[Minecraft] 俺はスティーブ、クラフターだ。   作:えだまミィカン

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今回は前の世界の方へスポットライトを当てます。
視点がパカパカ変わったりします。


第二十一話 前の世界では…

薬屋の一角、そこには武器を手入れするためのオイルや、布きれが散らかっていた。オイルに至っては臭いがきついので、窓を開けっ放しにしてある。臭いを逃がすためだ。

「ここを…分解するんだな」

スティーブはマニュアル片手に銃を分解していた。昨晩買ってきたアレである。この世界での相棒ということで、さっそくメンテナンスに勤しんでいた。

「…痛っ!指が挟まった!」

しかしその銃はどうにもツンデレ体質だった。まあ付喪神でもない限り理性があるわけないのだが、不思議なことにパーツが指先に噛みついてくる。

「スティーブ君…うるさいよ」

「だってこの銃が!」

「君の手先が不器用なだけだよ。まあその道具の中身がどうなってるか知る由もないからそれしかアドバイスできないけど」

「いらんアドバイスすんな!…前の世界でも銃だって触っていたんだぞ…!」

鎧を抱えたマタルを怒鳴りつけた。本人はどうにもよさげに返事を反す。俺は、作業がうまくいかないうえ、それが精密さを求められるだけあって苛立ちが溜まっていた。

「でぁあああ!痛ぇ!ジーザス!」

間違えて『ワニの虫歯治療』たるパーティーグッズでも買わされたのか、無論こちらの動作が間違っているだけなのだが、それを疑わんとばかりに指がパーツの餌食になる。横ではマタルが呆れて溜息をついた。

「…本当にスティーブ君、その…‘じゅう‘に触ったことがあるのかい?」

鎧を磨いているマタルが、ライフルを指さして問いかける。

「あるに決まっているだろ!お前より俺の方が戦場にでているんだぞ!特殊部隊から機関砲借りたっていっただろこの豚!ゾンビ!」

「豚ですが…ゾンビですが…スティーブ君、君の相棒はサッカーボールではなかったかい?」

「サッカーボールが友達…ってバカ野郎!」

「うわっ変なの投げつけないで!」

カッとなったスティーブは、手元のライフル弾をマタルに投げつけたのであった…

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

AM 5:00 『前の世界』にて

 

銃弾が飛ぶのはあの世界だけではない。

草木の代わりに石が散らばった砂漠、ネズミ一匹生存しているかわからないにその地域には、デザート迷彩のテントがいくつも建っていた。

「曹長、あちらがモンスター研究施設であります。」

テントと同じ色の戦闘服に身を固めた兵士が、双眼鏡を‘隊長‘に手渡した。

「へぇ…あれが忌々しいゲリラの巣窟か…!」

貰った電子双眼鏡を目に当て、女性はぼそりと呟いた。その声には高揚感が感じられる。遠足前日の子供の様だ。

「曹長はいつもそうですね…あの施設の地下ではモンスターがロボットの様に大量生産されています。おそらくクローン技術のものかと…」

「おお!相手が増えるとは…!なんとも言えん!」

曹長とよばれる女は、腰のバトルアックスを握り、更に歓喜した。隣では兵士が溜息をついた…

「何を言っているんですか、既に被害が出ているのですよ…10キロ先の村が。ガストの空襲とゾンビの進撃で壊滅させられたって…聞きませんでしたか?」

「ああ…そうだったな。被害は甚大だったようで。ただ私は別の情報が気になってな…」

「別の…情報でありますか?」

返事に困った兵士は、ヘルメットに固めた頭を傾ける。

「知らないのも無理がない、ついさっき入った情報なんだがな…」

「まさか…クローンの痕跡があったのですか?」

「一応それもあったが…実は空襲後に人間がいた痕跡があってな…」

先ほどの笑い顔とは打って変わり、神妙な面持ちで女性は続ける。

「なんと地下に謎の装置が建造されていたのだ!」

「…曹長、それはゲリラの仕業では…?」

謎も何も、不自然なモンスターの襲来を見れば誰の仕業か一目瞭然だ。ゲリラが関わっているとしか考えられない。だとしたらその装置が地下要塞なり発電所なりあっさり検討がついてしまう。

