とある黒猫になった男の後悔日誌   作:rikka

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086:遺産の価値

(というかラスボス候補が気安くポップすんな! 護衛……は、なんか気配はしてるけど!)

 

 多分、センゴクさんかゼファーさんがいるな。

 この気配とプレッシャーには覚えがある。

 

「オハラの問題はそもそも、政府の失策の象徴そのものです。オハラだけに責任を押し付けるのはお門違いというものでしょう」

 

 スパさん器用だね。

 土下座したまま首ひねってこっち睨んで……なにその口パク……『加減しろ馬鹿』かな?

 

 嫌どす。

 

 ずぇっっっっったいに嫌どす。

 

 …………。

 

 そもそもよく考えたら俺が落ち着いて生活できなかった最大の要因はまさにコイツじゃねーか!!

 

 法務武神なんてご立派な肩書付いてるんなら、せめて加盟国内で無茶ぶりしないように手綱握っていてくれ!

 

「政府の失策だと?」

「はい。空白の百年を、なぜ貴方がたは空白のままにしているのですか?」

 

(……とりあえず例のアレ……なんだっけ、ラフテルの場所を伝えるポーネグリフがあるって事を俺は知らない(・・・・・・)ってことでいこう)

 

 知識のレベルを……あれだ、原作のエニエスロビー時点レベルくらいに抑えた上で考えればいいんだ。

 

「隠されていると分かっていれば人は探すモノです。この大海賊時代を見ればわかるでしょう」

「貴様には分かるまいが、空白の百年を隠すことは政府にとって重要な事だ」

「無理です」

 

 絶対無理。どうあがいても無理。

 

「今回、ポーネグリフの研究を行いオハラは地図から消えました。では、この800年の間に似たような事件が一度もなかったのでしょうか」

 

 開きかけた口を閉じたな?

 まぁ、やっぱりそうだよな。

 

 というか、昔にあったからオハラの研究者がより徹底的に隠れるようになったと考える方が普通だ。

 漫画で描写されていたポーネグリフの隠されていた場所とか、かなり念入りだったしな。

 

「オハラの件はこの数十年の問題ではなく、世界政府が樹立したその瞬間からの……この800年間の問題なのです」

 

 前々から思ってたけどホント隠すのが下手なんだよ。

 汚いものがあるからってそれをカーペットで隠そうが押し入れに叩き込もうが、見えないだけでその汚点は広がっていくものだ。

 

 むしろ、目に見えない分恐怖だけが広がる。

 四隅に物を積みに積んだ部屋で、そこに虫か何かがいるんじゃないかと感じるのと同じだ。

 

「成立した当初ならば分かります。それが何かは分かりませんが、天竜人の祖となった20人の王の足元を脅かすモノだったのでしょう。ですが、この800年の間にどこかで方向を転換するべきだった」

「それは?」

 

 スパさん大丈夫? 顔真っ青で汗ダラダラだけど……ヒナみたいに立っていた方がまだ楽じゃない? そこに椅子あるよ?

 

「以前、地区本部海戦の時からずっと思っていたのですが、そもそもコストがかかりすぎます」

「コストだと?」

「はい。隠し続けるという事は、つまり探ってそうな人間やその痕跡を永遠に探し続ける事になります。その終わりのない作業に常に人的資源を費やし続け、それを支える様々なコストを払い続けなければならない。……加えて、常に隠し事が表ざたになるやもしれぬというリスクを抱え続けるのは運営効率が悪すぎます」

 

 空白の百年に関しての話題を半分嫌そうに切り出しやがった時は不機嫌そうだったのに、コストの話を混ぜたらちょっと興味を持ったな。

 

 …………。

 

 考えてみれば、五老星全員が揃ってない時に話すのは初めてだな。

 これは……内情を多少なりとも探るチャンスかもしれん。

 

「であるのならば押さえ続けるのではなく、公表のための準備に時間をかけるべきだったと思うのです」

 

 いやまぁ、本当に内容次第なんだけど。

 

「……偽の歴史か?」

「それだけではありませんが、ええ。まずは時間稼ぎの学説を出します」

 

 自分が世界政府ならば、逆にホットな話題としてアレコレ学説出させて情報を攪乱させただろうなぁ。

 ポーネグリフの解読方法とかも含めて引っ掻き回して、多数の解読方法を作っただろう。

 

「様々な学説を出す中に徐々に真実を混ぜ込んでいくのです。……貴方がたが恐れる程の空白の百年。それほどに大きな影響があるというのならば、よほど突飛な内容なのでしょう。そこを突きます」

