『(原作新世界編から)23年前』:クロ、イーストブルーを脱出。
『22年前』:本編1章開始~第一次魚人島攻防戦・レッドポート封鎖作戦
『19年前』5.5章156話以降(海猫元年)『橋の国』・オハラ占領作戦。『西海諸島連合』発足
『18年前』6章開始
『16年前』
『13年前』今回から
といった感じです。一部キャラの年齢は(意図的に)微妙にズラしているかも。
……し、信じてるぞメモ帳。
サンドラ大橋。
黒猫の中で、特に建築に慣れた本隊や第一艦隊、並びに人間離れした膂力の魚人職人による全面協力の下わずか半年で完成した、恐ろしく横幅のある大橋。
後の交通機関の発達によって拡張や、あるいはメンテナンスの必要性が出た時に一部を封鎖しても問題ないようにと造った大橋は、ある意味で河の上に造られた『土地』と言える程の巨大な橋となった。
これは各海の今も造られ続けている『橋の国』の建築技法を構造解析していた『黒猫』ゆえの技術があったために可能であり、それが分かっているからこそ古参の兵士ほど『黒猫』の建築技術を魅せる時だと燃えに燃えた。
細かい飾りつけや参加したアラバスタの技術者と共に、手形を入れた煉瓦と名前や日付と共にはめ込んだりと、遊び心も入れた上で、文字通り千年経ってもビクともしない橋を目指して完成したのだ。
そしてその橋の完成を祝う祭りのすぐ後に、後に毎年恒例となる『儀式』が始まった。
到着した世界政府『海軍』と、『黒猫』による大橋の所有権の奪い合いである。
最初のそれは、橋の上での『蹴り合い』であった。
蹴り合いと言っても本当に蹴り合ったわけではない。
橋の上で整列したそれぞれの兵士達が、どうとでも取れる威嚇の言葉を叫んで相手の列の目の前まで足を振り上げ、回れ右して元の位置へ。
今度はもう片方が同じことをした後、互いの主張が終わったことを健闘して花火を打ち上げるという物だった。
クロはひたすら「……花いちもんめ? いや、もっと違うのをどっかの映像資料で見た事あるような……」と首を捻っていた。
ともあれ、花火に合わせて開催させた屋台市が予想を超えた高収益を出したので来年もこの祭りに近い形式で行こうと決意する。
そして翌年。
選抜黒猫チームと海軍精鋭チーム各三組により、リーグ形式のサッカーが行われた。
なんで? とクロは再び首を捻った。
しかしある意味で点の取り合いであり、陣地の取り合いであり、それを大勢の観客も含めてしっかり支えられる競技会は橋の頑強さを見せる機会としては悪くなかった。
とはいえ競う競技となれば勝敗があり、また今回はなかったがラフプレーや審判の判断などで揉める可能性があったため、もう少し穏やかな方がいいと運営を任せたクロコダイルに注文を付けていた。
そして開催そのものはやはり大成功で、その年にミホークが仕込んだ麦酒がスッカラカンになる程売れに売れて、ベリーもcatも大量に稼ぐ事が出来たので来年の事も気にしていなかった。
もっともさすがに橋でやるのもアレなので、専用のスタジアムの建設と合わせてこのリーグサッカーは例年の別イベントとして開催することを決定した。
この時はまさか海軍側からチームの追加編成の要望が滅茶苦茶来る事になるとはクロも予想していなかった。
そして来たる三年目。
踊った。
「のうクロコダイル。どうしてこうなったのじゃ?」
「お前もか。頼むからこっちを見るな、ハンコック」
「断る」
「…………」
「断ーーーーるっ!!!」
「…………クソ女ぁ……っ」
時は既に夜になり、それでも祭りの熱狂は収まらない。
アラバスタ民や黒猫兵、中には海兵すら屋台を開いて道行く人々を相手に商売している。
それを見渡せる東部――黒猫側の町の監視塔の上で、第一艦隊と第三艦隊を率いる二人の提督がその様子を伺っている。
「で、なぜ踊りに?」
クロにあった優しさが欠片もない女傑の目線から逃げるように顔を逸らした第三艦隊提督が、大きく息を吸って口にした葉巻の断面を赤く輝かせて、香りの強い煙を吐き出す。
「……………………俺にも……分からねぇ……」
強い疲労の色と共に。
強く。強く。
「……色々、大変だったん……じゃな?」
「実際、ジャヤの制圧含めて今年は特に忙しかったからあながち間違いじゃねぇが……。というか、何食ってるんだお前」
