ディミレス過激派が転生したらエーデルガルトだった   作:まあじょ

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※公式では語られなかった謎への独自解釈が入っています。オリジナル設定としてお楽しみください。


5話 選択の刻

シェズが黒鷲の学級の仲間になった直後。

私は大広間に移動して、校内をうろうろ探索しているベレスを待ち構えた。

 

……ところで、どうしてクラス分けは終わってるのに担任が決まってないのかな。

普通、担任を決めてから生徒を振り分けると思うのだけど。

後からベレトスが担任になるメタ的な都合だろうから、突っ込むのは野暮だろうか。

 

ちなみに、盗賊騒ぎ中に逃げ出した教師っていうのはエーデルガルトが仕組んだことだ。

本当はコスタスらに教師を脅迫させ、空いた枠でイエリッツァを担任にするはずだった。

ところがベレトスが現れて、計画が狂ったのだ。

だから、ベレトスが担任にならなかった無双世界ではイエリッツァが担任になっている。

 

ベレスはレア様との会話を終え、謁見の間から階段を降りてこちらに近づいてきた。

私は自分を奮い立たせるべく、一度だけ深呼吸をする。

さあエーデルガルト、お前の目的は何だ。

……ベレスに青獅子の学級を担当させることだ!

彼女の胸から圧を感じるほど近くに来られたところで、私は口を開く。

 

「貴方、この修道院の教師に……? 帝国で雇おうと思っていたのに、残念ね」

 

……なんて言うとでも思ったか!

正しくはこちらの台詞です。

 

「貴方、この修道院の教師になるそうね。でも、別に貴方に教わることなんてないわ。確かに貴方の腕は目を見張るほどだけれど、優れた教師に必要なのは腕だけじゃない。貴方に武芸以外に人を導ける分野があるとは思えないわ」

 

ベレスは眉一つ動かさず、私の理不尽なヘイトスピーチに耳を傾けている。

 

「改めて名乗らせてもらうけれど、私はエーデルガルト=フォン=フレスベルグ。アドラステア帝国の皇女であり、第一位の皇位継承者よ。傭兵風情が私に気安く話しかけないで頂戴」

 

ここまで言い切ったが、ベレスは何とも思ってなさそうな顔だ。

むしろこっちの心が痛む!

ごめん、ごめん、めちゃくちゃキャラ崩壊してる……。

自分で自分の言動に解釈違いを起こして苦しい。

エガちゃんは、そんなこと言わないっ……!

 

「そういえば、学級の方は見て回った? 黒鷲の学級で気になる生徒がいたら教えて」

 

この台詞はカット。クラスメイトの個人情報は守ります!

ふふっ、メンバーの情報を一切与えないことで選びにくくする作戦よ。

そして最後にとっておきの呪文を一つ。

 

「あと、個人的な忠告よ。ディミトリには近づかない方がいいわ。もし貴方に受け持つ学級を選ぶ権利があるのなら、青獅子の学級だけは避けることね」

 

ダメって言われたことはやりたくなる。

そう、カリギュラ効果よ!

絶対に青獅子を選ぶなと言われたベレスは、青獅子を選びたくて仕方なくなってしまうのだ。

 

「……何故?」

 

ここまで私が何を言おうが無反応だったベレスが、初めて声をあげた。

しめしめ、ディミトリに興味を持ってくれたみたいね。

 

「彼は……悪魔のような男だから」

「そう」

 

ベレスはそれだけ言うと、私の元を去った。

……ゴリラと言い間違えなくて本当によかったー!

 

ここまでやれば、余程クロードに惹かれない限りベレスは青獅子を選ぶと思う。

あらかじめ青獅子の子たちにも「根回し」は済んでいるしね。

後は、クロードがベレスと喋れないように妨害でもしましょう。

 

 

~ベレス視点~ 

(物凄く青獅子の学級を選んでほしそうだ。何故……?)

