楽しみすぎる!!
停泊させていたメリー号に戻っていたウタ達にとっても無視できない事態だった。
「おいっ!!やべェぞ!!!逃げた方がよくねェか!!?」
「アニキ~船を出してくれ!俺達ァ死にたくねェよ!!!」
「今から船を出してもあんな大きい船からは逃げられないでしょ。それに・・・・・」
勿論、雑用を申し付けられていたルフィも、サンジと一緒にその様子を見ていた。
「でっけー船!!ギンの奴、お前に恩返しに来たのかなァ」
「そうは思えねェな・・・でも妙だぜ」
ウタやサンジ、そして
「あの船、ボロボロだ・・・・・!!!」
破けた旗や帆、砕けた手すり、船首の猛獣の像は一部、抉り取れてしまっている。まるで幽霊船のようなその姿は一種の威圧感を醸し出しているほどだ。
「ああいう巨大ガレオン船をあそこまで痛めつけられるとすりゃ、まず人の業じゃねェ・・・なんかの自然現象に捕まっちまったんだろう」
レストラン内が緊張に包まれる中、ガチャリとドアが開く。そこから現れたのは・・・・・
「は・・・・・?」
「!?」
どよめく場内。当然だが、
「すまん・・・水と・・・メシを貰えないか・・・金ならある・・・
そのあまりに弱々しい様子に思わずパティも本音が漏れる。
「な・・・・・なんだありゃ・・・威厳も迫力もねェ。あれはクリークか?」
「ハラ減ってるみたいだな」
「どういうこった・・・」
その時、とうとう体力の限界に達したのか、クリークが床に倒れこむ。ギンが揺さぶり起こそうとするも、既に意識を保てるかも危うい状態だった。それでも必死に言葉を絞り出し、懇願する。
「・・・たのむ、水と食料を・・・!!」
「お願いだ!!船長を助けてくれ!!このままじゃ死んじまうよ!!!」
だが、ルフィ達のような手配書も出ていない小さな海賊ならまだしもこれだけの大きな海賊となると弱っている様は“
「はっはっはっはっはっはっ!!!こりゃいい!!傑作だ!!これがあの名だたる大悪党“
「今度は金もあるんだぜ!!俺達は客だ!!!」
笑われた怒りを抑え込み、ギンが必死に頼み込むもパティがとりあうことは無い。
「すぐに海軍に連絡をとれ!!こんなに衰弱しきってるとは政府にもまたとねェチャンスだろう!!!何も食わせるこたァねェぞ!!取り押さえとけ!!」
パティの言葉に続くように客や他のコックたちも口々にクリークをののしる。今までそうされて当然のことをやってきた報いといえばそうだが、しかしそれを良しとしない男がいた。
手を床に付き、土下座をして食料を願うクリークを鼻で笑うパティ。その後ろには皿と瓶をもった金髪の一人の男。
「おいそこをどけパティ」
ドゴ!!!
見事な回し蹴りがパティの頬に食い込む。強制的に邪魔をどかせたサンジが手に持った食事と飲み物をギンに手渡す。
「ほらよギン。そいつに食わせろ」
「サンジさん!!」
「すまん・・・!!」
涙を流して食事にがっつくクリーク。だが周りの人はありえないと騒ぎ立てる。
「おいサンジ!!!すぐにそのメシを取り上げろ!!!てめェそいつがどういう奴だか分かってんのか!!?」
料理人たちが騒ぎ立てる間にも、クリークはガツガツとメシを貪る。
「東の海の覇者“ダマし討ちのクリーク”とはこいつのことだ!!始まりは監獄から・・・!!こいつは海兵になりすまし海軍の船上で上官を殺しその船を乗っ取ることで、海賊としてののろしを上げた!!時には“海軍旗”を掲げて港に入り船や客船を襲ったり、“白旗”をふって敵戦に襲い掛かったり・・・・・!!
「この男本来の強さもハンパじゃねェ・・・!!メシ食ったら大人しく帰るだと?こいつに限ってあり得ねェ話だ!そんな外道は見殺しにするのが世の中の為ってもんだ!!!」
その時、コックの話に気を取られていたサンジに突如起き上がったクリークが思いっきりラリアットをかます!!サンジは大きく吹っ飛ばされ口を切ってしまう。
だがそれはギンからすれば予想外のことだったらしい。
「は・・・話が違うぞ!!
しかし口答えをしたギンの肩をクリークがつかむを思いっきり握りしめる。その握力のすさまじさをギンの悲鳴が物語っている。
ボキッ!!!
「ぎゃあああああ!!!」
「ああ、うまかったよ。生き返った気分だ・・・」
「ギン!!」
そしてすっかり元気になったクリークが先ほどとは打って変わって無表情で無慈悲に、自分勝手に宣言する。
「いいレストランだ。この船を貰う」
「・・・・・っ・・・・・!?・・・何の騒ぎた・・・?」
そして目の前のクリークに驚きの表情を隠せない。そんな中、クリークは一方的にコックたちに宣言する。
「ウチの船はボロボロになっちまってな。新しいのが欲しかったんだ。お前らには用が済んだら
そしてクリークは自身が乗ってきた船を指さし指示する。
「今、船に
だがそんな馬鹿な要求をコックたちがそう易々と受け入れるはずもない。当然、反発するものがほとんどだ。
「この船を襲うと分かってる海賊をあと百人俺たちの手で増やせってのか・・・!?断る!!!」
しかしそれはクリークの意図するところが正しく伝わっていなかった。
「断る・・・?勘違いしてもらっちゃ困る。俺は別に注文してるわけじゃねェ。命令してるんだ。誰も俺に逆らうな!!!」
その圧にコックたちがビクッ!!と体を震わせる。ギンもこんなつもりで連れてきたわでじゃないと詫びるも、これがギンやクリークにメシを出したサンジの責任であることは明らかだった。
「てめェは・・・!!なんて取り返しのつかねェことしてくれたんだ。・・・・・!おいどこへ行くサンジ!!」
立ち上がって歩き出したサンジをパティが呼び止めるとサンジは振り返り、
「厨房さ。あと百人分、メシを用意しなきゃならねェ」
「「「「「なにィ!!?」」」」」
「サンジさん・・・!!?」
「そう、それでいい・・・・・」
「サンジ」
コックたちやギン、クリーク、ルフィがそれぞれその言葉に反応する。そして次の瞬間、コックたちがサンジを取り囲み銃口を向ける。
ガチャッ…!!
