仮面ライダーレーキン   作:ボルメテウスさん

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今作品はハーメルン・ノベルティック・ライダーズで参戦するオリジナル作品として、書かせて貰いました。
これからも、よろしくお願いします。


魔女と陰キャの錬金

 その日、俺はただフィギュアを買いに来ただけだった。

 

 自宅からそう遠くないアニメ専門ショップにて、限定発売されていた仮面ライダーを買う為に訪れた。

 

「いやぁ、ようやく買う事ができたよ。

 

 こういうのって、手に入れるのに、なかなか苦労するんだよなぁ」

 

 そう言いながら、俺は手に持ったフュギュアを持ちながら、うきうきとしながら帰り道を歩いていた。

 

「あ~あ、早く帰って飾らないと……」

 

 そう言った瞬間だった。

 

 何やら、騒がしい事に気づいた。

 

 見てみると、コスプレイヤーなのか、如何にも魔女を思わせる格好をした少女が、道端で男達に絡まれていた。

 

 どうも、ナンパのようだ。

 

 正直、俺には関係の無い話だと思ったのだが、少しだけ気になってしまった。

 

 というのも、その魔女っ子の少女が可愛いからという訳ではない。

 

 というよりも、そんな事で気にする程、俺には余裕がない。

 

 ならば、なぜ、俺が気になっているのかと言うと。

 

「……」

 

「……なんか、むっちゃ、こっちを見ている」

 

 なぜか、その魔女っ子のコスプレイヤーは、俺を見ている。

 

 そして、なぜか、俺にむっちゃ手を振っている。

 

「あぁ、待っていたよ、えっと、彼氏!」

 

「んっ?」

 

 俺は、周りを見る。

 

 あんなコスプレイヤーの彼氏はいるのか? 

 

 そうして、俺は周りを見ていると共に、なぜか俺の手を握り締めている。

 

「んっ?」

 

「もぅ、買い物をしていたなんて、酷いじゃない」

 

「……誰?」

 

 本気で分からなかった。

 

 そもそも、この人誰だよ。

 

 てか、なんで俺の手を握ってるんだ?

 

 まさか、さっきまで見ていたアニメの影響とか? 

 

 でも、俺はこんな人知らない。

 

 そうしていると

 

「よぉよぉ、彼氏がいるなんか聞いていないよぉ」

 

「そんな奴よりも、俺達と遊ぼうぜぇ」

 

 そうして、ナンパしていたと思われる男達が俺を囲んでいた。

 

 おいおい、マジかよ。

 

 俺は心の中で思った。

 

 どう見ても、これは面倒くさい展開だと。

 

 すると、魔女っ子は俺の前に立ち

 

「私、これから彼とデートだから邪魔しないでくれるかな」

 

 と言い出した。

 

 そして、さらに驚くことに

 

「じゃあね」

 

 と言って、俺の腕を掴み、そのまま走り始めたのだ。

 

 そのスピードは、俺の想像よりも速く、俺は引きずられるように走っていく。

 

 それにしても速い。

 

 まるで新幹線のように速い。

 

 このままではマズイと思い、俺は声を出す。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ! まだ話が終わってないぞ!!」

 

 だがしかし、彼女は止まらず、そのまま何処かに行こうとする。

 

「ふぅ、ここまで来たら、なんとかなったか。

 

 いやぁ、悪かったね」

 

「うぷっ」

 

 そうして、彼女は話しかけたが、それよりも俺はまるで乗り物酔いしたかのように気分が悪くなっていた。

 

 それも当然だ。先ほどまでの全力疾走に巻き込まれて、今にも吐きそうな状態なのだから。

 

「あぁ、いやぁ、悪かったね。

 

 とりあえず、そこで座って、休んでおこう」

 

 しかし、それを察してくれたのか魔女っ子は近くのベンチに座らせてくれた。

 

 そうして、落ち着いたところで改めて魔女っ子の方を見た。

 

 コスプレというには、かなりレベルが高い。

 

 映画の衣装だと言える。

 

 腰まで伸びる金髪に、多少の癖っ毛が見える。

 

 身長もそれなりに高くモデル体型とも言えるだろう。顔に関しては美少女と呼べるものだ。

 

「んっ、どうしたんだいレン君?」

 

「いや、別になんでも。

 

 んっ、なんで、俺の名前を知っているんだ!?」

 

 俺が疑問を口にすると、魔女っ子は笑顔を浮かべながら答えた。

 

「ならば、話そう。

 

