ディミレス過激派が転生したらエーデルガルトだった   作:まあじょ

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※ここから無双の要素も登場します。未プレイの方はご注意ください。


4話 偶然の出会い

ガルグ=マク大修道院に向かい、森を進む私たち。

ジェラルトやアロイスら大人は先を歩いていて、私たち若者は少し離れた後方で会話しつつ歩く。

 

「……では、修道院は初めてか。良ければ後で案内しよう」

 

ディミトリがベレスに微笑んだ。ありがとうと心の中で呟く。

 

「このフォドラの縮図のような場所さ。いろんな意味でね」

 

とクロードが続け、次は私の出番だ。

私は森を抜けた先に見えてきた巨大な城を見上げながら、

 

「……もうすぐ嫌でも目に入るわ。あれが……ガルグ=マク大修道院よ」

 

という台詞を担当する……はずだったのに。

私はとある緊急事態に遭遇し、ディミトリの台詞の前あたりでこっそりと列から抜けることになっていた。

だって……森の中で寝ているシェズを見かけてしまったんだもの!

あの片目を隠した紫髪は絶対に間違いないわ。

 

シェズ――風花雪月無双における主人公。

無双は本編とは異なる世界線で、ストーリーも全く違った内容になっている。

もし今から無双の展開になってしまったら、ディミレスは深いかかわりを持てず大打撃だ。

 

私はシェズに近づきながら彼への対応を考えた。

どう対処するのが最適かしら?

楽観視して放置する?

こちらに干渉してこないように裏で手を回す? 

それとも……今のうちに殺しておく?

 

私は前世で偏差値55ぐらいだった脳みそで一生懸命考えて、結論を出した。

危険要素ではあるけれど、下手に野放しにするより、手元に置いてコントロールできた方がよさそう。

私はシェズを黒鷲の学級にぶち込むことに決めた。

無双を全ルートやった印象だと、シェズは自分を拾ってくれた人には結構忠実だ。

むしろ放置して闇うごに拾われたり謎の新勢力に加入されたりした方が面倒臭い。

 

そうと決まれば、スカウトよ!

私が眠るシェズに忍び寄ると、彼はゆっくりと起き上がった。

このシェズは男の方……通称シェズ男みたいね。

どうしてベレトスみたいに男女で名前を変えなかったのかしら。

二次創作を探す時に若干面倒なのよね。私はシェズ男が見たいのに、シェズ子の方が出てきたりして。

シェズ子も可愛くて好きだけどね。

もっとも、二度と二次創作なんて検索できない世界に転生してしまったのだけれど。

 

「ん? 何だ? 誰かに呼ばれた気がしたが……」

(……呼んだよ。もう何度も呼んだ)

 

シェズはラルヴァと会話をしている。

 

「うわっ! 突然話しかけるのはやめてくれって言っただろ?」

(そう言われてもね。君、僕の突然の導きがなかったら何度死んでいたと思う?)

 

ふふっ、実はこの二人の絡みもかなり好き。

なんだかんだシェズのことがめちゃくちゃ大事で守ろうとしてくれるラルヴァにほんと悶えるわ~!

後方ならぬ内側彼氏面ってやつ?

私は好きなコンビの尊い会話を拝みながら、木の裏で登場のタイミングを待った。

 

(合計で22回だ。修練と称して崖から飛び降りたのが3回、魔物の群れに一人で……)

 

ふふ、ふふふふ……いやちょっと待って。

ラルヴァの声、普通に聞こえてない?

てっきりプレイしすぎによる台詞の脳内再生だと思ってたけど、絶対聞こえてるって。

 

(話が逸れたが……そろそろ君を起こした理由を説明していいかな?)

(……といっても、説明するまでもなくもうそこに現れてしまったが)

 

おお、ラルヴァの声が聞こえるおかげで登場のタイミングがわかりやすい!

なんで聞こえるのかっていう疑問は置いといて、ひとまずは前に出よう。

 

「そこの貴方、いったい何をしているの?」

 

私はいかにも今現れましたといった顔でシェズの前に現れた。

 

「賊の仲間かしら?」

 

ディミトリとクロードがいないから、一人で三人分の台詞を全部回す。

本来これはディミトリの台詞だったはず。

 

「ちょっと待て、賊って何だ? 俺はただの傭兵だぞ」

「……傭兵が一人、こんな森の中で何を? 賊よりも不審じゃないかしら」

「お前こそいったい何者なんだよ。護衛の依頼なら受けるぞ? 一人だが……傭兵だからな」

「そうね、なら護衛してくれる? 私は皇女よ」

「皇女!?」

 

シェズの紫色の目がまん丸になる。

 

「ええ、私はアドラステア帝国の皇女、エーデルガルト=フォン=フレスベルグよ。実は盗賊に追われていて、仲間とはぐれてしまったの」

 

コスタスはもう討伐されたし、はぐれたのは意図的なんだけどね。

そんでもってコスタスは私の自作自演。

 

「私をガルグ=マク大修道院まで護衛してくれないかしら? 貴方、結構腕が立つように見えるわ」

(見たところ彼女が皇女であることは本当のようだね。どうする、この依頼を受けるかい?)