それなのに曹長は臭うと騒ぐ。何故そこまで考え込むのかが、この兵士理解できなかった。

「早まるな、実は…その装置も大規模なものでな。造られたのはおそらく空爆後、ただ普通なら重機を要するくらいの大規模なものだった」

「ゲリラなら…重機を運搬する必要がありますね」

兵士は顎に手を当て、遠くの建物を見るように答えた。

「だが奴らにその動きは見られなかった。デカいもの動かすのだからそれ相応の痕跡は残るはず、だが今回の件にはそれが見当たらなかったのだ。とりあず推測で『何者かが空爆後、重機なしで地下に施設を造った』ととらえている」

「まさか…そんなことできる人間がいるわけないでしょう」

「それが居たりするんだ…ブローニング重機関銃を手持ち射撃していたり」

「曹長だって…斧片手にドラゴンに立ち向かった逸話を持たれているではありませんか」

「あれはドーピングしていたからな…あ、話が逸れたな」

「まだあの村に謎があるのですか?」

「そうだ、実は岩盤に―」

そうして話を進めようとしたとき、後ろから邪魔が入った。同じ部隊のメンバーである。

「レイチェル分隊長!どこに行っていたのですか!」

きょとんとする兵士を他所に、女こと「レイチェル」は苦虫をつぶしたような顔をした。

「チッ…時間か」

「同じチームの方々でありますか?」

「ああ、ちょっと会議を放置してな…」

「何やっているんですか!?さっさと戻ってください!」

兵士は目を見開き、思わず素に戻った。その目先ではレイチェルが目つきを途端に鋭くした。

「上官にその口の聞き方は何だね、君。軍人たる者―」

「レイチェル分隊長!さっさと行きますよ!」

兵士に一言言い終わる前に、レイチェルは同メンバーに肩を掴まれた。

「うわぁあああ」

曹長の威厳も虚しく、猫みたくされるがままに連れていかれたのであった。

「なんだったんだろう…あの人」

………

……

「では、今回の作戦を説明します」

レイチェルの同期である副長が、ボードに地図を広げ、号令をかける。テントの中の空気は一気に張りつめた。

「目標はおよそ12キロ先にあるモンスター研究施設、偵察隊の情報では敵の規模は約数千です」

「約ってことは…それ以上居る可能性があるのだな」

分隊長のレイチェルが不気味な笑い顔で横やりを入れた。これは会議では毎度のことのようで他のメンバーは特に反応は顔に出さなかった。

「左様。それに対して正規軍は、主力の二足歩行戦車とヘリ、その他重火器でもって目標を叩きます」

副長が張り出された地図の上にマグネットを並べた。作戦時の部隊配置を示している。メンバーが見る限り、地図の中央にある研究所はこちら側に包囲されてしまっていた。

「その間に我々‘コマンド部隊‘は研究所内部に潜り込み、データの収集と破壊工作を行う」

コマンド部隊を示す白い駒が前線基地から真っ直ぐ滑らされた。施設を包囲している駒を突き抜け、研究所でそれが止まる。我々が此処から研究所まで、駆け抜けるということか。

「なお、本チームは他のチームの援護で、クアンタムスーツ着用の上目標地点に降下する」

 一息入れると副長は、固い口調で続けた。テントの内が一気に緊張感に包まれる。

 クアンタムスーツとは、最先端の機械で身体能力を強化する防具。ロボットスーツともいえる産物だ。腕力、走力等が向上することは勿論、防塵、防弾という防具としての性能も組み込まれている。これを付ければ例え素人でも無類の力を得ることが可能。無敵になれる。

