仮面ライダーシノビ(ビルド) × 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~夢が始まり、虹が咲く場所~   作:ラビラビfom

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お待たせしました。

同時刻、前に要望のあった、シーズン1の振り返りと設定集を投稿しています。よかったらどうぞ。





18─2話 ~秋のキセツ、出会いの留学生~

 

1週間前────

 

広い世界の1つである異国の地─日本に足を踏み入れた少女たちがいた。

 

 

 

「久しぶりね……」

どこまで綺麗な青い空と雲。そして太陽から発される煌めく光が少女を照らす。

サングラスをかけていたが、肉眼でその景色を見ようと、サングラスを外す。すると、きめらかに長いまつ毛とキリッとしたつり目が現れ、水色の瞳がこの景色を写した。

 

 

 

「やっぱり、日本の景色はいいわね」

そんな青い空をみて、1人の人物を思い出す少女。

 

(今、どこで 何をしているのかしらね)

 

やがて、景色を見るのが満足したのか、腰まで届く長い髪をたなびかせ、キャリーバッグを転がした。そして、ある人物の所へ。

 

 

「School Idol...」

紫寄りのアッシュグレーの瞳に右目を髪で隠した少女は、イヤホンを付け、その瞳がスマホの画面へ照らす。そう、少女は興味深そうに動画を見ていた。発言からフリフリとしたアイドル系の動画を見ているようだ。

すると、その少女へ近づく影。コツコツとヒールの履いた足音を立てて、その少女の前へ立つと。

 

「曲、聞いたわ。いいじゃない」

「当然だろ、ボクが作ったんだから」

 

そう言い放つ少女の表情には溢れ出る自信があった。ドヤ顔だ。

そんな彼女のドヤりに少女は見慣れたように笑うと、すぐにキリッとした表情に変わる。

 

「さあ、行くわよ」

 

 

 

※※※※※

 

 

「爆ぜぬ~~♪~~~♪~」

 

──フライパン片手に料理を作る1人の少年がどこかの戦闘で流れそうな曲をメロディを刻み、鼻歌をしていた。

 

 

 

こういう、私生活から頭の中でメロディが生まれるんだよなぁ…

 

あ、今俺─星奈直大は朝食を作っている。今朝は俺の朝食当番でな。まあ最近はもはや、俺が朝食を作ることが当たり前になりつつある。というかなってる。

ったく、あんにゃろう。せっかく当番を決めたのにもはや意味が無いじゃないか。まあ、逆に侑が夕食を担当しているんだがな。でもたまに手伝わせてくるんだよなぁ…。

 

 

ワテクシ、侑が一人暮らしすることになる時が今から心配だわよ。あいつ生活できんのかな?

 

 

ふと、壁に張り付いている時計に目線を移す。すると、料理で使っていたキッチンの火を止めた。

 

「そろそろだな」

 

手を軽く水洗いし、ガッチャ!とドアが開いた音を立てると、ある場所へ足を踏み入れる。

 

「おーい、そろそろ起きろー」

そう、侑を起こしに行ったんだ。最近、ほぼ毎日だ。

なんでも、音楽科に転科したはいいが一学期分の補習があるようで大変なんだと。オマケに帰宅してはピアノの練習を夜遅くまで弾いたりで寝る時間が遅いなどなど、朝の起床時間がかなり遅くなっているんだ。まあ…侑が頑張っているのは目と肌で感じている。だから俺は出来るだけ侑の世話─サポートをしている。俺に出来ることってそれぐらいしかないからな。

 

 

 

さて年頃の娘の部屋(しかも寝てる)に無断で入って抵抗ないのかよと思う方に説明しとこう。安心して欲しいのが、俺は一切そんなやましい気持ちもなければ、ドキドキとした感情も湧かない。要するに慣れた。侑も恐らく、俺が部屋に入ってくることになんとも思ってないだろう。2年も同じ屋根の下に住んでいれば、慣れる。おまけに小さい頃から一緒にいた幼なじみなんだからな。

 

 

 

