とある黒猫になった男の後悔日誌   作:rikka

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003:仲間集め in 西の海

「キャプテン、アンタの言う通り海兵が急に増えた。どうやら誰かを探しているらしい」

「だろうな。……お互い、噂に注視しておこう。そこからでも海兵の動きの方向性が読めるはずだ。その隙を縫って動く」

「アイ、キャプテン」

 

 あの運命の出会い(失笑)の果てに、更にもう一戦繰り返した後にダズ・ボーネス少年がマジで仲間になってくれてから一月経つ。

 

 なんで? とも思わなくはないが結果としては狙った通りだ。

 ……うん、本当に世間を揺るがす事をしないと裏切られそうだからなんかこう……世間をワッと言わせることをしなければならなくなった。

 

 ねぇ、せけんをアッといわせるってどうやるの???

 

 …………。

 まぁいい、今の問題はそこじゃない。

 またしても予想外の事態になった。

 

 原作でも大きな転機となる一つ、バスターコールによるオハラの壊滅である。

 

 すいません、オハラってグランドラインの島じゃなかったんですか(震え声)

 

 詳細はわからないが、ロビンの回想シーンではありとあらゆる場所に海兵が来ていたし。色んな連中が通報していたし、海賊に拾われても海軍が追いかけてきていた。

 

 てっきりグランドラインと思い込んでいたけど、西の海にそれだけの人員を動員したのならば動きが読めると思ったらやっぱりだ。

 正確さには欠けるだろうが噂で、どこで捕り物だの海戦だのがあったと酒場や井戸端でアレコレ聞ける。

 

 ……よし、どうやら俺の事は話題になっていないな。

 この一月でダズとちょっとした賞金首を狩って、まだ懸賞がついていないダズに換金させてきたりしている。

 

 ホント、よくダズ君俺に付いてきてくれたな。

 しかも俺をキャプテンとしてちゃんと立ててくれているし、これはちゃんと飯の種を確保せねば。

 

 まぁ、ぶっちゃけこれまで身ぐるみ剥ぐだけだった山賊やら海賊が一気に金になっていてお金は豊富なんだが。

 

「それでキャプテン、次はどうする?」

「……ちゃんとした船は東の海で作る予定だからな」

「例の凪の海域(カームベルト)を突破できる船か。間違いないのか?」

「確かだ。実際、俺が持っている海楼石は海軍の船の船底から頂いたものだ」

 

 いずれ偉大なる航路(グランドライン)に入るつもりではあるが、同時に金を稼ぐ方法も確保したい。

 

 たとえば、グランドラインのいくつかの島特有の特産や名物、あるいは技術の交易。

 以前と同じく、略奪は出来るだけ悪党からやりたい。

 倫理もあるが、自分自身やダズの士気にも関わる事だ。方針はそれでいいだろう。

 

「さすがに海楼石全部を持って移動は出来なかったからな」

「隠し場所がバレて回収されている可能性は?」

「充分あるが……まぁ、問題ない」

 

 どちらにせよ東の海には行っておきたい。

 結局自分一人では見つけられなかったけどジャンゴを勧誘したいのだ。

 

 覇気もそうだが、この世界は基本的に『自分は出来ると強く思い込んだら本当に強い』ルールがある……と思う。いや当然少年漫画らしく適切(・・)な努力というか修行もありきなんだろうけど。

 だからこそ自分が集めたいのは、精神に作用する能力を持つ連中だ。

 

 催眠術のジャンゴはもちろん、絵具で強力な催眠を使い分けるミス・ゴールデンウィーク……マリアンヌだったか。

 

 この面子や、それに近い力を持っている連中は出来るだけ抑えたい。

 

 俺がクロの時点で原作の流れなんてあってないようなものだ! 好き勝手やらせてもらうぞ!

