仮面ライダーシノビ(ビルド) × 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~夢が始まり、虹が咲く場所~   作:ラビラビfom

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18─3話 ~新しいトキメキ、それは理想郷(ユートピア)

 

─今、虹ヶ咲学園、オープンキャンパスにて、直大とスカイが対峙するように見つめあっていた。

 

 

「お前…」

 

「やあ、ホシナクン」

 

─ヒラヒラと手を振りながら微笑むスカイ。

 

 

なんでスカイがここに。

それに──

 

「その制服どうしたんだよ…どっかの男子生徒からパクったのか?」

 

さっきはしっかりと見てなかったが、改めてみると、2年生を表す、赤いチェック柄のネクタイをしていた。

 

─その問いかけに、スカイはニヤリと笑う。

「おいおい、僕がそんなに手癖が悪いようにみえるかい?」

 

 

見えるっちゃ見える。

 

 

「酷いなぁ…」

「まだ何も言ってないんだけどな…エスパーかよ」

「君のしょうもない思考ぐらい読めるさ」

 

しょうもないって。そっちの方が酷いだろ

 

「それで、今日は何を企んでるんだ?」

スカイがここに現れたということは、この後何かが起こることは間違いない。何をしようと俺が止める。

「僕が来ると、何か企んでるようにみえるのか…」

 

実際、今までもそうだった。

 

俺の前に現れた時、必ずと言っていいほどに何かが起こる。中身が人のスマッシュか、クローンのスマッシュ、或いはアイツ自身が変わったライダーの姿か。

 

 

「まあいいや。

そうだね、ここだと人目が多い、場所を変えようか」

 

 

スカイは辺りを見回し、そう申し出た。チラリと自身のスマホで時間を見ると、時刻は12時58分を指していた。

 

 

同好会のPVの公開時間まで後2分。

どうやら、俺は間に合いそうにないらしい。

それに、俺としても、ここで騒ぎを起こすのは避けたい。ここはスカイの申し出に素直に従おう。

 

「分かった」

 

──直大は彼への警戒心を強めながら、スカイの後を追った。

 

 

 

 

「……?」

 

今のは直大さん?

東棟とは別の方向に行ってしまいました…

 

それに、直大さんの前にいた方…一体誰なんでしょう…何か話していたようでしたけど。

 

─偶然、2人の制服姿の男子生徒の歩き始める姿を見かけたのは生徒会長─中川菜々であった。ただ遠目からの認識だったためか、

直大のことは直ぐに分かったのだが、もう1人男子生徒については分からなかったようだ。

 

 

 

 

我ながら全ての全校生徒の顔と名前を記憶していると自負していたつもりなんですが…

 

おかしいですね…

でもどこかで見たことがあるような。

 

とにかく追いかけてみましょう。

 

「会長?」

 

─早速追いかけようと1歩を足を踏み出そうとしたその時、同じ生徒会の仲間に呼びかけられたことで、菜々はハッとし、歩みを止める。

 

そう、今の今まで、生徒会の仕事と称して、学園を生徒会の書記である2人と一緒に回っていたのだ。

 

次は同好会の発表がある東棟へと足を運ぼうとしていた時に菜々が急に立ち止まり、別方向へ歩き出したことで、書記の2人は疑問を抱いた。

 

「少し急用を思い出したのでお2人は先に行っていてください」

 

そう言われた、書記の2人は一度顔見合せた後、了承した。

 

 

※※※

 

 

一方その頃、侑と歩夢は、ランジュを連れて、東棟にある大きなモニター前に着いた。

だが、映像のデータが入っているUSBメモリはまだ、こちらへは届いていないようだ。

 

 

「遅いね」

「そろそろ開始時間なのに大丈夫かな?」

 

─何かトラブルでもあったのだろうかと二人は思う。データが破損したとか。

それとは別に、何か怪物騒ぎが起こったのではなんて想像もする。

前者はともかく後者に関しては、今までの要因からありえなくはない。

 

だが、次の瞬間、大きな声と共にこちらへ足を駆けてくる音が聞こえた。

 

「せんぱぁぁぁぁい!!!!」

 

どこか、焦る様な甘いボイスがこの場に降臨する。どうやら、2人の心配は杞憂に終わったらしい。

 

「かすみちゃん!」

 

そう、かすみを筆頭にしずくと璃奈がこの場にメモリを持って現れたのだ。

「先輩、これを!」

かすみは息を切らしながらも、侑へメモリを渡した。

 

「お疲れ様」

侑は労いの言葉かけると、早速、モニターへ今回発表するPVを上映する準備に入る。やがて、準備が整った侑は一言、告げる。

 