 しかし、正規軍最強の防具を付けようと、生身なのには変わりない。そのため、銃武装したゲリラの大群に潜入するのは少々抵抗があった。

 メンバーが表情を強張らせる。すると、見かねたレイチェルが言葉を続けた。

「今回の作戦は結果によってはこちらの優勢劣勢が左右される。そのためふざけた指令も下るだろう。だがゲリラはこちらのことなぞお構いなしに殺しにくる」

その言葉の後にレイチェルは地図に貼られた駒を一つ取り上げた。それをメンバーの前に掲げた。

「バラバラ、内臓散乱、首は飛ぶ、それより酷ければゾンビにされ、肉体が完全に無くなるまで…数字に置き換えれば100年以上捨て駒として動かされるだろうな」

マグネットを持つ手に力を込めた。駒はその言葉を示すかのように木端微塵に砕け散る。

「殺される前に殺せ」

地面むき出しの床に、プラスチックの破片が転がった。それを見て副長、そしれ他メンバーが息をのんだ。

 

隊の命を握る、分隊長の威厳である。

 

こうしてレイチェル達は、『7:00作戦』に挑むのであった。

 

………

……

 

AM 7:00 戦闘開始

 

世界が総出になって築いた軍隊に、ゲリラ達は劣勢となっていた。

「なんだ…!?」

「メタルギア…月光!?」

施設に増設された防壁から、キャタピラの代わりに二本脚で走る戦車が確認できた。正規軍最新鋭のロボット軍団である。鉄人というよりクリーチャーに近い外見の化物は施設を完全に包囲していた。

「あれなら我々も持っている!すぐさま出せ!」

「やっていますが…防壁から出たところを狙い撃ちされています!」

眼下で佇む二足歩行戦車はこちらも保有していた。機動性の高さから目を付けられ主戦力ともなっている。だがゲリラの一人が目も向けた先には、その虎の子の兵器が黒煙を上げ倒れていた。立て続けにもう一台が出陣を試みるが、正規軍の射撃であえなくポンコツと化した。

「ファック!この野郎!」

「月光の出撃を中止!出撃を中止しろ!」

「モンスターの方はどうしている!」

「現在ガストとブレイズが空に出ています!限界高度に配置!」

空では火の玉と弾丸で弾幕が張られている。

一見どちらとも戦力差は無いように見えた。だがゲリラが有利だ。

ゲリラ側はモンスターの力を生かして飛行機の行けない高度にガストやブレイズを配置。距離が離れることによる弾の精度低下も数でカバーすることで、正規軍への一方的な射撃を確立していた。

そのため正規軍は

「ゲリラのヘリだ!撃墜しろ!」

「モンスターの弾を撃ち落とすだけで手いっぱいだ!」

空の方では不利となり、高性能の戦闘機も思うように飛ばせない状況だった。

「あの鬼畜共に我々の陣地踏み込んだことを後悔させろ!月光をこちらに一体も入れるな!」

陸戦さえやり過ごせば、劣勢のゲリラにも勝機がある。

現場の指揮官の声と共にゲリラ達の士気が上がった。正規軍の月光目掛けて対装甲弾が一斉に打ち込まれていく。進軍を続ける月光が一瞬よろめいたと思うと、それを最後に爆発した。他の機体もそれに続いて倒れていく。

ゲリラの保有してる二足歩行戦車に比べると正規軍のタイプは性能は上を行っていたが、数の暴力を前にしてその力も無力だった。

その光景を正規軍もしっかりと見ていた。

「…ゲリラ共、こちらの武器を強奪していたか…」

前線のキャンプではモニターに最前線が映し出されていた。月光がとらえられた映像である。血を流し、崩れ落ちるゲリラが画面いっぱい流れる。だが司令の興味は別の方へ向けられていた。

ゲリラが使用する武器である。拡大された景色に小さく映る機関砲は、今こちらが持つタイプと酷く類似していた。コピーか強奪してきた物だろう。少なくとも奴らが石槍と弓矢で戦う原始人ではないということだ。舐めてかかればこちらが怪我をする。

