つまり――
「ちなみに、いつから?」
「気付いていたかって?」
あの襲撃を受けた時だったなぁ。
「大将黄猿と交戦した日の時点で聖地出航からそれなりに日数が経っていた。そこで襲い掛かってきたCP連中に疲労らしきものが見られなかったって事は、誰かがどこかの区画にCPを匿っていたって事だ。当然、食事や水も提供されていたのは明らか」
あの時点でヒナとはそれなりの関係を築いていたんだ。
堂々とCPや知らない海兵がいたら俺に言っていたか、そこまで行かなくとも不審な物を感じて動きや表情に出ていただろう。
「それが出来るとなると、兵士に対する指揮権を持って動きを誘導できる者が最有力容疑者だった」
「まだ容疑者だったのか」
「黄猿と戦った直後まではな」
少なくとも原作知識で空間を行き来できる能力がある事自体は知っていたし、あるいは能力でしか入れない隠し部屋がある可能性もあった。
「確信を持ったのはその後だ」
一番確信を持ったのはその後。
イッショウと出会ったあの島までの航海の間にだ。
「事前に多少焼けた色を使うことで不自然さを打ち消したんだろうが……」
自分の頬をトントンと二度叩いて、俺がどこで気付いたのかを報せる。
目の前のスパイは察したようで、先ほどのような苦笑を浮かべて「しまったな」とボヤいている。
「あぁ、なるほど。……日焼けか」
スパイは自分の、まるでアルビノのように真っ白な肌を撫でてぼやく。
「肌が綺麗なヒナでも、あの島に着く頃には少し赤くなっていたからな。ずっと焼け方が一定だったのでかなり怪しいと思っていた」
日光が相当制限される魚人島での戦いの中でも一切色に変化がなかったからな。
「え、あの……大……佐?」
ヒナがまだ困惑しているが……まぁ、仕方ない。
「ヒナ、これが政府が海軍に括りつけた三本目の鎖だ」
女スパイは俺――というよりはヒナを試すように、やや威圧とも取れる笑みを浮かべる。
「特別中将などという無粋な枠組みを作る以前から、政府は海軍に無言の圧力を加えていたんだ」
そうでなければ、タキ爺ちゃんが言っていた島民狩りのための封鎖なんて不可能だ。
プルミング聖からもあの手この手で接待していた時に
「海兵は大きく二つに分かれる。天竜人の所業を知っている者と知らない者――あるいは知らされていない者」
ガープさんは正しく知らされていない方だろう。
薄々は察していても、相当な情報制限をされていると見た。
「そして政府は、天竜人を絶対の物とするために実態を知らない者には目を光らせ、知っている者には刃をチラつかせる」
「……暗殺」
多分、潜入している連中はかなりいるハズだ。
実際に消された海兵もまた……かなり。
俺達が関わった海兵奴隷事件は文字通りの人身売買だったが、あるいは政治犯のような形で処分されて飼われている海兵がいても不思議ではない。
……そうか、聖地の時に緊急監査を引き延ばしたのはそっちを隠す意味合いもあったのか?
