とある黒猫になった男の後悔日誌   作:rikka

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103:『千視万計』

「クロ!!」

「すまん、遅くなった」

 

 黄猿――ボルサリーノさんを吹っ飛ばしてノックダウンした直後に、空を走って護送船に戻った俺を、ヒナが出迎えてくれた。

 

「大将黄猿は!?」

「とりあえず行動不能にはした。だが、自然(ロギア)系は意味不明な回復力を持つ事がある。とりあえずは連中から奪ったここを指し示すエターナルポースを目安にこの海域を離脱! 追撃艦隊から距離を取ってくれ」

 

 こちらの指示に、ワイアード大佐を始めとする面々が作業に移る。

 ……というか、もうちょっと離れてくれててよかったんだよ?

 追撃艦隊の連中、全艦絶賛座礁中で身動き取れなくなってるけど。

 

 横転してる奴も含めて。

 

「ほ、本当にやったのね……でも、クロ……」

「分かってる。とりあえず残ってる物資やバラストを確認する。悪いが付き合ってくれ」

 

 本当に……。

 一番の問題はここからなんだよなぁ。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 船の最下層。バラスト部。

 船のバランスを取るために重い石を大量に積んでおく場所だ。

 

「やっぱり。普通本部の船はここに海楼石を積んでいるのに……」

「普通の石だな。……分かっていたが、面倒な事になった」

 

 ここに海楼石を積む事で海のエネルギーと船を同化させて、海王類から見つかりにくくする……とかいう理屈だったはずだ。

 

(まぁ、今の俺なら海王類との遭遇はそこまで怖くない。とはいえ、群れで来るだろう凪の帯(カームベルト)で船を守りながらとなると、さすがにちょっと難しいか)

 

 やろうと思えばできるんだろうが、少々賭けになってしまうだろう。

 それにヒナや海兵達を巻き込んでチャレンジするのは……。

 

(気配を多く感じた海に目掛けて威力を調整した『威国』ブッパすれば人数分の腹を満たすだけの魚を捕まえるのは容易いし、燃料はある程度あるから蒸留で水を確保することも出来なくはない。最悪太陽光にマストなんかに使う布があればなんとかできる)

 

 問題は、なんとかやりくりしている間に陸を見つけることが出来るかどう……か……

 

「ん?」

「どうしたの? クロ」

「いや、何か石の下に見えたような……」

「あ、ちょっと。私も手伝うから詰めてよ」

 

 ヒナと並んで、ガラガラと詰まった石を退けていく。

 深さ的に十センチちょい程分くらいの石を脇へ寄せた所で、その下に隠れていた物へヒナと同時に手を掛ける。

 

 樽だ。

 

 そこそこデカい樽が石の下から出て来た。

 そのまま周りの石を退かせていくと、その周囲にも同じ大きな樽がある事が判明した。

 真っ先に蓋を開けようとするヒナを手で制して、ゆっくりと蓋を開けると――

 

―― そこには、ギッシリと食料(・・)が詰まっていた。

 

 塩漬けの肉や魚、豆、ビスケットに瓶詰された野菜の酢漬けなどが、それはもうギッシリと。

 ヒナがその隣の樽に手を伸ばすと、同じく食料が。

 

 こっちも違う一つを開けようとすると、こちらは蓋がガッツリ封じられている。

 ならばとかなり重いソレを少し揺さぶってみると、中からチャプンチャプンと液体の音がした。

 酒か、あるいは水だ。

 

「ひょっとして……」

「これって……」

 

 ヒナが、潜めたまま鋭い声を出す。

 ヒナが更に開けた樽には、それまでと同じようにギッシリ食料が詰まっている。

 だが、その中に一つ、布に包まれた大きな何かがポツンと入っていた。

 ヒナがゆっくりとその布をめくると、中から出て来たのは――

 

永久指針(エターナルポース)……?」

 

 分け目のない砂時計のような外見をしているそれを、ヒナは信じられないといった様子で眺めている。

 差している方向は、間違いなく、あの奪ったエターナルポースとは違う場所だ。

 

「ヒナ」

「な、なに?」

「それ。その蓋の裏」

 

 中身にばかり目が行っていたヒナは気付かなかったようだが、横から見ていた自分には一発で分かった。

 ヒナが樽横に置きっぱなしにしていた蓋に改めて手を伸ばして、それをひっくり返す。

 そこには、

 

 

―― コレデ カシカリ ナシダカラナ!