「だが、何時まで意地を張っていられるか…コマンド部隊は準備できているか?」

司令官はモニターから目を向けたまま、声を上げた。近くの幹部が手慣れた様子でトランシーバーを操作する。ノイズだらけの音声がテント内に響いた。

「問題ありません。コマンド以外の隊も同様です」

幹部は粛々と続けると、司令官は通信機器のマイクを手に取った。

〔‘ニイタカヤマノボレ‘ 繰り返す ‘ニイタカヤマノボレ‘〕

それは、第二次作戦を告げる暗号である。

暗号は更に別の暗号に変換され、基地にスタンバイしていた各部隊へ送られていった。

 

バス並みの巨体にプロペラが前後に二基、異形な大型ヘリに待機するレイチェル達もそれを聞いていた。

「野郎ども!上が作戦開始といったそうだ!」

宇宙服に似た防具、クアンタムスーツを身に着けたレイチェルはメンバーにそう飛ばした。ヘルメットは完全に密閉され、顔が確認できないがその粗暴な身振りだけで、中身が誰だかしっかりわかった。

「サー!イエス・サー!」

全員声を合わせ、軍隊お馴染みの返事をした。

「と言うわけで戦闘前の私からの一言!」

レイチェルは声を張り、隊員達に負けずと続けた。隊員の緊張をほぐすためのスキンシップである。戦闘前はお約束のようにやっている。

「我らコマンド部隊の副隊長!エーレン伍長は!軍学校時代!同期にラブレターを送った!」

「レイチェル!あなたのこと後ろから撃ちますよ!」

 

ヘリ内が修学旅行に似た雰囲気になる一方、既にゲリラへの第二次攻撃が始まっていた。

「モンスターが落ちて来たぞ!」

研究施設の方へ、空に居るはずのガストが落ちてきた。宙に浮くために体重を軽くした生物なので、落下してきても施設に大きな被害は無かった。だが彼らの士気は十分挫く存在だった。

「何故だ…弾は届かないはずだろ」

「ファック!シット!」

「やめろ…やめろ!」

青いそらに白い点が、いくつも見えていた。ガストが撃墜されているのである。

近くに墜ちたガストには、額から触手にかけて斜めに焼き斬られた後があった。

「弾道ミサイルの発射も確認されていません!」

モンスター達の高度まで攻撃するのなら高価なミサイルを撃つしか方法は無かった。だが今現在に至るまでそれと思しき物体は何一つ確認されていない。レーダーにも、肉眼にも。

「第二波きます!」

仲間の声と共に、空から無数の物体が落ちてくるのが見えた。ガストだ。周囲にどよめきが走る。

「おい、双眼鏡よこせ」

ただゲリラの指揮官は一味違った。何かを見つけたようだ。横でわめく部下から双眼鏡を奪い取ると、落下物とはあさっての方向の空を覗いた。

「戦闘機…だと!」

ゴーグルのレンズにはっきりと映っていた。無人機が今なお空から放たれる火炎弾をよけながらも限界高度を飛行している。

怪しい飛行物体にリーダーは感づいていた。それが確信に変わった今、仲間に指示を飛ばそうとした。施設には対空ミサイルも配備してある。戦闘機への攻撃も可能だ。

戦乱に負けじと男は声を張り上げる。

「おい!あのUAVを撃墜―」

だがその指示は強引にかき消された。辺りにいる仲間がいきなり身体をすくめた。誰もが銃を取り捨て、耳をふさいでいる。爆発ともエンジン音とも違う騒音が、施設内に流れてきたのだ。

‘音‘が周囲に響き渡った。

 

無論‘音‘の主は正規軍である。

デザート迷彩の戦闘服隊員が、パラボラアンテナに似た物体を動かしていた。軍用車の上からだ。

「奴さん、ひどく苦しんでいるご様子ですぜ」

兵士の一人がゴーグル片手に施設の様子を見物していた。劇でも見るように顔をニヤ付かせている。

「なあに、‘音響兵器‘だ。指向性の大音量で…殺さないだけゆっくりじんわり苦しめてやるぜ!」

正規軍の新兵器、『アポカリプス』である。爆発でも毒でもなく、巨大な『音』でもって対象を攻撃する兵器だ。音は空気の波となって施設に押し寄せ、ゲリラ達の行動を麻痺させていた。

