とある黒猫になった男の後悔日誌   作:rikka

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X(旧Twitter)でも申した通り、コロナにやられてこの一週間寝たきりでした
更新が遅れに遅れて申し訳ありません。今までの発熱で一番熱が下がらなくてキツかった……三日以上薬が切れる度に八℃超えるなんて初めてでホントにキツかった……

リアルの都合に加えて未だ全快とはいかないので、もうしばらくは不定期更新になりますが、どうぞ『とある黒猫~』を今後ともよろしくお願いいたします

オリキャラ:画像検索用早見表
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179:アルバーナ(一時)制圧

 首都。

 国家にとってそれが意味する物は極めて――()国には尚更重い物であるその町の象徴の中では、不在である王の代わりに働く者達が額を寄せ集め、かれこれ小一時間は唸り声を上げていた。

 

「ほ、本当にこれでよかったのだろうか?」

「奇襲で多くの兵士を失っているのだ。護衛隊と首都防衛軍だけでは侵攻を止められんのは分かりきっていたではないか!」

「うむ、そ、そうだ……それはわかっている。いるのだが……」

 

 このアラバスタという国を受け継ぎ、良く治めているコブラという王は、まごうこと無き名君である。

 だが名君だけで国が回るわけはなく、その周りを固めて王の決定した政策を実行に移すための優秀な側近が当然いる。

 たくさんいる。

 クロがその数とおおよその能力を知った瞬間、海賊として首都を制圧して人員を全て吸収する事を割と本気で考えるレベルで。

 

「だが、しかしだ」

 

 

「ティティ様とビビ様を、今海賊が押さえているエルマルに迎えたいというのはさすがにならぬだろう!?」

「……うぅむ」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「では、貴方方『黒猫』が参戦したのはあくまで戦火の拡大を防ぐためだと」

「ハッ」

 

(しっかし……原作で顔が出てた記憶はないけど、確かにビビによく似てるわ)

 

 策をペルに伝え、もし実行の許可を得られたのならばすぐさま動くために旗を持って同行したのだが――まさかそのままいきなり謁見することになるとは思わなかったな。

 さすがにツメゲリ隊がガッシリ守りを固めているけど……うん。

 正直、ウチ相手だとあまり意味ねぇなぁ。

 

 幹部勢はもちろん、同数の兵士でも多分十分以上に打ち合える。

 親衛隊ならば単独でも言わずもがなだ。

 

 ……やっぱアイツら、戦力として見ると色々おかしいな。

 

 偶然そうなったとはいえ、アミス達親衛隊がどれだけ貴重かつ重要な戦力なのか、偉大なる航路(グランドライン)に入ってから益々思い知らされる。

 

「旗を掲げたのは、ここが貴方方『黒猫』の縄張りだという証。では、私とビビがエルマルに向かうのは?」

「……敵の進軍する大義をより薄めるためです」

 

 王宮内部、謁見の間。

 本来ならばもっと人は少なく、だが今は多くの護衛兵に囲まれた場は即席の軍議場となっている。

 

 まぁ、そんな中に海賊がポツンといるんだからもう敵を見る眼でガン見されているわけだが……。

 

「現在、どこからでも分かるようにこの首都アルバーナに黒猫の旗を立て我らが占領した事を示していますが、それは首都への攻撃を防いだだけで進軍を止めるまでには至らないでしょう」

 

 実際、進軍は一時止まっているがカトレアへの物資輸送は止まっていないと報告が来ている。

 未だ連合軍はアルバーナ――少なくともその眼前まで軍を進める事を諦めていない。

 

 つまりはまぁ、その道中の村や町を荒らして国力を削ぐ機会を減らしたくないという事だろう。

 

 撤退しなかったのは予想の範囲内だが、カトレアへの物資輸送を緩めるくらいはやってくれると思っていたんだがなぁ。

 ここまで強気なのは本気で予想外だ。

 よほどアラバスタの地を荒らしたいと見える。

 

 他の居住地にも旗を立てれば少しは動きが鈍るかもしれんが、それでもし戦いの火ぶたが切られたらその時はただでさえ少ない兵力を更に拡散させる必要がでてしまう。

 

 やはり、連中の脚を止めるには武力だけでは無理。

 武力を後ろ盾にした搦め手のみが、この場面で有効に働く一手だ。

 