「そのために海兵の中に自分達の目となる人間をかなり紛れ込ませている。迂闊に動くと危ういというのはそういうことだよ」
海兵奴隷事件以降、上層部の周囲には相当な数の工作員を割いているハズ。
まぁ……。それがこの混乱を抑える人員が尚更不足している理由の一部なんだろうけど。
今回離反や決起が各地で起こったのも、同時多発した暴走の対処にCPや刺客の連中が身動きを取れなくなったからこそだ。
なんてことをしてくれたのでしょう。
「ちなみに、離反の理由は?」
「……正直な話、聖地の一件を乗り越えた上でアナタの暗殺を命じられた時点で割と失望していたのだが」
だろうな。
あのタイミングでの暗殺はどう考えてもあり得ないもん。
百歩譲ってあり得ても俺がモプチへ着くまでの遅延工作くらいだもん。
実際に戦っていた兵士達も、ヒナ達の船を追いかけ回していた政府側っぽい連中はともかくボルサリーノさんもその部下達も明らかに士気駄々下がりだったもん。
ボルサリーノさんに至っては、さすがにクザンほどじゃなかったけど覇気までズタボロで……。
(あん時、もうちょい本気でボルサリーノさん誘えばよかったな……)
あの時は咄嗟に勧誘したけど、真面目にボルサリーノさんは欲しかったなぁ。
能力の万能性もあって、もし出来るのならばウチで経験積んで未来の陸軍元帥候補として確保したかった。
海兵としての経験もあるから船での移動時も安心できるし、足場の確かな陸での戦闘ならば安心して任せられる。
サカズキさんと違って能力ブッパしても、地形を変えるまではあるかもしれんが燃やし尽くすような事はないし。
……やっぱあの時捕虜にするべきだったかな……いやでも海楼石なかったし、ぶっ飛ばした時点では特に食料と水に滅茶苦茶不安があったしなぁ。
直後に解消したわけだけど。
「決定的だったのは魚人島だ。あそこでの天竜人、政府・海軍両人員の醜態はさすがに目に余った」
やっぱりそれか。
ワイアードだけではない。
同行していたスパニエル君達普通の海兵も、あれを見て益々俺に協力的になった。
最初の訳わからん睨み合いだけでも酷ぇのに、その後起こったのが銃殺刑に督戦隊だからなぁ。
スキッパー特別中将やTボーン少佐からの聴取内容を目にした将校はぶっ倒れるんじゃなかろうか。
「……あの時、向こう側にもおそらくサイファーポールか、それに近い政府の人間がいたハズだ。接触はなかったのか?」
「もちろんあったとも。アナタを殺すか、それが駄目なら天竜人の脱出援護。それも駄目ならせめて内情を漏らせとね」
「……だがしなかった」
「確信があるのかい?」
ぶっちゃけ何度も餌垂らしてたけど食いつかないし、あの島で俺とヒナだけで動いた時にはこっそり尾けて来たからやっぱ暗殺かと思いきや、少し厄介そうな海賊がヒナを狙った時に指銃で眉間ぶち抜いてこっそり始末してたし。
視界的には死角だったけどちゃんと視てたよ。
なにより――
「魚人島攻防戦において、一切不審な点がなかったからな」
あの戦闘で俺は多数を束ねる必要があったために前線をヒナやワイアードに任せる形になった。
当然ワイアードはフリーになるわけで、海軍側に有利な行動を取ることだって可能だった。
そうなったらそうなったでネプチューン王に早期撤退を迫る材料にするつもりだったけど、この人はヒナが読み切った俺の作戦理念に忠実に従って魚人解放に動いた。
(まだスパイの可能性もなくはないが、そもそも天竜人が関わる事件で一切動きを見せなかったってのもなぁ……)
あの訳わからん、でも強かった襲撃者がそうだったように侵入ルートはあったハズ。
それでも動かなかったし、そもそも海軍の先遣隊が到着しても――主力本隊が来ても連絡すら取ろうとしなかった以上、ほぼほぼ白と見ていいんじゃないかなぁ。
「あの戦いの中、やっぱり私の存在を知っている者がまだ紛れていたのか頻りに情報を寄こせとうるさく鳴っていたが……」