周囲には同じような音響兵器を乗せた車がいくつもある。そしてどれも施設の方へスピーカーが向けられていた。

この音響部隊は研究施設をぐるりと囲むように配置されている。

正規軍があらかじめ配置したのだ。

「ついでに、レーザー兵器も持ち出しちまってますぜ。連合も本気ですな」

「ごもっともだ、その証拠にブレイズロッドが落ちて来たぜ」

上空では無人機が数機、飛び交っている。その思惑はレーザーによるガストの撃墜。地上からは射程外なので、あえて無人機から撃っていた。星が見えるか見えないか、その地点でUAVはGなどお構いなしの軌道で火炎弾を避け、ガストやブレイズを虫のように簡単に撃ち落とした。可視不可能の速度で飛ぶそれを、モンスターらは防ぐ余地が無かった。

多くのモンスター達は、無残な状態で地上に姿消していく。

 

「クソッ!劣等共が!」

落ちてくるガストを片目に、ゲリラは叫ぶ、だがその声も音響兵器でかき消された。

「こっちにくるなぁぁ!我々の聖域だぁ!」

仲間の一人も叫びながら防壁から鹵獲した重機関銃を撃っている。銃口から火が出ているように見えた。機関銃自体も激しく振動し、軌道がぶれた。だが幸運にも弾は月光のセンサー部をとらえ、その巨体を停止された。しかし同時に射撃の手も止まった。弾切れだ。辺りに換えの弾倉が無いか視界をめぐらす。

「いいぞ!リロードするぞ!」

仲間の一人が親指を立て、弾倉を持ってきてくれた。大音量でコミュニケーションは容易にできないが、長く戦った同士で、考えていることはよくわかった。音の波の中、重い弾倉を抱えてこちらに駆けてくる。

だがその矢先だ。

弾倉を抱えた仲間がいきなり倒れた。

「同志!」

撃たれたのだ、慌てて駆け寄ると胸から血が出てきている。だが意識はあった、顔を歪め、うめき声を上げている。

―助けなければ

全身に力を入れ、重い身体を引きずった。懸命に、飛び交う弾丸を無視して。

「もう少し、もう少しだぞ!」

声は届かない。だが気持ちは伝わるはず。手足といっしょに口も動かしながら、テントの方へ急いだ。あそこなら医療用キットがあったはず。

「何をしている!」

だがその時、リーダーが眉間にしわを寄せこちらに近づいてきた。

「怪我をしています!早く手当をしないと!」

必死に身振り手振りでそれを伝える。だがリーダーは首を縦に振らなかった。

「コイツはもう死ぬ!これ以上犠牲を出さないために!早く攻撃に戻れ!」

顔を下げると仲間は口元から血を流し、顔を真っ青にしていた。額に脂汗が浮き出ている。認めたくないがとても助かりそうにない。

―しかし生きている。

「せめて!せめてモルヒネだけでも打ってやっても!」

モルヒネは痛みを消す力がある。怪我は直らないが、せめて楽に死なせてあげたい。

「アホか!死ぬこやつにそれは必要ない!」

その言葉の後に、リーダーは部下の頬を思いっきり殴った。

「な、なにを…!」

彼はリーダーに掴みかかった。

しかしリーダーは冷静に彼の足を払った。バランスを崩し、大きく地面に尻をつく。

「戦場で甘ったれるな!」

そう言葉を残すと、リーダーはその場を去って行った。彼は何も言葉を返せず、その後ろ姿を見届けた。横に倒れる怪我人は、もう動くことは無かった。血を流し息を引き取った。