 

 

 と、誰が書いたか判別の難しいカナ文字が雑に彫られていた。

 

「……クロ」

「ああ」

アイツ(・・・)、貴方の送別会の時にベロンベロンに酔っぱらって早々に姿消してたけど」

「そん時に海楼石と石の入れ替え工作。で、さらにその隙を突いてこっそりやってくれたんだろうなぁ……。まったく――」

 

 

 

 

(スパさんってば……)

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「では、『黒猫』はあくまで捜索のみで?」

「そうだ。目標を発見したとしても、アクションは起こすな。ただ居場所の把握だけにしておけ」

 

 CP9が所有する隠された指揮所の一つで、その長官であるスパンダインは、部下の一人に指示を出していた。

 

「どうも今回の一件はしっくり来ない。あるいは五老星の間でも意見が割れているのかもしれねぇ。ここで下手に突くとややこしい事になる。いや、それだけならいいんだが……」

 

 スパンダインは疲れた目を瞼の上から揉み解して、軽くため息を吐く。

 

「なにかしらの状況が悪化した時に、妙な責任を押し付けられて俺達が身代わりとして排除(パージ)される可能性もある。……幸い黒猫を取り逃がした件は、大将黄猿を単独で撃破可能な武力持ちならしょうがねぇと不問扱いになったが……」

 

 パサッとスパンダインは一枚の紙を机の上に放り投げる。

 これから発行されるとある海賊の、新たな手配書だ。

 

「しばらくは慎重に動く。黒猫は個人としても勢力としても台風だ。ただの海賊なら消せば済むが、ここ最近の動きからして、政府が大幅な譲歩をしてでも黒猫の協力を要請する可能性もなくはない」

「…………やり……ます、かね?」

 

 話を聞いていた女性のCP9――先日の聖地防衛線で火計策を仕掛けたメンバーの一人は、怪訝そうな顔でスパンダインにそう尋ねる。

 

「少なくとも天竜人入りなんて話が真面目に検討されるレベルだったんだ。駄目元でアレコレ試そうとするかもしれねぇ。だから、政府がガッツリ態度を決めるまではあくまで『把握』で済ませておきてぇんだよ」

「なるほど……。」

「他のCPの部署も、西の海の情報操作のためにほとんどの人員が向こうで待機中で動けるのがいねぇし……8は少し動きが怪しいから、こっちの見張りにも人を割きてぇ。……こう考えると、そもそも静観以外に道がねぇとも言うな」

「ええ、長官のお考えは理解いたしました」

 

 女は蠱惑的な笑みを浮かべて「それでは失礼いたします」と一礼し、部屋を出ていく。

 

 残されたCP9長官は、やれやれとため息を吐いて棚からグラスと酒瓶を取り出し、氷も用意せずに適当に注いで数口飲み込む。

 

「……ちっ、どう流れるにせよ、一度捕まれば政府の他の連中がアイツの助命嘆願と勧誘に動くだろうさ。アイツがいなくなった途端にいくつかの部署が機能不全に陥って、管理役の何人か降格されたしな。海賊以下の頭って言われて」

 

 クロの直属の部下として動いていた面々はともかく、復興の際に他部署でありながらクロを頼っていた人員が、黒猫討伐の命令が下されたと知った途端に動き出していた。

 捕えた際のその処遇について、見せしめの処刑や奴隷にするよりも、政府のために働かせた方が何百倍も有益であるという声が広まっている。

 