再び声をかけるが、起きる様子はない。今日も同じか。あ、これも言っとくか。俺が起こしに行って、侑が目覚めたことは指で数えられるぐらいだ。大体は歩夢のモーニングコールで起きる。じゃあ俺が起こし行く必要あるんか?と思うだろう。まあ一応念の為ってやつさ。もし2度寝で遅刻して。なんで起こさなかったの!なんて言われたくないし。

 

あ、そろそろ鳴り始めたか。

 

「ん……う」

 

「ほら起きろ~」

 

「う………ん……?……………あ、直大おはよう~……ふわぁ~……今日も早起きだねぇ…」

「誰かさんが起きないからな。ほらさっさと歩夢の所に顔だして来い。早くしないとボサ髪でオープンキャンパス行くことになるぞ」

 

 

「なんだか…直大ってうちのお母さん以上にお母さんしてるよね」

 

「やかましい、俺はお前のオカンじゃない」

「はいはい」

 

 

まあ、侑のお母さんって、どちらかと言うと、放任主義みたいなところあるしな。

モゾモゾとベッドから降りた侑は重い足取りでベランダを出た。

「あ、侑ちゃんおはよう♪」

「おはよう。ねぇ聞いてよ直大ってさ、うちのお母さん以上にお母さんしてるんだよね」

「あ、少しわかるかも」

 

なんか、微妙に声が聞こえてきやがったよ

だからオカンじゃない。歩夢も少しわかるな。

 

はあ…さっさと朝食作り終わらせるか。

 

 

 

※※※※※※

 

 

数時間後、虹ヶ咲学園では大勢の中学生が足を踏み入れ、その場は様々な制服の少年少女たちで溢れていた。さすがは人気高である。ちなみにオープンキャンパスに足を運ぶ受験生は年々増加しているようだ。

 

「オープンキャンパスご来場の方~」

「こちらからお入りくださーい!」

 

虹ヶ咲学園

オープンキャンパス

入口 こちら↓

 

 

と書かれた看板が設置された校門で実行委員であるこの学園の在校生が次々とパンフレットを受験生に配り、案内していた。

そして、校門を潜り、少し歩いた先にある校舎の入口前で、同じく実行委員の三船栞子もまた、パンフレットを配り、案内している。

 

 

「どうぞ」

 

と彼女なりの笑顔の表情で2人の女子中学生たち配る。

 

「ありがとうございます!」

「楽しんでください」

そう言われた女子中学生はお辞儀をすると、校舎の中へと入っていく。その時だった。

 

 

「あたしにも貰える?」

 

そう言って、栞子に近づくものがいた。

栞子は目の前に目線を向けると、そこには、溢れる自信が態度で分かるぐらい、堂々とした立ち姿の少女がいた。水色の瞳にキリッとした目つき、そして腰まで届くぐらいの髪。黒のシャツの学生服に赤いカーディガンを着た少女が腰に手を置き、また口を開く。

 

 

 

「ただいま、栞子!」

少女は親しげに栞子の名を呼ぶ。

対して、栞子はほんのり驚いた顔をしたが、すぐにいつもの表情に戻ると

 

「…久しぶりですね…ランジュ」

 

栞子もまた、彼女の名を呼んだ。何やらこの2人には並ならぬ関係があるようだ。

 

「会いたい子達がいるんだけど、スクールアイドル同好会に案内してくれる?」

 

ランジュと呼ばれた少女は不敵に笑い尋ねた。

 

「スクール…アイドル…」

 

※※※※

 

 

 

虹ヶ咲学園内では、案内された受験生たちが思い思いに自分たちが気になったところへと足を運ばせている。そして在校生である様々な部や同好会が今日に至るまでに作りあげたブースでその魅力を受験生にアピールに奮起していた。

 

 

そんな中、俺─星奈直大たちはというと、西棟にある自分たちのブースへあるダンボールを運んでいた。

 

ちなみに、もう制服は冬服へと変わっている。つい数日前は暑かったのに

急に肌寒くなっちゃって…でも、俺は秋の風も結構好きなんだよな。なんなら、一生秋でいいまである。

 

 

 

「たくさんの人がいるね」

辺りを見回した侑が足を動かしながら一言呟く。

その隣では 歩夢が歩幅を合わせ、足を運ぼせている。

 

「あ~あ、私たちも中学の時、来れば良かったな~」

 