ワイアードだった女は懐から小型電伝虫を取り出す。
おそらくそれなりにヤバい所に繋がる物なのだろうが、特に気にした様子を見せずポンッとサイドテーブルに置く。
「私は政府に歯向かう者を殺すための刃として育てられた。だからまぁ、道具扱いされるのは別に構わないんだが」
そして懐からさらに色々と取り出す。
果物ナイフよりも更に小さく、だが鋭利な刃物の数々。
小さな握りの付いた、縫い針よりも細い針。
恐らく毒入りだろう小瓶に、何かの引き金らしき小さな突起がある一見普通の鉛筆。
何かの仕掛けがあるのだろう口紅に、化粧品に偽装した毒物の数々。
「道具も道具なりに大事に扱われたいし、なにより意義のある使い方をされたいものだ」
「政府には無理と?」
「……いつでも使い潰せる道具と思われているのは分かっていた。それはいいんだが、加えてこうも意義の見出せない命令が矢継ぎ早に飛んでくれば、ね」
まぁ、だよなぁ。
世界政府が足元を固め損ねた弊害がここで噴き出したわけだ。
数多の犠牲を出した上で『明日は我が身』と――それも敵対勢力からではなく自分の上が手を出しかねないと分かれば、瞬く間に崩壊する。
俺がドールの嘆願を無視していたら、政府と海軍は今頃戦争に入っていただろう。
グッチャグチャの泥沼の中で、無駄に兵が死んでいく酷い戦争に。
(組織としての首根っこを掴まれている海軍はともかくとして、フットワークの軽さが武器の身軽なCP工作員は……)
この人みたいな寝返りは分からないが、突然姿をくらました工作員がいても驚かん。
恐らく今の混乱の責任を現場に押し付けて保身を図ろうとする人間が出ても不思議じゃないからな。
当然逃亡する工作員も出て来るだろう。
「俺なら君の期待に応えられると?」
「ハハ、すでに。……まぁ、これまでは兵隊としてだが」
一通り武装を解除してみせる。
まぁ、この子の場合そもそも自分の手足が武器だから意味が薄いというか……やっかいだな。
俺はほぼほぼ白判定してるけど、ヒナがまだ警戒しているのか俺の前に出て盾になっている。
……うむ、気持ちは嬉しいんだが……。
今のお前じゃ勝てんぞ、ヒナ。
コイツ地味に親衛隊上位クラスだ。
しかも擬態に関しては第一艦隊の精鋭並。
「ああも気持ちよく兵隊に偽装した自分を使われれば、期待の一つもしてしまうさ」
「……今は事態の流動性が極めて高い。色々と無茶させる事になるぞ」
……ヒナ。
ヒナ。
なに? 人の鳩尾を肘で連打してどうした?
さっき食べたサンドイッチを口から押し出そうとしている?
あれお前が作ってくれた奴だろう?
全体的に焦げ気味だった奴。
「総督ならば、私を上手く使い潰してくれるだろう?」
「扱いはするが潰さん。楽しく……とはいかんかもしれんが、仲良くやっていこう」
おい馬鹿体重をかけるな!
本当に出すぞ!?
「それで、これから貴官の事は何と呼べばいい?」
「海兵じゃなかったんだ、もっと雑に呼びかけてくれて構わない」
「なら、名前は?」
「ない。私は……なんといえばいいのか、赤ん坊の時に拾われたばかりの新入りだったので偽名以外は番号しかなかったんだ」
……ふむ。
CPの人間ともそれなりに関わっていたけど、あれも偽名というか仮名だったのかな。
あるいは、代を重ねて工作員の家系が出来上がっているのか。
「だから……そうだな、アサシンとでも呼んでくれ。しっくりくる」
「……暗殺が一番得意って事?」
ヒナの言葉に、女工作員が薄く笑う。
実際にそうなのだろう。持ち物を見れば分かる。
六式は最も身軽な暗殺道具だが、明らかな変死体しか作れないのがネックだ。
それに対して自然死に見せかけるためのアレコレを使ってきたコイツは、正直ルッチやカク達よりも怖い。
危険度で言えば、あのドア人間くらい脅威だわ。
アサシンか。
……。
いや、日ごろからそう呼べば俺が暗殺を多用する奴みたいに聞こえるじゃん。却下!!