「…クソッ!」

死にゆく仲間を見て、彼はとっさに拳銃を取り出した。使い込んでいて、キズが沢山刻まれている。

「アイツだけは…この野郎!」

何を思ったか、彼は銃口をリーダーに向けた。銃を握る手は心なしか小刻みに震えている。

彼は引き金を引くかどうか、躊躇した。奴は仲間を見捨てた男、だがそれと同時に、ゲリラの信条で刃向うことが許されない相手だ。感情と理性。どちらを取るか、手の神経はそれで引くか引かんかと迷っていた。

「うわああああああああああああああ!」

彼は感情を取った。硬いトリガーを、怒りに任せて引き絞った。

しかし弾は外れた。

射撃の腕の問題ではない。爆風がこちらに飛んできた。

彼はその衝撃で、ハッとした。

―敵はこちらに迫っている。

空を見上げると、ゲリラのヘリが炎を吹きだして墜落していくのが確認できた。だがそれだけではない。

ヘリの遥か向こうに敵方の影、ヘリと戦闘機が、編隊を組んで目掛けて飛んできていた。

 

「総員!気を張れ!」

大型ヘリ内で、レイチェルが叫んだ。眼下に研究施設が広がっている。

護衛の戦闘機や、地上の部隊からの支援でなんとか敵の弾の猛威から逃れている。

飛んできたミサイルが、レーザーによって空中で爆破された。機内が大きく揺れる。

「ドアを開け!総員降下準備!」

味方の機体が施設に空爆したと同時、コマンド部隊の作戦がスタートした。

まず最初に、隊員ではなく鉄の箱が落とされた。中には搖動役に小型ロボットが仕込まれている。コマンド部隊より先に降り立ち、暴れることで潜入をサポートする寸法だ。

「オラ!お前らも降りろ!小便ちびるんじゃねえぞ!」

箱に続いて、レイチェルは半分突き落とすように隊員を送り出した。隊員はヘリの外から飛び出るとパラシュートも無しにそのまま落ちて行った。

普通なら地面に降り立った時点で怪我をする、運が悪ければ死ぬだろう。

だがクアンタムスーツの恩恵で、それを心配することは無かった。弾丸のごとく隊員は敵基地へ突っ込んでいった。

「シュワット!」

レイチェルも最後に飛び立った。風が身体の横通り抜けていくと共に、施設の建物が秒を刻むごとに迫ってきた。だがそれを気にせず、彼女は土煙を上げて派手に着地した。

「点呼!」

トランシーバーに向かって、彼女は叫んだ。人数確認だ。着地した地点はバラバラなので、通信で確認する必要がある。

〔こちら‘ケビン‘、問題なし〕

ノイズ混じりに副長が応答した。立て続けに他の隊員の声も帰ってくる。欠員はいないようだ。

「M9にて合流する。各自、敵に注意しろ」

全員から応答がきたことを確認すると、レイチェルもライフルを構えて合流地点へ急いだ。スーツのおかげで走力も強化され、移動速度は車と等しかった。そして最初の空爆と搖動ロボのおかげで施設内は混乱状態。自由に辺りを動き回ることができた。これなら合流に苦労することも無いだろう。

「分隊長、遅いですよ」

1分も経たないうちに合流地点についた。モンスターを作り出すでろう工場の出入口である。敵の姿は無い。だが代わりに先客がいた。副分隊長…と自分以外の全隊員である。

「すまんな、少し離れたところに落ちた」

「何を言っているんですか、言い訳は止して下さい」

どうやら自分が最下位のようだ。全員痺れた様子で立っている。

「まあいい、潜入開始だ」

ごまかすような命令と同時、潜入作戦がスタートした。




以上です。
「おい、マイクラしろ」そんな声が聞こえてくる気が来ます。アーアーキコエナイ

ゲリラVSコマンドMODの要素いっぱいということで許してください。(ちなみに音響兵器とレーザー兵器は現実に存在する物からアイディアを引っ張ってきました)

メタルギア月光…マイクラ小説に出てもイイじゃないですか!(切迫)
MODでメタルギアREXがでるのもありますし!

まあ、今回は中途半端なところで切り上げましたが、そのうち続きを投下します。まずはクリスマス番外編ですよ…(ニヤリ)

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