[Minecraft] 俺はスティーブ、クラフターだ。   作:えだまミィカン

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UAが1000越えましたね。桁が変わるとこうも雰囲気がかわるのか…
お気に入りも1000めざしたいですね。 コラそこ無理とか言わない。


第八話 町に到着

「おお、間近に見るとデカい壁だな。」

町が近くなると目の前の荷物の山も小さく見える程巨大な黒曜石の壁がはっきりと見えてきた。壁の上には大砲やら見張り兵らしきものがポツリポツリと目に留まる。

「何せ町の最終防衛ラインだからね。高さは30m幅は10m、これくらい無いと盾にならないよ。」

「『最終防衛ライン』って……まさかこれ以外にもデカい壁があるのか?」

「もちろん。町を中心に数十㎞先にもあれと同じ構造の『第二防衛ライン』が、そしてその先には仮設だけど『第三防衛ライン』、上空にはバリアが張ってあるんだ。」

「バリア…ハリアー…なんだそれ?」

「『魔法で形成された見えない壁』って言えば分かるかな?。」

「思い出した…旅の時それっぽいの見たことがある。」

「そっちの世界も色々あるんだねぇ。」

たしかバリアと言ったらガラスの様に透明で岩盤の様に壊れない物体だ。「見えない壁」というワードで思い出した。まさか魔法で作られていたとは知らなかったが。

「バリアとか防壁が町を囲むように何層も展開されているんだ。」

「空から見ると年輪みたいになっているのか?」

「そういうこと。」

「……随分と手間がかかっているな。」

話から察するに

資材、時間、人員

それらが膨大な数必要なはず。

建築を知る者だと余計に強く感じられることだ。

俺はそう思いめぐらせていた。

そんな中一つの疑問が浮かぶ。

「それにしても無駄にデカい壁だな…お前ら何かと戦っているのか?」

「そりゃ化けものだよ。」

なぜここまで堅固な防壁をつくったのかについてだ。

「お前が言うか…俺のところだとここまで厳重にはしないぞ。相手はゾンビくらいだからな。」

「ゾンビとは友好関係だよ。戦うとしたら…レッドドラゴンだね。」

「………レッドドラゴンってなんだよ。んなもん知らないぞ。」

名前を聞いてエンダードラゴンだ真っ先に思い浮かんだが奴がいるのはジ・エンドだけだ。マタルのような化け物種族すらあのデカい壁の中に籠らせるような生物だとしたら相当な力の持ち主だと検討がつく。

「そういえば君はアレのこと知らなかったね。アレはかなり昔…壁ができる前からここにいてねぇ…たしか姿は神話に出てくる竜そっくり。硬い赤鱗に鋭い爪、おまけに飛行能力をもつ厄介な生物だよ。」

「それくらいなら物量で押し切れそうだが?」

「それが向こうの驚異的な繁殖力でこっちが物量に押し切られているんだよ…」

「お前らの世界でも色々あるんだな…」

どうやらこの世界では『レッドドラゴン』という生物がうじゃうじゃいるらしくマタルらモンスターは壁を築いて難を逃れているらしい。なんとも面倒な世界に落ちたもんだ…

「って向こうの世界と対して変わらないな。」

「??まさかそっちの世界でも赤竜が…」

「いやそうじゃなくて…」

前の世界でも人間がゾンビから逃れるよう防壁を築く。獲物にならないよう巣に籠るような関係が似ているという話をした。マタルもそれに納得したようだ。

「なにがともあれ気にすることは無いな。」

「ハハハ、気楽なものだね。」

「お前に言われたくないな。」

「ほら、そんな話しているうちに町の門は目と鼻の先だよ。はぐれないようにね。」

「話を逸らすな。」

町の門には沢山の人…というより人外がごった返していた。

帽子を被ったゾンビ、尖り耳の人間、地面を揺るがす鉄人形

それらが俺達同様に荷車を引いていれば武器と思わしき物を腰に差している者もいる。道中それらとすれ違ったりしたがこれだけいると少し落ち着きを失う。

警戒心をピリピリ尖らせながらトンネルに近い門を通り抜けていく。天井は高めなので荷物がつっかえることは無さそうだ。

「出たところを右に曲がるからね。」

「おう、わかった。」

短いトンネルを抜けた先には予想に反してごく普通の町があった。村でも見たような樫の木の家に石畳が敷かれた丈夫な道、人間ではなくモンスターだがごく普通に日常を過ごしている。

道幅は荷車が通るのを見越してか広くなっている。森と違い楽々と走らせることができた。

それどころか「あら、マタルさんこんにちは。」と声をかけてくる奴もいる。どうやらマタルはここでは顔見知りらしい。まあ俺はそうではないから珍しい物を見るかのような視線を向けられたが。

