ONE PIECE ウタのいる世界   作:後門の熊

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ホントはゾロの所カットするはずだったんですけどね・・・中々いい切れ目がなかったです。


第九話 格

 

麦わらの一味VSバギー海賊団。その戦いの火蓋はまさかのバギーが撃った大砲をルフィが跳ね返したことによるバギー達の盛大な自滅によって切って落とされた。

そんな中、バギーたちそっちのけでナミはルフィに問い詰めていた。

 

「説明してよ!!大体おかしいと思ってたわ!!ライオンと戦ってた時からね!!人間業じゃないもの!!何よ今の風船みたいに膨れたの!!」

 

「ゴムゴムの風船だ!!」

 

「それが何かって聞いてんのよっ!!」

 

「まあまあ、その説明は後でするから。それよりあっち。何人かまだ残ってるみたいだよ」

 

「あ・・・・・・」

 

ウタの言葉に酒場の残骸を見てみればそこから立ち上がる四つの影。いや、正確には四つでは無い。二人の人物がそれぞれ二人ずつ部下を盾に攻撃から身を守っていたのだ。

 

「よくもまァハデにやってくれたもんだ・・・・・・」

 

「旗揚げ以来最大の屈辱ですね船長」

 

「俺ァアもう怒りでものも言えねェよ・・・」

 

その影から現れたのは船長バギーと参謀長カバジの二人。そして先程ルフィが大砲を跳ね返した様子を見ていたバギーがルフィに問い掛ける。

 

「貴様・・・・・・もしや“悪魔の実”の能力者か?」

 

「ああ、俺は“ゴムゴムの実”を食べたゴム人間だ」

 

「ゴム人間!?」

 

「うん、ほら」

 

驚くナミに頬を引っ張って普通ではありえないほど引き伸ばしてみせるとその場にいる誰もがそれを認めざるを得ない。

 

「・・・悪魔の実を・・・・・・!!バギー玉も跳ね返す訳だ・・・だがな」

 

バギーは先程盾にした手下を掴み持ち上げる。

 

「それは俺に勝てる事にはならねェぞ!!!」

 

気絶した部下を勢いよくルフィの方へ放り投げる。対してルフィは避ける様子もなく不敵な笑みを浮かべると、

 

ズパン!!!!

 

飛んできた部下をまるで野球のバッターのように蹴り飛ばす。

 

「開戦だ!!」

 

するとバギーの部下、カバジが一輪車に乗りながら剣を構えて向かってくる。

 

「バギー一味参謀長“曲芸のカバジ”!!一味の怒り、この私が請け負う!!!」

 

ルフィに向けて勢いそのままに鋭い突きを放つ。しかしそれはルフィに届く前に刀を抜いたゾロに防がれる。

 

「剣の相手なら俺がする!」

 

「光栄だねェロロノア・ゾロ・・・一人の剣士として貴様を斬れるとは」

 

だがゾロの腹の傷はまだ治ってはいない。カバジの一撃を受け止めた衝撃で傷がまた開き、ジワりと血が滲む。それを見てルフィは、

 

「おいゾロ、やっぱり休んでろよ。俺がやるから」

 

しかしカバジはそれに反応させる好きを与えなかった。首元のマフラーを下げると口から日を吐き出す!!

 

「曲技っ“火事おやじ”!!」

 

「うわっ!!」

 

突如顔を焼かれたゾロが後ろへ下がるがカバジは一輪車で間合いを詰め、右足をゾロの傷に向けて蹴りつける!!

 

「あっ!」

 

「アイツ・・・!!」

 

「う・・・!!」

 

ルフィ、ウタ、ナミが思わず声を上げる中、カバジの蹴りがゾロの傷口に決まる。

 

「ぐあああっ!!」

 

傷口を蹴られては流石のゾロも立っていられず、倒れ込む。

 

「くそっ!!」

 

「なんだ、そんなに強くけったつもりは無いが?」

 

「汚い奴!!あいつ傷口を狙って・・・!!」

 

だがカバジはそんなゾロにも攻撃の手を緩めない。

 

「曲技っ!!“湯けむり殺人事件”っ!!」

 

剣を地面に刺し、高速で回せば湯けむり・・・というより土煙が舞い上がる。

 

「何が曲技だっ・・・!!ただの土埃じゃねェか!!」

 

土煙に紛れてカバジがゾロに襲い掛かるも、二本の刀を交差させて受け止める。だがカバジは再び右足を振り上げ・・・

 

「くくっ」

 

「なっ・・・!!」

 

ドボッ!!!

