仮面ライダーシノビ(ビルド) × 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 ~夢が始まり、虹が咲く場所~   作:ラビラビfom

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1-3話 ~廃部!? スクールアイドル同好会~

 

 

侑たちと別れた後、俺は急いでジャージに着替えて体育館に向かった。

 

体育館の中へ入ると、金髪ギャルの女子生徒と小柄な桃髪の女子生徒の姿が視界に入った。

 

「宮下! 天王寺!」

手を振りながら彼女たちの所へと足を動かす。

こちらに気づいた、天王寺は宮下に知らせた。

 

 

「あっ...愛さん....直さんきたよ」

「ほんとだ。おーい ホッシー!」

そう言って、大きく手を振り返してきた。

 

「悪い、遅れた」

体育館まで走ってきたせいで、俺は軽く息を切らしながら謝った。

 

 

「もう遅刻だぞぉ~」

そう言いながらも、愛の表情に怒りはない。いつものちょっとしたおふざけなノリだ。

 

「ごめんて」

彼女は宮下愛。太陽を具現化したような明るさが持ち味。

実家がもんじゃ屋で大のダジャレ好き。隙あらば言ってくる元気の塊みたいなやつだ。

ちなみに、ほかの部活に助っ人でよく入るから部室棟のヒーローと呼ばれていたりする。

 

 

「愛さん...そんなに直さんを責めないで....」

 

そして俺のことを庇ってくれてる小動物みたいに可愛い少女は天王寺璃奈。 まさに天使。 1人でいる所を俺と宮下で声をかけて出会った。

ちなみに宮下と同じ情報処理学科だ。

 

 

「うぅ....天王寺ありがとうな...」

「うむ…りなりーがそこまで言うなら許す」

 

こういうふざけ合うノリも俺と宮下の間ではいつも日常茶飯事に繰り広げている。

 

 

「よぉし! 今度こそ カツサンドを食べて勝つ3度! 」

 

ズコッと芸人さながらに俺はその場へズッコケかけてしまった。

 

「ここでダジャレぶっ込むなよぉ」

「いやぁ~ つい、」

 

「ホッシーに串カツを駆使、勝つ!」

「愛さん……」

表情こそ出ていないものの、天王寺の声音は呆れそのものだった。

 

 

「はぁ……さて気を取り直して始めようぜ」

 

俺は今日のこの場に来た目的を果たすため、そう声をかけた。

その目的とは、バスケットボールの1on1である。

 

きっかけは、1年生の終わり頃の3月。バスケの勝負で、俺が愛に勝ってしまったことだった。それ以来、時間があるたびにリベンジを申し込まれている。

 

 

「りなりー 審判よろしく!」

 

「うん.....」

 

天王寺がボールを抱え、俺たち二人の間に立つ。

 

「ルールはいつも通り。一点先取でいい?」

 

「オッケー!」

「異議なし」

天王寺の投げかけに俺たちはそれぞれ返すと、天王寺はボールを俺に渡した。

 

「じゃあ……始め!」

 

───試合のゴングが鳴った。

合図と同時に、俺はボールを軽く弾ませる。

向かいに立つ宮下は、腰を落としながらこちらの動きをじっと見ていた。

 

 

いつものように勢い任せで飛び込んでくるかと思ったが、今日は違う。

迂闊に手を出さず、俺の動きを見ている。

 

俺は右へ踏み込むと見せかけ、すぐに左へ切り返した。

しかし、宮下はそれに食らいついてくる。

 

「おっと!」

 

思った以上に反応が速い。

そのままゴールへ向かおうとした俺の前に、愛が回り込んだ。

 

「今日は簡単には抜かせないよ、ホッシー!」

「言うようになったな」

 

一度後ろへ下がり、ボールを低くつく。愛も距離を詰めてきた。

 

左右にボールを振りながら、相手の重心を探る。

 

右、左、もう一度右。

愛の足がわずかに動いた。

 

その瞬間、俺は反対側へ一気に切り込もうとしたが──

 

「そこだっ!」

「……っ!?」

 

宮下は俺の行動を読んでいたようだ。

俺が動揺した一瞬の隙を突かれ、ボールが弾き出される。

 

俺は慌てて追いかけ、ラインぎりぎりで拾い直した。

 

「危なっ……!」

 