「始めるよ!」

 

Enterキーの匙が投げれた。

 

 

※※※※

 

Enterキーが押される数分前、ビラ配りを終えた愛と彼方はモニターの近くへと足を運ぶ。そこへ、モニターから少し離れた先に果林とエマがいた事で2人は合流した。

 

「もう少しだね~~」

「うんうん、テンションがテンアゲって感じ!」

 

愛と彼方の会話に優しい笑み浮かべながら、エマは頷く。すると、1つ疑問が生まれた。

 

「あれ?直大くんってまだ来てないよね?」

「確かにそういえばそうかも。迷子?」

 

「果林ちゃんじゃないんだから~直大くんに限ってないよ~~」

 

愛の言葉にそんなはずは無いと彼方は否定する。すると、次の瞬間、彼方の肩には綺麗な手が置かれた。

 

「今のはどういう意味か、じっくり聞こうかしら?」

スラリと伸びた足で彼方の後ろに立つ、果林の表情には圧が篭もっている。

 

「ほ、ほんの彼方ちゃんジョークってやつだよ~~…あは…あはは…」

 

どこか、焦りながらも、弁明する彼方。

 

「そう、まあいいわ」

「ふ、ふう…」

 

果林の圧が無くなったことで、彼方はホッと一息を着く。どうやら、この同好会に所属している彼女たちは、圧をかけてくる傾向にあるようだ。歩夢を筆頭に。

 

 

「多分だけど、ゆうゆたちのところに居るんじゃない?」

 

ここで、話を戻す愛。

 

「まあ、その可能性の方が高いわね……でも…」

 

もしかしたら、なんて想像をふとする果林。

これまでの傾向からありえなくはない。彼はよくトラブルに巻き込まれ体質。なんなら、自分からトラブルに突っ込んで行くぐらいだ。だがまあ、考えすぎだろう。

 

「果林ちゃん?」

 

エマが彼女の名を呼ぶ。

 

「ん?どうしたのエマ?」

その問いかけにエマは首を振った。

 

「ううん。なんでもない」

「そう」

 

そんなこんなで、スクールアイドル同好会のPVがモニターへと流れ始めた。

 

──はずだった。

 

 

 

風に揺られながらもスーツをバッチリと決め、草原を堂々とした足取りで現れるかすみ。

 

だが、

[うわわぁぁぁああ!!]

かなりの強風だったのか、途端に情けない声でかすみは草原から転がるように吹き飛ばされてしまった。その後、アイドルが世に出してはいけないような情けない表情の彼女の姿が添えられた。

 

次に映像が変わり、今度はしずくが同じく強風に煽られ、転ぶ。他にも璃奈と彼方が一緒に寝ている所の映像になったりと、スクールアイドル同好会と言うよりは、お笑いNG集みたいなものになってしまっていた。

 

もちろん、これを見ていたかすみたちは──

 

「な、なな…なんですかぁぁぁ!!??これはぁぁぁああ!!!???」

 

 

「使わない方の映像データだよ!」

 

「間違えた…はわわ」

 

 

当然の反応である。

何やら、本来使うはずのデータを持ってくるはずが、別のものをもってきてしまったそうだ。

 

 

ちなみに、その頃エマたちはというと。

「トラブルみたいだね」

 

「でも、これはこれで可愛いじゃない」

 

自分へのマイナスがないからなのか、呑気なことを呟く果林。

こういう発言をする人に限って、急に自分の方へ火種が飛んだりするのだ。

 

[もう少し寝かせてエマ…]

 

早速火種が飛び散った。

映像では、頬杖を付きながら居眠りする果林が晒されていた。

セクシー系スクールアイドルが聞いて呆れる、ポンコツ系スクールアイドル朝香果林だ。

 

「なっ……」

 

もちろん、それを受けての果林は途端に頬が真紅に染まり、口をパクパクさせている。

 

「い、今すぐ止めてぇええええ!!!」

 

羞恥心が限界突破したのか、果林は叫ぶ。

なんなら、その叫びによって、ファンと思わしき後輩に見つかる始末だ。

 

「正しいデータを持ってくる!」

そんな果林の叫びはつゆ知らず、璃奈が本来の映像のデータを持ってくるために、足を駆ける。そこに同じ1年生のしずくとかすみが璃奈を追いかける形で駆けだした。

 

「お願い!」

 

 

※※※※

 

 

あれから、スカイの進む様に後を追っていた直大。もうかれこれ数分これだ。人の気配ほとんどしない所まで来ているというのに。

 

「もういいんじゃないか?」

 