「タコ焼きじゃ。ハチがアーロンらと共に屋台を開いておってな。魚人に慣れた黒猫側はともかく他の民が未だ及び腰じゃったので、サクラも兼ねて護衛や警護の兵らへの土産分と合わせて
「いらねぇ」
二本の小さな木の楊枝でタコ焼き一つを突き刺し、口へと放り込む姿はそこいらの町娘と変わらない。
実際、護衛の兵を置かず黒猫の制服を着ていなければ、ここに来るまでに相当な数の男に声をかけられていただろう。
「まぁ、なんじゃ。突然空気が変わったのに驚きはしたが、悪くはないと思うぞ。主殿から頼まれていた、競う空気を抑えろというのには的確じゃろう」
「投票者は基本アラバスタ民。ゆえに負けた所で基礎的な体力や技術の勝負だけじゃなくセンスなんかの文化的な物が混じるから受け入れやすく、かつ研究すればするほどそれはアラバスタの風土や文化への理解に繋がる」
「黒猫、海軍双方に利はある。民衆の理解と信を得ねば、より多くの人員を投下せねばならんからのう」
「…………くそ、テゾーロの奴……」
この三年の間、黒猫海賊団はとにかく影響下にある国と良好な関係を築く事が大きな目標の一つとなっていた。
黒猫海賊団は緊急事態に備えていつでも動けるように、また海域支部が非常事態でも耐えられるようにと自給自足を可能とする軍隊を目指した結果、海賊団であるのと同時に一つの巨大な軍閥と化した。
これまでの活動で無用な暴力を振るう一団ではないと知らしめた黒猫だが、だからこそ勢力圏は平時となり、平時ゆえに強大な軍を徐々に恐れ出している。
ゆえに、「そうなる前に地盤をガッチリ固めておこう」というクロの方針だった。
フリーハンドを得た武装集団など海域が落ち着けば落ち着くほど畏れられるに決まっている。
魚人島の奪還に成功すれば、政府の威信に取って代わる程の存在になるのは避けられず、だから尚更。
ゆえに、先手を打って各国との繋がりは尚更強く意識しておくべきだと。
そうして各国へ表敬訪問し、王族や貴族、時には職人らや役人と顔を合わせて相互理解を深め、その上で各国の要望や不満を調べ上げて解析、実行に移すのを兵力の拡充と並行して行っていたのがハンコック達だ。
「……こういう時、タキがここにいればなと思う事がある」
「わかるぞ、クロコダイル」
「そして同時に、ミホークの奴が農業やるだけでなぜこんなに安定するんだと思う事がある」
「すごくわかるぞ、クロコダイル」
話題に上がったミホークは、どういうわけかビビの護衛として祭りの中を見回っていた。
ビビがお忍びで黒猫の基地や町に遊びにくる際に、近衛兵と共にビビの護衛をしながら設備の解説をしていたのが効いたのか、総督のクロを除けばダズ・ボーネスと同じくらいアラバスタ王家から信頼され始めているのがミホークだった。
ミホークがこの地にいるのが明らかになったために不穏な船は激減し、生産物の売買目的の貿易船が視察に訪れ、混乱が深まりつつあるベリー経済の下降を止められはせずとも緩やかな物にしつつあった。
日々金勘定と書類に追いかけ回されている艦隊提督としては理不尽極まりない存在に文句の一つも言いたくなる。
今回の架橋と同じく、ミホークの活動は企画・稟議書にOKさえ出れば予算を特に制限なくふんだんに使える。
おそらく、ミホークは現場の事以外で頭を悩ませたことはない。
贅沢しやがってコノヤロウと文句の一つも言ってやりたいところだが、今の所確実に投資した予算以上の物を生み出しているので責めるだけの謂れもない。
「安堵せよクロコダイル。次会ったら脛を蹴っておく」
「いい靴履いておけよ」
「うむ。ペローナにも声をかけておかねば」
ないけど腹は立つのでハンコックは蹴る。
「それで、クロコダイル。一番の目標だったジャヤを極秘裏に制圧したとなれば、もう基地化を進めているのじゃろう?」
「基地化というか、ここと同じだな。軍事港とその施設を設けた後は防諜走らせながら民間に開放するそうだ。実際、向こうの酒場やら宿やらを取り仕切っていた連中を降らせた」
「主殿が言っていた海賊団は?」
「交渉の結果、あの海域の調査結果を回収した。代わりにあそこでのサルベージ活動を許可する事でな。機会があれば、ニコ・ロビンと会わせてやれ。ウチのサルベージ事業は奴が責任者だろう」
「十分じゃ。では、いよいよ魚人島の奪還に? ミホークが新世界での
ミホークの仕事は主に三つ。
ドレスローザという国に赴き、出来る事ならば王族――最低でもヴィオラ王女とトンタッタ族という小人種族を浮島に保護すること。