「仮に捕まえて政府で働かせるなら、表に出るところじゃ無理だ。ウチかゼロの管轄になるが、ゼロに余所者を入れるのは政府という組織じゃ気に入らねぇだろう。となると必然的にウチじゃねぇか!」

 

 

「せいぜい俺の下で、俺の手柄をたくさん作ってもらおうじゃねぇか。ムハハハハ!!」

 

 

 

 

 

「……ハ」

 

 

 

 

 

「――ちっ」

 

 

 

 

―― 死ぬんじゃねぇぞ。クロ、小娘。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 西の海での戦いを終え、世界でも有数の勢力となった黒猫海賊団は勢力圏を落ち着かせるために、各勢力を分けて一度領地に戻った。

 

 ダズ・ボーネス率いる本隊と元海兵の半数は、救出した王族二名を連れてモプチへ、親衛隊の半数を主軸とした部隊はキャネットの完全平定に、そしてハンコック率いる第一艦隊、並びにミホークと残る半数の元海兵はモグワへと帰還していた。

 

「どうした、ハンコック。おおよその仕事は片付いただろう?」

「……ミホークか」

 

 そうして政府との対立を聞き混乱していた民衆を落ち着かせるためにも、勢力圏となったことの説明、今後の復興、開拓計画の一部提示、まとめ役との打ち合わせなどを終えたハンコックは、海兵のいなくなったモグワ城の上階のバルコニーから城下街を見下ろしていた。

 

 いつもならば緊急の出動に備えた海兵達が焚く篝火の数が明らかに減り、やや暗く感じる夜の城下町を。

 

「うむ。……海兵達の事を考えていた」

「確か、再編前にこのモグワにいた海兵のほとんどはこちらに付いたとのことだが」

「じゃな。といっても、家族などの身寄りがいない者がほとんどであるが」

「それは仕方あるまい。人間、俺のような人種でもない限り繋がりというものは捨てられまい」

 

 元海兵達のまとめ役であるタキは、ダズと合流してモプチにいる。

 今後の方針を決めるためであり、ハンコックやミホークも、工作を終えて帰還中であろうギャルディーノ達と合流し次第、すぐにモプチに集合することになっている。

 

「……ハンコック。お前が気にしていると言うのは、元海兵達が海賊の指揮に従うかが不安という事か?」

「いや、それに関しては問題あるまい。主殿主導の共同作戦に従事しておった精鋭揃い。すでに海軍と刃を交えた以上、黒猫の一員として迎える事に不安はない。……少なくとも、わらわは」

「では?」

「……刃を交えた方の海兵じゃ」

 

 城下町では、簡易住居の煙突から煙が立ち上っている。

 街の住人が夕餉の支度に入ったのだろう。

 火が使えないギャルディーノ製のキャンドルハウス群の方では、その前の広場の調理場兼休憩所で女性達が忙しなく動いている。

 

「モプチの王族の方々の話は聞いたか?」

「随分痛めつけられていたらしいな。国を政府の管理下に置くと自分から宣言するように、出航前に政府の者から拷問を受けていたとか」

「…………戦った兵士達――特に、大将なる者達がそれを知っていたとは思えぬ」

 

 ミホークの「ほう」という小さい相槌にハンコックは頷く。

 

「大将赤犬にゼファー撃破を伝えた折じゃが、あの者の驚愕は尋常ではなかった」

「本来ならば俺が相手をするハズだった大将か。ダズ・ボーネスとアミス達が倒してみせたが……」

「うむ。……今にして思うとアレはゼファー……『黒腕』の撃破ではなく、王族の二名が戦場にいる事に驚いていたのかもしれぬ」

 

 戦ったからこそ、分かる事もある。

 確かに苛烈。そしてそれが汚れ仕事だとしても、手を抜けるタイプではない。そうハンコックは見ていた。

 

 だが同時に、それをそういう物だと知らなければ……。

 

「逆に黒腕は知っていたと言うが……」

「呑み込みはしたが、それを平然と受け入れられる性質ならばアミスらに情報を流してはおるまい」

「あくまで政府主導である、か」

 