 

いつまで経っても歩みを止めない彼に痺れを切らし、問いかける。

 

「それもそうだね」

 

ピタリと足を止めるとスカイはこちらへ振り向く。

 

「で、結局何をする気なんだよ?」

「なあにちょっとした世間話でもしようじゃないか」

 

世間話ねぇ…

なんというかコイツは敵のはずなのに、いつもこんな調子でふざけたような態度で茶を濁してくる。まるであいつに似てるかもな。

 

 

「僕は1つ思う、この世界は悪意に満ちていると」

 

 

悪意に満ちている……か

 

 

「ああ、確かにそうかもな。理由のない悪意が存在している。切っても切っても無くならない」

 

「そうさ、悪意は無数にある、一つ消えたと思えば、また新たな悪意が生まれる」

 

「話が読めないな、結局何が言いたいんだよ?」

 

「人の悪意さ」

 

「は?」

 

どうしたコイツ、前よりも思想が強くなってないか?

 

 

「これは例え話だが、何かを壊したい、全てをめちゃくちゃにしたい、そんなものを心に秘めている人間が居るとしよう。

君はこれをこの現実で実行に移そうとする人が居ると思うかい?」

 

「やりそうなやつなら1人知ってる」

 

今、俺の前に居るやつとか。

 

「ただまあ、仮にそんなどす黒い事を思っていても、大方人はそれを表には出さない。みんなどこかで立ち止まる。これ以上は踏み出しちゃいけないって、ラインをそれぞれで敷いてるんだと思う」

 

人はそうやって、生きている。ごく稀にそのラインを飛び越える人もいるけど。

 

 

「じゃあその踏み出してはいけないラインとやらの、トリガーが引かれたら、人はどうなるんだろうね」

 

きっと、ブレーキなんて効かないぐらいにめちゃくちゃになる。

視界は閉ざされて、何も見えない。せつ菜に襲いかかったあの時の自分のように。

 

「ん?まてよ……」

 

何か引っかかる。わざわざこんな例え話をするということは…

 

「そんな醜い悪意、欲望が膨れ上がった人間を君は見たことがあるはずだ」

 

「……」

 

頭に浮かぶのは、旧世界での戦争の原因となった要因の四角いボックス。

 

ある日のセレモニーでその四角いボックスがある宇宙飛行士の手によって触れられ、途端に放たれた光を浴びた人は、人が変わったのかのように野心に溢れた。

日本が3つに別れたのもそのボックスによるものだった。

 

 

 

 

「僕はね。最近あるものを完成させた。人の醜い悪意を欲望を表に出させるものを」

 

「そうだね、名付けるなら、ネオネビュラガスかな」

 

 

─それを聞いた、直大は1度大きく息を飲む。

 

「ネオネビュラガス…」

 

 

※※※※※

 

 

「せっかく集まってくれた人達が帰っちゃう…」

 

さっきモニターに映し出されたものが終わったと誰も彼もが思い、この場に集まっていた中学生が次々と離れ始めてしまった。

 

「どうしよう…」

 

ここで、侑たちは考える。

どうしたら、かすみたちが正しい方のデータを持ってくるまでの時間稼ぎをできるのかと。

 

だが、そう簡単にいい案は浮かばなかった。

すると、そこへオープンキャンパス実行委員である三船栞子が現れた。

 

「どうかされましたか?」

 

「あ、さっきの!

あの上映の時間、ずらせませんか?」

 

少しでもずらせれば、やり直しも効くだろう。だが、

 

 

「すみません、特別扱いは出来ないんです」

 

栞子は1度、困った表情を浮かべ、申し訳なさそうに視線を外し、そう言った。

 

彼女が言うには、この場に集まった人達の多くはスクールアイドルだけを見に来ているわけではない。

 

ただでさえ、部や同好会といった無数の部活が存在している学園だ。モニターに映すだけでも一つ一つの部活に予め時間は決まっている。スクールアイドル同好会だけを贔屓する訳にはいかないのだ。

 

 

「残念ですが…」

「どうしたら…」

 

今この場に相応しい言葉は万事休す、望みは絶たれた。

 

 

と思われたその時、

 

「無問題ラ、任せなさい」

 

彼女の言葉には溢れ出る自信と共に何かが始まる、新たなトキメキという名の革命(かぜ)の片鱗が巻き起こった。

 

ランジュは髪をバサッとたなびかせると1歩踏み出す。

 

「アタシが出るスクールアイドルフェスティバルに、ケチが付くのをタダ見ている訳にはいかないわ!みんなをここに、釘付けにすれば良いんでしょ?」

 