 

 大衆は面白い物と分かりやすい物に大抵飛びつく。

 しかもこの世界では政府による検閲や抑え込みが普通なんだ。

 おそらく無意識のウチに、無難なモノを信じようとする理性と、そんな事があったかもしれないという勘が生まれる。

 

「時間稼ぎのための無難な学説、ダミーの突飛な学説、それら双方に真実の断片を徐々に織り込み、仕組まれた論争を以って、いずれ公開した時に『面白いニュースだが所詮過去の事』だと大衆が終わらせる方向に持っていかせる。私が政府側であったのならば、そういう策を練ったでしょう」

 

 情報操作も、ドレスローザの時の政府発表の信頼感を思えば、やってやれなくはない。

 広範囲に素早く情報を広めなければならないので、CP各所の連携がどれだけ出来るかにかかるだろうけど。

 

 無難な学説いくつかと真実を混ぜた突飛な学説をいくつかニュースなりなんなりで討論させ、大衆を楽しませるアカデミックなプロレスをさせながら徐々に真実を勝たせればいい。

 

 公表する時の世界政府の政治がまともならば、800年前のことなんて現状を動かすには遠すぎる。

 

 日本だったら800年前ってどれくらいだっけ……1200年ちょっとくらい。

 ……鎌倉時代くらい……で合ってるか? その前の100年ともなれば平安時代か。

 平安時代の新事実がニュースになる程度ならいざ知らず、令和の日本がド派手に動いたら草生え散らかすわ。

 

 いやまぁ、確かに世界の根幹は違うけど……アンタら天竜人がまともに世界を運営すれば多少の事じゃ崩れんよ。

 トンデモ世界特有の特記戦力以外では。

 多分。

 

「加えて、空白の百年が空白なままなのを利用し、資料がなんらかの事故や災害でまとめて紛失したためとして、過去の責任を今の世界政府から切り離します。紛失の前後では政府の性質が違うと印象を操作すればいい」

「……面白い。面白いが貴様にそれほどの説を作れるのか?」

 

 なんで俺が作るんじゃい。

 

「それに架空の学説がどれほど上手く出来た所で、考古学者共は早くに気付くであろう」

「はい。そうでしょうね」

 

 

「だから、考古学者に作ってもらえばよかったんです」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

(こ、この小僧、モグワの時もそうだったが、怖いもん知らずにも程があるだろうが!!)

 

「馬鹿な! そのようなことに考古学者たちが協力するわけ――」

「自分が政府の立場で、例えばスパンダイン長官ほどの権力と手勢を持っていたのならば、まずは考古学者の勢力を二派に割ります」

 

 聖地に来てから毎日のように自分を振り回す子供の海賊が、五老星を相手にまたも渡り合っている。

 

(ちょくちょく五老星と話しているのは知っているけど、このガキやっぱり……)

 

 認めているつもりだったが、まだまだ認識が甘かったと言わざるを得ない。

 そして改めて、認めざるを得ない。

 

 この海賊は、本物(・・)であると。

 

「考古学者の主流派と、我々政府に寄り添う派閥にか? 家族を人質にしても奴らは靡かなかったのだぞ!?」

「当然です。彼らの過去への執念の元は多々あれど、現状の世界政府への不満と閉塞感、それらに対する反発が強いのも一因でしょう」

「……ではどうする」

「はい、ならば公表する用意がある事を示し、それに対しての協力を要請するのです。『現状のまま空白の百年を発表すれば混乱が起きかねない。いつかの未来に公表するために協力してほしい』……というように」

 

 五老星の中で法務を担当する、自分など顔も碌に見れない相手を前に、海軍元帥のセンゴクを相手にしているのとまったく変わらない調子で海賊が話しかけている。

 

「クローバー博士を始めとする主流派は反対するでしょうが、現状のままよりはマシだと考える学者は少数でしょうが必ず現れたと考えます。そこから少しずつ協力者を増やすのです」

 

(いや、そもそもセンゴク元帥や英雄ガープが海賊の執務室に仕事の相談や雑談をしに来ている時点でおかしい…………なんで聖地に海賊の執務室があるんだ!!?)