 ミホークという男は基本的に他者に興味を持たない。

 黒猫の幹部勢や、弟子と言える親衛隊の面々――一部の例外があるが――それ以外には全く興味を示さない。

 

 だがそれでも、一連の事件や今回の裏切り、王族への扱いに対して嫌悪感を覚えるくらいには『黒猫』という組織そのものへの愛着もあった。

 

 ミホークは、珍しく顔に不快感を露わにする。

 

「……思う所はあれど、大将二人は真っ直ぐな男ではあろう。ゼファーとやらも、主殿があれだけ真剣に(ふみ)でやり取りをしておったのだ。性根の曲がった人間ではあるまい」

 

 海兵という存在に思う所のあるミホークだが、否定はしなかった。

 ハンコック同様、刃を交えたがゆえに分かる事もあった。

 

「海軍の掲げる正義が真であれば、それは主殿の掲げる矜持と変わらぬ。武を持たぬものを守り、生産、経済に従事させ、飢えや貧困を少しでも減らす。軍組織である海軍と、縄張りの運営と管理まで行わねばならぬ『黒猫』では色々違うじゃろうが……」

「……ああ」

 

 黒猫という組織の中で、もっとも多くの荒れ地を田畑に変えて来た男が力強く頷く。

 

「うむ。どちらも同じじゃ。弱き者を守りたいという一点においては、間違いなく我らと海軍は同じハズ」

「言いたいことはアレコレあるが……そうだな」

「なのに、なぜこうして刃を交える必要が出て来る!?」

「……それは、――」

「分かっておる! 政府の意向という物であろう!? じゃが……国を治める以上、向いている方向は同じと言わずとも近しいハズではないのか!? 明らかな敵意を向けた賊より、我らに姑息な策まで用いて踏みにじる事を優先させる理由とはなんじゃ!?」

「…………」

 

 ミホークは答えない。

 答えようと思えば答えられる。

 

 政府どうこうではなく、人間という存在が他人の不幸を喰わねば生きられぬモノだと知っているからだ。

 それが民衆であろうと軍人であろうと王であろうと、その業からは逃れえぬと知っているからだ。

 

 ましてや相手は世界政府。天竜人である。

 馬鹿な理由で戦争を起こしたとしても不思議ではない。

 

 だが、それでも組織であるハズの『政府』が、今というタイミングで『黒猫』を潰す理由にピンと来ないのもまた確かであった。

 

「世界政府とは、そもそもなんなのじゃ……っ」

「……確かに、考えてみれば不思議だ。クロをここで切り捨てる事に意義は見出だせん」

「戦わねばならぬ事だけしか分からぬとは……歯痒いにも程がある」

 

 戻ってからすぐにシャワーも風呂も浴びずに城下町の見回りや、まとめ役への説明に走り回っていたためにまだ潮でベタついている黒髪を手で梳き、息を吐く。

 

「やはり、一刻も早く主殿を迎え、モプチにて指揮をとってもらわねばならぬ……っ!」

「おそらく、向こうも襲われているだろうが――」

「主殿ならば問題あるまい。貴様やレイリーと同時にあれだけやりあえる戦士が、そうそう遅れを取るハズがない」

「当然だ。まぁ、まずは奴がどこにいるかを把握する必要があるが……む」

 

 ハンコックに倣い、並んで城下町の様子を眺めていたミホークが最初にそれに気付いた。

 続いてハンコックも気が付き、空を見上げる。

 

 空の方から、やや大きい翼の羽音が近づいてくる。

 

「新聞か……こんな時間に来るとは、号外か?」

「大方、西の海での海戦についてであろう。さて、我らの事がどう書かれているか」

 

 ハンコックがブラウスの胸ポケットからコインを取り出し、バルコニーの手すりへと降り立った帽子をかぶった大きな鳥が首から下げている袋に入れてやると同時に、ミホークが同じ首に下げている鞄に詰まった新聞を一部抜き取る。