「こらこらスティーブ君、顔が強張っているよ。スマイルスマイル。」

「……こいつら襲って来たりしないよな。」

「いい加減この環境になじまないかね。」

「無理だ。」

「あはは…、まあそのうち慣れるだろうね。」

「そこらへんに武器屋とかないのか?」

「私達がいくのはガラス瓶の業者さんのところだよ。武器屋じゃない。それに君に武器なんか持たせたらろくなことになりそうにないし。」

「…チッ、己の肉体に頼るのみか。」

「だから、心の壁を下げるんだと何回言えば…」

「下げたら下げたで面倒だ。上げていた方がマシだ。」

「やれやれ…」

先を進むと辺りには工房と思しき建物がちらほら見えてきた。

建物の奥ではゴーレムや防火エプロンをつけたゾンビがせっせと何かしているのが確認できる。

ゾンビとゴーレムの共同作業は村の襲撃の時を思うと変な印象を受けるな。

なんていうか何でもアリのおとぎ話の世界に入り込んでしまったような感じ。

まあ「ここでは今までの常識が通じないだろうから」と考えて思考停止することにしよう。

「あ、どうもこんにちはー、今回もお願いしますー。」

前からマタルの陽気な声が聞こえてきた。誰かにあいさつしているのだろう。

(思考を休ませす時間すら与えてくれないのか…やれやれ。)

ボケッとしている間に「ガラス瓶の業者さん」のところについたようで辺りを見回すと町の景色は一遍して工房の無骨な風景が広がっている。

たぶんここにもおっそろしいゲテモノがいるに違いない。

やたらに筋肉質なゾンビとかやたらに背の高いエンダーマンとか。

「おお、マタルさんか。今回は結構な量持ってきましたな。」

「これを持ってくるのは大変だんたんだよねぇ。ああ、腕が痛い。」

「あなたの身体にそれは無いでしょう。ハッハッハ!」

「そうだね。まったくだよ!」

また前の方からマタルではない別の低い声が聞こえてきた。なんていうか大鍋の底を叩いたようなゴツイ声。俺の記憶だとこういう奴って怪力自慢が多いんだよな…

とりあえず荷車の横から声の主の姿をこっそり確認してみる。

もしモンスターだったら俺の胃袋が崩壊していたに違いない。

だが予想に反して向こうにいたのは村でも見かける大柄なゴーレムだった。

「あ、そうだそうだ。荷物はまだあるんだった。スティーブ君きてくれ。」

マタルの呼ぶ声が聞こえてきた。もうこれでこの場から逃れることはできなくなったがこの先にいるのはゴーレムだ。中立な存在だ。特に嫌悪することも無い。

そんなわけで何食わぬ顔をして前に出る。

「おや?マタルさんに家族はいましたっけ?」

「家族じゃない。コイツに捕まっているだけだ。」

「マタルさん…あんた…」

「誤解だよ!誤解!」

「ハッハッハッ!わかってますよ。」

「そうは言ってもコイツは貪欲な奴でな…荷物はまだこれだけあるんだ。」

俺はそう言うと馴染みのカバンの口を開けたままひっくり返し中の砂袋を辺りに散乱させた。

目の前のゴーレムに至っては動きを固まらせている。

「不思議なカバンですなぁ……マタルさん、この量だと追加料金いただきますよ。」

「…大量に持ってきたのが仇になってしまったようだね…後で持ってくるよ。」

「今出してください。」

「わかりました…。」

マタルは渋々注文書と共にコインを何枚かゴーレムに手渡した。この様子だと余計な出費が出たようだ。

「それじゃあ、後日、店の方に注文したガラス瓶送りますんで。」

「うん、いつもの奴でお願いね。」

そういうとマタルは荷車を引っ張っていった。車輪がギシギシと音を立てていく。俺も方向転換しやすいように後ろから押していく。

「次はどこに行くんだ?」

「造った薬を売る店だね。森の家は基本的には色々実験するところでね。」

「別荘みたいな物持っているんだな…。」

「そんな贅沢なのではないよ。」

マタルが謙虚に返事を返す一方、後ろではゴーレム達が手慣れた手つきで砂袋を運んでいるところだった。

まあゴーレムなら運ぶのに時間はかからないだろう。

(俺はとりあえず…武器でも買って傭兵産業に手を出すか。)

―あ、リンゴを買うこと忘れていた。

そうして今後の目標を決め、俺は荷車を押すのであった。




少しの間はスティーブにはマタルの奴隷になってもらいましょう。
解放されたら…一狩り行かせましょうか…。

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