ビッグマムの元に親書を届けてくること。
そして白ひげの元に赴き、作戦の概要を説明して賛同を得る事だった。
これらを達成した今、魚人島への道は開けたも同然。
大戦力であるイッショウと、中隊指揮に長けたヒナが帰ってくればすぐにでも襲い掛かれる。
「いや、それがだな」
「? それが?」
「クロの奴、昼の海兵達のダンス見てたら突然、『東の海に行く』だとよ」
「ふむ……。なるほど
「なぜ今?」
「知らん」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「えぇいクロ! お前達側の王宮や宮殿に値する物はまだできんのか!!?」
「はい。こればかりは緊急時の軍事施設も兼ねる事になるので、現在こちらの提示した条件に達している会社から鋼材等を仕入れている真っ最中でして」
「間口を広げられんのか!? 多少なら加盟国側の会社や工場を手配できる!」
「鋼材はその作成がデリケートな物でして、産地はおろか職人を一人変えただけで品質や歩留まり率等に大きく差が出ますので……」
「幸い、アラバスタでは自領よりもアラバスタの復興に特に力を入れていると見られています。年越しの花火といいコブラ陛下の生誕祭といい、我ら黒猫の協力はアラバスタ民に大きく周知を――」
「えぇい、わかっておるだろうがテゾーロ!! 内ではない!! 外の話だ!!」
ダンス大会は無事に開催され、今回はとある海兵チームの優勝で幕を下ろした。
その後屋台街や町の酒屋やパブが開いたオープンバーでの後夜祭的な物が続いていて、各種屋台も材料が切れるまで開くようだ。
中にはウチのマーケットに仕入れに飛び込む店もある。
この三年間で、アラバスタにも相当Catが定着したようだ。
「政府の馬鹿共は時計の針を大幅に戻したいようじゃ! あのクズ共め! なぁにが『緊急事態への対策を練るための知識人材の提供要請』じゃ! なぁにが『食料不足対策のための学問所の閉鎖と若年層の農作業従事命令』じゃ! 完全な愚民化政策の強行ではないか!!」
そして儲けを数えてホクホクしていた俺とテゾーロの元に飛び込んで来たのがピンシャー卿だ。
さすがに今日のイベントの大事さは分かってくれているのでこの数か月は大人しかったが終わった途端にこれである。
「奴らを止めるにはもはや『黒猫』の組織化を進めてその構造をもう一つの『世界政府』と化して張り合わせるしかない! 急げクロ! 我らの手で聖地を叩き潰さねばならん!!」
「ピンシャー卿、御所属は?」
「世界政府の役人じゃ!! とっくに周知しておるじゃろうが何を言っておる!!」
お前が何を言っている。
「よいかクロ! この三年の貴様らの活躍で周辺国家は揺れておる! このまま全てを差し出して加盟国の奴隷であり続けるか細い糸に縋り続けるか、海賊といえど近代的な国家運営を維持する黒猫に賭けてみるか!!」
チラリとテゾーロを見ると、頷いている。
八百年間という時間を使って築き上げられた『世界政府』の看板が、そこまでズタボロになっちゃったかぁ。
まぁ再度塗りつぶすつもりだっていうならそっちの方が都合がいいんだろう。
不穏分子をさっさと炙り出すつもりだ。
基本そのものは変わっていない。
馬だと言って鹿を連れてきて、それ見て「鹿じゃないか」という奴らを徹底的に排除するつもりなんだ。
奴らに必要なのは程よく馬鹿な役人と馬鹿な民だ。
……それでいきなり愚民化政策とは恐れ入る。
「だからこそお前らの『顔』が必要になってくる! 既に知られている自慢の提督や船では駄目じゃぞ!? お前がこれだけの舞台を用意できるという顔! つまりは『美』であり、『威』であり、そして『贅』の象徴じゃ!!」
「……復興作業によるエピソードや治安安定の実績だけでは足りないと?」
「当たり前じゃ! 武力も重々承知しているだろうがそれだけで王族や貴族は動かん! どこまで自分達の『利』が確保できるかを見極めようとする!」
ん……むぅ……。
いや、分かる事は分かる。
外交的な遊行ってある意味で茶席への招きやお呼ばれに近い所があるし、それゆえ茶室に当たる場所やそこに並べる道具には、それこそ命を懸ける必要がある。
だから……そう。
キチンとやるには金も資材も滅茶苦茶溶けるんだよなぁ。
死ぬほど。
死ぬほど。
今そこに投資するタイミングか?
