ONE PIECE ウタのいる世界   作:後門の熊

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独断と偏見と願望にまみれた話です。


第二十話 麦わらの応援団 結成

 

カヤからゴーイングメリー号を貰い受けたルフィ達。男女で部屋を分けて寝室を設置し、そして女子が集まってベッドの中ですることと言えば・・・・・そう。恋バナである。

ナミからすればちょくちょくウタがルフィに向ける視線からなんとなく察してはいたものの完全に確信を持っていたわけではない。せっかくこうして女二人、一緒に寝ているのだからここで聞きだしてしまおうと考えていた。

 

「ねェウタ。あなた気になってる人とかいるの?」

 

「え!?な、なななんで!?」

 

「動揺しすぎよ・・・・」

 

既にその態度は質問の答えになっているようなものだったがあえてナミはまだ追求しない。

だが、その態度はナミに確信を得させるのに十分だった。

 

「いやー。だって女の子が集まってする話なんて恋バナしかないでしょう?ほらほら、さっさと吐きなさい!!」

 

「え、ちょ、くふふ。あはははは!!やめてナミ。くすぐるのやめて!!」

 

「うりうりうりィ~。吐け吐け~」

 

ウタの方に潜り込みくすぐり始めるナミ。しばらくは粘っていたが弱点を責められたウタがたまらず降参する。

 

「わ、分かった言うから!!言うけど絶対誰にも言わないでよね!?」

 

「はいはい。で?誰なの?」

 

「そ、それは・・・」

 

もごもごし始めたウタにナミが手をワキワキさせながら迫るとウタはとうとう吐き出す。

 

「ル、ルフィだよ!!ルフィ!!ハイ!!もう言ったから。この話はおしまい!!おやすみ!!絶対誰にも言わないでよ!?ホントに!!!」

 

背中を向けて布団にくるまってしまったウタに、ナミはやっぱりか、と思うとともに少し心配になっていた。

 

(まあそうだろうなとは思ってたけど・・・アイツ鈍そうよねー・・・ウタもあんまり積極的とはいいがたいし・・・・・このままじゃ一生結ばれないわよね、あの二人)

 

ナミには彼らが今後ずっと仲が進展せず、いつまでも“親友”ポジションで居続ける様子が容易に想像できた。

短い付き合いとは言え、ウタはこの船の唯一の同性であり、夜中に恋バナをするほどには仲良くなっている。ウタも、本当に自分が信用できなければナミに気持ちを打ち明けたりはしていなかっただろう。

 

(ホントはこんなに入り込んじゃいけないのに・・・ハァ・・・・・)

 

ナミの個人的な(・・・・)事情からしてもここまでするつもりは初めは無かった。だがウタも含め、この一味はあまりにも明るく、楽しく、そして何よりも眩しい。自分はそこにいてはいけないと思いつつも、ウタの背中を押してあげたいとも思っていた。

 

「・・・ねェウタ。あんたルフィが好きならもっとアピールしなきゃダメじゃない?」

 

「・・・・・アピール?」

 

悩んだ末、ナミはウタを手伝うことに決める。あとわずかな短い付き合いだとしても、その印象を悪いものにしたくなかったのだ。

ウタは背を向けたままだったが、その言葉に反応する。

 

「アピールって、なんで?」

 

「いい?ルフィは付き合いの短いアタシから見ても分かるぐらい、鈍いわ。今のままじゃせいぜい仲のいい“親友同士”で終わるわよ。ゾロとかと同じポジションよ?それでもいいの?」

 

「う・・・よくない・・・・・」

 

「ならアピールすることね。とりあえず、まずはルフィにウタを女の子だと認識させることから始めましょう」

 

そして夜は更けていく。しかし、女子部屋の姦しさはなかなか消えなかった。

 

 

 

 

翌日、いつもより早くに起きたウタとナミは夜のうちに話し合った作戦を実行する。

まずウタは朝食の準備だ。いつもはナミや器用なウソップがこなしているそれを今回はルフィとウタの分だけ、ウタが作ることにした。そしてその間にナミは男二人、ゾロとウソップを部屋の外に引きずり出す。甲板に彼らを放り出してからウタの方へ向かい、ウタの朝食を手伝いつつ、他の三人分を作っていく。

作業を進めながらウタは昨晩の会話を思い出す。

 

「いい?目覚めた時、まだ完全に目が覚め切っていないタイミングは人間の理性が効きにくいときよ。そこを狙うの」

 

「理性が効きにくい・・・!じゃあルフィも!!」

 

「ええ、後はこれを着ていきなさい」

 