一体彼女は今から何をしようとしているのだろうか。

 

「ミア!」

「はいはい」

 

呼ばれるのが分かっていたのか、タイミングが良すぎるぐらいに侑たちの前に現れたのは、ランジュと一緒に日本へ降り立った、もう1人の留学生。

 

右の瞳をプラチナシルバーの髪で隠した少女はカーディガンのポッケに手を突っ込みながら何食わぬ顔で侑たちの前へ通ると、機材の置かれた部屋へ入っていく。

 

そして、ランジュはモニターの真下へ移動する。

 

「何をする気ですか!?」

栞子はそんな彼女を追いかけ、問いかける。

だが、ランジュは答えない。

ただ1つ、彼女の母国語が学園に響く。

 

なんだなんだと、学園の生徒や中学生たちが声の聞こえる方へ注目し始める。

 

 

「スクールアイドル!鐘 嵐珠のデビューステージよ!伝説の始まりを、心に刻みなさいっ!!」

 

ここから伝説が始まる。

 

 

♬~Eutopia~

 

 

 

もっと熱く高く、光よりも早く。

彼女の歌声、パフォーマンスが心の奥深くまで刻まれ、多くの人々はその場に立ち尽くす。

 

感じたことのない衝撃。

新たなトキメキという名の革命(かぜ)がこの場に吹き荒れる。彼女たち、ソロアイドル9人それぞれが奏でるステージとは全くといっていいほどに似て非なる何か。

 

まるで、この地球(ほし)が彼女を軸に回っている気さえする。溢れ出る女王のオーラ。

そう、ここがスクールアイドル鐘嵐珠の理想郷(ユートピア)が降り立った瞬間だったのだ。

 

 

 

※※※※

 

 

そんな理想郷が舞い降りているとは露知らず、星奈直大は───

 

スカイが呟いたのは、新たなガス、ネオネビュラガス。

なんでも人の醜い悪意を欲望を表に出すことが出来るものらしい。

 

 

「ネオネビュラガス…」

 

それにしても…

 

 

 

だ、だせぇ…

ちょっと安直すぎない?

まあいいや

 

 

「このガスにはね、パンドラボックスの光が混じっている」

 

「パンドラボックスの光……?、どういうことだよ!?」

 

「まあそう結論を急ぐなよ、ホシナクン」

 

─スカイはサラリと返すと、ある薄紫色のボトルを取り出す。

 

「ロストボトル…」

 

「君も知っての通り、ネビュラガスを投与され、一定のバザードレベルの人間がこれを使えば、自我のあるスマッシュ、ハードスマッシュへと変われる」

 

旧世界では、その力を使って三羽ガラスが北都の軍事兵器として戦った。

 

「ただ、ハードスマッシュじゃ、この新世界となった今では、誰もなろうとはしない。自我があるからね、ところ構わず暴れるなんてことはしないのさ。君の言うように踏み出しちゃいけないラインが人間にはあるからね」

そりゃそうだ。

今なら分かる。きっとあの3人だって、暴れたくて、戦ってたわけじゃない。ただ故郷を仲間を守りたくて、必死だったんだ。

 

 

「だから、そのトリガーとなるものを創造した。それがネオネビュラガス、投与されたものは、途端に心で思っていた黒い悪意が欲望が湧き上がる、パンドラボックスの光を浴びた人間のようにね」

 

野心に溢れ、本来かかっていたセーブがそのガスによって引かれてしまうということか。

 

でも、本来パンドラボックスの光の影響を受けた場合、ネビュラガスによって中和されて、本来の自分に戻るはず。実際幻さんも、ライダーになったことで、ナイトローグ時代の野心は完全に消え去っていたし。

 

 

だが、今回はそうはならないということなのだろうか。

科学は日々進化するというのはほんとらしい。

 

 

 

 

 

 

「あんたにとって人は……」

 

ただの、実験道具としか思ってないのか。

こんなことをしてなんになるっていうんだよ。

 

 

─その問いかけに鼻を鳴らす。そして、天井を見上げるとスカイは

 

「君も疑問ばかりだね、いいかい、敵のすることに対して、ことある事に何故だと問いかけるのは愚か者がすることさ。

 

でもまあ、特別に答えてあげよう、僕にとって、人は滅ぶべき人種で、ただの実験道具さ」

 

─彼は絶望しきった目でこの空を見る。おぼろげに無機質に、瞳には闇が広がっていた。そんな彼の姿が悪魔のようにすら見えた。

 

 

「とんだ、悪魔だな……」

 

 

