ONE PIECE ウタのいる世界   作:後門の熊

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年明けから始めると言っておきながらこの醜態。そして今後も恐らく更新頻度はめちゃめちゃ遅いと思われますが、どうぞお付き合い下さい。


第二十五話 ミホークVSゾロ

突如として始まったミホーク対ゾロの戦い。

その場に居合わせた者たちは敵、味方関係なくその戦いに見入っていた。

 

ガキィン!!ギィン!!キン!キン!!ギィン!!!

 

ゾロの操る刀は三本。対してミホークが持つのは小さなナイフ一本のみ。にもかかわらず、ゾロの斬撃は一撃たりともミホークに当たらない。長年鍛えた自慢の剣技がかすりもしないという事実はゾロにミホークとの技量の差を感じさせていた。

ゾロが次々と繰り出す荒々しく、激しい斬撃をすべていなし、さらにはバランスを崩させ転倒させる。その様はゾロの技量の高さを知るものからはとても信じがたい光景だった。

 

「ウソだろう兄貴!!!本気を出してくれ!!!」

 

「アニキィ!!!」

 

だが既にゾロが本気も本気、全力で剣をふるっていることはその表情が物語っている。実力差はもはや明確。それでも剣を振り続けるゾロにミホークが問いかける。

 

「何を背負う。強さの果てに何を望む。弱き者よ・・・・・」

 

その言葉にヨサクとジョニーが激昂する。尊敬するゾロをけなされた怒りが彼らを突き動かした。しかし、

 

「やめろ!手ェ出すなヨサク!!ジョニー!!」

 

ルフィだった。二人の頭を押さえつけ、その場に押しとどめるも顔を見れば一番行きたがっているのがルフィであることは明白だった。

 

「ちゃんとガマンしろ・・・!!」

 

ガキィ!!!

 

再びゾロが吹き飛ばされ、船の上を転がる。すぐさま起き上がり構えたのは咥えた刀の後ろに二本の刀を並べて振りかぶる、あの技の構え。

 

「虎・・・」

 

ゾロの胸中にルフィとの約束が浮かぶ。亡き幼馴染(くいな)と今の親友(ルフィ)との誓い。それを果たすために

 

「狩り!!!!」

 

ズバン!!!

 

「「アニギィーーーーーーっ!!!」」

 

奇跡は起こらない。ゾロの刀がその身に届くよりも早く、ミホークのナイフがゾロの心臓を突き刺す。そのままにしておけば完全に致命傷だった。一刻も早くナイフを抜き、止血しなければならないことは誰の目にも明白。しかし、

 

「このまま心臓を貫かれたいか。なぜ退かん」

 

「さァね・・・分からねェ・・・。ここ(・・)を一歩でも退いちまったら、何か大事な今までの誓いとか約束とか・・・いろんなモンがヘシ折れて、もう二度とこの場所へ帰ってこれねェような気がする」

 

「そう。それが敗北だ」

 

「へへっ・・・じゃ、なおさら退けねェな」

 

「死んでもか・・・・・」

 

「死んだ方がマシだ」

 

その心力は世界一の剣豪、ミホークをして感嘆させるほどのもの。命以上に大切な覚悟にのみ成せるものだった。

 

「小僧・・・名乗ってみよ」

 

「ロロノア・ゾロ」

 

「憶えておく。久しく見ぬ“強き者”よ」

 

ゾロが最後の大技の構えをとり、名を名乗る。そしてミホークはナイフをしまい、背負っていた大きな黒刀、“夜”を引き抜く。

 

「そして剣士たる礼儀をもって、世界最強のこの黒刀で沈めてやる」

 

先ほどクリークの巨大ガレオン船を割った刀。そんなものを実力差のあるゾロ相手に使ったらどうなるか、それは明らかだった。

 

「散れ!!!」

 

駆け出すミホーク。対してゾロは手に持った二本の刀を回し始める。

 

「三刀流奥義!!!」

 

迫るミホーク。ゾロは刀を回転させた勢いのままにすれ違う一瞬、刀を振りぬく!!

 

「三・千・世・界!!!!」

 

両手の刀が粉々に砕けとぶ。腹に大きく刻まれた切り傷からは大量の出血。最後の一太刀を浴びせるべく刀を振りかぶるミホークに、唯一残ったくいなの刀を納めるとくるりと振り返り、腕を広げて胸を開く。

 

「何を・・・」

 

「背中の傷は剣士の恥だ」

 

「見事」

 

ニッと笑ったゾロにミホークもまた笑い、刀を振りぬく。

 

ズバン!!!

