[Minecraft] 俺はスティーブ、クラフターだ。   作:えだまミィカン

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第九話 レッドストーン自動車

「うーむ…悩むもんだな。」

「君しかわかる人がいないから早く決めておくれ。」

「わかった、わかった。」

俺達は現在ジャンク屋に赴いている。

なんでそんなところにいるかって?そりゃ荷車の修理のためだよ。

業者に届ける荷の許容量が超えていたのが一つの原因だな。車輪の根本あたりにガタがでてきていた。

このままじゃいずれ壊れるからそうなる前に修理を改良もかねてしようと思い今に至るわけだ。

「このピストンを二つ買うぞ。」

「なんでそんなものを?どう考えても荷車には使わない部品に見えるけど…」

「これをサスペンションとして車輪の付け根辺りに仕込むんだ。」

「??崖で自白する類の物語…」

「違げえよ、衝撃を和らげる装置だ。」

「クッションみたいな?」

「ある意味そうだな…」

向こうの世界には『車』なるものがあったがこっちにはまだそれが無いようだ。まあ蒸気機関を使用した奴だったから色々と面倒であったがあれはあれで便利だった。ここにはそこまで文明が発達していないのだとしたらこの先原始的な生活が待っているだろうな。

そう考えると気が滅入ってくる。

(…いやまてよ、無いのなら作ればいいな…)

周りが聞くと変な顔をされるようなことを俺は思いついた。

「店員、これとそれとあれをくれ。」

「レッドストーン、トロッコ、ピストンですね。」

とりあえず頭に浮かんだものをエプロンをつけたゾンビに言いつけた。向こうは特になにも問いただすことなく淡々と注文に答える。

「それぞれ6点ずつな後は―」

「ちょっと待ってくれスティーブ君、修理にしては材料におかしな点があるようだが…」

「なあに、少し手を加えるだけだ。」

そう俺は伝えると更に雑多な物をいくらか買い付けた。もちろん金はマタルが出す。注文する品が増えるごとに奴の顔が歪んでいったのは言うまでもない。

「ありがとうございましたー。」

品物を受け取り俺達は店を後にした。無論、荷物はいつものバッグに入れたのでかさばることは無い。

「くうぅ…、財布がーお金がー」

「意外とレッドストーン関連の商品は安いな。考えている程の出費にはならなかったな。」

「何をいっているんだよ!それ以外の品で出費がでているよ!」

「元々お前があの量の荷物を詰め込まなければこうならなかった。」

「うう…返す言葉が無いよ」

俺が念を押すように言うと奴は嫌味は言ってこなかった。

言われても面倒なのでこちらとしては問題ないことだ。

そんなわけで俺は帰り道は奴と反対にのんびり気ままに過ごした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

店に戻ると俺はさっそく裏で作業に取り掛かった。その作業というのはもちろん車の作成だ。荷車を元に戻そうなんて思う気持ちはどこにもない。

作業に当たってマタルは邪魔だったので店内に適当に追い返した。

知識がろくにない奴はただの置物だしな。

向こうも「売りに出す薬がなんたらかんたら」でやることがあったらしく引き下がって行った。

「おーし、まずは荷車を解体してっと。」

俺はマタルから借りたノコギリやバール等の工具で荷車から車輪、荷台などを引きはがす。工具はろくに手入れされていなくて錆びついていたりとひどい有様で使いにくい品だった。

だが職人は道具を選ばない。質の悪さに愚痴を叩いても仕方がないので俺はそのまま手元のノコギリをなんとか使いこなしていった。

「あー、この作業は久しぶりだなー」

そうしてしばらく使わなかった日曜大工の技術で時間はかかりながらも荷車を車輪も荷台も無い骨の状態にした。俗にいうフレームってやつにしたか。

辺りに部品が散らばって店の裏はひどい有様になっているが俺は気にしない。

「解体したらジャンクの登場だ。」

カバンから買ってきた鉄やピストンなどを取り出し木製のフレームに組み込んでいく。大体は大荷物に耐えられるようにするための部品だ。

また壊れたりしたら面倒だしな。補強だよ、補強

近所に作業の音を響くたびに木製フレームは金属パーツで補強され鎧を身に着けたような状態へなっていく。これでそう簡単には壊れたりしないだろう。

しばらくしないうちにフレームの補強が終わると今度は車輪を四つフレームに着ける。前部と後部に一対ずつだ。ハンマーやスパナを駆使してなんとか取り付けた。車輪を取り付ける作業は1人だと難しかったので途中マタルの手も借りた。最初に邪魔だといって悪かったな。

人数が増えると多少は作業がはかどりあっという間にフレームには車輪が取り付けられ姿も車に近くなってきた。

マタルには「なんだよこれ」といわれたが夢やら希望やら言ってはぐらかした。やっぱり邪魔だなこいつ。

「しっかし、知らない間に時間が経っているもんだな…」

この作業が終わると日も沈むころになってきたがここからが本番だ。地面にドサリと座り、町に少しずつともる明かりを頼りにエンジンをつくる。材料は主にピストンなどレッドストーン関連の部品だ。こればかしは作ったことは無いが前の世界で読んだ本で設計図を見たことがある。曖昧であるものの記憶を頼りにレッドストーンの回路を組み上げこことにした。