そのままドリブルで切り込み、愛の横を抜く。だが、愛も最後まで諦めずに追いすがってきた。

 

ゴール直前で体を寄せられ、バランスを崩しかける。

それでも俺は何とか体勢を立て直し、ボールを放った。

 

ボールはリングに当たり、ゆっくりとネットへ落ちた。

 

「……入った」

 

「直さんの勝ち……」

 

 

~~~~~~

 

 

「くっそぉ.....また負けたぁ」

 

女の子が「くそ」なんて言うんじゃありません。

 

体育館で大の字で体を倒しながら言う宮下の声音はとても悔しそうだった。

そんな宮下の所へしゃがみ込み、励ます天王寺。

「愛さん......大丈夫結構いい線いってた....次は勝てる...」

 

「うぅ.... りなりーぃ 」

宮下は、そのまま天王寺へ抱きついた。

仲良いことは良きことよ。

 

「それにしても宮下。かなり腕を上げたな」

「え!そう?」

 

少し驚いたように返す宮下。

 

「ああ....いつか負ける日が来るかもな」

「そっか! よぉし!なら次は勝つよ!」

 

「望むところだ!」

 

 

~~~~~

 

ジャージから制服へ着替え終わった俺たちは、体育館を後にした。

「りなりー。これからもんじゃ食べに行かない?」

「うん ......行く」

 

隣で歩く俺に対して、宮下は顔を向け、質問する。

 

「ホッシーはこの後、予定あるの?」

 

「あぁ.....ちょっとな」

俺も、もんじゃ食べたかった……

 

「そっか....残念 また今度ね!」

「ああ。また今度誘ってくれ」

 

「りなりー。行こっか」

「うん...... 直さんまた......」

「ああ、またな!」

 

天王寺が俺へ向けて、小さく手を振る。俺はそれに手を振り返した。

こうして宮下たちと別れた俺は、侑たちの所に戻ろうとしていた。

 

 

 

 直大と別れた二人は、スクールアイドル同好会の部室を探すため、部室棟の中を歩き回っていた。

 

 しかし、校内は想像していた以上に広かった。廊下はどこまでも続いているように見え、少し進むたびに新しい部屋や分かれ道が現れる。そのたびに侑と歩夢は足を止め、手元の案内図と部室の扉を見比べた。

 

 手当たり次第に部室を巡っているうちに、二人は妙な知識ばかりを身につけていった。

 

 流しそうめん同好会。

 

 釜飯同好会。

 

 名前を聞いただけでは、いったいどのような活動をしているのか想像もつかない同好会まで、この学園には存在しているらしい。

 

 けれど、目的のスクールアイドル同好会だけは、どれだけ探しても見つからなかった。

 

 気がつけば、探し始めてから三十分が経っていた。

 

「はぁ~……見つからないねぇ」

 

 侑は大きく息を吐き出し、疲れの滲んだ声で呟いた。

 

「うん……部活も生徒数も多いからね……」

 

 歩夢も同じように疲れた表情を浮かべながら、周囲を見回す。

 

 あちこちの部室棟を歩き回った二人は、さすがに足の疲れを隠せなくなっていた。結局、廊下の一角に置かれていたベンチへ腰を下ろし、しばしの休憩を取ることにした。

 

 侑は背もたれに体を預け、歩夢は両手を膝の上に置く。歩き続けて熱を持った足に、ようやく休める時間が訪れた。

 

「同好会だけでも、百個以上あるらしいよ……」

 

「うげ……マジかぁ……」

 

 侑がげんなりした声を上げる。

 

 同好会だけで百個以上。

 

 それだけの数が存在するのなら、目当ての部室がなかなか見つからないのも無理はないのかもしれない。

 

 それでも、このままでは本当にスクールアイドル同好会がこの学園に存在するのかどうかさえ、疑わしくなってきそうだった。

 

 そのときだった。

 

 二人の前を、桃色の髪をした小柄な少女が通り過ぎた。

 

 侑は、その姿を目で追う。

 

(よし、あの子に聞いてみよう)

 

 どうしてそう思ったのか、自分でもよく分からなかった。

 

 ただ、これ以上あてどなく歩き続けるよりも、誰かに尋ねたほうが早い。そう考えた侑は、すぐにベンチから立ち上がると、少女へ向けて声をかけた。

 

「あのー、すいません! スクールアイドル同好会って、どこにあるか知ってる?」

 