侑はほんのり、後悔するように言う。すると歩夢が昔を思い出すように言った。

 

「私たち、家に近いって理由だけであんまり考えないで決めちゃったもんね」

 

我ながら、よくそんないい加減な理由で決めちまったもんだ。

でももしかしたら、こんないい加減な理由だった所から、俺たちは虹ヶ咲じゃない別の高校を受験していた未来もあったのかもな。あんまり虹ヶ咲に通っていない自分を、想像するだけで少し嫌だけど。

でもそんなありふれた if もどこかの宇宙にあったりしてな。

 

「ま、結果オーライなんだけどね。やりたい事、ちゃんと見つかったし」

「ふふっ…そうだね」

 

しみじみに侑は言った。歩夢もまた優しい表情で同意する。きっと侑は今、ここまで至る過程思い出してんだろう。感傷に浸っているのかも。

 

 

 

侑が本気でやりたいと思ったトキメキに出会えて良かった。

前の世界じゃ、そもそもトキメキを探せるような情勢ではなかったしな…

 

 

ある日突然、建物は崩落、自然も動物も人の命も唐突に失われていった。あらゆる生命はその恐怖に脅えていたんだ。戦争に未知の地球外生命体。明日をも平和に生きていけるのかすら不透明で未確定。

それが俺たちが生きた世界だった。

 

2人にその記憶はない。無くなったと言ってもいい。俺もそれでいいと思っていた。でも、あの時みんなに救われて少し変わった。

俺の過去をみんなにも知って欲しいって。

 

でも、まだ話すことを躊躇してる自分がいるのもまた、事実だ。本当にこんなに辛くて、苦しかった記憶をみんなに話していいのかと。特に2人にはかなり苦しい思いをさせてしまったから。知らないままの方が幸せでいいんじゃないかって。そんな葛藤があって、まだ話すまでには踏み込めていない。

 

ほんと、相変わらず俺は弱すぎる。悩んでばっかの臆病者だ。

 

ちょっと話が脱線してきたな。結局何が言いたいのか、要するに侑にも夢が見つかって良かったってこと。俺もそんな夢を見つけられたらって思う。

 

 

 

「2人はこの後は?」

「俺はビラ配りでもしてくる、侑たちの力にはなれなさそうだし」

もはや、今俺が侑たちの編集作業に入り込む隙は無い。

 

 

昨日、かなり白熱してたんだ。ああでもない!こうでもない!って。これも(映像データ)使おう!あ、これも!、あ!これもいいなぁ…とか

挙句、選びきれなくなったのか。

全ての映像データをフルで使った大長編の映画にしよう!なんてことも。いやそれはなんとしても阻止しなきゃまずいぞこれって思って。

 

『待て待て、待てぇい!落ち着け!

 

はぁ…もうさ、あの時みんなで見た最初のやつでいいんじゃないか?クオリティは十二分にあるし』

 

って言ったら、しずくも璃奈も侑も口を揃えて「それはない(有り得ません!)(ありえない..)」って否定されて。うぅ…昨日の、君たち熱量というか迫力というか…その…少し怖かったです。

 

「侑ちゃんたちの力に?……え、もしかしてまだやってたの!?」

 

歩夢は、俺の口ぶりからPVの編集が終わっていないことに気づき、侑に向かって驚きの声を上げた。

 

「大丈夫大丈夫。あと少しだから」

 

ほんとだろうか。

 

「あと少し、あと少しって言って、結局…」

「ちょっと!そんなことにはならないから!全く、変な想像しないでよ直大!」

 

そんな目くじら立てなくてもいいじゃない。

でも、ああは言ったが侑たちなら、PVを無事作り終えるだろうって思う。根拠も無ければ確実性もない。でも揺るぎない信頼がある。だから、PVについては心配していない。

 

「でも音楽科も忙しいんだよね?本当に両立出来るの?」

 

だが、歩夢の心配はそれだけはなく、音楽科のことも話の話題に入れる。すると、侑は何か思い出し、虚をつかれたようで、どこか遠い目をしながら一言呟く。

 

「あぁ…この前の小テストは、赤点取っちゃったけど」

「「えぇ!?(えぇ…)」」

 