「え!?で、でもこんなの・・・恥ずかしい・・・・・」

 

「バカ!!このくらいやんなきゃアイツには伝わらないわ!いい?出し惜しみしちゃダメなの。一気に畳みかけなきゃ!!」

 

「う・・・うん!!分かった!!」

 

 

 

一方、遠く海の上の船

 

「はっ!!今何かいやな感じが・・・!!」

 

「どうした?お頭」

 

「いや・・・なにか大切なものが俺の手を離れていくような・・・なんかいやな感じがしたんだが」

 

「お頭の見聞色か?おいヤソップ!!近くに敵影は!?」

 

「ねェよ!!気のせいじゃねェか?」

 

「なら、いいんだが・・・・・」

 

 

 

そして作戦実行。ナミに手渡されたいつもよりも露出の多い服を着て、現在はルフィだけが眠る男部屋に入る。そしてルフィのベッドまで行くと、

 

「ル・・・ルフィ、朝だよ。起きて」

 

ルフィの体を揺さぶりながら声をかける。今までダダンに預けられていた時にもルフィを起こしたことはあったが、あれは寝坊したルフィを起こしに行っていたことがほとんどだったので焦りが大きく、ここまでドキドキはしていなかった。

 

(ルフィの寝顔・・・・イ、イヤ!だめだめ!!ここで起こさないと今までのことが全部無駄になっちゃう!!・・・・・でも・・・もうちょっとだけ・・・・・)

 

その時、扉の方から、

 

コンコンコン!!!

 

ナミだ。なんとなく嫌な予感がして様子を見てみれば案の定ルフィの寝顔に夢中になっていたウタに、ナミはジェスチャーで早く起こすように伝える。

この作戦はウタが起こすことが肝心なのだ。出来た朝ごはんのにおいで起きてしまっては効果が薄くなってしまう。

 

(は・や・く・起・こ・せ!!)

 

ナミの必死のジェスチャーにハッとしたウタが急いでルフィを起こしにかかる。

 

「起きて!ルフィ起きて!!」

 

この時に“メシ”という単語を使ってはいけない。いつもの寝坊したルフィを起こす時ならいいが今はそれではいけないとナミに言われていた。

 

「ルフィってメシって言葉だけで起きるの?」

 

「うん。子供のときから寝坊したときはそうやって起こしてたけど」

 

「(そんなに一緒にいたのになんでくっついてないんだろコイツら・・・)・・・分かった。でも今回はそれはダメよ」

 

「え?なんで?」

 

「それじゃルフィの興味があなたじゃなくてメシになっちゃうでしょ?それじゃあ折角のその服も無意味よ!!」

 

「そ・・・それはダメね!!こんなに恥ずかしいの着るのに意味なくなっちゃ・・・!!」

 

そういうわけでいつもの必勝法は使えない。そしてこういう時に限ってルフィの寝言はメシのことばっかりだ。

 

「・・・んん・・・肉・・・メシ・・・・・」

 

「ルフィ!!起きて!!ルフィ!!」

 

悪戦苦闘しつつも、最終的にはガクガクと頭を思いっきり揺らして何とか目を覚まさせる。

 

「んあ?ウタ?」

 

「ル、ルフィおはよう・・・その・・・ぜ!全然起きないから大変だったよ!もう!!」

 

「ああ、ワリィワリィ。しかしウタ、お前その恰好・・・」

 

「!!」

 

来た!!わざわざ恥ずかしい恰好してまでルフィに意識させたかったのだ。ここで何とか意識させることが出来れば・・・!!

 

「ど、どう!?」

 

「ナミみてェだな」

 

ガクッッ!!!!

 

ウタが頭をベッドに沈める。まさかの発案者自身が障害になろうとは思ってもいなかった。だがヘソ出し、半袖にミニスカート。確かにナミの格好によく似ている。というかこの服はそもそもナミのものだった。

 

「あ・・・朝ごはん出来てるよ・・・・・」

 

「お!!ホントか!!た~のしみだな~!!」

 

ガバッと飛び起きて食堂に向かうルフィ。ウタもその後を追う。食堂についたルフィは食事の量が少ないことに気付く。

 

「あれ?なんか少なくねェか?」

 

「その・・・今日は私が作ってみたの。ルフィと私の分だけだけど・・・」

 

「へ~!そうなのか!!他のヤツのは?」

 

「ナミが作ってくれて、その、二人ともまだ起きてないから・・・」

 

実は既にウソップは起きていてしかも何となくウソップも察していたため、その目的に気付いているのだがそれはまた別の話。

 

「ふ~んそっか!!まァいいか!!食おう!!」

 

