SEEDの世界にマクロス要素をぶち込んでみた   作:ソロモンは燃えている

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最終決戦編

 地球連合軍はソーラレイシステムを使いザフトの要塞ボアズを焼き払いプラント最後の砦ヤキンドゥーエへと駒を進めていた。

 ニュートロンジャマーキャンセラーにより一方的に大量破壊兵器が使えると考えていたプラント上層部に動揺が走る。

「我々は血のバレンタインに対し核を封印するという平和的な報復を行った。それに対する答えがこれだ!核が使えぬなら太陽光を使った新たな大量破壊兵器を作り出し使用する。これはもう戦争ではない、虐殺だ!」

 ソーラレイシステムの位置からヤキンドゥーエやプラントを直接狙うことは出来ないと判明しているが都合の悪いことは握りつぶしてきたパトリック・ザラはあえて脅威だけをあおりジェネシス発射もやむなしという方向に議会を誘導していく。

 

 

 ヤキンドゥーエ司令所

 

「ジェネシス発射準備、照準地球連合軍旗艦メネラオス」

 

「照準座標入力、ジェネシス発射シーケンス完了」

 

「議長、発射準備完了しました」

 

「これが我らの創世の光とならんことを

 ジェネシス発射!」

 

 ヤキンドゥーエ後方にミラージュコロイドで隠されていたジェネシスが姿を表す。

 そして強力な光が前方に向けて放たれる。

 それは進路上のあらゆる命を消してしまう悪魔のような光だった。

 地球連合軍旗艦メネラオスを含む約半数を飲み込んでいく。

 

「血のバレンタインにて核を撃たれた、そして今ソーラレイシステムなどという新たな大量破壊兵器が使われた

 もはや我々は黙ってはいない

 ジェネシスの光によって地球連合の半数が宇宙に散った

 あえて言おう、ナチュラルなどカスであると!

 我らコーディネーターこそが世界を支配するべき優良種なのである

 ザフト全軍目の前のナチュラルどもを討て

 ザフトのために!」

 

「「「「「「ザフトのために!」」」」」」

 

 ザフト兵達は自軍を圧倒する数で迫る地球軍の艦艇に大打撃を与えたことで恐怖心から解放され演説に熱狂している。

 だが冷静になれば演説の内容がおかしいことに気づくだろう。

 この戦争はプラントの独立を勝ち取るためのものだったはずが、いつの間にかコーディネーターが支配するという目的に変わっている。

 熱狂し、コーディネーター至上主義に染まっている者たちは気づかないが、地上で現実を知りプラントの思想から抜け出ようとしている者たちは思う。このままでいいのかと。

 

 一方地球軍は混乱の只中にあった。

 旗艦と共に約半数の艦隊が消滅したのだ。

 各艦隊は失われた指揮系統を再構築させようと連絡を取り合う。

 ブルーコスモスの盟主ムルタ・アズラエルがアドバイザーとして乗り込んでいるドミニオンが臨時の旗艦となり攻めてくるザフトの迎撃にあたる。

 

「艦長さん、ザフトの追撃を振り切ってあのジェネシスとか言う兵器破壊に行けません?」

 

「アズラエル理事、この状況では無理です。

 艦隊の指揮系統を再構築して体制を立て直さなければ」

 

「無理を無理と言うことくらい誰にでも出来ます。

 それでもやり遂げるのが優秀な人物、これビジネスの世界じゃ常識ですよ」

 

「ここは戦場です」

 

 

 アークエンジェルもまたザフトとの激戦の中にいた。

 ジョシュアの防衛戦の後、宇宙に上がりドミニオンと行動を共にしていた。連合の白い悪魔と言われたほどのコーディネーターのエースパイロットを使いこなした艦として地上で戦ってきた歴戦のコーディネーター達を集め配属されている。

 まさにエース部隊と言えた。

 その隊長は復帰したフラガ少佐であった。

 

「やれやれ、部下がコーディネーターばっかりだと、かっこいいとこ見せるのが難しいね」

 

 そういいつつガンバレルストライカーを装備した新型機に乗ってコーディネーター達に負けない戦果を叩き出している。

 

 そんな連合艦隊の中に不審な動きをする艦隊がいた。

 その艦隊は他の部隊を盾にして宙域を離脱、そのまま回り込んでプラントに向かった。

 そう、ヤキンドゥーエでもジェネシスでもなくプラント本国に向かって行ったのだ。

 ザフトは目の前の連合軍を叩くのに夢中でその艦隊に気が付かない。

 最初に気付いたのは軍務がなく冷静に状況を見ていたアズラエルであった。

 

「艦長さん、サザーランド大佐の艦隊が何処かに行こうとしてますよ?」

 

「理事?これは!あの艦隊はプラント本国に向かうコースを取ってます」

 

「サザーランド大佐はいつも手ぬるいって言ってました。

 ザフトの防衛戦力は我々に釣られている。

 手薄になった本国を攻めようと言ったところですか」

 

「あの程度の戦力でそんなことをしたら!」

 

「ええ、プラントを直接攻撃されたと怒り狂ってあのジェネシスとやらを撃つでしょうね」

 

 アズラエルが打開策を提示する。

 

「ザフトにあの艦隊のこと教えて迎撃に戻らせたらどうですか?

