ルフィと別れ、ナミを追いかけて一足先にバラティエを出立したウタ達。その船の上では敵こそいないものの、気の抜けない状況が続いていた。
「この船の医療道具他に無いの!?」
「それが最後です!ウタの姉貴!!」
「姉貴ィ!!ゾロの兄貴、助かるかなァ!!?」
「わかんないよそんなの!私だって医者じゃないんだから!!というかもう道具ないんだったら二人とも船漕いで!!ナミ見失っちゃう!!」
「「は、はい!!」」
船にあるありったけの医療道具を使い、たどたどしい手つきでゾロの治療にあたるウタと、ナミの乗るゴーイングメリー号を追い掛けて全速力で船を漕ぐウソップ、ヨサク、ジョニー。
未だ目を覚まさないゾロやバラティエに一人残ったルフィを心配しながらも、ウタ達は必死に手を動かしていた。
「私だって応急治療くらいしか出来ないのに・・・・・ああもう!!」
ルフィと共に海へ出ることを決めてから貯めてきた知識の中から使えそうな物を総動員し、ゾロの治療を進める。既に体力の限界に達し、気絶しているゾロが痛みに暴れることは無いものの、道具も腕も足りていない。傷口をたどたどしく縫い合わせていくウタの額には既に大粒の汗が浮かんでいた。
「全くおじさんもやりすぎなんだよ・・・・・技量差があることは分かってたんだから少しくらい手加減してあげればいいのに・・・・・・!!」
そうこうしている内に、波の影響を受けやすい小舟の上での縫合はなんとか終了。上から包帯を巻いておけば取り敢えず、今すぐ死ぬことは無いという状態までこぎつけることが出来た。
「これでよし・・・・・」
「姉貴!!ゾロの兄貴は!?」
「応急処置はしたし、取り敢えず峠は超えたかな。でも暫くは安静にしておかないとダメだと思うけど」
「良かった・・・・・!!」
安心したウソップ、ヨサク、ジョニーが涙を流す。一方ウタは、ゾロの方にかかりきりで完全に任せっぱなしだったナミ追跡の進捗が気になっていた。
「ナミは?ちゃんと追えてるの?」
「それに関しては大丈夫だ。ほら、あそこに見えるだろ。幸い変な風や天候もない。暫くは見失うこともねェだろうよ」
「そう」
ウソップの指さす方向を見れば小さく見える帆船の姿。ナミの乗るゴーイングメリー号だ。
同性の友人としてナミと一番仲の良かったウタは殊更、ナミの事を心配していた。
「ナミ・・・・・どうしてこんな事・・・・・」
「さあな。とは言え、船長がああいってる以上、どんな理由でも取り敢えず連れ戻さねェとな」
「うん・・・!!」
決意を固めるウタ。その後はウタも漕ぎ手に加わり、交代交代に見失わない様に追っていた。だが暫くして、ヨサクとジョニーがなにかに気付く。
「なあジョニー。この航路ってさ・・・・・」
「ああ。まさかナミの姉貴、あそこに向かおうってんじゃ・・・・・」
「どうしたの?」
その様子を見たウタが二人に問いかけるも、二人は恐ろしげに誤魔化す。
「い、いや!何でもねえです!!」
「そうっす!流石のナミの姉貴もあそこに行くはずが無いっすから!!」
「何でもいいの。少しでも心当たりがあるなら言ってみて」
誤魔化す二人に圧をかけるウタ。その迫力に負けた二人は恐る恐る話し出す。
「い、いや、そのですね。ナミの姉貴の向かっている方向なんですが・・・・・」
「実はとんでもなくヤバい奴がいるところかもしれないんです」
「ヤ、ヤヤヤヤ、ヤバイヤツ!!!?」
二人の様子にウソップがビビりまくりながらも聞き返す。流石にウタも少し気圧されながらも次の言葉を待つ。
「ナミの姉貴がおそらく向かっている場所を根城にしている海賊。その名は・・・・・・アーロン!!」
「元魚人海賊団のメンバーで個人の実力ならさっきのクリークを凌ぐ程です!!」
「あのクリークよりも!?」
とんでもない実力を見せたミホーク程では無いにせよ、バラティエのコック達を一蹴したクリークよりもさらに強いとなると相当な強さだ。少なくとも、今この場にいるメンツだけでどうこうできる問題ではなかった。
「・・・・・・ヨサク、ジョニー。あなた達、どっちの方が泳ぎ上手?」
「へ?ま、まァ泳ぎで言ったらヨサクの方が上手いっすけど・・・・・」
「それがどうかしたんで?」
「よし。ヨサク。今からバラティエまで泳いでいってルフィに進路を伝えて」
「はい!?こ、この距離をですかい!?」
「つべこべ言わずにさっさと行く!!これ以上離れたら更に大変になるよ!!」
「な、なんであっしが!!」
「私は能力者だから泳げないし、もしゴーイングメリー号が見つかったらウソップも居なくちゃ操縦できないし。で、ヨサクの方が泳ぎ上手いんでしょ?」
「うっ・・・・・!!」
「ほら早く!!これ以上距離が離れる前に!!」
「ぅぅぅ・・・・・分かりやしたよ!!行きやすよ!!」
「頼んだ!!」
「ウタの姉貴、容赦ねェな・・・・・」
こうしてヨサク一人返し、再び船はゴーイングメリー号を追い掛け、アーロンの居る場所。アーロンパークに向けて発進した。
そしてとうとう、ウタ達はアーロンパークに到着する。さすがに船の性能差もあり、途中でメリー号から完全に離されてしまったものの、ジョニーが持っていたアーロンパークまでの海図を元に、その場所に到着していた。既にゾロも目ざめ、準備は万端と言えるだろう。
「着きましたが・・・問題はこれからっす。まずナミの姉貴がどこに船をつけたかを・・・・・」
アーロンパークの入口のすぐ前で、ジョニーがヒソヒソと話す。だが空気を読まない脳筋がここに一人。
「斬り込むか?」
キン…!