 

「……ほう」

「どうじゃ、ミホーク?」

 

 

「まずは一安心といった所だな」

 

 

「――クロの奴、無事だぞ」

 

 ミホークが新聞の中から十枚前後の紙束を抜き出し、その一番上をハンコックに見せつける。

 それを見たハンコックは一瞬ギョッとした後に、吹き出してしまった。

 

 一度吹き出してしまったら、もう止まらなかった。

 

 

「ハッハハハハハハハ!! そうか、また大そうな額になったのう!!」

 

 

 

 

「――うむ。それでこそ、わらわの主よ」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「いやはや……人がいる島に上陸出来たのはよかったけどさ……」

 

 ヒナが少々不審がっていたが、スパさん(推定)がバラスト部に紛れ込ませた永久指針(エターナルポース)を頼りに航海をした所、普通の島に辿り着けた。

 若干漫画で見たジャヤに雰囲気が似ている、新世界側の悪党の島。

 

 ……スパさん、どうも本気でこっちを逃がしたかったみたいだなぁ。

 マジで隠れるには最適な場所だ。

 

 まぁ、問題は――

 

 

―― おい見ろあのガキ共、片方は海兵だぜ。

 

―― しかもツラがいい。

 

―― 持っていく所を選べば高く売れるんじゃねぇか?

 

 

(まぁ、無法者の隠れ家ならそうなるよなぁ。着替えの服なんて用意できなかった……というかそれらを買いに来たんだから)

 

 海軍の船で堂々と乗りつける訳にもいかないので一応人気の少ない所に船を泊めたんだが、物資の補充や海図、出来ればログポース辺りを手に入れるために街を調べて来るといったら同行者が必要だと言われた。

 俺を一人で行かせるわけにはいかないと。

 

 で、個人的には単独の方が楽だとアレコレ話し合った結果、こうして同行したのがヒナなのだが……。

 

 おいヒナ、なんで今俺の足蹴った?

 

(くそ、面倒くせぇな。ヒナを人質って事にして、それでもイチャモン付けて来る奴がいたら見せしめにぶっ飛ばすか?)

 

 こちらを嫌な目で見て来る海賊共を観察して――見るまでもなく、どいつもこいつも雑魚だ。

 覇気が親衛隊どころか、うちの兵士にも負けている。……あくまで古参兵に、だけど。

 

 大丈夫? ここ新世界なんだよな??

 

 黄猿の百分の一以下の連中しかいないんだけど、ここでやっていけるのか?

 

 

―― お、おい! 横のガキ!!

 

 

 …………。

 

 ん?

 

 

―― 間違いない、あの眼鏡に傷跡、それに黒いスーツ!

 

 

 こっちを見ている海賊達は、手に紙を持ってこっちを見ている。

 

(あぁ、そうか手配書でこっちの顔は分かるのか)

 

 だったら話が早い。

 

 海賊連合事件の頃から懸賞金は気にしてなかったが、確か俺の懸賞金は一億ちょいあったハズ。

 新世界で見ればそこまで高い額ではないんだろうけど、一億くらいだった……ロック……ロック……なんだっけ。

 

 とにかく、それくらいの額で赤髪の新入りがちょっと自慢気にしていたし、それなりのネームバリューにはなるだろう。

 

 大したことないって様子だったのも、あくまで『白ひげ』の連中だったし。

 

 

「間違いねぇ! あのガキは――!」

 

 

(あの海戦から大体10日。その間に値が上がったかもしれんが……ま、大将撃破とはいえ内容は外に漏らしたくないハズ。アレコレ理由付けたとしても5億くらいだろ――)

 

 

「抜き足――いや、千視万計!」

 

 

 …………。

 

 なに、なんて?

 

 

 

「懸賞金28億(・・・)!!!!」

 

 

 

 

 

「海賊、キャプテン・クロ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、すみません。それは違うクロさんですね」

「いや絶対に貴方よ」




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