「さすがに名前としては物騒すぎる。少し待て」
いわゆる諜報、防諜活動をすることはあっても、基本的に暗殺は使わない。……そうだな。
「――マキシン。今日からそう名乗れ」
寝返ったばかりの女が、「ほう」と小さく息を零す。
「アナタが名付け親になってくれるわけか。意味はあるのかい?」
「ん、一応」
アサシンも語感は悪くないから、そこは変えずにいい意味がないかと考えたが――
「君がこれから先、心から欲した物を
全部手に入れろってのはさすがにアレだからな。
「君がこれから黒猫の一員として生きる中で、最大限の幸福を掴めるように」
タキ爺ちゃんたちもそうだが、これまでの全てを捨てて俺の下に降る以上、自分の良心を捨てない中で、出来るだけ幸せになって欲しい。
これから世界政府と本格的に争う事になる以上、欺瞞と言えば欺瞞だが。
「…………マキシン」
つい先ほどまでワイアードと名乗っていた女は、新しい名前を確認する様に呟く。
「悪くないな」
「だろう?」
「ああ」
「これから、どうかよろしく頼む」
「総督」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「疲れた……」
「身体を休めるように言ったのに、どうして主殿は自ら仕事を作るんじゃ」
わからぬ。
わからぬぅ。
今回のワイアード……じゃない、マキシンの件でまずは同行していた海兵達の所に彼女と共に挨拶周りにいって説明して、幹部連中に彼女の出自を改めて説明して理解を得て……。
とにかくどうにかワイアードの処遇が決定して甲板に出て、慣れた仲間達と共に飯を食っている。
無理すれば目当ての島に辿り着けただろうけど、ギリギリ日が暮れて来たから今日はもう錨を下ろして停泊している。
ヒナの奴め、お前の今の仕事は俺の面倒見る事だろうが。
なぜマキシンと一緒に行ってしまうんだ。
「ワハハハハ、君は相変わらず勤勉だな」
おかげで結局レイリーと酒盛りだ。
いやまぁ出航してからいつもの事なんだが。
「やることが明確にそこにあるだけですよ。西の海に戻ってからどれだけ仕事が山積みなのか、考えるだけで頭痛ぇ……」
組織の運営はダズ、経済に関してはテゾーロが、そして内政に関してはミホークとロビンのタッグがいるから問題ない。
ないのだが、その上で決定しきれないだろう問題や周辺諸侯とのやり取りが待ち構えているとなると胃がキリキリ痛む。
海賊連合事件で多くの物資や労働力を失った上に、特に天竜人の脅威を感じただろう西の海の諸侯からすれば、生き残りを懸けてあらゆる手を打とうとしているだろう。
当然、そういった国家はみかじめ料や娘の件以外にもアレコレ持ち込んでくるだろう。
厄介事を。
間違いなく、一団のトップである俺が判断しなければならないものを。
頭痛ぇ……。
俺のその苦しんでいる様子を肴に美味そうに酒飲んでいるのがレイリーだ。
こやつめ、戻ったらミホークとセットで殺しに来るんだろうなぁ。
「主殿の立場で仕事を忘れよ、というのも難しいじゃろうが……切り替えねば潰れるぞ」
「分かっちゃいるんだがなぁ。……スパニエル君、悪いけど燻製肉、適当に切って持ってきてくれ」
「分かりました、総督。お酒やお茶も一緒に補充しますね?」
その周囲にはハンコック、ギャルディーノ、マリーゴールドにタキ、クロコダイルにイッショウ――ついでに世話役としてドールとスパニエル君と、まぁ名だたる面子が勢ぞろいだ。
…………。
これからどこかの国でも攻め滅ぼすの?
