陰キャのソムリエ三日月ちゃん   作:不知火勇翔

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第7話

 地球寮の共同スペース。

 個性豊かな地球人が各々で集まって時間を潰す中、僕はそのグループをハシゴしていた。何故なら僕は隠キャじゃないから!ギャハハハハ!!!

「三日月ちゃん、次」

「あ、は、はい・・・・!」

「そんなに焦らなくて良いからな」

「ゆっくり、やればいい」

「は、はい!」

 嘘です。周りが天使すぎて(あとは転生フェイスもあるかな?)、僕が馴染めるように色んなグループの輪に入れてもらってるだけです大変失礼しました。ナマ言ってごめんなさい反省しております。

 僕が必死にトランプを選んでいると、ペイントだらけのミオリネさんとスレッタさんが突入してきた。そしてミオリネさんはココにいる全員が注目する中、堂々と言い放った。

「アンタ達。今日からココ、会社にするから」

「え?」

「株式会社ガンダムは、私と皆さんで経営します。以上、よろしく」

「「は?」」「はぁああ!?」

 動揺する地球組。ドヤ顔のミオリネさん。

「会社を興した以上やることは山積みよ」

「ちょちょ何話進めてんだよってか何で俺達を・・・・」

 友達いないんだね・・・・分かるよ。

「給料はちゃんと出す。他に質問は?無いよねぇ?」

「ごめんなさいごめんなさい!ウチのミオリネさんがごめんなさい!」

「そもそも、ガンダムで何をする会社なんだい?」

「それは・・・・これから考える」

 

 

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「まずは『定款』(ていかん)でしょうか」

「定款?」

「この会社がどういうものかってことを書いた、規約だね。会社名、設立者の氏名、発行可能な株式の総数とか」

「具体的なことは事業計画書に書くことになるんですけど・・・・」

「この会社が何すんのかって話だろ」

 鉄華団にもあるのかな?テイカン?とやらが。まぁビスケットが書いただろうから、『安心安全な警備がウンタラ・・・・』みたいなかんじかな?ん?ということはヤから始まってザで終わるかんじの『テイワズ』とかにもあるのかな?そういうの。

「やるなら、儲かるのが良いよな?」

「スレッタのお母さんの話だと、GUNDフォーマットの安全性を立証しないとガンダムは造れないんだよね?」

「ペイル社のガンダムは・・・・名前・・・・」

「ファラクト」

「アッチはエアリアルとは違う技術なの?」

「調べてみないことには何ともね・・・・」

「ペイル社から預かった資料によると・・・・」

 と。なんだか話が長かったので、僕は机に突っ伏してそのまま寝ることにした。多分話が終わったら誰かが起こしてくれるだろう。

「おい。三日月ちゃん寝始めたぞ・・・・」

「アイツは放っておきなさい。一応余所の社員なワケだし」

「あー、そうでしたねー」

 何か聞こえたが、僕は寝る。アディオス!

 すやすや。あぁ。惰眠は良いなぁ・・・・。

「・・・・った。マルタン!」

「ひゃい!!!」

 名前を呼ばれた気がしたので飛び上がったら、地球組全員とミオリネさんスレッタさんが僕を見て口を閉ざしていた。

 キョロキョロと見回して自分のヤラカシに気づいた僕は、無言で縮こまり、貝となって羞恥に耐えた。

「・・・・ドンマイ」

 頭に変なのを巻いている男子生徒が背中をさすってくれた。あ・・・・優しい。名前知らないけど。

「・・・・マルタン。投機書類の細かい部分はアンタに任せる!リリッケは法人口座の開設の手続き。それとマルタンのフォロー」

「はい!」「分かったー」

「この中で、絵心のある人間は?・・・・会社のロゴ作って。イカしたやつ。それからスレッタぁ、他。「まとめんな」ガンダムの悪いイメージを払拭できるPV作って。期日は2週間だから」