「ん何でそうなるんすか!!!」
「アホかてめェ!!まだなんの手掛かりも掴んでねェんだぞ!!」
「今回ばかりはウソップ達に賛成。争わなくて済むならその方がいいでしょ。ルフィも居ないし」
そして海図を見ながらウタは指示を出す。
「取り敢えず近くの村に行って情報を集めよう。メリー号もどこかに停泊してるはずだし」
「そうだな。あとコイツ、ホッといたら斬り込みそうだし縛っとこう」
「あー・・・そうね」
「おい!!!」
「すいやせん兄貴。観念して下さい」
「てめェもか!ジョニー!!」
ゾロを縛り付け、ウタの指示に従い一行は船を進める。暫く行くと、見覚えのある羊の船主、ゴーイングメリー号を発見した。
「あった!!見つけたぞ!!ゴーイングメリー号だ!!あんなところに停めてやがる!!」
「確かにおかしな所に停まってるっすね。ここにあるココヤシ村から少しずれてる」
「ほどけ!!」
「無理しないのゾロ。まだ安静にしてなきゃダメ」
「よーし、ここは一つ俺にどーんと任しとけ、あの女は俺が連れ戻してやるよ!!」
「アーロンパークじゃないと分かったら元気なんすね」
「私も行くよ。ナミと話がしたいし」
船の場所がわかった途端に元気になるウソップとナミを思うウタの二人がやる気を見せる。
「おーーもかーーじいーーっぱーーい!!ゴーイングメリー号に船をつけろーー!!」
「へーい」
「よーし!この秘境の地に足を踏み入れんとする俺の勇姿に『男ウソップ大冒険』と名前を付けよう!!イカスだろジョニー!?」
「へーい」
だんだんウソップの調子の良さに飽き飽きしてきたジョニーが船をメリー号の近くに停めようとした時、岩陰から現れた桟橋に佇む三つの影。
魚の特徴を体に色濃く映す強面の男達。
「「「!!!!」」」
(((魚人・・・・・!!!)))
その姿を認めた途端、ウソップの態度が180度回転する。
「ぜんそくぜんしーん」
「へーい」
「「何通り過ぎてんのよ(だよ)!!!」」
「「しーーーっっ!!」」
「今見たか!?魚人が居たんだよアーロン一味だ見たろ!?恐ェんだよ悪ィかよコラ!!」
「あんたがキレないでよ」
「ダメだ・・・・・この辺一体、マジでアーロンに支配されてるようっす」
完全にビビって怖気付いたウソップとジョニー。ウタとゾロが突っ込むもビビった二人は迷わず船を進めていく。
「どうします、ウソップのアニキ!」
「よし、ナミは連れ戻せなかったということで・・・」
「許すわけないでしょそんなこと!!」
「俺の縄を解け!!」
が、近くを通り掛かった怪しい船を見逃す程先程の魚人達も馬鹿では無い。
「何だあの船は!見かけねェ船だ!!」
「ゲ!!!」
後ろから追いかけてくる魚人たち。流石魚人と言うだけあってどんどん船に迫ってくる。
その姿を見たウソップとジョニーは・・・・・
「脱出!!」
「御意っ」
「「ちょっと待てお前らァ!!!」」
即座に逃げた。
「おい!この縄ほどけ!!」
「そうね、こうなったら一か八か・・・」
「へへへっ追い付いたぜ」
「止まれ止まれェ」
「なんだ?たった二人か・・・?」
ウタが応戦の為、ゾロの縄を解こうとするも時すでに遅し。魚人達が海から船に乗り込んでくる。
「さてはどっかから島流しにでもあったな?」
「・・・・・あァまァな・・・」
「そ・・・そうそう・・・・・私は何とか抜けれたんだけど・・・・・」
「なるほどコイツはこの拷問の怪我で抜けれなかったのか」
「よし、取り敢えずアーロンさんの所に連れて行くか」
そして船は魚人達に乗っ取られ、アーロンパークへと到着する。
「門をあけろォ!!!怪しいヤツらを連れて来た!!!」
「ただモンじゃねェとも言っときな!!」
「その状態じゃ説得力ないでしょ」
ここではウタが見れると宣伝しておいて下さい。
高評価、お気に入り登録、何卒お願いします!!感想も!!