 

「考古学者も世界政府の強硬さはよく知っています。知っているからこそ念を込めて地下に潜っていたのです」

「ふん、罪人は隠れるものだ」

「確かに。ですが質が違います。マフィアのような武力を持たない集団が、それでも組織的に調査を続け地下に潜っていたという執念。それを武力のみで完璧に潰せるなど、あまりに楽観がすぎる」

 

 事態を調べに戻ってきたのだろう、クロの周りに付けられた女達が入口から覗き込んだまま固まっている。

 

 全員、その場にいる天竜人にビビってピクリとも身動きできなくなっている。

 

(No.3やNo.5辺りは襲撃の後に聖地に呼び寄せられたからクロを知らねぇ。舐め腐ってたんだろうな。いつもの天竜人の唐突な命令程度に考えていたんだろうが……)

 

 事態が全く分からず顔を真っ青にしている女など、これまでのクロの指揮であの海賊の能力を測れていない能力の低さを合わせても哀れになってくる。

 クロもウォーキュリー聖もそちらにチラリと目を向け、クロは中に入って来いと女達を手招きをする。

 

(馬鹿野郎クロてめぇ怪獣の口喧嘩に巻き込むんじゃねぇよ、いくらなんでも可哀そうだろ!? ……あ、いやこいつ、天竜人じゃない普通のギャラリーを置くことで自分の心情をちょっとでも安定させようとしてやがるな!? なんて底意地の悪ぃガキだ!!)

 

 伊達にずっと側で仕事ぶりを見ていたわけではない。

 少しずつクロの手際の良さのタネ(・・)は分かってきた。

 

「ですが逆に、将来歴史を公表できる可能性を政府が提示してきたという事態であれば、そこから事態を切り崩せる可能性はありました」

 

 この男の最大の武器は武力でも頭脳でもなく、観察眼と自分や部下の心――心理を的確にコントロールするその手法だ。

 

(分かっていても、真似どころか分析すら難しいが……) 

 

「自分達の手で歴史を解き、後世に残したいのがオハラの学者です。そこに政府の提案を利用してより確実に後世に歴史を残そうという一派を作り出せば、意見の対立が生まれます。その対立を利用すれば、あるいはオハラの主流派とも交渉のチャンスが生まれた……かもしれません」

「時間をかければ空白の中身に辿り着くかもしれん。一刻も早い対処が必要だった」

「現状よりははるかにマシだったと思いますが」

「……なに?」

 

 

 

「オハラの考古学者はロビンを残して全員島と運命を共にした。……と、果たして断言できるのですか?」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

(悪魔の証明じみた毒刺しだったけど、スパさんの今の表情見る限りあながち間違いでもないみたいだな)

 

 オハラの学者一人一人の顔と名前を把握していたわけではないのだろう。

 多分、ポーネグリフの研究者として把握できていたロビンの母さん、ニコ・オルビアとその仲間に網を張ってオハラと紐づけてからのバスターコール……といった所だろう。

 

「彼ら考古学者は机に齧りついて机上の空論で遊ぶような存在ではありません。現地や可能性のある場所に赴き、調査を行う学者です。果たしてバスターコール時に、オハラに全員いたのでしょうか?」

 

 あと女の子達はごめん。今にも倒れそうな子は座ってていいから……いや土下座しろって意味じゃなくて。

 

 五老星はある程度外を正しく知っている天竜人だ。自分達が普通の人間から恨まれている事を多少は理解しているだろう。ドンキホーテ……なんだっけ、あの腐れピンクの両親の末路を知っているだろうし。

 

 ならば、一般人が多くいるというのは多少なりとも……無意識的にでもプレッシャーをかけられるハズだ。

 

「そのためのバスターコールだ。探求を止めさせるための見せしめとして――」

「私が生き残った考古学者ならば、復讐のためにさらに巧妙に地下に潜り研究を続け、後世に残し続けるでしょうね」

 

 というか、そういう学者が数人いてもおかしくないとは元々思っていた。

 あえて他の島に潜伏してる印象を強く口にしてるけど、資料とか遺品を回収しにオハラの跡地に戻って来てる学者の数人はいるんじゃねぇかな。

 

「……貴様の下には、ニコ・ロビンがいる。貴様がオハラの遺児を我らに協力させ、公表すれば――」

「自分がロビンと共に政府側についた所で、もはや意味はありません。生き残った考古学者がいれば、ロビンは囚われ利用されていると考えるでしょう」

「ならばニコ・ロビンの知識を用いて、貴様が話した策をやってみせろ。学者のほとんどが死んだ今なら、より容易に――」

「無理です」

「貴様程の男がニコ・ロビンに……子供一人に言う事を聞かせられんと?」

「そういう話ではありません」

 