「進軍を続けるとなればその名目は、何らかの交渉のためと嘯くはず。アラバスタの王族であるティティ様、そして制圧している海賊団の長である自分がアルバーナに籠れば、この戦に何らかの区切りを付けるための協議を行うため――という名目でアルバーナの目の前まで進軍するでしょう」

「……貴殿の一軍を以って、打ち破る事は?」

「可か不可かと問われれば可能でございます。ですがこちらは現在数で圧倒的に劣る。その差を(くつがえ)すには我々が文字通り全力で暴れる必要がありますが、そうなると……」

「周囲にどれだけの被害や影響が出るか、分からないと」

「はい。それに我々が正面切って兵を展開させれば、敵が我らに対応するために口にするのも憚られるような真似に出る可能性があります」

 

 具体的には民間人を盾にするとか。

 いつぞやの海賊共もやった手であるし、『極めて人道的な海賊』であることを看板にしている俺達にとって極めて有効である。

 

 その時はペローナによる第47回ゴースト無双大会が始まるわけだが、範囲が広すぎればさすがにアイツでもフォローできんだろう。

 そうなると無気力祭りから爆殺祭りに移行してとんでもねぇことになっちまう。

 

(今頃女ヶ島の件に取り組んでいるんだろうが……ハンコックがいればなぁ)

 

 こういう時の無力化にはアイツの能力が一番だった。

 あるいはギャルディーノがいれば、クロコダイルとタッグを組ませて地形を操作し、間接的にアラバスタを援護出来た。

 

「ですので、敵にとって重要な地点をアルバーナから切り替えるのです」

 

 おそらくアラバスタの将は、今頃頭の中で地図を広げている事だろう。

 

「連合軍も我ら『黒猫』の動きを探るために、私との会談を申し出ているとサンドラ河を封鎖中の部下から報せが来ています。ここで私と殿下らがエルマルへと赴けば、連合軍にとってもっとも重視すべき地はアルバーナからかの地へと移りましょう」

 

 文官らしき面々は微妙に嫌そうな顔をしているが、逆にペルや将兵の方は――いや不快そうではあるけど同時に納得もしたようだ。

 

「連合軍が主力を置くナノハナと、我らが現在拠点としているエルマルの間はサンドラ河という天然の堀によって遮られており、攻撃するには水上戦力なくして叶いません」

 

 ぶっちゃけ敵陣にこそ近いが、陸戦で包囲される可能性が高いアルバーナよりもよっぽど安全とも言える。

 

 アルバーナは……せめてサンドラ河沿いの運河や水路をそこまで引き込めていればな……。

 地理上では確かに重要なポイントに位置しているのだが、我々からするといろんなものが足りていないのだ。

 

 それこそ魚人の大工組――多くの『黒猫』の町を作った連中が来たら、アイツら絶対に『手を加えてはいかんのか!!?』って叫ぶことだろう。

 

「加えてアルバーナではなくエルマルを交渉の場とするならば、敵陸軍の更なる進軍の大義は薄れ、我ら黒猫が加勢するに十分な理由となります」

「しかし、貴方方が全力を出せば被害が出ると……」

「アルバーナにティティ様、並びにビビ様がおられるのであれば、敵は兵力のほとんどをアルバーナの包囲に回すでしょう。しかしこの策ならば、連合軍は必ず万が一に備えて十分な船を動かす用意が必要になります。当然ナノハナの防衛もより重要になって来るでしょう」

 

 そこまで言って文官もようやく気付いたのか、食い入るようにこちらを見て来た。

 

「つまり……アルバーナへの侵攻軍を大きく別ける事ができるとっ!?」

「欲を言えば大きく後退していただきたいのですが、ここまでの動きを見るに連合軍はどうしてもアラバスタに痛手を与えたい様子。恐らくナノハナーカトレア間の地域の制圧を固めて勝利の既成事実を固めようとするでしょう。アラバスタにとってあまり良い事ではありませんが……」

 

 一旦、言葉を区切る。

 

 俺らとアラバスタ、そして連合軍の立場というか関係性が絶妙にややこしいせいでいつものように吹っ飛ばして『完っ!!』とはいかねぇのがもどかしい……。

 

 ホント、海賊相手にするのが一番楽だわ。マジで。

 