 

再びカバジの足がゾロの傷を蹴り抜く。

 

「うあああああっ!!!」

 

「あいつまた!!」

 

「どうした?大の男が大声で喚いてみっともないぞ・・・」

 

カバジの卑怯な戦い方にナミが避難の声を上げるがルフィとウタは黙って見ていた。

 

「貴様の相棒の妙な能力のお陰でこっちはとんだ災難だ。いくら“海賊狩り”だとて我々バギー一味を敵にした事は失敗だったな」

 

「ハァ!!ハァ・・・!!ハァ・・・!!」

 

「あんな深手で戦うなんて元々無茶なのよ!!あんた達何黙って見てんの!?あいつ殺されちゃうわ!!」

 

「・・・・・・」

 

「いいから黙って見てなって」

 

「見てろって・・・でもアイツ!!」

 

「ロロノア・ゾロ!!討ち取った!!!」

 

ナミがルフィ達に食ってかかっている間に、カバジはトドメを刺そうと一輪車を漕ぐ。絶体絶命かと思われたその瞬間!!

 

ガキン!!!

 

「ぬが!!?」

 

「え・・・・・・」

 

「おお!!」

 

「鬱陶しい野郎だぜ!!俺の傷をつつくのがそんなに楽しいか!!」

 

起き上がったゾロが一輪車を殴り飛ばす。形勢逆転にナミ達が沸く中、ゾロは思わぬ行動に出る。

 

ザクッ!!!!

 

「な!!!!自分で!!」

 

「!?」

 

「いてェっ!!」

 

「えー・・・あそこまでやる・・・?」

 

なんと自分で自分の傷をさらに深く斬りつける。その様子にナミは驚き、ルフィは痛がり、ウタは若干引いていた。

 

「フゥーーーーーッ!!!」

 

ポタポタと血を流しながら口に刀を咥え、本気の三刀流の構えでゾロは言う。

 

「俺の剣が目指すのは世界一・・・」

 

「てめェ一体何を・・・!!」

 

「ハンディはこれくらいで満足か?俺とお前の格の違いを教えてやるよ」

 

「うおーっ!かっこいいーっ!」

 

「・・・・・・これがロロノア・ゾロか・・・ナメやがって・・・!!!」

 

自身を斬った刀からも傷口からもポタポタと血が垂れる中、しかしゾロの立ち姿は傷など感じさせない。

 

「ああ・・・!見てるだけで倒れそう・・・!」

 

「いけっゾロ!!」

 

「頑張れー!」

 

声援が飛び交う中、ゾロは宣言する。

 

「俺はこの先剣士と名乗る野郎には、たったの一度も負ける訳にはいかねェんだ!!」

 

それを聞きカバジがニヤリと笑う。

 

「成程・・・・・・強い志の成せる業か・・・だがまァ安心しろ。それだけの重傷で相手がその俺とあっちゃあ敗けの言い訳(・・・・・・)には充分だ」

 

「・・・・・・逆だ!!これくらいの傷でてめェごときに敗けたとあっちゃ、俺のこの先が思いやられるよ・・・!!」

 

「・・・・・・!!てめェ・・・!!」

 

ゾロもまた自信を口にしてニヤリと笑う。

この戦いの隙にナミがお宝を盗みに行ったりもしていたが彼らの勝負には関係ない。

 

「俺の最高の曲技を味わうがいい!!ロロノア・ゾロ!!」

 

再び一輪車に乗ったカバジは大量のコマをゾロに投げる。

 

「曲技っ!!“カミカゼ百コマ劇場”!!!」

 

そして大量のコマでゾロの気を引いている隙に次の技を繰り出す。

 

「曲技!!“山登ろー”」

 

なんと一輪車で近くの建物の壁を登り出す!ゾロはコマを弾くので手一杯だ。

 

「曲技!!“納涼打ち上げ花火”!!!」

 

「うわ高ェ!!」

 

「“一輪刺し”!!!」

 

壁を利用した跳躍により空高くからゾロを狙う!!そしてその時、バギーも動いた。

 

「地をはうバラバラ砲ーうっ!!」

 

カバジの攻撃はいくら高くからでも所詮は突き。避けることなど容易いがバギーの腕が抑えていたら話は別だ。

 

「カバジッ!!俺が抑える!ゾロを仕留めろ!!!」

 

「御意」

 

「てめェら・・・!!!」

 

その時!