いや、俺の海賊団なんだけどさ。
うん、集めたというか集まった理由は俺にあるんだが、なんだこの馬鹿戦力。
レイリー抜きでも四皇勢力の別働部隊くらいならば蹴散らせそうな連中が集まってやがる。
(……しかも海戦に於いてとんでもない戦力になる魚人勢力か)
かつての奴隷船を全力で改修して、簡素とはいえかつての名残を全力で消した船を中心に魚人勢力が集まっている。
ネプチューン王にリュウグウ王国正規兵、それにジンベエ……。
いかん、海賊視点でも怖すぎる。
(明日島に上陸したら、島民との接触には全力で気を使おう)
「さて、先に話をしておく。西の海に戻って政務が落ち着き次第、タキを正式に第二艦隊提督に任ずる」
タキは小さく驚いているようだが、他に誰がいると言うのか。
すでに提督として働いているハンコックやその下にいるギャルディーノ達も、さらにはこれまでほぼ外部だったクロコダイルまで「だろうな」と頷いている。
「……正直、陸軍総指揮を預けるかどうか最後まで迷ったんだがな。だが、役割がハッキリしている第二艦隊を率いるにはタキが最も適任だと判断した」
「役割、と申されますと?」
タキ――先日まで海兵だった海賊は、徐々にそれらしくなってきたがそれでも品がある。
……まぁ、正直ウチの将も兵もそんな感じなんだが。
ハンコックすらタキ爺ちゃんたちから、海軍式とはいえ作法なんかを学んだりしていたらしい。
妙に動きが様になってきたハズだ。
「第二艦隊は急遽編成しなくてはならなくてな。簡単に言えば、我々の勢力圏――制海権の治安維持と保全だ」
そう答えるとタキ爺ちゃんは珍しく大きく口を開けて笑う。
まぁ、うん。笑うよな。
「ハハハハ! それはまるで海軍ですな!」
「ああ。……だが、それが必要になる。ダズの話を聞いただろう?」
金だけじゃなくて、外交の大事な札でもある娘――姫すら渡すというのであれば、各国は相当に危機感を持っているという事になる。
政府の襲撃か、あるいは海賊か。
「かなりの国がこの三本爪の旗を頼りにしようとしている。ならば大至急、各国を巡り落ち着かせながら、実際に発生した海賊――あるいは政府軍の襲撃を相手する専任の艦隊戦力を編成せねばならない」
タキも情勢自体は分かっていたらしく、そこに驚きはない。
あれかな。若い人間に任せるつもりだったかな。
「主殿の本隊はいずれ
「……信頼できる元海兵を中心にした綺麗な新艦隊の設立と、そのお披露目という宣伝広告が必要。そういうことか」
そういうことだクロコダイル君。
「クロコダイルの言う通り、各国を守るための戦力を整えたという宣伝は必要だ。比較的落ち着いているだろう西の海だからこそ、急がなければ後手に回る」
「政府か?」
「5大ファミリーもな」
こうなったからには、暴力を持つ者が主導権を握る時代へと流れていく。
今は混乱のために身動きが取れないだろうが、一度踏ん張ればマフィアは一気に勢力を拡大させるだろう。
これまで隠れてやっていたブラックマーケット――闇市を堂々と開くことができる。
物資不足という問題こそあるが……。
(それと物価の上昇か。……ひょっとしたら、なにかしらの地域通貨が出来るかもな)
「それらに相対するためにも、あらためて治安維持のための艦隊組織の編成と拡大は必須だ」
「なるほど……勢力圏の安全をアピールするためにも……。ええ、理解しました」
とりあえず納得したのか、タキ爺ちゃんは羊羹に手を伸ばしてお茶と合わせて啜る。
茶葉が入っていた紙の包みに『キャネット・三番』と書かれているけど、これアレか。
残っていた茶畑で試作したいってミホークが言っていた奴か。
いいぞミホーク。このまま特産品を増やしていけ。
だがすまん、酒造はちょっと後回しにしてもらうかもしれん。