「……早過ぎませんか? 私としては魚人島の奪還を終えて第二の流通路の復活を待ってからの方が効率がいいと思っているのですが」
そのタイミングならば最速で西の海と繋げられるし、向こうの豊富な物資を運搬できる。
「物資やら金やらで言えばそうかもしれんが、問題はその魚人島奪還の戦にある!」
「ピンシャー卿、問題とは?」
ロビン、ミキータ*1、悪いけどコーヒーに砂糖……いやカフェインで更に覚醒されても面倒だな。
麦湯……さすがに味気ない。
冷やしたココアでいいか。うん、頼むよ。
「お前達は白ひげと共同で事に当たるつもりだな?」
「はい。まぁ、リュウグウ王国軍もこれに入りますが」
「それでは足りん!」
「兵力が、でしょうか? それなら策が――」
「違う!」
水分と糖分を補給させないとこの人、よりによってこの黒猫領でミイラになっちゃいそう。内側から。
「正当性だ!!」
「……と、おっしゃいますと?」
「魚人島の重要性はかつてお前が説いたとおりだろう。我らも見落としておったが、海底の自由航路がどれだけ重要だったのか、今世界が身を以て知らされておる」
「はい」
「それをほぼ
……………………。
なる…………ほど…………。
「黒猫のこれまでの威光では足りないと?」
「……いや……お前らだけで奪還すれば違うのかもしれん。だが今回は、かの『白ひげ』も参戦する」
「それゆえ、ですか」
白ひげがどういう人物かは知っているが、それでも現時点で世界最強の『海賊』だもんなぁ。
それもガッチガチの。
世界政府の情報しか知らない連中からすれば大悪党だ。
かつての魚人島攻防戦でマルコさんやレイリーと一緒に並んでいる写真撮られたけど、あの場合は一件の詳細が流れたからこその追い風だったわけで……。
あれから何年も経ってるし『白ひげ』への印象もそう簡単に好転はしないだろう。
原作でも世界政府のプロバガンダが強かったのもあるだろうが、頂上決戦後は海軍の勝利を喜ぶ民衆がチラホラ描写されていた記憶がある。
キチンと向き合えばそう恐ろしい相手ではないと俺は思っているけど、俺の場合はそもそもファーストインプレッションが滅茶苦茶良かったからなぁ。
「軍事は分からん。お前達が『白ひげ』を必要だと言うのならばそうなのだろう。それはいい」
兵力もそうだけど、そもそも魚人島はあっちの縄張りだ。
だからこその面子がある。ドデカい面子が。
ゆえに、実質魚人島への突撃と奪還は『白ひげ』が受け持つ事になっている。
「だが! だからこそ航路の奪還と解放には確固たる正当な『軍』がいる! でなければ、世界は『海賊の時代』から抜け出せんのだ!!」
うん。分かるけどピンシャー卿、どこの立場からおっしゃってます??
そちらの護衛の海兵達がすんげえ困ってますって。
まだ子供のミキータ――クロコダイルの側近候補の女の子にヘルプサイン送ってるから。目で。
ロビン、彼らにもお茶を。
「ピンシャー卿は、我ら『黒猫』に傘下の国を増やし、その兵力を正規軍として引き出せと?」
「そうだ。現時点の傘下国も嫌とは言うまい。この三年の間、多くの国が観戦武官を寄越しているのは知っておるし、メイムとかいう女が率いる騎兵隊のようにお前の所の陸軍に同行している部隊もある。下地は出来ておるハズだ」
ダズが解放した国の女将軍だったか。
槍術が上手くて、警備を担当する兵士に教えて回っていたな。
最近は九蛇の連中と交じって覇気の訓練に専念しているって報告書にあったのを覚えている。
「……その交渉のためにも、我らの陸の象徴を作れと」
「そうだ。お前が王族を立てる存在であるのは傘下の王族を見て知るであろう。だが、『どこまで自分を富ませてくれるか』『どこまで贅を許されるか』という俗な決断に必要な情報に関しては、まず目に入る物がなくてはならん」
「船を飾るのでは駄目ですか? それなら早いのですが」
「王族とは陸の人間だ。そうであろう?」
「……なるほど。確かに」
……ウチ、ひょっとして各国に貧乏と思われてた?