「てめェはクリークの回し者かよ、サンジ。厨房に入らせるわけにはいかねェ。お前のイカレた行動にはもう、付き合いきれねェ!!」
だが囲まれたサンジは抵抗するでもなく両手を広げると、
「いいぜ。俺を止めたきゃ、撃て」
ためらいもなくそう言い切る。この非常事態に危険な海の上で温情が与えられるわけでもないことはサンジも分かっているが、それでも彼は口元に笑みを浮かべて告げる。
「わかってるよ・・・。相手は救いようもねェ悪党だってことぐらい・・・。でも俺には関係ねェことだ。食わせてその先どうなるかなんて考えるのも面倒くせェ・・・・・・・・」
そして真面目な顔になると、己の信念を口にする。
「食いてェ奴には食わせてやる!!!コックってのはそれでいいんじゃねェのか!!!」
だが彼の信念など、周りでその巻き添えで被害を食らっている者からすれば知ったことではない。容赦なくパティがサンジの後頭部を殴りつける。
「パティ!!」
「抑えとけ!!」
倒れこんだサンジが身動きが取れないように取り押さえさせるとパティは何かを引っ張ってきながらサンジに指を突き付けて言う。
「サンジ。お前は俺が追い払った客に偶に裏口でメシをやってるよな。俺とお前のどっちが正しいとは言わねェが、今回のこれはてめェの
そしてクリークへ向き直ると、
「幸い敵はまだ一人。“
引っ張り出してきたのは布を被った胴ほどの太さのある巨大な銃。常人では持ち上げる事すら難しいそれの布を開けて軽々持ち上げる。
「ここは日々海賊うごめく海上のレストラン。どんな客だろうと接客の準備は万端よ!!!」
銃口をクリークに向ける。その大きさはそこから大砲並みの大きさの弾が飛ぶことを容易に想像させる。
「食後に一つ、
「食あたり
ドウン!!!
至近距離から放たれた砲弾は狙いをたがわず一直線にクリークに向かう!!
「小癪」
ボゴォン!!!
「
直撃。大きく吹っ飛ばされたクリークは勢いそのままにドアをブチ破って甲板の手すりに激突する。
「まいったな。扉、壊しちまった・・・・・
「なに、店を守るためだ。小せェ被害さ・・・」
落ち着きを取り戻すコックたちにサンジが問いかける。
「クリークの船に残った連中をどうするつもりだよ・・・」
「さァな。船にバターぬって火でもつけるか・・・」
「そいつァうめェんだろうなヘボコック・・・!!」
「え・・・」
突然、ドアの外から彼らの会話に割り込む声。つい先ほど吹き飛ばしたはずのクリークの声だった。
「バカな・・・」
「クソまずいデザート出しやがって。最低のレストランだぜ・・・・・・・・」
鉄の砲弾を食らっても無事だったクリーク。そのカラクリは砲撃で破れた服の下から現れたものを見れば一目で分かる。
「体が・・・金ピカだ・・・!!!」
中に着込んでいたのは鋼の鎧。その頑丈さは、先ほどの砲撃の衝撃を耐えたことからも明白だ。
「・・・鋼の鎧とはくだらねェ小細工を・・・!!たたみかけろ!!!」
「「「オオッ!!」」」
パティの号令に他のコックたちも立ち向かう。屈強なコックたちがクリークに迫るも、
「うっとうしいわァ!!!!」
ドガガガガガカ!!!!
「「「うわああああ!!!!」」」
鎧のあちこちから現れた銃口がコックたちに火を吹く。四方八方に放たれた銃弾は迫るコックたちをことごとく吹き飛ばした。
「体中から・・・・・」
「弾丸が・・・」
突然の銃撃にルフィとサンジが驚き、ギンが見ていられないを顔を覆い隠す。
「虫けら共が・・・この俺に逆らうな・・・!!俺は最強なんだ!!!誰よりも強い鋼の腕!!誰よりも硬いウーツ鋼の体!!!全てを破壊するダイヤの拳!!!全身に仕込んだあらゆる武器!!!50隻の大艦隊に五千人の兵力!!!今まで全ての戦いに勝ってきた!!俺こそが
「俺が食料を用意しろと言ったら黙ってその通りにすればいいんだ!!!誰も俺に逆らうな!!!!」
その時、厨房から出てきたゼフが大きな袋をクリークの前に置く。
「オーナー・ゼフ!!」
「百食分はあるだろう・・・さっさと船へ運んでやれ・・・」
だがクリークは食料が出てきたことよりもコックたちが呼んだその名に耳を疑っていた。
「・・・・・ゼ・・・!!ゼフだと・・・!!?」
「何て事を!!!
「船にいる海賊たちまで呼び起したらこの店は完全に乗っ取られちまうんですよ!!?」
だがゼフは慌てることなく落ち着き払って答える。
「その戦意があればの話だ・・・」
「え・・・」
「なァ“
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