「……陸軍を一々編成したのもそのためか? アレも治安維持を主任務とするようだが」
そしてクロコダイル。
砂漠の王と恐れられた男は、こうして気にかかった事は素早く質問してくる。
「治安維持はもちろん主な任務の一つだが、陸軍設立にはもうちょい大きな狙いがあってな……」
黒ひげ程ではないけど、コイツも怖いんだよな原作的に。
こうやって皆と上手くやっていけるけど、それがまた怖い。
武力的にはどうにか出来るからアレだけどさ。
「おお、そうだ。私も是非それを聞かせていただきたかったのだ」
と、タキ爺ちゃんが声を上げる。
……まぁ、元海兵が主体となるだろう陸軍のことはやはり気になるか。
「まず、すでに苦労したようだが輸送のノウハウを確立させるためだ」
ハンコックを始め、リガロ制圧戦に参加した面々の顔が重苦しいモノになる。
ある程度は聞いているが、マジで苦労したんだろうなぁ。
ミホークがぶっ飛ばしすぎたってのもあるけど、車はなし、街道もほぼほぼ未整備、馬はいるけど数が足りない荷車も少ないと地獄の様相だったらしい。
これをどうにか捌き切って制圧を成功させたのは間違いなく功績に値する。
「これに関しては俺もどうしていいか分からんからな。輸送を繰り返させる事で課題を見つけ出して、その対策を練る事で今後の軍事行動に厚みを持たせる」
「……大規模な陸戦を想定されておられるのですか?」
「間違いなく起こる。覚悟しておけ」
まずはウイスキーピーク。そこを開発しながら拠点にして各地の
航路が定まり次第、海軍と交戦しただろう非加盟国に接触を図って勢力圏を伸ばしていく。
場合によってはリガロのように制圧したり、あるいは海軍と交戦中の国に助勢することもあるだろう。
「陸軍は正直、そういった今後必要になってくるノウハウを蓄積させるための物だ。無論、こちらの勢力圏の常駐戦力としても鍛えてもらいたいが、今はまだ試行錯誤を繰り返すための軍であることを強く意識してほしい」
「ハッ、戻り次第ビグルにも伝えましょう」
「頼む。俺からも改めて陸軍の説明をする」
一方でクロコダイルは真剣に考え込んでいる。
……陸戦ではアホほど強いんだけど、コイツの場合耕作可能な土地を駄目にしかねんからなぁ。
原作に沿う形になるからちょっと怖いけど、いずれアラバスタに手を伸ばした時にはコイツをトップに俺達の拠点を作るか。
最初から砂漠の地域でこそコイツは能力を十全に発揮する。
アラバスタに関しては、センゴクさん経由で地図まで手に入っちゃってるからなぁ。
「クロ」
「ん?」
「陸軍が今の時点では実験部隊なのは当然だが、目指す明確な形はなんだ?」
「ああ。ごめん、そうそう」
やっべ、説明途中だったな。
「輸送ノウハウはその一つだし、常駐しての治安維持経験もその中に含まれる」
ええい、原作ボスという不安はあるけど取り込んだ以上信じて使うしかねぇ!
「これから先、群雄割拠の時代が来る。世界政府は今一度勢力圏を戻すために、各国はその政府勢力を跳ねのけるために世界中で戦争が始まる」
常に気を配って、求める希望に応えてそれが出来ない時は理解を得る事に腐心して組織に確実に取り込もう!
「その流れの中で各国が、そして世界政府がまだ持っていないノウハウがある」
大丈夫。票集め、数集めのためのアレコレは俺の得意分野だったんだ。
あの地獄の経験を信じよう。
「それを一早く積み上げより実践的に仕上げた勢力こそが、本当の意味でこの混乱した世界情勢の中で一歩先を行くことができる」
……まぁ、よく考えればいざって時に討伐できるだけの戦力揃ってたな。
「……その、必要なノウハウとは?」
「ん、言葉にすれば一言で済むんだが――」
「
彼女の出典はⅣなのですが、正直覚えていないのでガワだけ借りたオリ
いや親衛隊全員そうだな