 声をかけられた少女は、ぴたりと歩みを止めた。

 

 そして、ゆっくりと侑と歩夢の方へ振り向く。

 

 桃色の髪が、彼女の動きに合わせてふわりと揺れた。

 

「………………」

 

 少女は、何も答えなかった。

 

「「………………」」

 

 廊下に、静寂が落ちる。

 

 侑と歩夢の間にも、気まずい沈黙が流れた。少女は二人の方を見ているものの、口を開く様子はない。

 

 やがて侑と歩夢は、互いに顔を見合わせた。

 

「もしかして、急ぎだったかな――」

 

 侑が小声で呟く。

 

 もしかしたら、急に呼び止めてしまったのが悪かったのかもしれない。

 

 歩夢も申し訳なさそうに少女を見つめた。

 

 そうして二人が、少し悪いことをしてしまったのではないかと思いかけた、そのときだった。

 

「どうした~ん、りなりー?」

 

 突然、背後から明るい声が聞こえてきた。

 

「あっ……愛さん」

 

 少女の表情が、ほんのわずかに動く。

 

 先ほどまで固く閉ざされていた口が、ようやく開かれた。

 

 どうやら彼女は、周囲から「りなりー」と呼ばれているらしい。

 

 その声の主が、侑たちのもとへ近づいてくる。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

「ほら、スクールアイドル同好会はここだよっ!」

 

 そう言って、愛と呼ばれた金髪の女子生徒は、手にしたマップを指差した。

 

 侑たちは、ここへ来た事情を愛に説明していた。スクールアイドル同好会を探していることを伝えると、愛は迷うことなく目的の場所を示してくれた。

 

 どうやら、彼女は同好会の部室を知っているらしい。

 

 部室棟のヒーロー。

 

 そんな呼び名があるほどなのだから、学園内のどこにどの部や同好会の部室があるのか、すべて把握しているのだろうか。

 

「誰に聞いても分からなかったのに……」

 

 侑は、マップに示された場所を見つめながら感心したように呟いた。

 

「たしか、今年できたばかりの同好会だしねぇ」

 

 愛は、さも当然のことのように答える。

 

「ありがとう! 助かったよ!」

 

「どういたしまして」

 

 侑と歩夢は、愛へ感謝を伝えた。

 

 目的地が分かったことで、ようやく前へ進める。侑はさっそく部室へ向かおうと、期待に胸を膨らませながら足を踏み出した。

 

 そのときだった。

 

 璃奈が、侑の制服の裾をちょこんと掴んだ。

 

 小さな指先が、布地を控えめにつまんでいる。

 

「別に……急いでなかった。少し、びっくりしただけ……」

 

 璃奈は、先ほど何も答えなかった理由を、たどたどしく告げた。

 

 侑は一瞬だけ目を丸くしたが、すぐに柔らかな笑みを浮かべる。

 

「そっか。ならよかった!」

 

 その明るい返事に、璃奈の表情もほんの少しだけ和らいだ。

 

「好きなの? スクールアイドル……?」

 

 璃奈が、侑へ尋ねる。

 

「うん! ハマったばかりだけどねぇ~」

 

 侑は、待っていましたと言わんばかりに胸を張った。

 

 その声には、スクールアイドルへの熱意が隠しきれないほど込められている。自信満々に答える侑を見て、歩夢は隣で少しだけ困ったような表情を浮かべた。

 

「あなたも……?」

 

 璃奈の視線が、今度は歩夢へ向けられる。

 

「えっ? どうだろう……。まだ、よく分からないかな……」

 

 歩夢は、どこか歯切れの悪い様子で答えた。

 

 侑のように、すぐに好きだと言い切ることはできない。

 

 興味がないわけではない。けれど、自分が本当にスクールアイドルを好きなのかどうか、歩夢自身にもまだ分かっていなかった。

 

「そう……」

 

 璃奈は短く答え、それ以上は何も尋ねなかった。

 

「ありがとうね。今から行ってみるよ! 歩夢、行こっか」

 

「うん」

 

 侑に促され、歩夢も立ち上がる。

 

 二人は改めて愛と璃奈へ礼を言うと、教えてもらった部室へ向かって歩き始めた。

 

 侑の足取りは軽い。

 

 その隣を歩く歩夢は、まだ少し戸惑いを抱えたままだった。

 