 私の名は、ルカ。

 

 君と契約する為に、異世界ルフランから来た天才魔女よ!」

 

 そう、パチリとウインクをしながら自己紹介をした。

 

 その仕草はとても可愛らしく、そして綺麗だった。

 

 だからこそ

 

「やばい中二病に絡まれたか」

 

 俺は、ついついそんな事を呟いていた。

 

「中二病?」

 

「いや、何も。

 

 それで、そのルフランからの天才魔女が、俺に何の用なんだ?」

 

 とりあえず、このまますぐには逃げられないだろ。

 

 先程の身体能力から考えても、適当に話を聞いておこう。

 

「まず、この世界とは別の世界にあるルフラン。

 

 そこには、こことは違う文明、魔法が発達した世界となっているの」

 

「へぇ、それで、そのルフランはなんでこの世界に?」

 

「それはね、契約する為だよ」

 

「契約?」

 

「えぇ、魔女と契約した人間は、契約獣と呼ばれる存在になるの」

 

「契約獣?」

 

「契約獣というのは、魔女の力を受け取った人間が変わった姿の事。

 

 契約獣の力は普通の人間では倒す事はできず、私達の国でもかなり強い存在よ」

 

「そんな強い存在を、なんでこっちでわざわざ?」

 

 すると、少しだけ悲しそうな表情を浮かべた後に口を開いた。

 

 だが、次の瞬間には笑顔に戻り、また喋り出した。

 

「あちらの魔法の国は、結構硬い考えをする人間が多いんだよね。

 

 それだと、契約獣となっても、強くなる可能性は低いの」

 

「契約獣って、強いと、何か得があるのか?」

 

「契約獣の強さは魔女の格を反映させるわ。

 

 だからこそ、多くの魔女は強い契約獣を求めている訳なの」

 

「それじゃ、お前もなのか?」

 

 そう聞くと

 

「まぁ、そういう所かな。

 

 けど、まぁ、君に結構興味があるのは、本当かな」

 

 そう言いながら、ルカは呟く。

 

「そうか、だけど、俺には興味はないので。

 

 そういう事で!!」

 

 俺はそれだけ、話を聞くと共に、そのまま立ち去ろうとした。

 

 そう思った時だった。

 

 まるで地震を思わすような揺れが起き始めたのだ。

 

 そして目の前には、化け物を思わせる蜘蛛だった。

 

「……こいつは」

 

「あぁ、蜘蛛の契約獣だね。

 

 たぶん、私の命を狙って来たのかなぁ」

 

 そう、呑気に俺達は会話をする。

 

 同時に蜘蛛の契約獣は、こちらを睨むと共に、凄い勢いで、迫ってきた。

 

 それと同時に俺達は走り出した。

 

 後ろを振り向くと同時に、糸を吐いて攻撃してくる。

 

 それをどうにか避けて逃げ続けるが、蜘蛛の契約獣の攻撃の手は止まらない。

 

「このままではジリ貧だ」

 

 そう思いながらも逃げる事しか出来ない。

 

「どうしよう。

 

 さすがにこの状況では契約はできないよ」

 

「契約すれば、どうにかなるのか?」

 

「なるには、なるよ。

 

 けど」

 

 そう、少し迷った表情を見せるルカ。

 

「何かあるのか?」

 

「こんな状況で、契約しても、君は後悔するだけだから」

 

 その言葉に思わず笑みを浮かべる。

 

「だけど、この状況をどうにかなるんだろ! 

 

 それに、このままじゃ、たぶん、他の人は巻き込まれる可能性の方が高いだろ!!」

 

 そう言うと、ルカは一瞬驚いた顔を見せた後、笑顔を見せてきた。

 

「そうだね。

 

 だからこそ、君には頼めるからね」

 

 その言葉と共にルカが投げたのは、何か釜だった。

 

 首を傾げる。

 

「これって、何?」

 

「私こと、錬金の魔女であるルカの象徴。

 

 それを君のイメージを組み合わせる事で、契約する事ができる」

 

「だからって、鍋って」

 

 そう、疑問に思いながら、俺が簡単に思い浮かんだのは、仮面ライダーだった。

 

 同時に鍋は、まるで変身ベルトを思わせる形へと変わった。

 

『レンキンドライバー』

 

「あっ、変わった」

 

「えっ、何それ!?」

 

「なんか、イメージで」

 

 俺はそのままレンキンドライバーを腰に巻く。

 

 同時にレンキンドライバーにある蓋を開く。

 