前言撤回、かなり心配になったわ。特に侑。

「大丈夫、大丈夫だって」

「でも……」

 

 

「侑の大丈夫は、大丈夫じゃないんだよなぁ…」

「ほんとに大丈夫なんだって…というか、直大にだけは言われたくないよ!」

「なんでだよ!」

そんな軽い言い合いになりかけたその時だった。

 

 

「見つけたーー!!!」

 

と言う声が背後から聞こえると同時に、何かがこちらへ走ってくる足音が聞こえた。

 

 

「廊下は走らないでください!」なんて誰かか注意する声も聞こえたが、声の主と思わしき人物?は走るのを辞めない。

 

 

なんだなんだと俺も侑も歩夢も後ろへ振り返る。

すると、驚くべきことに声の主が歩夢に向かって、ダイレクト抱きつきをかましたのだ。

 

 

「貴方歩夢ね!会いたかったわー!」

 

 

「うわ!?…」

「え?」

「うぇぇっ!?」

 

「「「ええぇええええ!!」」」

 

いや、一体どういう状況よ!これ!?何がどうなってんのぉぉぉぉおぉおもぉ!!!!!!?????

 

俺も侑も急なことに理解が追いつかない。なんなら、侑はあぐり、アングリー!と言わんばかりにあんぐりと口が開いたまんま驚きを隠せていない様子。かくいう俺も、目を見開くほどに全くと言っていいほど状況が分からん。それにより、俺たち2人はその場で硬直してしまった。

 

 

そして、ダイレクトアタック元いダイレクト抱きつきをかました事で歩夢の持っていたダンボールは地に落ちる。危うくバランスを崩しそうになる歩夢だったが、流石スクールアイドルなこともあり、日々のレッスンで鍛え上げられた体幹でなんとか、受け止めるのだった。

 

 

「スクールアイドルをやる為に、香港から短期留学で虹ヶ咲学園に来たの!よろしく!」

 

 

なんか自己紹介してるけど、情報が入らねぇ!!

もうなんなの。

 

 

※※※※※※

 

 

「留学生?」

 

はーい、ということであれから驚きも収まった俺たち一同、場所は変わり西棟に設置されているスクールアイドル同好会のブースへ足を運び、みんなへ彼女を紹介した。

 

すると、彼方先輩とエマ先輩ぱぁ~と笑顔で口を開く。

 

「スクールアイドルになる為に、香港から〜!?」

「私と同じだぁ♪」

すげー嬉しそうだなエマ先輩。でも確かにスクールアイドルがやりたくて留学生として、虹ヶ咲に来た。うむ、中々に共通点は多い。

 

初次见面(はじめまして)(ショウ)嵐珠(ランジュ)よ」

今なんて、と一瞬思ったが、名前?を名乗った?

おそらく、自己紹介をしたんだろう。これは多分中国語だな。

やべー俺中国語教養してないから、さっぱりわからん。

英語すら単語を書けて、意味が分かるぐらいで、英語で対話も出来ないしな。

 

すると、ここで鐘嵐珠と一緒に着いてきた、三船さんが彼女へ質問する。

なんでも、三船さんが鐘嵐珠を俺たちの所まで連れてきたらしい。

 

「留学生はもう1人いると聞いていましたが••••••」

 

「あの子は別にスクールアイドルに興味がある訳じゃないから。学校のどこかにいる筈よ」

「そうですか

では私はそろそろ、持ち場に戻らないといけないので」

 

謝謝(ありがとう)、助かったわ。持つべきものは幼馴染ね」

 

「それでは、同好会の皆さん。後程、東棟の方で」

 

 

三船さんは納得したようでこの場から立ち去った。

それにしても、留学生か。

 

あ、そういえば羽島が新学期の日、音楽科に留学生が来るとかなんとか言ってたような…

ん?、今幼なじみって言ったかこの人。へぇ~三船さんと鐘嵐珠は幼なじみなのか。なんか親近感は湧くかも。

 

 

三船さんの後ろ姿が見えなくなると、かすみが質問した。

 

「でも、スクールアイドルなら他に有名な高校はいくらでもあるのに、どうして虹ヶ咲に?」

 

確かにそれはそうだ。

 

 