 ……それにいやだぞ、わざわざ可愛い、しかも年下の女の子泣かせたあげくに固いゴムの塊の頭突きぶち食らうとか。

 

「一応計画はいくつか用意している。今必要なのは食料と武器、それを買い支える金……は、とりあえず置いといて」

「――人手か」

「量より質でな」

 

 下手に数だけ集めると、食料ならなんやらの問題で本格的な大規模略奪しなくちゃならんかもしれん。

 それはノウ、絶対にノウ。

 

 海賊漫画なのに悪には厳しいこの世界で上手く立ち回るには、きわめて難しいが少数精鋭で固めるのがベストになる。

 

「……東の海から、危険を冒してこの西の海に来たのは最初からそれが目的だったのか?」

「そうだ。東の海にも使える人材はいるんだろうが……あの海で人を集めるのはまだ早いと判断した」

 

 それなりに探し回ってみたけど、ジャンゴが全然見つからなかったしな。

 となると、もうちょっと時代が経ってからだろう。

 

 ……そもそも、本来の流れではクロだってさすがにまだ海賊なんてやってないだろう。

 

「まぁ、それに関しては気長にやっていくしかない。とりあえずは目先の問題を片付けよう」

 

 俺たちが今小舟で向かっているのは、とある海賊に支配されている島だ。

 本来ならば海軍が出て討伐するのだろうが、今海軍は動きが鈍い。

 おそらくニコ・ロビンの捜索に人手のほとんどを注ぎ込んでいて他を後回しにしているのだろう。そういう所だぞ世界政府。

 

「海賊か。懸賞金は船長含めてトータルで400万ベリー……人数と金額的にそこまで美味しい話ではないようだが、なぜここを?」

「理由の一つに、ファミリーの影響力。海賊に荒らされた所か、実質占領されてそのままってことはどこかのナワバリって事じゃないんだろう。出来ることなら解放した後、しばらく拠点にしたい」

「なるほど……。もう一つは?」

「マフィアも海軍――政府も迅速に助けを出さない場所を俺たちが解放することで名声を得る」

「……お尋ね者のキャプテンがか?」

「お尋ね者だからこそだ」

 

 悪名高めてたら当然危険度が上がる、というか海軍にとっての重要度が上がる。

 重要度が上がれば、ことを起こす時の海軍の行動が早まる。

 

 いずれそうなるのは、生き抜いていく限り避けられんだろうが今はさすがに早い。

 覇気習得とまではいかないがせめて『月歩』の習得までは目立ちたくない。可能ならグランドラインに入るまでには『嵐脚』も覚えたいが……。

 

「まぁ、とにかく海賊ぶっ飛ばして物資を頂こう。そして島の人間と交渉して……出来るなら拠点としてしばらく使わせてもらう」

「謙虚な賞金首だな、キャプテン」

「そこらの奴とは一味違うからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャプテン」

「ああ」

「これは……なんだ?」

「……予想は付く。だが、まさか……」

 

 島に上陸した俺を待っていたのは海賊たちと、その海賊に隷属させられていた村民達――が、全員そろって項垂れていた。

 俺はクズだ。だのゴキブリ以下だとかぶつぶつ呟いている。

 

 あの、これひょっとして……。

 

「キャプテン」

「ああ」

「あそこでこっちをじっと見ている半透明の連中はなんだ」

「幽霊的な物だ、触れなければ害はない」

「そうか、幽霊的な物か」

「ああ」

 

 

 

 

「……幽霊的な物ってなんだ?」

「いいからまずどう見ても海賊って連中をふん縛るぞ。話はそれからだ」

 

 ペローナ!? お前も西の海にいたの!?

 

 




船長:キャプテン・クロ
戦闘員:ダズ・ボーネス


まだアラバスタの話をやっている頃にゲームボーイカラーで、好きな仲間を集めて自分の麦わら海賊団を作ろう! ってゲームあったんですが、あれグランドラインも含めてやってくれないかなぁ

さすがにもうキャラが多すぎるか

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