「そうだね、理想を叶えるためなら、僕は悪魔にでもなるさ」

 

─スカイの瞳から広がる闇には確かな覚悟があった。必ず理想を叶えるという強い覚悟が。

 

どうして、そんな覚悟した目が出来るんだ…何があんたをそうさせるんだ。

 

─直大は本人に届くことなく、心の中で問いかけた。

 

 

かつて、悪魔の科学者と呼ばれた人がいた。

その人は信じていた、科学の可能性を、科学で人を救うのだと。

でもあんたは違った、同じ悪魔でも、進む道が違っているんだ。

 

 

なぁスカイ、あんたはどうして、そうなった。

 

─そんな疑問は枯れた葉っぱが風で飛ばされるようにどこかに消え去った。

 

 

 

「…君はみんなを守るんだろ。愛と平和とやらのためにさ、なら守って見せろよ、この学園を、この空を」

 

「………」

 

何か含みのある言い方だ。

─スカイはここで、校舎に立てかけられている時計を見る。

 

「さて、世間話もここまでにして、そうだね君に一つ依頼をしよう」

 

「依頼?」

 

 

「6分後、東棟に人の悪意が膨れ上がった怪物─ネオスマッシュが現れる、そいつを止めてみせろ」

 

「やっぱり、何か企んでたんじゃないか」

驚きはしない、スカイならやりそうなことだし。

 

「残念ながら、今回は僕じゃない、ある人物が始めたことさ」

 

「ある人物?」

 

「つい最近、僕と似た思想の持ち主らしいやつが僕の前に現れてね。おそらく君の前にもね」

 

俺の前にも?

何がなんだかさっぱりだな。

 

「まあ、今は分からなくてもいずれ理解できるさ。だから早く行った方がいいんじゃないかな…手遅れになる前にさ…」

 

 

「……」

 

疑問は絶えないが、ここはこいつの言う通りだ。仮にスマッシュが現れるのだとしたら、ここで油を売っている場合じゃない。それが嘘か真実かは別として、人の命が脅かされる可能性があるのだとしたら、動く以外理由は無いんだ。

 

 

「ここはあんたの口車に乗ってやる」

 

──そう言って直大はこの場を後にし、全速力で東棟へと足を駆けた。

 

 

そんな直大がこの場から離れた後、スカイは窓ガラスを見ながら、物陰に潜む影に向かって皮肉たっぷりに言い放つ。

 

 

「そこにいるのはバレてるよ…くだらない夢を掲げるアイドル…いや優秀な生徒会長さん」

 

 

そう言われた影は、スカイの前へと現れた。

そう、生徒会長中川菜々だ。

 

「………」

 

あの時、直大を見かけた菜々は、追いかけ、近くの物陰に潜み、今までの話を聞いていた。

 

「何か僕に用かな?」

 

一部始終を聞いていた菜々もまた、事の重大さに驚き、直大のように東棟へと向かうと思っていた。

 

 

 

「一つ疑問に思ったんです…どうして、スマッシュが現れることを直大さんに伝えたのか」

 

伝える必要は無いはず。なのにどうして伝えたのか、分からない。敵同士なら尚更。

もしかしたら、彼もまた何か変わろうとしているのではないかと…改心というやつに

 

 

「なあにちょっとした気まぐれさ」

「気まぐれ……」

「ホシナクンを倒すの僕だからね、ぽっと出のやつに倒されちゃたまらない。まあもっとも彼がそう簡単にやられるとは思ってないけどね」

 

彼のしぶとさはよく知っているつもりだとスカイは語る。それに、奴の命令を素直に聞きたくない。反発さ。

 

 

 

「あ、そうそう、ネオスマッシュだけど、今までのやり方で倒したら、中身の人間事消滅するから注意しておくといいよ」

 

「え?」

 

「じゃあ僕はこれで」

 

「あ、ちょっと待ってください!」

 

菜々の声も虚しく躱され、とんだ爆弾発言を残して、スカイはこの場を後にした。

 

1番大事なことを彼に伝えていなかったのだ。

改心したのではと一瞬思った菜々の考えも即座に消え去った。

 

 

(人が消滅……早く直大さんに伝えなきゃ…)

 

菜々もまた、急いで東棟へと向かう。

 

 

─新たなトキメキの革命(かぜ)と共に、もう1つ、不穏な風が嵐となって動き出していた。

 

続く……

 

 





ここ最近、投稿頻度が下がってしまい、すみません。
自分としては何がなんでも完結まで持ってくつもりなんで(何年かかるかは分からないけど)

ということでまた次回、次の投稿はそこまで期間は開かない(多分)
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