなぜここに居る。」
僕と似たような思想の持ち主とは聞いているが。
何を考え、何を目的としているのか、
そこが分からない。分からないままも気持ちが悪い。
「早く壊したいんすよね。
幸せそうにしている奴らを……
大嫌いなんすよ。…この理不尽な世界が。
お願いしますね。センパイ」
──男はそう言って、この場を後にした。
さっきのどこか生意気でおちゃらけた、雰囲気とは打って変わり、彼から湧き上がる闇の一端が垣間見えた気がした。
ほんと、人間は信用出来ない。君を見ていると、その考えがより強固になるよ。
「俺としては、お前らに仲良くして欲しいんだがねぇ…」
──エックスは今までの2人の会話見て聞いてそう言った。
「仲良く…ハッ………ないだろ…
あれは…僕が嫌う人種さ……」
──スカイの物語は次のステージへと向かおうとしていた。
※※※※※※
─時刻は、13時過ぎ。
2学期最初の学校は、午前中で終わった。そのため、部活など学校に予定の無い生徒は帰宅している。
そんな中、久しぶりに学食で昼を済ませた直大、そして歩夢と侑の3人は、足並み揃えてスクールアイドル同好会部室へと向かっていた。
数日休みだった同好会の活動が今日から始まるのだ。
向かう道中、歩夢はふと直大へ呟く。
「結局、なんだったんだろうね。あれ、」
あれとは、おそらく朝の転校生の話だろう。
「さぁなぁ……」
もしかして俺って見た目弱そうなんだろうか。
前にプール行った時に出くわしたナンパ師たちにも、なんか凄い舐められていた気がするし。
「なぁ歩夢、俺ってそんな弱そう?」
そう聞くと、歩夢は首を横に振った。
「全然、直くんは強いよ。とってもね。だって、私たちを何度も守ってくれたんだもん。」
「そうか……」
当然、何がなんなのか分からない侑は、頭に?マークを浮かべる。
「?…なんの話?」
「今日うちのクラスに来た、転校生の話。確か
その夜崎って転校生に『あんたが星奈直大か…』って何故か鼻で笑われて、オマケに『…弱そうだな』って。言われたんだよ。」
なんか、思い出したらムカムカしてきたな。初対面の人に向かって鼻で笑って、しまいには弱そうって。酷くない?
「へぇ~転校生来たんだ。でも、聞いた感じ直大の知り合いじゃないんでしょ?」
「ああ。完全の初対面。全く、親の顔が見てみたいとはこの事だ。」
もうプンプンだぞ。おこだぞ。
まあ、でも俺が弱そう…いや─弱いってのは、その通りではあるんだがな。
「あはは……あ、もしかして直くんのファンだったりして!」
「ないだろ。第一俺は、アイドルじゃないんだ。世間に顔出しもしてないし。ファンなんて出来るわけがない。」
俺は日の目を浴びるより、影でサポートに徹するほうが一番しょうに合ってるんだ。
絶対顔出しなんてしないもんね!
~~~~~
それから、スクールアイドル同好会一同、部室へ集合したことで優木せつ菜が話し合いを始めた。
「オープンキャンパス…?」
開口一番に侑が首を傾げながら復唱する。
何やら、せつ菜の話を聞くと、学校説明会─オープンキャンパスをこの9月11日、日曜日に開催するようだ。学園の魅力を受験生に伝えるための行事だ。
その当日の大まかなことを今朝、生徒会に集まって話していたという。ただ、生徒会だけでは、人手が足りないということで、今日からオープンキャンパスの実行委員を募集するそうだ。
活動は来週かららしいが。
そして、何より俺たちにとって大切なのは、オープンキャンパスの中で行われる部活動説明会というものだ。
受験生に向けて、数ある部活の魅力を伝えるという役目がある。もしかしたら、部活が決めてでうちの学園に入学を決意してくれるかもしれない。1人でも多く、入学希望者が増やせれば御の字といったところ。
このように、部活動説明会で俺たちスクールアイドル同好会も何かしらやるということのようだ。
せつ菜的には第2回スクールアイドルフェスティバルの告知もしたいそうだ。
「なるほどな。」
せつ菜の説明も一通り終えた。周りを見ると、みんな理解できたようだ。
すると、愛が何かを見上げるように呟いた。
「オープンキャンパスかぁ…なんだか懐かしいなぁ…」
愛にとって 約2年前のことか。
「私はどういうのか、イマイチ分からないかも。」
オープンキャンパスというものにイメージが持てないといったところらしい。
あぁ、確か璃奈はニジガクの中等部からの内部進学だったもんな。見に行ってなくてもおかしくはないかも。
それに
「奇遇だな。俺もだ。」