「う、うん!!」

 

二人だけで食卓を囲み、朝食を食べる。何気に初めてのことだったためにウタの心情は、

 

(な・・・なんかこれ新婚さんみたいじゃない!?二人で妻が作ったご飯食べるのって・・・・・って妻!?妻!?いやでもいつかは・・・・・へへへ・・・)

 

「お~いウタ?食べねェのか?」

 

「え!?あ!!うん!!食べる食べる!!」

 

「大丈夫か?ボーっとしてたけど、熱でもあんのか?」

 

「へ?」

 

ウタを心配したルフィが物理的に手を伸ばしてウタの額に触れる。その瞬間、ウタも自覚するほどに顔の温度が上がっていき、ウタは慌ててルフィの手を振り払う。

 

「だ、大丈夫!!大丈夫だから!!」

 

「そうか?」

 

「それより!!ご飯!!食べよう!!」

 

「おう!!そうだな!!いっただっきまーす!!!」

 

いつかルフィに食べてもらいたいと小さい頃からこっそり少しずつ続けていた料理だったが、実は教えてもらっていたマキノ以外の誰かに食べてもらうのは初めてだったりする。

 

 

 

その頃の遠くの海の上の船

 

「は!?」

 

「どうしたお頭!?」

 

「いや・・・なにかとても大事なものを奪われたような感じが・・・・・」

 

「なにィ!?おい誰か!!宝が無事か見てこい!!」

 

「いや!!そんなもんじゃない・・・この感じ・・・・・そう、ウタと別れたあの時のような・・・・・」

 

 

 

一方、ゴーイングメリー号。

ルフィはウタが作った朝食を食べていた。

 

「どうかな・・・・?」

 

「うんめェ~~~~~!!!!」

 

「ホント!!!」

 

「おう!!めっちゃうめェぞコレ!!ウタも食ってみろ!!!」

 

「そっか・・・・よかったァ~」

 

一安心したウタは自分も朝食を食べる。するとルフィがウタに話しかける。

 

「しかしコレ、マキノのとこの料理だよな。でもあれよりうめェぞ!!なんか入れたのか?」

 

「え?いや、特に何も入れてないけど・・・・」

 

「ふーん。まいっか!!おかわりあるか!?」

 

「フフフ。ルフィがたくさん食べると思って、多めに作ってあるよ!」

 

「おお~~~~!!」

 

その様子を外からじっと見つめる二人分、計四つの目。ナミとウソップだ。

 

「はー。なんかやってると思ったらこういう事か。それなら言ってくれればよかったのに」

 

「ウタがあんまり言ってほしくないって。でもあの子、あれで隠してるつもりなのかしらねェ・・・」

 

「だよなァ。正直俺たちと話すときとルフィと話す時でこう、なんて言うか雰囲気が違うもんな。別に俺たちに冷たいわけじゃないけど、こう、笑みが深いというか・・・」

 

「ルフィがちょっと離れてるときでもだいぶ沈んでるしね~。って言うか、あの髪の毛で分かりやすすぎるのよあの子。なんであれでルフィは気付かないの?」

 

「多分それはアレだぞ。ルフィといるときはずっと上機嫌だから沈んでる時をルフィが知らないからだぞ」

 

「あ~・・・・」

 

最早本来の目的を忘れ普通に食事を楽しんでいるウタを見て、ナミは頭を抱えつつも一つの決意をする。

 

「ウソップ」

 

「ん?なんだ?」

 

「私決めたわ」

 

「なにを?」

 

「この一味の最終目標よ」

 

「それはお前、最終的には“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”だろ?」

 

「それとは別にルフィを除いた私たちの目標よ」

 

「というと?」

 

「私達は・・・・ルフィにウタを意識させる!!」

 

「え~・・・お前それはいいのか?」

 

「もちろん、最終的にはウタにがんばってもらうけど、これに関してはみんなで頑張らなきゃ無理なことよ。いい?考えてもみなさい。朝わざわざ女の子が起こしに来てくれてしかもちょっと露出の大きい服着てて朝食も用意してくれて二人っきりでご飯食べてるのよ?それなのにアレは相当な強敵よ。あの子一人じゃ、絶対不可能よ」

 

「まァ、確かにな~・・・」

 

「私たちは全力で、ウタを応援するのよ!!」

 

「よし!分かった!俺も協力するよ。出来ることがあったら言ってくれ」

 

こうして船長のルフィの知らぬところで、一味のもう一つの目標が決まったのだった。

 




ゾロは多分こういうの気付かないでしょう。サンジが入る前にやっておきたかった朝食回。

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