赤ワカメは平和が恋しい   作:ロシアよ永遠に

1 / 8
長い間スランプ状態です。
息抜きがてら書いてます。

スパロボA最終話のオリジナルを加えています。



第一話『かつての決着』

「殺し合い、壊し合い、奪い合う世界を維持しようという理論…間違っているのさ、たぶんな。」

 

「●●●●………!!」

 

「初めから、この世界に俺たちの居場所なんてなかった……!だから!」

 

地球の衛星軌道上で、二つの巨人がぶつかり合う。

方や蒼く、筋肉質な見た目。マッシブな外観の通り、近接戦に重きを置いたもので、左手は機体色の延長の色合いだが、右手は『黄金の装飾が施された腕』となっており、一際目を引く。これは一度自爆したあと、修理を兼ねて新しく装備したものだ。

方や先述の機体よりも暗い蒼で、マッシブさに加えて機体各所から突き出した突起が多数あり、攻撃的かつ禍々しさすら感じられる。

相対して満身創痍。肩やボディ、頭部はひしゃげ、中に乗るパイロット達もボロボロ。駆動するたびに軋む音がコクピットに響き、スパークが走る。

だが、後方から地球に落下線と迫る衛星要塞を止めるために、やつを倒さねばならない。倒した上で、あれを止める。そのためには。

 

「なぁ、●●●●●、俺達は…『向こう側』でずっと、同じ部隊で戦場を生き抜いてきたよな…。」

 

「いきなりなんだというのだ…!藪から棒に…戦闘中だぞ!?」

 

「俺は、当時お前を共感できる理想を持つ上官であるとともに、戦友としての思いを持っていた。」

 

「それは私も変わらん。貴様は優秀な部下であり、同志(とも)であった。」

 

「俺と●●●も…似たようなもんさ。お前の言う理想は、味方だった、友だった、家族だった、恋人だった者が敵となり、命を奪い合う日常なんだ。こんな気持ちに…胸を締め付けられる様な感覚に見舞われるから、間違っているのさ。これがな。」

 

かつての友を思うからこそ、その理想は否と答える。既に討ってしまった。だからこそ、それが間違いと言える。

そんな彼の言葉に、上官であり戦友の男は、呆気取られながらも、直ぐに口元を釣り上げる。

 

「ならば我が理想なくして、世界の腐敗を止める術はあるのか?情を取り、世界を捨てると?」

 

「情があるなら、互いに認め、支え、生きていける。戦わなくてもな。そんな光景を、俺は奴らと見てきたのさ。この…俺たちの世界とは、極めて近く、限りなく遠い世界でな。」

 

「絆されたか、貴様ほどの男が。」

 

「かもしれん。だが不思議と、悪くないと思ってしまうのさ、これがな。」

 

救える敵を救い、味方のために命を張る。

そんなお人好しの集まりだった。

だが、そんな彼等だからこそ強かった。

尽く迫る敵を退ける彼らの強さの根本は、恐らくは戦闘能力から来るものではない。

きっと、守るために強くあろうとした果ての姿なのだ。そして戦うことで、奪われるものと得られるもの。その不等を知るからこそ、平和を願い、それを守ろうとした。

本来の彼なら、そんな連中とは反りが合わず、唾棄していただろう。

だが『とある事情と環境で』彼らに接触し、ともに過ごしたことで、彼らの戦う理由に感化され、自分たちの目指した世界の間違いに気付かされたのだ。

平和による世界の堕落と腐敗を憂うからこそ、彼は闘争を日常とした世界を望んだ。彼なりに世界を思っての行動だろうが、しかしその過程で失われるものは計り知れない。

平和を望み戦うもの。

腐敗を止めるために戦い続けるもの。

恐らくは根本の更に根本は同じなのかもしれないが。

 

「ならば、せめて我が手で貴様を屠ろう。それが戦友たる私からの手向けだ。」

 

「その俺を憂う気持ちがあるなら…!」

 

「憂うからこそ間違っているのだ!」

 

ぶつかる拳と拳。機体は満身創痍。互いに特殊な装甲材を用いているので、ある程度の自己修復は備えてはいるが、その限界を超えつつある。残るは気力と気力のぶつかり合い。

 

「「リミット解除!!」」

 

「コード麒麟!」

 

「コード麒麟・極!」

 

残るエネルギーは枯渇寸前。この一撃で終わらなければ、敗北あるのみ。

 

「この一撃で()める!!」

 

「この一撃で冥府魔道へと堕ちよ!!」

 

片や拳に、

片や肘のブレードに、

残るエネルギーを集中させ、決着の一撃に勝負をかける。

 

(■■■■■■よ……俺を、勝たせてくれぇっ!)

 

「でぃぃぃぃやッ!!」

 

「ぬぉぉぉおおッ!!」

 

迸るプラズマが、その威力を物語るに相応しい。

互いに満身創痍。

しかし、その闘志は機体のダメージを思わせない程に何処までも大きく猛る。

互いに拮抗し、押しも押されもしない。

だが、

 

「■■■■■……俺の、勝ちだッ!」

 

「っ!?!?」

 

破れたのは深蒼。振り上げられた肘のブレード。その切っ先は、突き出した深蒼の機体の右腕。それを見事に両断し、その肩までを真っ二つに斬り飛ばした。

右腕が方まで持っていかれたことで、いよいよ勝負の行方は明白となってきた。

 

「ぬぅっっ!!ならば……次元転移で……!」

 

「そいつを待っていた!これがな!」

 

不利と見るや、奥の手たる跳躍で逃れようとするヤツを逃すまいと、ブースターを吹かしてその腰をホールドする。とっさの行動に、かく言うやつも驚きを隠せないでいた。

 

「くっ!■■■■!!」

 

「俺の機体の自爆装置はなくなってしまったが、貴様の機体を代わりにさせてもらうぞ…!」

 

「貴様……何を!?」

 

「お前の機体そのものが次元転移弾のようなものだ!その威力ならば!皆!10秒以内に離脱しろ!阻止限界点付近まで下がれぇっ!」

 

残る推進剤など知ったことではない。

加速につく加速。

頭部を掴むと、迫る衛星要塞の壁面に思い切りめり込ませた。

男の立てた作戦通り、敵隊長機を黙らせた。

その後の動きをどうするべきか、共に戦ってきた仲間たちが彼に問う。

その返答と言わんばかりに、奴の機体は次元転移のエネルギーを膨張させ、そのフィールドは衛星要塞を包み込んでいく。

彼がやろうとしていること、それは奴の次元転移のエネルギーを暴発させることで、衛星要塞諸共吹き飛ばす………所謂自爆だ。

それをエネルギー反応で察した仲間たちは阻止しようと声を上げる。しかし、現状を冷静に察している連中は違った。

地球に落ちんとする衛星要塞を止める方法が他にあるのか?と。

 

「………そういうことだ。下がってくれ。もう皆の仕事は終わった。…後は…俺が落とし前をつける。」

 

エネルギーが膨れ上がっていく。

次元爆発の前兆か、地球が………いや、世界が歪んでいくのが実感できる。

もう時間は…すぐそこまで来ていた。

 

「この世界に…俺の居場所はない。

 

 

 

 

 

 

じゃあな。」

 

瞬間、

 

彼の視界は黒に包まれた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。