「スクールアイドルフェスティバルの動画を見たからよ。スッゴク、トキメいたわ!」 

 

その言葉を聞いたみんなは、嬉しそうに笑顔を浮かべた。

 

「それぞれが、自分のやりたい事を表現していて、輝いていて、アタシもあのステージに立ってみたいって思った。高校生の今しか出来ないからっ!だから!」

 

両手をバッ!と広げると

 

「ここに来たの!」

 

なるほどな、あのフェスティバルは、誰かの夢を1歩後押しできるようなイベントになっていたらしい。

 

「ふっ……歓迎するよ」

「ようこそ、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会へ!!」

 

俺たちの歓迎ムードにここで愛が口を開く。

 

「この後、次のフェスの告知映像流すんだ。見ていく?」

 

「本当っ!?見る見る!」

 

幼い子供がはしゃぐように身を乗り出す鐘嵐珠。

 

 

「たくさん集まって貰えるように、チラシ配らないとね〜」

「せっつーは運営の仕事があるから来られないんだよね?」

「ええ、しずくちゃんと璃奈ちゃんは?」

 

愛の質問に果林先輩が答えると、辺りを見回し、せつ菜以外に約2名この場に居ないことに気づくとそう口を漏らした。

 

 

「ああ、あの二人なら編集作業中です」

 

「えええええええええっ!!!?」

 

「うわっ…びっくりした…急に大声出すなよ、かすみ」

 

「あ、私も部室に戻らないと」

 

思い出したかのように侑が呟くと、かすみがバッと、座っていた椅子から起立する。

 

「ダメですぅ!!3人揃ったら、またこのシーンが気になるぅぅってなっちゃうに決まってますぅ!!」

「そ、そうかなぁ…?」

 

かすみの想像は大方当たってんな。昨日もそんな様子だったし。

 

「かすみんに任せてください!モニターの前で合流しましょう!」

 

 

かすみに任せても不安ではあるんよなぁ…

 

ただ、まあつべこべ言ってる場合じゃないか。

ここは同好会のツッコミ担当中須かすみにおまかせしよう。

 

 

「じゃあ俺たちはビラ配りだな」

 

俺の一声にみんな反応すると、早速、校内を歩き周りながらビラ配りを再開させた。

 

 

※※※※※

 

 

「虹ヶ咲学園…オープンキャンパス」

 

校門前に設置された看板をみて、制服を着た茶髪ポニーテールの少女は呟いた。ふと目線を上げる。すると、キラキラと希望に満ちた空間が広がっていた。

 

そのキラキラを発しているのは、部活や同好会に精を上げている在校生。それ以上にキラキラを発しているのは、受験生である中学生たちだった。 1年後、自分たちがこの学園に入学している姿を夢見て。

そんなキラキラした空間に少女は目線を逸らした。

 

 

(あぁ……しんど……)

 

そんな少女に、虹ヶ咲の制服を着た男子高校生が近づいた。

 

 

「ほんとに来たんだ」

 

「あんたが言ったんでしょ…」

 

2日前、少女の前に現れたのはこの男子高校生だった。

どこか、底知れない雰囲気を感じる彼は 『チカラが欲しくないか』と問いかけた。どんなものでも壊せる力を。

少女は最初何を言っているのか、分からなかった。新手の宗教の勧誘なのかと。

 

すると、次の瞬間、自分の周りに稲妻の走った黒い煙が現れた気がした。どこまで暗くて黒い煙、まるで自分の心の中で思っているどす黒い感情が顕になるような。

 

男はまた問いかけた。

 

 

『チカラ……欲しくない?』

 

少女は頷く。そんな彼女を見て、不敵に笑い、男は告げた。

 

『2日後、虹ヶ咲学園に来い。チカラを上げる。君が壊したいと思うものを叶えられる力を』

 

そんな経緯で、少女はこの虹ヶ咲学園に現れたのだ。

 

「お望みのブツだ」

 

男は少女へあるボトル状の何かを渡した。

不穏な動きが、今虹ヶ咲学園で始まろうとしている。

 

※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 

 

「お昼を終えた13時!東棟の大きなモニターにて、スクールアイドル同好会の発表がありまーす!!よかったらどうぞー!」

 