「直さんも?」
「ああ。正確には俺たち…かな。
な、侑、歩夢。」
2人を呼びかけると、侑が思い出したかのように同意した。
「そういえば、私たちってオープンキャンパスとか行かないでここに決めたよね。」
「私は、行った方がいいって言ったんだけど。直くんも侑ちゃんも面倒くさがって。」
「まあ……な…」
「では、先輩たちは何を決めてでここに?」
そこにニジガクがあったからさ。(キリッ)
冗談はさておき…
「確か…家から近かったから…だったような。」
あの頃は特にやりたいこともなかったし。
家から近いし、校舎も広くて綺麗だしって言う理由で惰性的に選んだ気がする。
─思ったよりも、緩い理由で選んだことに彼女たちは驚く。果林に至っては、頭を抱えていた。
「なんというか、凄いわね。あなたたち。いつか大物になれるんじゃない?」
「いやいや…」
そう簡単に大物になれるわけないですって。
──そんな他愛もない会話を挟みながらも、話は進む。
「それで、俺たちは何するんだ?」
まあ、聞くまでもなく、やることと言えばあれしかないだろうが。
そんな俺の意思と同じだと言わんばかりにかすみが言い放つ。
「もちろん決まってますよ!ライブです!!」
「まあ、それしかないよな。」
そのライブの後の盛り上がりが覚めやらぬ中、どどーんとスクフェス第2回の告知も出来る。
同好会や虹ヶ咲へ対して、受験生の心を鷲掴み且つ、さらに盛り上がれる情報を流せるなんて、一石二鳥だ。
「当日は、講堂使えるんだろ?せつ菜。」
「……まあ…そうですね…」
なんとも曖昧で煮え切らない返しだ。
「なんかあるのか?」
「…それがですね。──────」
せつ菜は、事情を話す。
「あぁ…そういえば……講堂を使いたいと思うのは俺たちだけじゃないよなぁ……」
盲点だった。
そう、虹ヶ咲は、生徒数がヤバいぐらい居るマンモス校だ。
つまり、必然的に学園内に存在している、部や同好会もかなりの数だということ。クラスの人数が40人前後なら、部活動の数はそれ以上といっていいだろう。
そして、行事ごと等で講堂を使おうと考えている者は、かなり居るはずだ。全ての部や同好会が講堂を使えるかどうか、考えるまでもなく、NOだ。時間的にもそれは許されない。じゃあどうするのか。
それについて、講堂が使えるかどうか、くじ引きで決めるそうだ。要するに完全なる運で決めるということだ。
まあそれが1番楽であり、生徒間でも揉めることもないだろう。
ただまあ、運任せということは当たり前だが、確実に講堂が使えるとは言えない。
ライブをやるという前提だけで準備を進めて、だが実際には講堂が使えません、なんてことになったら大変だ。
最近、せつ菜に勧められた漫画の黄色い超生物のセンセーの言葉を借りるなら、
『第2の刃を持て』だな。
要するに何事も、やろうとしていることが上手く行くとは限らないから、第2第3の案を考えておく必要がある。
これは、仮面ライダーとして戦う時もそうだ。まあ、ほとんど、初見でスマッシュと戦うことも多いから、行き当たりばったりな感じの方がほとんどなんだけど。
「さて、どうしたものか…」
うーむ……ライブ以外でスクフェス2の告知をするにはどうしたら……
しかも、出来るなら皆にあっと驚かせられるような形式で発表したいよな。
「あの、そこでなんですが……」
「うん?」
俺が唸りながらも考えていると、しずくが挙手をした。
何やら考えがあるらしい。
「その、第2回スクールアイドルフェスティバルの告知PVを作りませんか?」
「告知PV?」
オウム返しのように呟くとしずくは頷く。
「はい。そのPVを、オープンキャンパスで公開するんです。」
しずくが言うには、よくある、アーティストが公開するような感じで第2回スクールアイドルフェスティバルの告知PVを撮影、編集したのをオープンキャンパスにて、校内にある大きなディスプレイで公開するのはどうかと。
うん。いい案かもしれん。
そう思ったタイミングで璃奈も同じことを思ったらしく口を開いた。
「いいと思う、編集なら私、得意だから…」
流石は情報処理学科。
璃奈はそういうパソコンを使う作業に長けている。
これまでもみんなの自己紹介動画やソロ曲のPVを作った時も、璃奈の活躍無しでは、作ることは出来なかった。
頼もしいぜ。
「俺も良いと思う。あんだけデカいディスプレイで流せたら、きっと道行く人の目に止まるだろうし。宣伝効果にも期待出来そうだ。