いや、実際毎年の予算編成会議ではみんな揃って毎回死にそうな思いをしているのは確かなんだけど。
ピンシャー卿もその時期は色々察しているのか良く分かっているのかそっとしてくれる程に。
でも生産のミホーク、経済のテゾーロ、遊興のクロコダイルのトリプルエンジンでこの三年の間に結構金は増えている。
特にクロコダイルがテゾーロとタッグを組んで作ったレインベースという原作にもあった街でカジノや歓楽街を開いてからは、アラバスタに所用で立ち寄った王族や貴族がお忍びで遊んでくれるし、テゾーロがこの前拾ってきた人員の中にいた『運』を操作する能力者のおかげで効率的に外貨を回収できている。
アラバスタを踏み台にするようだけどこのサンディ島でのウチの様子を見た他国の商人が、こちらの貿易港に挨拶に来る事も増えている。
組織としてもそうだし、それぞれの個人資産も――それこそ一般兵士でも結構な稼ぎになってるハズだ。
…………皆、ちゃんと遊んでないのかなぁ。
そっち方面もしっかりしないと危ういぞ、コレ。
クロコダイルや民衆に任せるだけでなく、ちょっと手を加えるか。
「象徴たる城の重要性、理解致しました。つまり、発展しているとはいえレインベースは――」
「うむ。歓楽街であるあの街は悪くないが、者によっては下品と思うかもしれん」
「ええ。娼館も立ち並んでいますからね」
正直言うと助かる。
幹部や親衛隊に女が多いのもあって切り出しづらかったんだよ。
おかげで現地の女とかを黙認する程度しか出来なかったから、クロコダイルとテゾーロが手配してくれた時は本気で有難かった。
おかげで男性兵士の衛生管理にもう一段階踏みこめた。
「可能な限りではありますが急がせましょう。少なくとも、東の海に発つ前までには完成させます」
「……生まれ故郷への凱旋か?」
「ガープ中将が保護してくださったという商会の方々にも頭を下げなければなりませんし、少々所用がありますので」
ロビンの年齢から考えて、多分今は原作の十年前くらいだ。
となれば、さすがに本当の
ぶっちゃけ戦力としてはもうどうでもいいレベルだが、ジャンゴは出来るだけ確保しておきたい。
なんだかんだであの催眠は強力だ。
いざという時の一般兵のブースト役になれるし、かつて俺が考えていた覇気の訓練の簡略化も実験したい。
「それだけではあるまい。貴様、経済的に政府を少々締め付けるつもりじゃな?」
……まぁ、ジャンゴ目当てだけじゃアレだからと色々策を練ってはいたけど、この人あっさり見抜いていくなぁ。
「今の時点で安定した税収源は東と西、西は安定しているがお前の勢力圏が広がっているので額は減っておる。となれば政府の頼りは――東」
「別に何かをするつもりはありません。いくつかの島に旗を立てるだけですよ」
「それだけで政府は警戒せざるを得ん。これまで流れていた物が止まるであろうな」
「そこまではいかないでしょう? 少々、各地の軍や役所に入用の物が増えて消費が増えるかもしれませんが」
「……猫を名乗りながら、狸でもあるな」
「いけませんか?」
「いや、愉快だ」
お爺ちゃん、笑っちゃ駄目でしょ。
いや、もうそうするしかないのか……。
俺が聖地去った後ピンシャー卿なにがあったのさ。
「思うようにやれ。お前も市民に害なすつもりはあるまい」
「当然です。こんな状況でガープ中将を敵に回したくありませんよ」
まぁ、俺が東の海に来たと分かったら普通にお茶しに来そうだが。
それはそれでいいだろう。
なんならレイリーの代わりにスパー相手になってもらおう。
しばらくミホークはアラバスタの開発がある上に、なぜかアラバスタの護衛兵から指南役として引っ張り凧でクッソ忙しいし、クロコダイルもレインベースを始めとする町の拡大に忙しい。
鍛錬相手がいないのが問題だ。
なんせ将来的に、ほぼ確実にカイドウと戦わなければならない事が決定してしまった。
(……未来の麦わら海賊団、今どうなってるんだろうなぁ)
なんとかワンチャンアイツらがちゃんとした――ちゃんとした? いやまぁ、とにかく海賊団結成したら全部押し付けてシムシティに専念できねぇかなホント。
クロコダイルが正確な地図作ってくれたジャヤとか開発計画考えるのが楽しすぎて、この前は珍しく余計な夜更かししてしまった。
「よし、話は終わりだ! クロ、テゾーロ! 飲むぞ!」
「ちょっとアンタ元気すぎませんか??」
「これも仕事の一環よ! ほれ、陛下も直こちらに来るので用意せんか!!」
「コブラ王も呼んだんかい!!!!? テゾーロ! いますぐ応接室の確認! 俺は厨房に入る!」
「ハッ!!」
馬鹿野郎! せめて先触れを出せ!!!!