ハイハイお馴染みのビラ配りターイムだ。こうやって、道行く人にバッサバッサとチラシを渡す。言わば流れ作業を今、こなしている。

よく駅の近くでやっているティッシュ配りの人のように。

勿論、同好会のみんなの宣伝は欠かさずにな。

 

 

ちなみに、ビラ配りを今行っているのは、侑、歩夢、愛、彼方先輩、そして自分を合わせて5人だ。さっき、愛たちのファンであろう中学生に写真撮るのを求められていた。こういう、出来事にスクールアイドルの人気が高くなっているとヒシヒシ感じるよ。

 

 

「へい、らっしゃいらっしゃいー!」

 

「おいこら、愛。それは寿司屋!…ちゃんとせい」

「はーい…」

 

なんで少し不服そうなんだよ。

はぁ…

まあ、いいでしょう。

 

 

 

 

とでも言えば満足ですか?

 

「よってらっしゃい~~、みてらっしゃい~~ 今、スクールアイドル同好会があついよ~~」

 

「って彼方先輩まで何やってんすか!」

 

「えへへ~~~」

妙にのほほんとしたボイスすぎて、一瞬何かと思ったわ。

 

 

ほんと君たち、真面目に配ってください (切実に)

~~~

 

「あ、そろそろ上映の時間だね」

 

チラシ配りをしている中、侑がふと呟く。

 

「もうそんな時間か」

まだ数十枚ほど、チラシは残ってるけど

 

「ゆうゆと歩夢は先にランジュを連れて東棟行っててよ」

「私たちはチラシ配り終わってから行くよ~~」

 

愛と彼方先輩がそう言うと、侑は頷く、そして俺の方へ言ってきた。

 

「うん、分かった。直大は?」

 

「俺も、チラシ配り終わってからかな」

 

一昨日、自分で刷ったチラシでもあるから、(左肩が重くなったけど)どうせなら全て配り終えたい。

「そっか、じゃあ行こっか!」

「えぇ!」

そうして、侑と歩夢は鐘嵐珠を連れて、東棟のモニターへ足を運ばせた。

 

残された俺たちはと言うと、

 

「よーし、最後のひと仕事だね!ホッシー!」

「ああ。あ、そうだ俺は、まだ配ってない所でやるわ。愛たちは変わらずここで頼む」

 

「OK~彼方ちゃんたちに、任せなさ~い~」

 

俺もまた、別の所でチラシ配りを再開させた。

ほらニジガクって広いから、この事を知らない人も多々いるだろう。どうせなら、1人でも多く見てもらいたいからさ。

 

 

「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会をよろしくお願いします!」

 

移動した場所でも、番宣はかかさず、チラシを配る。

すると、女子中学生たちが近づいて。

「あ、貰っていいですか?」

「はいどうぞ!」

 

「ありがとうございます!」

貰ったチラシを嬉しそうに見つめながら、歩く女子中学生。

ふと、会話が聞こえた。

 

「それ、なんのやつ?」

「スクールアイドル同好会だよ!知らないの?」

「聞いた事あるような…」

「もう!いつも私が熱く語ってるやつだよ!」

「ああ。あれね」

 

そんな会話が聞こえたが段々と女子中学生たちとの距離が開き、話し声もフェードアウトしていった。

 

 

なんだか、こっちまで嬉しくなるな。でも隣の子のようにスクールアイドルをあまり知らない人もまだ居る。

 

もっと頑張んないと。

 

そう意気込む。俺は残り数枚となったチラシ配りを再開させようとする。

その時だった。

 

「僕にも1枚くれるかな?」

 

早速、スクールアイドル同好会に興味を示してくれた人が増えたらしい。見たところ、そう声を掛けてきたのは同じ虹ヶ咲の制服を着た男子生徒みたいだ。歳は俺と同じような気もするが。

 

 

まあそんなことはいいか。

俺は精一杯の笑顔を咲かせるように声をかけられた方へ顔を振り向かせ、チラシを渡した。

 

 

「はいどうz──!………………」

 

だが、渡した瞬間、俺は硬直した。目の前に居る人物を俺はよく知っているからだ。いや正確には、知ってはいるが何も知らないが正しいか。

 

黒い髪にアクセントとして、白いメッシュ。底知れない闇を抱えているような、黒い瞳の男。

 

 

「……お前」

 