ベレスはエーデルガルトの言動を疑問に思いながら、三学級の教室が並ぶ中庭に移動した。

黒鷲の学級の生徒と軽く言葉を交わし、そのまま隣の青獅子の教室に入る。

 

「あ、メーチェ、もしかして、この人が噂の傭兵さんじゃない?」

「そうね、あの子が言ってた特徴と同じだわ~」

「例の殿下を救ってくださった方?」

「おお、まさかこんな別嬪さんだなんて」

 

ベレスが教室に足を踏み入れた途端、青獅子の学級の生徒は彼女をぐるりと囲んだ。

 

「傭兵さん、殿下を助けてくれてありがとう!」

 

オレンジ髪の女子生徒……アネットが快活な声で感謝を述べた。

 

「エーデルガルトが、『私とディミトリの命を救ってくれたの、恩人なのよ!』って、目を輝かせて教えてくれたわ~」

「俺も話は聞いてるよ、皇女様から」

「私も皇女殿下から」

「僕もエーデルガルト様が」

「あの女が」

「殿下より、彼女の方が熱心に話していた……」

 

(一体どういうことだろう。自分には冷たく接するのに、第三者には良い評判を伝えている……?)

 

 

~エーデルガルト視点に戻る~

よし、クロードをベレスと入れ違いになるように誘導してやったわ。

ついでに不安要素のシェズにはお小遣いを渡して市場で時間を潰すように命じておいた。

ここでシェズに運命的なものを感じて黒鷲! とか言われたらたまったもんじゃない。

まあとにかく、後は青獅子の子たちが彼女に精一杯の感謝を伝えてくれるはずよ。

私はさっきの会話で嫌われたから、ベレスがどこの学級を選ぶかは明白ね。

……くしゅん!

急に鼻が痒くなったわ。

今は春とはいえ、この世界に花粉症はないはずだけれど……。

 

そろそろベレスが修道院を探索し終えたはずだ。

こっそり謁見の間に忍び込むと、予想通りベレスはレア様の前に立っていた。

 

「黒鷲の学級、青獅子の学級、そして金鹿の学級。……もう見て回ったわよね?」

 

そう話すマヌエラ先生の隣には、仮面をつけたイエリッツァが立っている。

……あれ? ハンネマン先生は?

 

「ところで聞いて頂戴、ハンネマンったらぎっくり腰ですって!」

 

そういうことかー!

 

「それで当分復帰できそうにないから、いっそイエリッツァ先生が担任になってしまえばいいんじゃない? って話になったの。あ、あなたは初対面よね。こちらは武術師範の、イエリッツァ先生よ」

「イエリッツァだ……」

 

えっ、まさかの原作にない展開?

マヌエラ先生はまるで歌劇のソロパートのごとく一人で喋り続ける。

 

「話を戻すけれど、新任のあなたから選んでいいわよ。残る2つの学級を、あたくしたちがそれぞれ受け持つわ」

 

マヌエラ先生のソロパートが終了すると、ベレスは腕を組んで考え込んだ。

そして、少しの間を置いて……

 

「青獅子の学級を担当しようと思う」

 

……、

…………。

 

「ディミトリが級長を務める、青獅子の学級ですね」

「はい」

 

いやったああああああ!!!!!!

思わず隠れていた柱から飛び出しそうになるのを、ぐっと堪えた。

 

「心は決まりましたか。彼らを真摯に導いてくれることを願います」

 

自分の死刑宣告なのはわかっているのに、喜びが溢れ出る。

興奮のあまり、フレン登場のくだりは耳に入ってこなかった。

ようやく落ち着いた頃に、聞こえてきたのは……

 

「近日、現時点での生徒たちの実力を測るための学級対抗の模擬戦を行う予定だ」

 

んげっ、忘れてた。

ディミトリ単体で既に強敵なのに、ベレスの采配がついてしまうとは。

あ、あんな化け物二匹が率いる筋肉クラッセと戦いたくない!

次の目標は「模擬戦で大怪我しない」になりそうね……。

 

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