 そうして侑たちは、スクールアイドル同好会の部室へ向かったのだった。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 その頃、星奈直大は――。

 

 宮下たちと別れた俺は、侑たちのところへ戻ろうとしていた。

 

 二人は、無事にスクールアイドル同好会の部室を見つけられただろうか。

 

 そんなことを考えながら廊下を歩いていたときだった。

 

「あっ、そこの君。ちょっと」

 

 背後から聞こえた声に、俺の足が止まった。

 声のした方へ振り返る。

 

 そこには、青髪をウルフカットにした、スタイルの良い女性が立っていた。

 

 整った容姿に加え、どこか落ち着きのある佇まい。制服を着ているようだが、俺が普段見かける同年代の生徒たちと比べると、かなり大人びた雰囲気をまとっている。

 

 この人も、ニジガクの生徒なのだろうか。

 

 そんな疑問が、自然と頭に浮かんだ。

 

 それにしても、まさか俺に話しかけているわけではないだろう。

 

 そう思い、俺はきょろきょろと周囲を見回した。しかし、近くには俺以外の人影は見当たらない。

 

「えっ! 俺ですか?」

 

「そうそう……君よ」

 

 女性は、柔らかな笑みを浮かべながら頷いた。

 どうやら、本当に俺へ声をかけていたらしい。

 

 もしかして、俺は何かしてしまったのだろうか。

 

 心当たりを探しながら、恐る恐る尋ねる。

 

「あの~……何か御用で?」

「ちょっと、道案内をお願いしたいの」

 

「道案内?」

「ええ。生徒会室に用があってね。どこにあるか分からないのよ」

 

 そう言って、彼女は困ったように首を傾げた。

 

 たしかに、この学校は広い。校舎の構造も複雑で、初めて来た人なら迷ってしまってもおかしくはない。

 

「はぁ……別にいいですけど」

 

 俺がそう答えると、女性はほっとしたように微笑んだ。

 

「本当? ありがとう。助かるわ」

 

 俺は彼女を生徒会室へ案内するため、歩き出した。

 

 

 

※※※※※※※

 

 

 

ついに、侑と歩夢は目的の部室へたどり着いた。

 

扉には、「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」と書かれたプレートが掲げられている。

 

「ここが……スクールアイドル同好会!」

 

侑は目を輝かせ、さっそく扉をノックしようとした。

 

そのときだった。

 

「ここで、何をしているんですか?」

背後から聞こえた声に、二人は振り返った。

 

そこには、眼鏡をかけ、長い黒髪を左右で三つ編みにした女子生徒が立っていた。

 

「普通科二年、高咲侑さん。上原歩夢さん」

 

「えっ……お会いしたこと、ありましたっけ?」

 

「生徒会長たるもの、全校生徒の名前を覚えていて当然です」

 

菜々が眼鏡を押し上げる。レンズが鋭く光った。

 

「「えっ、生徒会長!?」」

 

二人が驚いていると、彼女の腕に付けられた生徒会の腕章が目に入った。

 

どうやら、本当に生徒会長らしい。

 

「中川菜々と申します」

 

「そういえば、生徒集会で見たことがあるような……ないような……」

 

菜々は二人の間を通り抜け、部室の扉へ視線を向けた。

 

「この同好会に用ですか?」

 

「はい! 優木せつ菜ちゃんに会いに来たんです!」

 

侑がそう答えた瞬間だった。

 

菜々の表情から、わずかな笑みが消えた。

 

「……彼女は、もう……ここには来ませんよ」

 

「えっ?」

 

「スクールアイドルは、辞めたそうです」

 

侑も歩夢も、言葉を失った。

 

 

「彼女だけではありません。このスクールアイドル同好会は、ただ今をもって廃部となりました」

 

菜々はそう告げると、扉に掲げられていたプレートへ手を伸ばした。

 

金具が外れる音が、静かな廊下に響く。

 

「えっ……?」

 

「そんな……」

 

プレートを手にした菜々は、二人を振り返ることなく歩き去っていった。

 

侑は、空っぽになった扉を見つめる。

 

ついさっきまで、ここから何かが始まると思っていた。

 

なのに――始まる前に、すべてが終わってしまった。

 

 

続く…………

 

 

 







1-3話です。

第1話は あと1話か2話ぐらいで終わる予定です。
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