「…ねぇシービー…ちょっとだけ離れてくれないか…?」
「やだよ。2人きりなんだからいいじゃん」
「俺今仕事中だよ!?」
…困ったものだ。俺は今シービーに膝枕している状況である。去年のクリスマス、シービーに告白されて付き合いはじめてからずっとこんな具合だ。
「ほらわがままいわないで!こんな状態で誰か来ようもんなら俺の首、飛ぶよ?」
「やだ!そんなことさせない!ルドルフにいえばなんとかなる!」
上目遣いで言ってくる。かわいい。が、こころは鬼にせざるを得ない。
「ダメなものはダメだって!」
「やーだー!」
全く仕方がない。
電話がなる。
「はい、もしもし。わかった。すぐ行く」
「誰?」
「ルドルフ。書類の確認しなきゃいけないからちょっと行ってくるわ」
「アタシも行く!」
「ダメだから!待ってて!」
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…なんとか引き離し一人生徒会室へ向かう。
付き合い始めるまで正直あそこまで甘えて来るとは思わなかった…。もちろん甘えてくれるのは嬉しい。ただこれ以上エスカレートすると本当に周りにバレかねない。そうすると俺のトレーナー資格と
この関係が危うい…。
そんなことを考えるうちに生徒会室に着く。ドアを開けるとシンボリルドルフが待っていた。
軽く手をあげて挨拶を交わす。
「トレーナー君。呼び出してすまないね。」
「構わないよ。で、どうした?」
「この書類に問題がないか少し確認してほしくてね」
「ああ。わかった。やっていこうか」
…
「ん。あとはここだけ直せば問題ないんじゃないかな?」
「ありがとう。助かったよ」
「じゃあ俺はこれで…」
「あ、ちょっとだけいいかい?」
「なに?」
「…君、シービーとかなり密着しているね?」
「えっ…?」
まずい…終わったか俺…。
何を言われるかと心臓がばくばくしている。
「匂いがかなり付いているから気を付けたほうがいい」
「…はい…。」
「目は瞑るけど『常識の範囲内』でね」
「はい…。」
「じゃあ助かったよ。ありがとう」
静かに生徒会室のドアを閉めて部屋をあとにする。
危ない…終わるところだった…。
ルドルフが見逃してくれなかったらクビは免れなかっただろう。本当に気を付けないと…。
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「遅い!!」
トレーナー室に戻るとシービーが膨れっ面で抱き付いてくる。ふわりといい匂いがする。
「ごめんよ。思ったより長引いた。」
「ルドルフなんか言ってた?」
「…シービー、よく聞け」
「?」
「俺からお前のかなり濃い匂いがするから周りにバレないように気を付けろって言われた」
「いつも一緒にいるから仕方ないよ」
「確かにそうなんだけどさ…」
刹那、俺の服に顔を埋めていたシービーの目が変わった。
「…今キミからルドルフだけじゃなくてナリタブライアンの匂いもするのはなんでかな?」
「ブライアン?確かにブライアンがいなかったからブライアンの椅子は借りたけど…ってシービー…?」
ドサッ!
ソファーに押し倒される。
「アタシ以外の匂いがキミからするのはイヤだな。アタシの匂いに染まって欲しい。アタシに染まって欲しいの。」
「待って。シービー、怖いよ…」
「もっとアタシのことを知って欲しい。アタシだけをみてほしい。」
覗き込んだシービーの目は狂っていた。
「◯◯…アタシに染まって…」
耳元で囁かれる。ゾクリとする。
「大好きだよ…」
一発で堕とされた。
シービーの魅力の前には俺は無力だった。
そこからはなにも覚えていない。
翌日、もっと濃い匂いで即バレた。
が、ルドルフの力で暗黙の了解となったのであった…