[Minecraft] 俺はスティーブ、クラフターだ。   作:えだまミィカン

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第十一話 薬とレッドドラゴン

マタルの店で薬を売る仕事はとっくに終わり、今はもう夜になっている。夜ということで人間であるスティーブは「とっとと寝よう」と考えていた。だがベッドに入ろうとするところを不機嫌な様子のマタルに捕まってしまう。そうしてスティーブは問答無用マタルにで引きずられ現在は酒屋に縛り付けられている。

スティーブが引きずられていった先、『酒屋 酒呑童子』の看板の下では昼間と同様にぎやかなムードが広がっていた。

店の一角のテーブルを除いて…

「うわあああああああああん!もう家は終わでぃだあああああ」

「おいマタル、飲みすぎだぞ」

「もうどうにでもなれ!自棄酒だよ!自棄酒!」

「いや自棄酒がどうか知らんが飲みすぎだって…」

「この肉体に飲みすぎなんて言葉はなぁぁぁぁい!」

《あの事件で「薬屋に街中を得体のしれない車で爆走した危険な人がいる」というよくない噂が流れた。その結果マタルの店の評判と売上がガックリ下がってしまった。

なんしろ安全性第一が求められる薬を取り扱うからな。営業に変人が関わっているとなれば買い手も少なくなってくる。マタルはそんなとばっちりを受け、見て分かるように自棄酒に走っている》

「私の薬売りの夢が…今までの努力がぁああああああああああああああああ」

「あー相手すんのがめんどくせえ」

酔っ払いの相手をするのはは時間の無駄だと悟り、スティーブはマタルのいるテーブルから離れカウンター席に移動した。カウンター席には他の客の喧騒に包まれているがあそこに比べれば十分静かなところだ。

「オヤジ、ビールを一杯くれ」

「あいよ」

とりあえずカウンターに立つ赤鬼に飲み物を注文した。

前に突き出したビヤマグにはキンキンに冷えたビールが泡を溢さんばかりに注がれる。それをスティーブはクールダウンにと一口飲み込んだ。

「アンタ、確か…今町で噂になっている『人間』か?」

店の壁を目に映してぼんやりしているとオヤジが話しかけてきた。

「まあ…そういうところだな」

あまり振られたくない話題なので返事は適当する。

「想像よりはおとなしそうだな」

「赤鬼のお前に言われる筋合いはない」

「まあ、鬼は気性が荒いからな。どいつもこいつも喧嘩っ早い」

「そして鬼以外も酒を飲めば気性が荒くなる」

本当ならスティーブは無視を決め込むところだが酒がまわって意識もしないうちに言葉を出してしまう。彼は(マタルのような状態にはならない様にしよう)と頭の片隅で考えた。

「おお、面白いこと言うな。お前さんとはいい酒が飲めそうだ」

「酒はできれば1人で飲みたいな…酔ったところで首を刈られるかもしれん」

「度胸がねえな…いやあんたの雰囲気からしてそれは警戒か」

「ごもっともだ。しっかしこの店の酒は強い気がするな」

「何白化けもの御用達の店だ。人間やエルフみたいなナヨナヨしたのは普通来ないんだが…酒豪に目覚めたか?」

「残念ながら連れの自棄酒の付き合いだ」

「連れがいるのか、その様子だと面倒だから離れてきたんだな」

「ご名答」

スティーブはマタルのいるテーブルへ目を向けた。何か問題を起こしていないか確認するためだ。だが向こうは酒ビンの数以外は特に変わらない様子だった。

「あー、あんたの連れ、結構な酔い様で…」

「…今経営する店が不景気でな」

「何だ金か…そんなもんすぐ手に入るだろう」

「この店の繁盛のしかたならそりゃな…」

『この世界ではそこまでうまくはいかない』、それをつい最近の事故で痛感したスティーブはその言葉になにか遠いものを感じた。 

「店なんざ持たなくともお金が手に入るぞ?」

スティーブの思考は『金』の言葉を聞いて頭の中で何かのスイッチがONになった気がした。だがマタルの金欲が移った気がしてあまり気分は晴れない様子である。

「ほう…あいつを黙らせるくらいのお金がか?」

「オレの知り合いがよくやっているんだがな…」

 

            

「ドラゴン狩りだ」

 

いきなり飛んできた『ドラゴン狩り』という言葉にスティーブは?の文字を浮かべた。「ドラゴンと言うとエンダードラゴンくらいしか浮かばない」そう考えながらも話についていくために脳をフル回転させる。すると以前マタルと交わした会話で一つ各当する単語が浮かんだ。