あ、そうだせつ菜、当日はあのディスプレイ、使えるんだろ?」
ここが一番大切だ。もし使えなかったら、別の案を考える必要がある。
「はい。しっかり申請していただければ可能です。」
「そっか。なら安心。みんなはどうだ?」
──そう言って、直大は彼女たちに問いかける。
「私も良いと思うわ。」
「私も!」
「彼方ちゃんも異議なしだぜぇ~」
「もちろん、とびっきり可愛く撮りますからね!」
「いえ、どうせならカッコよく撮りましょう!!火薬をドバーンと使って!!」
「えぇ…火薬は…ちょっと…あ、私も良いと思う。」
「みんなで撮る告知PV…クゥ~…完全にトキメいたよぉおおお!!」
おぉ…出ました、トキメキときめき。
「よーし、そうと決まれば、ホッシー!PV撮影に向けて太陽にぃ……走りたいよう!!」
「走らんわ!」
熱くて焦げるわ。いやそれ以上に消えてなくなるわ。
「たく………さてと。だそうだ? しずく。」
──みな、彼女たちスクールアイドル同好会はやる気だ。
「はい!やりましょう!先輩!」
「…… にしても、スクフェス第2回の告知PVをオープンキャンパスで公開する…か…しかも、期日は…1週間とそこら、こりゃ、また大変そうだ。」
でも、どこかワクワクする。胸の中で何かが沸きあがるような。
要するにトキメキってやつかな。
あぁ…また侑に影響されてるなこれ。
ま、いっか。
──改めて、周りを見回し終え、クスリと笑った果林は椅子から立ち上がると。
「…さて、一応部長のかすみちゃん。最後に締めてちょうだい。」
「一応は余計です…
はぁ……では皆さん!告知PVを作りますよー!!」
──一応部長、中須かすみの掛け声の元、スクールアイドル同好会一同は、一斉に利き腕を突き出し声を上げる。
『『『『『おーーー!!!』』』』』
──ここから、直大たちスクールアイドル同好会の新たなストーリーが始まる。
※※※※
──全員の士気が上がったことで、早速今からPV撮影に向けて取りかかろうとせつ菜が口を開く。
「さて、ではまずどんなコンセプトでやりましょうか?
私は断然かっこいい系を押します!!」
「かすみんは、可愛いやつがいいです!」
「PVだし、海の砂浜で走ったりする?とか?」
「お笑いがしたい!」
「うーん。私は自然溢れる場所で撮りたいなー」
──それぞれが思い思いのことを羅列する中、星奈直大もまた手を上げる。がどこか申し訳なさそうに。
「直大さんも何かあります?」
─何か案があるのかと思い、せつ菜は問いかけるが直大は首を横に振った。
「あーいや。そうじゃなくて。悪いんだけど、ちょっと今日はもう帰っていいか?」
いやほんと、やることが決まって士気が上がったタイミングで申し訳ないんだが。
「何かこの後予定でも?」
─当然の疑問をせつ菜は口にする。
「実は14時過ぎぐらいから行かなきゃいけないところがあってな。」
「えぇ~なんですかそれぇ~せっかくやることも決まったのにぃ……」
──水を差すなよ、と言わんばかりにかすみが唇を尖らせ、直大へ文句を言う。
そんなかすみへ直大は手と手を合わせ─
「いやほんとごめん。今日の埋め合わせは必ずするから。な?」
その思いが通じたのか、かすみもようやく納得したが…
「じゃあ今度、スイーツ奢ってください。高いやつ。」
「あぁ…それぐらいなら…って高いのかよ!?ま、いいか…いいぜ何でも奢ろう。 」
俺のお財布事情が薄くなるが、まあこの際仕方ない。
「決まりですね。言質とりましたよ。」
「言質とらされましたっと…」
ほんと、かすみはこういう時の駆け引きが上手いというか、あざといというか。
──このタイミングで果林が彼へ質問する。純粋な興味から。
「それで、直大はどこに行くの?
言いたくないなら別に言わなくてもいいけど。」
─その質問に直大は何気なく言った。
「ああ、教習所ですよ。教習所。」
──そうして、直大は学園を後にして、教習所へと向かった。
余談だが、そう答えた瞬間、部室内に驚きの声が走ったらしい。
続く……
ストーリー中に教習所へ通う、高校生ライダー。
あんまり聞いた事ないですね。
さて17話後編でした。
前回と今回は、シーズン2へのプロローグ的な立ち位置です。
ということで、次回からアニガサキ2期、第1話の内容へ入ってきます。ようやく、R3BIRTHの3人を出せますね。
ここまで来るのに約2年もかかってましたよ。
いや~長い。シーズン2が終わる頃には何年経ってるのやら…
完結までまだまだですが、これからもよろしくお願いします!