 

ドスン!!!!

 

地面スレスレを飛ぶバギーの右手をルフィが踏みつける!!

 

「ぎいやあああ!!」

 

「ルフィ!」

 

「ゾロの野望(たたかい)に手ェ出すな!!!」

 

「てめェ・・・!」

 

「へっ・・・」

 

「船長の手を借りずとも貴様くらい殺せるわ!!」

 

遂にカバジがゾロを突き刺そうとするもゾロは転がって回避する。

 

「ちっ」

 

だがその体は既にボロボロだ。ドクドクと血が流れ出るその体はもはや立っているのが不思議な程だ。

 

「もういい・・・疲れた・・・」

 

膝を着いたゾロをカバジが嘲笑う。

 

「疲れた?・・・くくくくく。流石に貧血気味か?とうとう勝負を諦めたな!まァ当然と言えば当然・・・!!むしろその深傷でよく今まだ立っていられたと・・・」

 

カバジが言い切るよりも早く、ゾロが彼の一輪車ごと蹴り飛ばす。

 

「お前の下らねェ曲技(・・)に付き合うのが疲れたって言ってんだ!!」

 

「ならばこの辺でトドメを指してやろうか!!俺の本物の剣技で!!!」

 

そう言って一輪車ではなく自分の足で駆け出すカバジに対し、ゾロはその場で構えをとる。

 

「鬼・・・」

 

両腕を交差させ、剣先を上に向けたその構えはまるで鬼のようで、

 

「斬り!!!!」

 

三本全てで一瞬で斬りつける。カバジの胸から血が吹き出す。

 

「カバジ!!」

 

「くそ・・・!我々バギー一味がコソ泥(・・・)如きに・・・!!ここまで・・・!!」

 

その言葉にゾロは倒れ込みながらも反論する。

 

「コソ泥じゃねェ・・・海賊だ!!」

 

そしてルフィとウタの方を向くと、

 

「ルフィ・・・ウタ・・・俺は寝るぞ」

 

「おう、寝てろ!」

 

「あとは私達がやる!」

 

そしてゾロの言葉にバギーが反応する。

 

「てめェら・・・・・・海賊だと!!?」

 

「そうだ!偉大なる航路(グランドライン)の海図を寄越せ!!」

 

「狙いはそれか・・・あの場所は名もない海賊がやすやすと通れる甘えた航路じゃねェぞ、。てめェらなんぞが偉大なる航路(グランドライン)へ入って何をする!!!観光旅行でもするつもりか!!?」

 

その問に対する答えは、彼らはいつも決まっている。

 

「海賊王になる」

 

「新時代を作る」

 

その言葉にバギーは呆れ、やがて怒りを露わにする。

 

「フザけんなっ!!ハデアホがァ!!!!てめェらが海賊王だと!?新時代だと!?ならば俺ァ神か!!?世界の宝を手にするのはこの俺だ!!夢見てんじゃねェ!!!」

 

「うるさいよアンタ。いい加減かかってきたら?」

 

「おいおい女。口を慎めよ!そっちのごむごむならともかくてめェか!!?」

 

そしてその髪の半分を占める赤とルフィの麦わら帽子を見ると苦々しげに零す。

 

「てめェらを見ていると若かりし頃のあの男を思い出すぜ。クソ生意気なあの赤髪の男(・・・・)を・・・・・・!!」

 

「赤髪!?」

 

「・・・やっぱり」

 

ルフィとウタで反応は違えど頭に思い描いた人物は同じだろう。一つの戦いが終わり、そして最後の戦いが始まろうとしていた。

 





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