「…レッドドラゴンを狩るのか」

「飲み込みが早い人間だな」

「これでも色んな修羅場を乗り越えてきたもんでな」

ゾンビ、毒蜘蛛、ゲリラなどが頭の裏でスッと思い浮かんだ。酒の勢いもあってか戦い特有の興奮があってか更に聞き入る。

その様子に赤鬼も気前よく話を進めた。

「レッドドラゴンは全身宝のような生き物でな…鱗は鎧からアクセサリー、角は万病に効く薬、牙は伝説の剣になるんだ。それをトッ捕まえれば…」

「一瞬で大金持ちだろうな」

「大金持ちとまでいかないが大金は普通に働くより手っ取り早く手に入る。それもあってハンターがここぞとばかりに集うんだ」

「そうだろうな…」

「どうかしたのか?」

「…町ではそんな奴ら見かけなかったが」

都合のいい話なのにそれをやっている人物は今に至るまで一人も見かけなかった。そんな引っかかる点もあり一言鬼に問いただしてみる。

「ああ、この仕事には一つリスクがあってだな…」

すると鬼の表情は今までの活気あふれるものとは打って変わり神妙な面持ちになっていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「アンデットでもゴーレムでも一歩間違えば死ぬことがあるんだよ?」

「だからどうした?単に死ななければいい話だ」

マタルに酒屋で仕入れた『ドラゴン狩り』の話をした。だが酔いから早く醒めた奴はなかなか頭を縦に振らない。

「ここに長く住んでいるから分かるけど流石にそれは不味い気がするなぁ」

「一攫千金が狙えるんだぞ?」

「いやいやいや…年に何人亡くなっていると思っているんだい?」

「…」

「なんで私が薬の仕事をしていると思う?お金のためじゃない。病気や怪我にだれも悩まなくて済むようにするためだよ?」

「じゃあお前の金への種着は…」

「お金さえあれば薬をたくさん生み出せる。食べ物を買って恵まれない人を助けることができる。そんな万能さに引かれているだけだよ?」

「それならいい話だと―」

「いくらなんでもメリットとデメリットの釣り合いがつかない」

一攫千金の言葉を前にしてもマタルが慎重になるように『ドラゴン狩り』はとても危険な仕事だ。あの酒屋の赤鬼も昔かプロのハンターだったらしいがある時5頭のドラゴンを同時に相手に

したのを境に『危険』を覚って退職したらしい。その時負った傷の跡を見せてくれたがそれは熟練兵も持つことは無い大きな爪痕だった。

それで危険なことが思い知らされたにも関わらずその仕事を奨めるわけはもう一つあった。

「ドラゴンは大昔の遺跡を巣にしているらしい、大昔に造られたというなら金銀財宝…」

「だからお金の問題じゃなくて―」

「金銀財宝にも引けを足らないドラゴンの素材があるかもしれないんだぞ?」

ドラゴンの素材の使い道は武器やアクセサリーだけじゃない、薬にもなるのだ。それも高級の。マタルの知る名高い薬―不老不死の薬、若返りの薬、蘇生の薬はほとんどが町では入手できないドラゴンの素材に関するものが材料になっている。そういう薬の話になるとマタルのいう『釣り合い』も変わってくる。

「それを見つけ出せば薬の仕事も変わってくるって言いたいんだろう?」

「ああ、だからドラゴン狩りへ経営を進路変更し―」

「ははは!参った参った!とりあえず薬屋は一時休業だ」

「おお、つまり俺の言う話に賛同してくれると…」

「そういうことだよ!それじゃあさっそく防壁の外へ…」

「まてまて、特殊ハンター資格が必要らしいぞ。」

その言葉を聞いた瞬間マタルの動きが石のように固まった。顔は何か面倒なことを思い浮かべたようにシワが生まれている。

「…もしそれをスルーしたら…」

「警官隊が待っているぞ」

「やれやれ…まずは勉学との格闘か…」

「薬剤師のお前ならそれくらい難なくしそうだが?」

「いやーこれでも私は肉体派なんだが…」

「知るか、敵を知らずして突っ込めば死ぬだけだ」

「やれやれ…」

 

そうして二人はレッドドラゴンとの戦いのために、ペンと本を手に取るのであった。

 

 

 

 




レッドドラゴンばマインクラフトでは今現在実装されていないMOBです。当小説のレッドドラゴンといくつか存在するMODに登場するのものとは別なのでそこは注意です。
(まあ小説に登場するのはほとんどが二次設定で構成されるので公式実装時はまた注意が必要ですが)

ちなみに酒屋にいた赤鬼はマイクラとは全く関係ないMOBです。

おっと忘れてはいけない
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