「……間違えたな」

途中手順を間違えたりしてまた最初から振出に戻った。だがめげずにまた作業を進める。

「………」

神経をとがらせながら手元の回路をいじっているうちに時間帯は完全に日は沈み夜になっていた。手元がさっきとくらべると暗い。

「……あーーーちょっと休もう」

作業が進むにつれ身体が少し痛くなったので少し休憩と手を止めた。腕を上にうんと上げると関節からバキバキ音が出た。そのとき俺の横にパンときのこシチューが盆に乗せられ置いてあっるのが目に入った。俺が作業している間にマタルが置いて行ったのだろう。シチューからは既に湯気が消えている。

「作業中とはいえ奴の接近に気付けなかったか…俺もまだまだだな」

エンジン作成に夢中になり警戒心を消していた自分に嫌気が差しながらもパンを噛みちぎり手早くシチューで喉へ流し込んだ。シチューは冷めていてあまりおいしいとは言えないが程よい塩の味ときのこの香りが合って残すことはなかった。パンは保存用ではなさそうでふわふわしたスポンジ生地みたいなやつだった。これはこれで新感覚だな。そう考えながら食べる手を進める。すると辺りからはガヤガヤと昼間のように色々な声が聞こえてきた。空を見上げると月も高いところにあり真夜中であることが察しられる。

どうしてこの時間帯にも喧騒があるのか疑問に思った。がそれもすぐに察しがついた。ゾンビとかスケルトンに当たる化けものが出歩いているんだろう。あいつら夜に行動しているからな。

そう結論づけると興味本位で見物するのは止してエンジン作成の作業に戻ることにした。化けものを近くでみるのは今でも心臓に悪いからな。……………………

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「完成したぞー!」

「もう朝だよ。」

寝ることも無く一夜つづけて手を加えられた荷車はかねて自動車へと改造されていた。鶏の鳴き声が鳴り響く中、朝日が馬のついていない箱馬車のようなものを映し出す。荷車の面影はほとんど無く、車輪は四つついており荷車の荷台にあたるところには前方にレバーが並んだ座席とエンジンがは入った箱が見受けられる。木を主に使った必要最低限のつくりになっておりデザインに飾り気は無い。

「どうだ!レッドストーン動力式の自動車だ!すごいだろ!」

「少し休んだらどうだい?どうみてもそれ馬が引くものだよ。さっきから君のテンションがおかしくなっているし。」

「馬が引く物ではないからな!この車自体が自立して動くからな!」

「だから少し落ち着きたまえ…」

冷静な態度のマタルに対してスティーブは夜を通して作業したためか思考がおかしくなっている。

心配するマタルを他所にスティーブは自分のペースを押し進める。

「信じられないならこいつに乗ってみるんだな!馬にも引けを取らないぞ!」

「わかった、わかったから静かにしようか。」

対照的なテンションの二人が朝の市街の中で謎の車に乗り込む。座席には子供のように意気揚揚としているおっさんと物静かな態度の豚男が座っている。近所の人が騒ぎを聞きつけ集まってきていた。

「それでは発進だ!」

「…爆発しないよね?」

マタルの心配を押しのけスティーブが足元に備え付けられたスイッチを押した。

カチっと無機質な音が鳴った瞬間、車の後部からはピストンが作動する音がけたたましく鳴り響いた。エンジンは震えだし、振動が座席まで伝わってくる。

そして辺りの野次馬のざわめきと共に車が少しずつ前進した。

「「「「おおー!」」」」

野次馬は一斉に声を上げた。

「テスト成功だ!文明の開化だぞ!」

「…これって前は荷車だったんだよね…」

座席ではマタルが冷静さを失いあっけを取られた表情をしている。

「野次馬ー!避けろー!避けなかったら撥ねるぞ!」

マタルに気にせずスティーブは運転席からそう叫ぶと手元のレバーを操作して店の裏から昨日荷車を走らせた車道へと車を進ませた。車道につながる出口にいたゾンビやスケルトンの野次馬が一斉に道を開ける。

「出発だあああ!」

車は暴れる牛のように颯爽と間を通り抜けて行った。

車が飛び出した車道付近は時間帯の関係もあって人は少ない。車が暴走して大勢の人が撥ねられる大事故にはなることは無い様子だった。

それを見た運転手のスティーブはいくつかあるレバーを操作して車のスピードを上げた。

「…スティーブ君!なんだねこれは!?ユニコーンの馬車並みのスピードがでているよ!」

「文明の産物!自動車だ!試作品だからまだまだ手を加えるぞ!」

「これは便利だね!他にもパーツを買ってこようか!」

「なんだぁ!昨日は渋っていたじゃねえか!」

「昨日は昨日!今は今だよ!」

「「ハッハッハ!」」

気分を高揚とさせた二人を乗せて不思議な乗り物が朝の市街地を駆け抜ける。

車が通った後の家の窓からは誰もが頭を出し、目を丸くしてその姿を見据えていたのであった…






エンジンの仕組みは割愛させてください…

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