『マーゼマゼマーゼ』

 

 ルカから渡されたレンキンドライバーから、音が鳴り響く。

 

 呑気に聞こえる音に疑問に思っていると、ルカは興味深そうに見る。

 

「へぇ、これが私と君の契約した証か。

 

 結構、面白いねぇ」

 

「良いから、ここからどうするんだ」

 

「あぁ、ごめんごめん。

 

 とりあえず、えっと、これとこれ!」

 

 そう、ルカは近くにある石と俺が買っていたフィギュアを手に取る。

 

 同時に二つの物は小さくなり、見た目はビー玉を思わせる何かに変化する。

 

「あぁ、俺のフィギュア!!」

 

「もぅ、後で戻せるから。

 

 それよりも、ほら、この中に入れる」

 

『ツチ! フィギュア! マゼラレール!』

 

 それと共にベルトの内部から大きく輝き出す。

 

「これって!」

 

「それじゃ、蓋を閉めて、変身!!」

 

「えっ変身!?」

 

 ルカはそのまま明るい声を出すと共に、俺もまた勢い良く言ってしまう。

 

 それと共に、レンキンドライバーには蓋のような物に閉じられる。

 

『レーキン! 土で出来た頼れる奴! ゴーレム! コネクト!』

 

 その音声と共に、レンキンドライバーからまるで飛び出るように出てきた光はそのまま俺の身体に包み込まれる。

 

 包み込まれると共に、身体はまるで魔女の釜を思わせる鎧に。

 

 頭には、蓋が兜をイメージさせ、僅かにひび割れており、そこから目を覗かせる。

 

 そうして、変身している時に見えた鏡で、俺の全身を見る。

 

「えっ、これって、仮面ライダー?」

 

 特徴はあまり違うが、それでも仮面ライダーを思わせる姿へと変身していた。

 

 その事に俺は疑問に思っていると、ルカは頷く。

 

「仮面ライダー。

 

 良いねぇ、君は今日から、仮面ライダーレーキンだ!」

 

「なんだか、タイムジャッカーみたいな言い方、止めてくれる」

 

「ほら、それよりも、後ろ後ろ」

 

「えっ?」

 

 ルカの言葉を聞き、思わず振り向く。

 

 そこには既に蜘蛛の契約獣が、その口から糸を俺に向けて飛ばしてくる。

 

「うわっ!」

 

 慌てて避けようとするが、しかし間に合わない。

 

 そのまま俺に向かって飛んでくる糸。

 

 その糸は俺の腕を拘束し、動きを止める。

 

 そしてそのまま引き寄せられていく。

 

「なんだよこれ、離せ!」

 

 必死に抵抗するが、一向に離れる気配はない。

 

 その間にも、ゆっくりとだが確実に近づいていく。

 

 それと共に、俺に向かって、蜘蛛の脚が俺を突き刺そうとする。

 

「っ!! あれ?」

 

 そう、突き刺そうとした俺は首を傾げる。

 

 あまり痛みを感じない。

 

 その装甲は、思っていたよりも遥かに硬く、簡単には貫けないようだ。

 

 俺はそのまま勢い良く蹴り上げる。

 

 すると、蜘蛛の契約獣はあっさりと蹴り飛ばす。

 

 そのまま蜘蛛の契約獣の巨体は吹き飛ぶ。

 

 地面を転がりながらも体勢を整えて立ち上がる。

 

 どうやらダメージはほとんどないらしい。

 

 それと共に蜘蛛の契約獣は近くの建物に向けて、蜘蛛の糸を放つ。

 

 そのまま宙を舞いながら、そのまま俺に襲いかかってくる。

 

 俺はそれを腕で防ぐが、やはり衝撃は少ない。

 

 それどころか押し返せる程だ。

 

 蜘蛛の契約獣はそのまま再び地面に落ちる。

 

 だが、同時に蜘蛛の契約獣の口から無数の卵を産み落とす。

 

 それと共にまるで泥を思わせる人影が現れる。

 

「うわっと、増えた!!」

 

「契約獣が分裂したようだね」

 

 そう疑問に思っていると、分裂した契約獣は、俺に向かって襲い掛かる。

 

 分裂した契約獣が俺に殴りかかる。

 

 拳を掴んで、そのまま蹴り飛ばす。

 

 蹴り飛ばすと共に、他の分裂した契約獣達が、俺の体に巻きつくように纏わりついてくる。

 

 そしてそのまま締め付けるようにして、俺の動きを止める。

 