「おう、任せろ。盗賊が現れても返り討ちにしてやる」

 

なんだかラルヴァに見透かされているような気配もするけれど、嘘まみれの依頼を受けてもらえそうだ。

 

「ありがとう。目的地に着いたら報酬は弾むわ」

 

こうして、私はシェズと共にガルグ=マク大修道院に向かうことになった。

この後は、上手くシェズにベレスの話をして、黒鷲の学級にぶち込む!

 

「実は俺、この辺りにあるルミールって村に行きたくて、道に迷ってたんだ。ジェラルト傭兵団がいるって噂を聞いてな。凄腕の連中だよ」

 

ベレスの話をする機会を伺いながら無難な世間話をしていると、ついにチャンスが訪れた。

 

「ジェラルト傭兵団? 私は彼らの居場所を知っているわ」

「ルミール村にいるのか?」

「いいえ、まさに私たちが今向かっている、ガルグ=マク大修道院よ」

「本当か!?」

 

またまたシェズの紫色の目がまん丸になる。

これはフェルディナントやカスパルにも思うことなのだけれど、どうしても身近には表情に乏しい殿方しかいないから、表情が豊かな男性を見ると新鮮で楽しい。

……なんてことを、お父様や伯父様、ヒューベルトを思い浮かべながら感じた。

 

「ええ。懐刃ジェラルトの娘……”灰色の悪魔”と呼ばれる女性がいるのを知っているかしら? 彼女は大修道院に併設されている士官学校の、教師に就任するわ」

「教師!? ど、どういうことだよ!」

(へえ、灰色の悪魔が教師にね。あんな無情な人間に教師が務まるのかな)

 

ふふっ、いい反応ねシェズにラルヴァ。

私はさらに畳み掛けることにした。

 

「あら、彼女と何か因縁があるの?」

「ああ。あいつに傭兵団の仲間を全員やられたんだ」

「復讐をしたいの?」

「いや、そういうわけじゃないだ。ただ、次こそあいつに勝ちたい」

「そう。……なら、貴方も士官学校の生徒になるのはどう? あそこなら……」

 

そこまで言いかけたところで、聞き慣れた声が私の名を叫んだ。

 

「エーデルガルト!」

 

ディミトリだ。どうやら私のことを探してくれていたらしい。

ディミトリは私の元に駆け寄り、後ろからクロードやベレスたちが歩いてくる。

……後先考えずにシェズのところに行ってしまったけれど、やっぱりいなくなったのはバレたようね。

 

「一体どこに行っていたんだ、心配したぞ」

「ごめんなさい。少し気になるものを見つけてしまって……」

「まるで迷子になった小さい女の子みたいじゃないか。皇女様にも可愛いところがあるんだな」

「悔しいけど、返す言葉もないわ……」

 

煽ったなクロード、後で覚えていろ……!

シェズは私の肩越しにベレスのことを睨んでいるけれど、ベレスの方は何も気にしていない様子。

 

「ところで、そこにいるのはどちら様だ?」

「私がガルグ=マクまで護衛を頼んだ傭兵よ」

 

……的なやりとりをしながら、私たちは無事に大修道院に戻ってこれた。

とりあえずシェズが出会い頭にベレスに喧嘩を仕掛けるほど馬鹿じゃなくて助かったわ。

 

後はレア様にシェズの力(別に見てない)を報告してっと。

ここまでやれば、後は教室で彼が来るのを待つだけ。

 

数時間後、士官学校の制服に身を包んだシェズが教室に現れた。

 

「ようこそ、黒鷲の学級へ。貴方がこの学級を選んでくれて嬉しいわ」

「あんたが強引に入れたんだろう!」

 

「ど、どういうことですか!? 知らない人が増えてます!」

「なあリンハルト、あいつ誰だ?」

「僕が知ってるわけないでしょ」

「私はエーデルガルトが彼を連れて戻ってくるのを見たぞ!」

「じゃあ、エーデルちゃんの知り合い……?」

「……彼はエーデルガルト様を護衛した傭兵です」

「傭兵、生徒、なりますか? わたし、傭兵の戦い方、興味、あります」

 

賑やかな黒鷲の学級が騒ぎ出す。

 

「俺はここで学びたいなんて一言も言ってないし、学級を選ぶ権利はなかったからな!?」

「その制服、似合っているわよ」

「無視するな!」

 

こうして、私の狙い通りシェズは黒鷲の学級の生徒になった。

既に原作とは違う展開だけど、シェズとは楽しくやれそうだし悪くないわ。

……後は、ベレスに青獅子の学級を選んでもらうだけ。

絶対に、絶対にディミトリの手を取ってもらうんだから!

 

~シェズ視点~

(随分、俺のことを評価してくれるよな。気高そうな割に、傭兵風情と見下さないし)

 

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