「少なくとも、大きく時間が稼げます」

 

 護衛兵や文官たちが、その言葉の意味を息と共に飲み込む。

 

「こうも海軍に動きが見られないのは海軍戦力が世界会議(レヴェリー)警護に大きく割かれている事に合わせて、恐らく近隣の哨戒艦が全て沈められたのでしょう」

 

 ティティ様が顔を蒼褪めさせて、「なんてこと……」と呟き、幼いビビを抱き寄せる。

 

「ですが、基地まで陥落させられたとは思えません。……少々敵戦力に不審な点はありますが、さすがに基地への大攻勢を本部が見過ごす事はないでしょう」

世界会議(レヴェリー)の期間中であっても、ですかな?」

 

 もっとも老いた文官が、眼鏡を直しながら尋ねてくる。

 

「だからこそ、です。各地が手薄になっている事はセンゴ――海軍元帥も十分承知のハズ。ならば各基地からの報告には細心の注意を払っているでしょう」

「……それにしては事態の把握があまりに遅いのでは? その、船が沈められたのでしょう?」

「そちらでも確認されているでしょうが、通信妨害が広域で行われています。恐らく、どの海域で事態が起こっているのかが絞り込めず、確かめている最中なのでしょう」

 

 ……まぁ、ティティ様の不安は間違っていない。

 哨戒艦が沈められたのは間違いないのだろうけど、こうも遅いと言う事は海域を絞り込めていないと言う事。

 つまり、攻撃者()は一斉に、ほぼ同時に哨戒艦を沈めた事になる。

 

(そこまで広域で連携して動ける程、連合軍はまとまっていない)

 

 それが出来るんならば、エルマルであんな馬鹿な真似はしていない。

 なら、海軍哨戒艦を沈めた連中は――

 

(……こちら側の国の統率にも兵力を割かなければならないのが、結構太い足かせになっているな。組織そのものが巨大化し兵が増えても、自由に動かせる兵はかなり限られる)

 

 もう少しフリーの兵士と船が多ければ、それこそ海軍に人を送って部隊の出航を促している所だ。

 

「海軍の増援はそう遠くありません。そして連合軍もそれは重々承知のハズです」

「では、直に連合軍は引くと?」

「……残念ながら、そこまで確約は出来ません」

 

 一方で、やはり戦時という非常事態に強いストレスを抱えていたのだろうティティ様は希望が視えた事に、縋るような声を出す。

 

「ただし、事態は間違いなく膠着致します。海軍、我らの後続が到着すれば連合軍は益々打つ手がなくなり、今ティティ様が口にされたように撤退を視野に入れる可能性も高くなるでしょう」

 

 アルバーナに旗を立てた以上、これは絶対だ。

 ティティ様とビビ様を揃ってエルマルに迎える事が出来れば最善ではあるのだが、これはもうアラバスタの意思決定に任せるしかあるまい。

 

 果たして。

 

 ティティ様はしばし考え込むと、意を決したように顔を上げる。

 

「分かりました。私がエルマルに参りましょう」

 

 周囲は反対のようで、『ティティ様! お考え直しを!』とか『お止めください!』とか叫んでいる。

 まぁ、海賊の拠点に王妃自ら行くのは普通に考えれば頭おかしいもんな。

 

 ……ペルさんはなんで頭下げた?

 

「いいえ、行かねばならないでしょう。陛下が不在の間の危機に、一人でも多くの民を救う機があるのです。どうして躊躇う必要がありましょう」

 

 ほとんどの文官武官は、言いたい事はあるだろうが理解している。

 理解して頭を下げている。

 

 それでも言い募る文官はいるが……今のままでは持ちこたえられず、いずれ陥落すると薄々分かっていたのだろう。

 お考え直しを、とか言っているがその言葉に力がない。

 説得しようというのではなく、ただ言葉が出ているだけだ。

 

「クロ殿、交渉は――」

「具体的に何かを決める必要はありません。コブラ王の帰還を待って決定したい旨を繰り返すだけで十分でしょう」

 

 いざという時はこっちが出る。

 いっそサンドラ河の封鎖を突破しようとしたりしてくれれば、問答無用でナノハナ制圧してカトレアまで進んだ連合軍を日干しに出来る。

 

「ですが……申し訳ありません『黒猫』殿。ビビは幼く、まだ外に慣れておりません。どうか、この子だけはこの王宮に置いておきたいのですが……」

 

 それはこっちも護衛の戦力を割かなきゃいけなくなるんですが!?