 

「ゾロォーーーーっ!!!」

 

斬られたゾロが海に落ちる。ヨサクとジョニーが救出に向かい、そしてルフィがミホークに拳を伸ばす。

 

「チキショオオーーーーーーッ!!!」

 

「若き剣士の仲間か・・・貴様もまた、よくぞ見届けた・・・・・!!!」

 

スッ身をかわしたミホークの横を通り抜け、ルフィが船の切れ端に激突する。刺さった首を引っこ抜き再びミホークに仕掛けようとした時、

 

「安心しろ。あの男はまだ生かしてある」

 

海の方を見ればヨサクとジョニーに抱えられたゾロが血を吹き出していた。重傷ではあるものの、生きてはいたようだ。

 

「ゾロ!!!」

 

ヨサクとジョニーは急いでウタ達のいる船に引き上げ、その場にあった救急セットで応急処置を施す。

 

「我が名、ジュラキュール・ミホーク!!貴様が死ぬにはまだ早い。己を知り、世界を知り!!強くなれ、ロロノア!!!おれは先、幾年月でもこの最強の座にて貴様を待つ!!猛ける己が心力挿してこの剣を超えてみよ!!!」

 

世界最強の剣豪からの激励。弱き者とみなしていたゾロを一人の挑戦者として認めたことの証だった。

 

「このおれを超えてみよ!ロロノア!!!」

 

そして今度はルフィの方へ向き直り問いかける。

 

「小僧、貴様は何を目指す」

 

「海賊王!」

 

躊躇いはない。たとえ相手が世界一の剣豪でも東の海(イースト・ブルー)の覇者でも彼の答えは変わらない。

 

「ただならぬ険しき道ぞ。このおれを越えることよりもな」

 

「知らねェよ!!これからなるんだから!!!」

 

舌を出して生意気にもそう答えるルフィ。そして治療をしているウソップの方に叫ぶ。

 

「ウソップ!ゾロは無事か!!?」

 

「無事じゃねェよ!!でも生きてる!!気ィ失ってるだけだ!!」

 

その時、スッ・・・と一本の刀が掲げられる。気絶していたはずのゾロだった。

 

「ゾロ?」

 

「・・・ル・・・ルフィ・・・?・・・聞・・・コえ・・・るか?」

 

「ああ!!」

 

今にも死にそうな状態にもかかわらず、彼は言葉を続ける。

 

「不安にさせたかよ・・・おれが・・・・・世界一の・・・剣豪にくらい(・・・)ならねェと・・・お前が困るんだよな・・・・・!!!ガフッ!!」

 

血を吐きながらしゃべり続けるゾロにヨサクとジョニーが必死に黙るように叫ぶもそれ以上の声でゾロが誓う。

 

「おれはもう!!二度と敗けねェから!!!!」

 

親友の刀とルフィに、再び誓うその言葉は世界を知った今も変わりはしない。

 

「あいつに勝って大剣豪になる日まで!!絶対にもう!!おれは敗けねェ!!!!」

「文句あるか!!海賊王!!」

 

その誓いにルフィはうれしそうに笑う。

 

「しししし!!ない!!!」

 

それを見たミホークもまた、いずれ来たる勝負の日を待ち望むかのように笑っていた。

 

「いいチームだ。また会いたいものだ。お前達とは・・・」

 

身を翻し、船に戻るミホーク。だがその船には既に先客がいた。

 

「ミホークさん」

 

「む・・・?貴様は・・・・・赤髪の・・・!!そうかあの麦わらの小僧が赤髪の言っていた子供か」

 

「もしゾロを殺してたらあたしがアンタを殺してたよ。命拾いしたね」

 

「フッ・・・それはないだろう。何より貴様があの小僧を残して死ぬとは思えん」

 

ボッと赤くなるウタ。シャンクスがいらん事まで話していたようだった。

 

「赤髪の認めた小僧にロロノアに、そして貴様か。これは本当に大物になる一味のようだな」

 

「シャンクスにあったら伝えといてよ。近いうちに会いに行く。あととりあえずその時一発殴るから覚悟しといてって」

 

「フッ・・・伝えておこう」

 

「オウ、鷹の目よ・・・・・!!」

 

今度はクリークだった。自分の艦隊を壊滅させた人物をただで返すつもりはないようだった。

 

「なんだ。貴様にもう用はない」

 

「まァそうカテェこと言うな。お前が満足しても俺はやられっぱなしなんだ・・・・・。帰る前に死んで行け!!!」

 

次の瞬間、体中の武器を使いクリークがミホークに仕掛ける。だがしかし、ミホークが背中の剣を一振りすれば大きな衝撃と共に煙が舞い上がる。晴れた時には既にミホークの姿はなかった。

そしてその混乱に乗じてウタがウソップたちの元に戻り、船の準備が整う。

 

「ウタ!!行ってくれ!!」

 

「分かった!!」

 

「任せろルフィ!!おれ達で必ずナミを連れ戻す!!お前はしっかりコックを仲間に入れとけ!!」

 

そして甲板に置かれていた麦わら帽子をウタがルフィに投げ渡す。

 

「ルフィ!!みんな揃ったらいよいよ“偉大なる航路(グランドライン)”!!入るんでしょ!!!」

 

「ああ!!行こう!!!」

 

ウタ達の乗った船がナミの乗るゴーイング・メリー号を追いかけ、そしてじっとしていたクリークの海賊団が動き出す。

 

「・・・やっと来るぜ。疫病神がよ」

 

海上レストラン、バラティエの戦いが始まる。

 

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