男はニヤリとした笑みを浮かべると、口を開いた。

 

「……やあ、ホシナクン」

 

そう、何ヶ月も前から幾度となく、俺の前に立ちはばかる男──スカイが本来居るはずがない、学園に降り立っていた。

 

 

※※※※

 

 

↑数分前、侑と歩夢はランジュを連れて、東棟へと向かっている真っ只中だった。

 

「スクールアイドルフェスティバルは、好きって気持ちさえあれば、誰でも参加できるようなお祭りにしたいんだ。どんな部活に入ってても良いし、入ってなくても良い。ニジガクの生徒じゃなくたって良い。色んな人達が、″好き″を伝え合えれば良いなって!」

 

侑は熱く語る。それはスクールアイドルフェスティバルの発起人である彼女の思う在り方である。

 

誰かの大好きを尊重しあって、みんなの夢を叶える場所。スクールアイドルフェスティバルはそんな居場所でありたいと思うのだ。

 

 

「ふーん••••••••面白い事言うのね。所で気になっていたのだけれど••••••」

 

対してランジュはと言うと、それを聞いて心底興味深そうな目線を向ける。そして、今まで疑問に思っていだが口にしなかったことを今ここで呟く。

 

「あなたは新人アイドル?フェスの動画にはいなかったから」

 

「私はスクールアイドルじゃないよ」

「えっ?どうしてスクールアイドルじゃないのに、同好会にいるの?」

 

「私は、スクールアイドルから夢を貰ったんだ。だから今は、夢をくれた皆を応援したくて••••••」

 

「……応援…そう。なら彼は?」

 

「直大のこと?」

 

「ええ」とランジュは頷く。まさか、彼が新人アイドルなんてことは無いだろう。大方、この侑という子と似たような理由だと思うランジュ。

 

 

「直くんは……同好会のヒーロー…かな」

 

「ヒーロー?」

 

予想していた答えと違い、思わず聞き返す。

 

 

「確かに直大はそうかも。みんなの曲を作れて、その場に居るだけでどこか安心する。ヒーローみたいな」

 

「イマイチ…良く分からないわ」

 

「あはは、だよね」

 

侑は頭を手で掻きながら、ヘラヘラと口角を上げる。

流石に直大が仮面ライダーであるなんてことは言えない。直大にも絶対に正体をバラさないでくれと、釘を刺されているし。

 

だから、抽象的になっちゃったな。

でも、直大を説明するには仮面ライダーとは切っても切っても離せないよ。うちの幼なじみは凄いんだぞって思わず、自慢したくなっちゃうのかも。多分歩夢もそう。

 

「でも…彼、曲を作れるのね」

「そうなんだよ~!同好会の中じゃ天才って言われてるぐらいだもん。直大は相変わらず自己評価が低いから認めないけど」

昔はあそこまで、自己評価は低くなかったんだけど…いつからあんなに自分を下げるようになったんだろう。

 

 

 

「天才……」

 

ランジュの頭の中には、同じように天才と呼ばれている少女の姿がよぎった。

 

 

「あ、でも最近私も曲作りを始めたんだよ。でも結構難しくてさ~」

 

「ふふっ…侑ちゃん音楽科に行って、凄い大変そうだもんね」

「ほんとそうなんだよね…」

はぁ…今日が終われば、また補習の日々、うぅ…今は忘れよ。

──そして、最後に歩夢がまとめた答えを紡ぐ。

 

「私も同好会の皆も。侑ちゃんや直くん、沢山のファンに支えてもらえてるから、スクールアイドルで居られるの」

 

これまでも、そしてこれからもそれは変わることないものだと歩夢や侑、同好会の彼女たちは思う。それが虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の在り方だからだ。

 

 

「…………ファンがアイドルを支える……ね」

 

 

私には、理解出来ない考え…

 

 

──意味深に間を置いて呟くランジュであった。

 

続く………

 





18─2話でした。

投稿頻度が段々下がってしまいすみません。

次回はもう少し早めに上げたい!
ということでまた次回で。
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