 周りの連中も頷くな! 別けるのは仕方ないにしてもせめてティティ様に説明しろや!!

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「それで、自分がアルバーナに?」

「すまん。クロコダイルと最後まで迷ったんだが、仮にも首都を守る戦力となるとそれなりに肩書を持つ人員を割く必要があってな」

「……キャプテンがエルマルを守り、副の俺が首都を守るというのは逆な気がしなくもないが」

「ティティ様がこちらに来られるんだ。格としては、な」

 

 連合軍の進軍がいったん止まり、その隙に俺達も態勢を整える事になった。

 

 保護したアラバスタ民の避難所の見直し――ティティ様に臨時の御所を用意するのに加えて、万が一戦闘になった際素早く避難しやすい場所に避難区域を再設定。

 

 封鎖している船の船員の交代に合わせて、アルバーナの防衛に向かわせる部隊の選定とその指揮官を誰にするか。

 

 最初はアミスに任せようと思ったが、主戦場はココになる可能性が一番高い。

 万が一の際にはすばやくナノハナの制圧と状況の確認が必要になるため、経験豊富かつ部隊指揮に長けた親衛隊は一人でも多くこちらに残しておきたい。

 

 指揮系統としてはイレギュラーもいい所だが、それでも緊急時の小・中隊指揮で親衛隊ほど信頼できる将がまだ揃っていないのだ。

 西の海で黒猫のやり方を把握してきた古参を除けば、やはり元海兵なりダズと行動を共にしていた騎兵隊の指揮官なりと、かなり限られる。

 

「向こうが主戦場になった場合、城下町という地形から見ても籠城戦になる可能性が高い」

「つまり、アラバスタの護衛兵がもっとも戦場を理解している」

「そう。その場合もっともアラバスタ側の戦況を有利に進めるとなれば、敵のもっともやっかいな戦力を最短で沈めるのが一番だ」

「なるほど」

 

 昔に比べてやや表情が顔に出やすくなったものの、基本的には仏頂面のダズが腕組みしたまま静かに呟く。

 

「求められている役割は、強力な遊撃部隊か」

「万が一そちら側で戦端が開かれた場合、相当に自信のある駒が出てくるハズだからな」

 

 そうなったらさっさと潰して士気をへし折ってやれ。

 目でそう言ってやると、ダズはそれを正しく受け取ったのだろう。

 ニヤリと笑い、「任せろ」と胸を張る。

 

「そして敵の駒が狙うとしたら、恐らくビビ王女殿下の身柄の確保だ。気を配っておけ」

「了解した。……できるならば、腕の立つ兵士はもちろんキャザリーかミアキスのどちらかを付けて欲しい所だが」

「……親衛隊屈指の見聞色使いと護衛の達人か。……分かった。親衛隊を一組付ける予定だが、どちらか片方を編成に組み込むと約束しよう」

 

 万が一にもここでビビ殿下になにかあったらマジでヤバいからな。

 政治的なアレコレもそうだが、もはや影も形もないとはいえ原作キャラ――しかも味方側の重要キャラは可能な限り確実に保護しておきたい。

 サボテン島でもとうとうしらほし姫が産まれたという話が来ているし、ここから本格的に原作時代の人物が産まれてくるだろう。

 

 現に既に予期せぬ所で原作キャラがウチの艦隊に船員としてシレッと紛れ込んでいたりするのだ。

 

―― クロ~~~~~。

 

 ダズのアルバーナ配備が決定した所で、ペローナの間延びした声が響く。

 声のした方を振り返るのと同時に、壁やらをすり抜けてゴースト化したペローナが姿を現す。

 

「そっちは?」

「ペルの奴がこっちに来てるぞ。ティティ様とやらのエルマルまでの護送計画が出来上がったんで擦り合わせておきたいとさ」

「……分かった、アミスを向かわせよう。あぁ、クロコダイルが現在サンドラ河沿いの運河を確認しながら防衛網を再構築中だ。悪いがお前はペル殿への通達が終わったらそっちを手伝ってくれ」