 バスターコールなんて強硬策に出る前ならばあるいは今の策も……もし出来なくてもクローバー博士となんらかの交渉やら囲い込み策の一つや二つやらは試せたかもしれん。

 

 けど今じゃもう無理だ。

 

「貴方がた世界政府は、バスターコールを発動したことによって、逆にオハラの知識の価値を認めてしまったのです」

「…………っ」

 

 気付いたか。だが遅い。遅すぎる。

 

(軍事力は万能のエリクサーじゃなくて、副作用マシマシで作用範囲が超限定される上にバフと同等のデバフがかかりかねないトリッキーな劇薬だってのに……いや、だからこそ800年の間に劇薬に酔っちまってるのか?)

 

 それなら多少は納得が行くが……。

 

「貴方がたはオハラに蓄えられた知識を潰す事には成功したかもしれませんが、その反面古代文字を始めとする過去の遺産の価値を世界に知らしめてしまった。政府が潰すほどのものだったと」

 

 見せしめのために、バスターコールの情報垂れ流してたし……。

 しかもよりによって――

 

「オハラはポーネグリフを解読し、古代兵器を復活させようとした。故に罪人、故にバスターコール。それが世界に情報として流れました」

 

 ホント、なぜそれをやっちゃうのさ。

 

「そのニュースは大衆をポーネグリフから遠ざける事は出来たかもしれません。ですが、野心ある者にはポーネグリフが却って魅力的な物に見えた事でしょう」

 

 原作だと、それこそクロコダイルとか。

 ビッグマムも……名前なんだっけ、あの三つ目の娘のような方法を探していた以上、解読の研究も同時進行でしていたとしても不思議じゃない。

 

 というかやってないハズがない。

 カイドウ……はよく分からん。

 読んだところまでだと、クソ強い自殺マニアだって事くらいしか覚えてない。

 

 ジャンプでちょいと先読みした時にルフィを一撃で倒してたのはクッソビビったけど。

 

(もっとキチンと読み込んでいれば……まさかこんなことになるとか思ってなかったしなぁ。友人の家で読ませてもらって、昔読んだところを追い越して、もうちょっとで追いつきそうだった矢先に……)

 

「古代兵器という物の存在を認め、そこに辿り着く物のヒントをニュースとして世界に公表している。……すでに何者かが、散らばったオハラの知識や人間を拾い集めようとしているかもしれません。それこそ、偉大なる航路(グランドライン)にいる大海賊達がそういう動きをしていたとしても不思議ではありません」

 

(そういう意味で一番狙われるのは間違いなく俺達だけどな)

 

 なにせ、『黒猫』には確実にオハラの知識があるんだから。

 

 ミホークや親衛隊を出来るだけロビンに付けているのは力づくで来るだろう相手の対策だし、単独でモプチに置かないのは動きの見えない王妃殿下への警戒に他ならない。

 

 出来る事ならばもっと開発に専念したいんだけど、やっぱり守りを固める意味でも戦力の増強は急務だよなぁ。

 

「……確かに、世界政府の法に背き続けたオハラはあまりに事を急ぎ過ぎていた」

 

 それは間違いない。正直、オハラの完全な擁護は出来ない。

 ただ……。

 

「それでも、問題の根幹を直視せず、ただただ探索者や可能性を潰し続ける歴史を繰り返したあなたたち世界政府は、致命的に手段を間違えた。……いえ、間違い続けてきている」

 

 百歩譲って強硬手段をやるとしても、それこそ暗殺の方向で行くべきだった……と思うんだけどなぁ。

 少なくとも、事を大きくするのは悪手だったように俺は思う。

 

「…………憶測にすぎん」

「はい、憶測です。貴方が私の考えを述べろというので述べたまで」

 

 ……やっぱり、単独だと多少見えてくるものがあるな。

 絶対階級に胡坐をかいての政治に慣れているせいか、多少圧をかけただけで少しだけど綻びが見え始めている。

 

 汗は隠せてないし、手がわずかに動く。

 思考を深める時はネクタイを触り、良い答えを思いつかないか迷った時には親指に力が入る。

 

 思考にあたりが付けやすくて助かる。

 

 

「ですから私見です。貴方たちはバスターコールを……絶対的な武力を容易く振るうべきではなかった」

 

 

「物理的に消すというのは、他の可能性を全て消す事です。他の方向に流れを変えようとしても、もう流れ込むモノは何もない」

 

 