「二週間!?」

「クソ親父の気が変わる前に全部固めるの。サボらずやりなさいよね」

 唖然とする一同。話は終わったとばかりにミオリネさんは立ち去り、残された僕らを代表してピンク髪が叫んだ。

「あんのクソスペ我が儘女ぁ!!」

 ピンク頭うるさい・・・・。

「・・・・ってことは、俺達はPV作りか。どうすんだ?」

 褐色の男子生徒が全員に聞く。

「PVって言われてもなぁ・・・・」

「だ、ダンス動画とかですか!?」

 スレッタさんが発言した。

「ダンスねぇ・・・・え?ダンス?」

 聞き返す褐色の男子生徒。

「はい!ダンスです!」

「・・・・ガンダムの悪いイメージを払拭するPVなんだろ?なんでダンス?」

「・・・・悪くないかも」

「いやいやダンスだぞ!?」

「なー今日はもう良いんじゃねぇの?明後日ぐらいに、各自が案を持ち寄って決めるかんじで。今無理に決めるもんでもないだろ」

「でも期限は2週間って言ってたよ?」

「このまま煮詰める方が色々と危険だろ」

 ふ~ん。どうやら皆はPVを作るらしい。ふ~ん。ふ~ん。ふ~ん?

 どうやら、僕の出番らしい。

 

 

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☆☆☆☆☆☆

 

 

「そんじゃまぁ、各自作った動画のサンプルを見せていくか」

 まずは僕からだ。

 堂々とUSBを刺した僕は、沢山の著作権が切れたアニメを切り貼りした動画を流した。

《パターン1》

エウレカで酔わせ、アクエリオンの脱衣で正常な判断能力を奪う。最後はマクロスの歌でいい感じの何かを見た気分にさせてシメる。『株式会社ガンダムは、こんなかんじのガンダムを作ります』というナレーションが最後に流れ、動画は終了した。

 ・・・・どう?

「えぇ・・・・」

 呆然とするニカさん。

「いやほとんどファンタジーじゃねぇか」

 ちゃんとツッコんでくれるピンク髪。

「なんつーか、アイツの頭の中が分かるPVだったな・・・」

 何故か感心している男子生徒(名前は知らん)。

 様々な反応(中には全く反応が見えない人もいた)が返ってきた。ただまぁコレはまだ《パターン1》だ。本命はコッチ。

《パターン2》

迫り来る巨大コロニー(動画はファーストガンダムから引用)。膝をつく人々(プリキュアから引用)。市民の1人が顔を上げる(OOから引用)と、始まるマフティー構文。「やってみせろよマフティー!」「なんとでもなるハズだ!」「ガンダムだと!?」クダラナイコトバヲモウイチドサケンデー。踊り狂うカボチャ頭。台パンとチンパンジーの鳴き声が木霊する。そしてなんか上手くいくコロニー落下阻止。からの爆発END。

 これこそガンダムの集大成、と言えるような素晴らしい作品だった。UCを乗っけれたら完璧だったんだけどね。

「おいおい・・・・」

「もっと酷いのが出てきたね・・・」

「もはや産業廃棄物の域だろコレ・・・・」

「・・・・禁書」

 マジレスの応酬。ニカさんからは心配された。

「・・・・大丈夫?体調悪いとかない?」

 いや、そんな反応は求めてないんだけど?あの・・・・。

「三日月。辛いことあったら言えよな?」

 ピンク髪がマジ顔で気遣ってきた。

「え、いや、その・・・・」

 ・・・・取り敢えず、この時代の人にネットミームのテンションは受け入れられないことはよく分かった。

 地球組以外を見ると、ミオリネさんは、誰だコイツを呼んだの、みたいな顔をしていた。スレッタさんに関しては「い、良いと思います!」と本気なのか気遣いなのか分からない言葉を投げてきた。

 ・・・・うん。・・・・スベった?

「はい。じゃあ問題児のは置いといて、次行くぞ次」

 

 

 結局、無難なダンス動画に決まった。

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