 その間にまた別の分裂体が、今度は俺の腕を掴む。

 

 そのまま関節を極めるようにして、動きを止めようとする。

 

 だがそんなものは全く効かない。

 

 俺はそのまま蹴り飛ばそうとするが、それは叶わない。

 

 蹴り飛ばされた分裂体は、すぐに体勢を立て直す。

 

 それと同時に腕を離し、後ろに下がる。

 

 俺の攻撃をかわした後、一斉に攻撃を開始する。

 

 分裂体達は全員で俺を取り囲み、殴る蹴るなどの攻撃を行う。

 

 だが、全く効く様子がない。

 

 それどころか、逆に俺の方から攻撃を繰り出す。

 

 手刀や回し蹴りなどで反撃を行い、次々と分裂体を仕留めていく。

 

 そして全ての分裂体を吹き飛ばしていく。

 

「凄い。

 

 まさか、ここまでなんて」

 

 それを見ていたルカは思わず呟く。

 

「さて、あとはって」

 

 そう思っていると、俺は足下を見る。

 

 そこには蜘蛛の契約獣によってできたと思われる蜘蛛の巣があった。

 

 どうやら、先程の分裂した契約獣を囮にしていたようだ。

 

 そして本体はその間に糸を出し、罠を張っていたのだ。

 

 おそらくだが、この巣には粘着性があるだろう。

 

 つまりは身動きが取れなくなる可能性があるということだ。

 

 これは不味いな。

 

 どうにかして脱出しなければ。

 

 俺はなんとか抜け出そうとするが、上手くいかない。

 

 すると、蜘蛛の契約獣がこちらに向かってくる。

 

 このままでは攻撃されるな。

 

「待てよ、確か、この身体って」

 

 そうしている間に、俺は地面を思いっき叩く。

 

 同時に、俺の足下は巨大な柱となる。

 

 それによって、周りに張られていた蜘蛛の巣は取り払い、同時に蜘蛛の契約獣はそのまま宙を舞う。

 

「それじゃ、決めるぜ!」

 

 俺はそのまま自然の動作で、レンキンドライバーの蓋を再度閉めて、開く。

 

『レーキンフルオープン! ゴーレムストライク!』

 

 その音声が鳴り響くと共に、俺の足下にある巨大な柱を右足と一体化させる。

 

 同時に巨大な石の脚を形成する。

 

 形成させた脚を、そのまま真っ直ぐと蜘蛛の契約獣に向かって、ライダーキックを繰り出す。

 

 蜘蛛の契約獣はその一撃によって吹き飛ばされる。

 

 そして、地面に叩きつけられていた。

 

「ふぅ、なんとか」

 

「それじゃ、さっそく」

 

 その言葉と共にルカはそのまま懐から取り出したのは、ソザイタマだった。

 

 何も入っていないソザイタマだが、それを真っ直ぐと蜘蛛の契約獣に投げる。

 

 すると、蜘蛛の契約獣に、ソザイタマは吸い込まれる。

 

 そして、先程の蜘蛛の契約獣がいた所には1人の人間が倒れていた。

 

「それは?」

 

「契約獣の力を奪ったの。

 

 まぁ、これで、こいつは悪さはできないと思うよ」

 

「にしても、なんで襲ってきたんだ?」

 

 突然の出来事だったので、俺は首を傾げる。

 

「契約獣は他の契約獣の力を奪ったり、人間の魂を喰らう事で強くなるの。

 

 だから、この契約獣もおそらくはそういう目的だと思うの」

 

「そうなのか?」

 

「まぁ、私って、天才だからね。

 

 それで、狙われたかもね」

 

「そういうもんか」

 

 俺は呆れたように言うが

 

「……あれ、という事は、そんなルカと契約した俺は」

 

「まぁ、うん。

 

 襲われるね」

 

 ルカはそう言って笑う。

 

 どうやら、俺とルカは命を狙われているらしい。

 

「……えぇ」

 

 陰キャである俺は困惑しながら呟く。




仮面ライダーレーキン
ゴーレム・コネクト
『フィギュア』+『土』
二つのソザイタマによって誕生した形態。
フィギュアのソザイタマによって、腰を180°回転させる等人間離れした動きが可能になる。
さらには土によって強固な装甲ができる為、防御に優れている。
そして、地面の土を吸う事によって、様々な武器を生成する事ができる。
さらに、他のソザイタマを組み合わせやすく、基本フォームとして優秀である。

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