「オハラの蓄えた知識は失われ、研究は後退した。だがその反動として、より悪意に満ちた裏において、過去への探求の火種が付いた可能性は極めて高い」

 

 

「もう、この流れは変えられないでしょう」

 

 

 髭の立派な五老星の一人は、ジッとこっちを睨んでいる。

 

 ……話せと言われて話したのに、なんでこんな居心地の悪い思いをしなくてはならないのか。

 

 こんな無駄な時間を使うんなら、頼むからもう帰ってくれ。

 スパさんとヒナとで飯食いながら明日の作業工程の再確認と、現時点の不安要素をどう埋めていくかを話し合う予定だったのに……。

 

 スパさんもCP9の指揮や調整を全力で終わらせた上に、上物のワイン持ってここに来てくれているのに……。

 

「……今の……」

「はい」

「今の憶測が仮に現在進行しているとして、現状で打てる手を……貴様は何か思いつくか?」

 

 知るかボケェ!!

 大体、海兵奴隷の一件とか法務を司る貴様の責任バカデケェのになんでこうもふんぞり返っとるんじゃい!!

 

 頼むから今の俺達の仕事の半分くらい……いやゴメンさすがにそれは鬼畜だわ、せめて五分の一……その半分くらいは持って行ってくれ!

 復興にはこっちだって全力尽くしてるだろうが!!

 

「そう……ですね……」

 

 ポーネグリフうんぬんはもう無理。

 古代文字の価値が本物だと気付いた連中がかなりいるのは間違いないと思う。

 あのラフテルに繋がるポーネグリフの事を知らなくてもだ。

 

 となると古代兵器の存在を隠す……いや、オハラが復活させようとしていた物が『やはりありませんでした』とかなったらオハラ問題が悪い方向に再燃する。

 政府への印象がさらに真っ黒になるだろう。

 

「……クロ」

 

 もうちょい待てってば!!

 

「申し訳ありません、もうしばらく」

 

 仮に、さっきの策をロビン経由で本当にやってみたとしても……あれはまず空白の百年という危険物周りを一種のサーカスにして、緊張を解くことが第一だった。

 多くの血が流れてしまった以上はやっぱり無理。というか意味がない。

 

 裏社会への調査なんてそれこそ政府の戦力ならCPに頼る以外にない。

 

 ポーネグリフを全て回収できるというなら話は別だけど、あれは世界中に点在していて長期的にならともかく今から手を付けるのは現実的じゃない。

 

 そもそも回収する際に統治にしこりを出来るだけ減らすならば、やはり考古学者を味方につけた上で調査のためという大義名分を得た上で回収しなければならなかった。

 

 …………。

 

 やっぱ詰んでんじゃん!!

 

「……仮に私の考え通りに事態が進行していた場合、ここから状況を覆すのは難しいと思います」

 

 実際、どうすればいいんだろうな。

 政府に都合が悪い物だと気付いた者が大勢いる以上、それを活かす方向で動くしかないんだけど内容がデカすぎる上に不透明な部分が多すぎる。

 

 クロコダイルとかもそうだが、ロビン以外でポーネグリフのヒントになんらかの形でたどり着いたら、それこそプルトン発見とかにもなりかねん。

 ワノ国編の始まりの時点でまだ出て来てなかったが、多分新世界のどこかにはあるんだろう。

 

 ……あ、そういえば設計図の方どうしよう。

 

「ポーネグリフの問題もそうですが、何に触られたくないのか。どこまでを守り切らなければならないのか。恐れているのはどういう事態なのか、それが分からない。残念ながら現状、有効的な対策は思いつきません」

 

 あと、もうそろそろホントにお帰りください。

 スパさん死にそうな顔してるし女の子達も真っ青だし、この場で平然としているのは一応頭だけは下げてるヒナくらいだ。

 お前すごいな。個人的にはポイント高いぞ。

 

「クロ」

「はっ」

「これが何か分かるか?」

「……いえ」

 

 ……なんです、それ? チップ?

 

「これは証明チップといい、これを身に付ける事は我ら天竜人の一族。すなわち同胞であることの証明である」

 

 あぁ、そういえばドフラミンゴの親父さんが天竜人を辞める時に何かを返していた描写あったっけか。

 さすがにそこらへんはかなりうろ覚えだな。

 

「クロ」

「はい」

 

 

 

 

「貴様、天竜人になれ」

 

 

 

 

「…………は」

 

 




( ゚д゚)


(゜д゜)


( ゚д゚)


(゜д゜)




( ゚д゚ )
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