「あん? 私が手伝うことあるか?」

「高高度観測はお手の物だろう? 第三艦隊の観測手見習いを手伝ってやってくれ」

「あぁ、ミキータか」

 

 ミキータ。

 ギャルディーノがウチに入る切っ掛けとなった人身売買騒動の中に紛れていた幼い少女。

 それが普通に育てている中でまさか、身体測定で体重が不自然に安定しないという報告を受ける事になるとは思わなかったよ。

 

 いつの間にかミス・バレンタインが一味入りしていたとは。

 今はクロコダイルの麾下でロビンやペローナ、教官役の元海兵から基礎算術なり弾道学なりを習いながら第三艦隊付き観測手として育成中だ。

 

 クロコダイルも能力制御の育成に手を貸しているようだし、いずれは第三艦隊の要として活躍してくれるだろう。

 

「そろそろ休憩が終わり、連合側との交渉を続行しなければならない。……しばらく俺は動けないのさ」

「交渉はどうなってる?」

「向こうの要求は、我ら『黒猫』にこの戦争から手を引いて欲しいとの事だが……。民間人の解放とその保護の徹底を誓い、実行に移さない限り引く気はないと断って来た」

「……なら、次に来る手は『一般人を全員黒猫で預かってくれ』だな」

「俺達の足止めとしてはこれ以上ないからな。もっとも、その時はその分の物資を要求するとかで時間を稼ぐ事になるだろうが」

 

 さすがにその頃にはティティ様を受け入れている事だろう。

 ダズも急いでアルバーナに向かわせないとな。

 アラバスタ側もこちらとある程度協力する旨になり、今慌ててサンドラ河で使える船を動かしている。

 

 やろうと思えばこちらの兵力を送る事も可能だろう。

 本来ならば連合軍がやりたかった真似を、そのままだ。

 

「……別動隊の気配はないんだな?」

「少なくともナノハナの海上戦力は、出港準備を入念にこそしているがそれ以上はねぇ」

「見張りの兵士達からもそのように報告が上がっているぞ、キャプテン」

 

 そして、それを連合軍も分かっている。

 こっちの追加兵力が近づいている事も含めて。

 

(当然、海軍に対して破壊工作を用いた連中もそれは知っているハズ。ならばなにか仕掛けようとすると思っていたんだが……)

 

 介入してくるつもりがあるのか、あるいは静観か。

 どちらにせよ、アラバスタに関わってしまった以上裏にいる何者かへの対処が求められる。

 

「ダズ、アルバーナで活動する部隊の編成と出発準備を始めてくれ」

 

 

「連合軍との交渉がどうなるにせよ、次の夜明けの頃には方向性が見えてくるハズだ」

 

 

「事態が決着するまで、ビビ様を死守しろ。いいな?」

「了解」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

―― フ……フッフッフ……。どうやら思った通りの配置になったな。

 

―― 言ったろう? 黒猫の弱点は、組織となった時により明確になると。

 

―― あぁ、言った。お前は確かにそう言って、その通りになったな。祭り屋。

 

―― ドフィ、ドフィ! もう待ちきれないよ始めよう!

 

―― 座ってろトレーボル。だがドフィ、奴ら(・・)を抑えるのも限界だ。

 

―― フッフッフ、お前なら出来るさ。

 

―― いや、無理だ。

 

―― お前以外に誰が出来る?

 

―― よせよ人を天才みたいに

 

―― ……なら他の奴に――

 

―― そこまで言うなら引き受けよう!!!

 

―― フッフッフ。あぁ、頼む。

 

 

 

 

―― 恐らく、連合は丸一日かけて黒猫を足止めするだろう。アラバスタも黒猫の戦力を引き込もうとし、結果として足止めの一助になる。

 

―― ピッキャラララ。ならば仕掛けるのは――

 

―― そうだ、ピーカ。

 

 

 

―― 決行は、明日の日没と同時だ。用意しておけ。

 

 

 

 

 

 

 かくしてアラバスタの戦いはその指し手を交代し、第二幕へと突入し――。

 

 

 厄災は、海より現れる。




今回は繋ぎ。
次回、真・アラバスタ大戦

ディアマンテは後半の言動っぷりが印象強くて面白オジサン部分忘れてたわ
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