[Minecraft] 俺はスティーブ、クラフターだ。   作:えだまミィカン

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第三話 あの日から

ダイヤの豊作にあってから数日後…

 

村が壊滅してから数日後…

 

おやっさんに突き落とされてから数日後…

 

俺は即席の地下トラップタワーの前にいた。

モンスターの再襲来に備えて地下の中に作ったそれの処理層兼倉庫で俺は作業台の上でトリニトロトルエン、略称TNTという爆弾を組み上げていた。

「これで500個目…」

岩がむき出しの無骨な一室でそう嘆いた。声が反響していき壁や天井でそれが止まる。

―あの時も爆弾がすべてを変えた…―

目の前のオレンジ色の危険物を睨みつけばがらそう思った…

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「うおっ、いったい何なんだ!」

最初は何が起きたかわからなかった。だが上から見下ろすおやっさんを見て地下室にいる俺は突き落とされたことに初めて気付いた。

「お、おい!おやっさん!何やっているんだ!早く来い!」

地下室の梯子の続く先から見下ろしたまま動かないおやっさんに呼びかけた。

「ゾンビはワシのような村人を襲う性質がある!このまま生きていても足を引っ張るだけだ!」

おやっさんの答えはNOだった。煤だらけの顔は表情を変えない。

「そんな展開なんざ求めていない!何があろうと生きるんだ!意地でも引っ張り下ろすからな!」

その場から動こうとしないおやっさんを地下室に連れ込もうと、突き落とされた縦穴についた使い古しの梯子に足をかけた。

だが向こうの動きが早かった。

「さようならじゃ…生きるのは君だけだ…」

そういうとおやっさんは地下室をつなぐ穴を黒曜石ですっぽりと塞いだ。

「な、何やっているんだ!死ぬぞ!なんでおやっさんが死ぬ必要があるんだ!」

外の方からはゴーレム達が崩れるように壊れた音がわずかに聞こえた。ゾンビ達がゴーレムを完全に突破したのだ。

俺はこうしてはいられないと出口をこじ開けようとダイヤのツルハシを取り出した。

「こやつ等を道連れにできるならワシは悔いは無い…」

黒い岩の向こうからは鍛冶屋にたどり着いたゾンビ達がドアを破ろうとする音が聞こえた。

そしてそれに混じっておやっさんの言葉と共に導火線が燃える音が聞こえた。

「おやっさん!やめろ!逃げろ!死ぬな!」

 

俺は破れかぶれに叫んだ

 

地下室と鍛冶屋を結ぶ狭い縦穴で

 

その声が届いたかどうかはわからない

 

わかったといえば上で凄まじい爆発が起きたくらいだ。

 

黒曜石をどかした後に見た光景は、瓦礫や腐った肉片が大量に飛び散っているだけのものだった。

数分前まで守っていた建物と人は姿を残していなかった…

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「畜生が…」

きっと採掘用にためておいたTNTを自爆に使ったんだろう。

避難する前に気付かなかったことに苛立ちがつのる。あのときよく周りを見ればおやっさんの行動に気付けたはずだろうに…

「畜生がああああああああああ!」

『あのときそうしていれば』なんて考えが爆発した。さっきまで睨みつけていた爆弾をチェストの山に投げつける。

 

どうしようもない

 

どうしてこうなった

 

どうしてできなかった

 

そんな思考が頭を駆け巡る。

数日前のことが悔やむにも悔やみきれなかった。

彼は孤独だった。

しかし彼を慰める人はどこにもなくTNTが当たった衝撃でチェストが崩れて中の雑多な物を散らかすだけだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その後は特に問題は起きなかった。というより起こす気力もなかった。

そうしてできあがった述べ何万何千のTNTを持ち運ぶ。

昔から持ち歩いているカバン、エンダーチェストと似た構造を持っていて見た目よりたくさん物が入るカバンにそれらを入れて。

持ち運ぶ先は通称『TNT式岩盤破壊装置』のある場所に。

その『TNT式岩盤破壊装置』というものは大量のTNTの起爆によって岩盤を破壊する、レットストーン回路の一種である。

そもそもこれを作ったきっかけというのは鍛冶屋の地下室で何日か過ごしたあの時にある。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「……………………………………………………」

俺はあの時薄暗い地下室で何も考えることもなく固いパンを食べていた。

パンは味がしなかった。あまりのショックで味があっても感じなかったんだろうか。

俺はこの村に来る前は冒険家として各地を放浪していた。放浪中はよくダイヤとか貴重な物はよくなくした。カバンの中身が全部川に流されたこともあった。

何かを無くすことには慣れていた。

それなのにたかが村一つ、村人何10人なくした程度でこうも心が荒むとは思ってもいなかった。

「こんな思いするくらいなら死んだ方が楽だ。」という考えが頭を何度もよぎった。

ダイヤの剣を喉元に突き立てようとしたが、おやっさんの最期を思い出して何度も踏みとどまった。

それでもいつかは耐えられなくなる時がくる。村の防壁のように。

そうしてダイヤの剣を何度かしたように喉に滑らそうとしたとき

 

頭に浮かんだんだ。

 

「岩盤の下に行け」と。

 

ダイヤの剣は喉に軽く切り傷をつけたところで止まった。

 

その時から岩盤を破るために生きた。

 

昔と同じように頭にふと浮かんだことだけで行動した。

 

一種のゾンビのようだったが気に留めることもなく色んなことをした。

 

最初にしたことはダイヤのツルハシで鉱石と同じように削りとることだ。

エンチャントにエンチャントを重ねた最高級のツルハシで試したが結局自分の腕が壊れかけただけだった。

 

腕を痛めた次にしたことはTNTで無理やり穴をあけること。しかし実験場所である採掘場に大きな音が轟いただけだった。

 

そのあと考えたことは氷でキンキンに冷やしてからマグマを垂らすこと。しかし自分の腕に火傷を残しただけだった。

 

ついでに酸やら酢をかけても脆くはならなかった。

 

そしてどうしようもなく俺は実験場を後にした。

 

「黒い霧を発生させるその岩石をなんとか壊すことはできないか。」

 

そうを考えながら焼けた村を歩いていると本が一冊転げ落ちているのに気付いた。

 

おそらく焼け残ったやつだろう。

 

好奇心に誘われてそれを手に取る。煤がついているだけで読めないことはなさそうだ。

 

日中のさなか焼け跡のついた瓦礫に座る。

そして少し汚れた皮のカバーの本を開いた。

 

ページ捲ってみると複雑なレッドストーン回路の設計図などがたくさん目に入った。

おそらく機械の本なんだろう。

TNTキャノン、自動作物回収機、よくわからないものなど様々な回路が載っていた。

半分ちんぷんかんぷんになりながらも読み進めているとふと目に留まったものがあった。

 

それは爆縮式TNTキャノンの発射機構を塔のように縦に引き伸ばした建築物とも言える巨大なものだった。

 

名称 TNT式 岩盤破壊装置

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

そして大量のTNTを運ぶ先が、作り上げた『TNT式岩盤破壊装置』がある元実験場である。

 

男は元実験場に繋がる荒削りにつくられた暗い地下通路を1人歩いていくのであった。




ご意見ご感想お待ちしております

最近自分のプレイしているマイクラでも住んでいる村が小説のように壊滅状態になった。
               \(^o^)/

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