 そうすればザフトの圧力は下がり体勢を立て直せる。

 そして我々がジェネシスを攻撃しに行く」

 

「ニュートロンジャマーの影響で電波状態が悪くてザフトに通信が繋がりません」

 

「ザフトは降伏すら認めないよう通信を受け付けないようです」

 

「やれやれ、肝心のザフトは聞く耳持たずですか」

 

 

 そこにこの状況を打破出来る者たちが現れた。

 サウンドシップ・ワルキューレが戦場に乱入してくる。

 

 ワルキューレ・ブリッジ

 

「出し惜しみは無しだ、カガリとラクスは特設ステージへ。

 サウンドポット射出、ホログラム班準備はいいな?」

 

 ワルキューレから多数のミサイルが打ち出された。

 いや、ミサイルではない。

 そのまま宙域を漂いワルキューレからの歌を中継する。最高レベルのニュートロンジャマーの電波妨害を突き抜けて歌を届けるための装置である。

 

「行こうラクス、宇宙に歌を届けに」

 

「ええ、カガリさん、あなたを一人で歌わせたりしません」

 

 戦場に歌が流れ始める。

 同時にワルキューレの艦上に巨大な映像が映し出される。

 それは並んで歌うカガリとラクスの姿だった。

 

 ここでザフトにも動揺が走る。

 ワルキューレからラクスの歌声が流れて来たのだから。

 ラクスがナチュラルと共に歌っている。

 それはプラントで教育されてきた思想を覆すものだった。

 プラントの歌姫がナチュラルと仲良く歌っている、その矛盾に耐えきれずワルキューレに攻撃しようとするザフトの一部

 その前に一隻の艦が進み出る。

 

「ドミニオンへ、こちらアークエンジェル

 本艦は指揮系統を離脱、独自の判断で歌姫の護衛を行う

 なお、この判断は全て艦長である私の責任で行います」

 

 アークエンジェルがワルキューレを守るように動いたため他の地球軍艦隊も自然とワルキューレに攻撃しようとする者たちに攻撃を集中させる。

 こうしてワルキューレを挟んで膠着状態が生まれる。

 

「もうすぐ間奏に入る、映像の準備はいいな?

 世界に本当の敵って奴を見せつけるぞ!」

 

 歌姫達の歌が一度終わり間奏に入る。

 一機のモビルスーツがホログラムのカガリの胸に吸い込まれる。

 そこでホワイトアウトして場面は切り替わる。

 そこは美しい自然に溢れた世界だった。

 しかし、モビルスーツの行く先には巨大な悪魔がいた。

 その悪魔の後ろは、全てが破壊され滅びている。

 オーブ軍のパイロットスーツを着た男が胸に光を抱きモビルスーツを悪魔に向かわせる。

 悪魔の攻撃を掻い潜り何度も接近を試みる。

 悪魔をこれ以上先に進ませてはなるものかと果敢に戦う。

 他にも戦っているモビルスーツがいた。

 連合のパイロットとザフトのパイロットが背中を合わせて互いを守りながら戦っている。

 そのパイロット達がオーブのパイロットを援護し始めた。

 次々と戦場に姿を現すオーブの、連合の、ザフトのパイロット達

 彼らが現れるたびに悪魔は小さく弱くなっていく。

 全てのパイロット達が胸に光を宿らせて悪魔に向かって行く所で映像は終わりステージの歌姫に戻る。

 

「これが、カガリさんが戦っていた本当の敵」

 

ラクスは恥じていた。戦場で同じステージに立って歌うだけで対等な立場になって支えられると思い上がっていたことに。

この戦いは人類が滅びない限り終わらない。

そんな絶望的な戦いを、目を背けずにひたすらに進み続けていたのだ。

 

「あなたの隣で歌います、カガリ」

 

ラクスが初めて自然にカガリを呼び捨てた。

それは対等になってみせると言う覚悟の証だった。

 

 ワルキューレ・ブリッジ

 

「すごい、間奏が終わってからのラクスさんのサウンドエナジーが増大してる。カガリ様に迫るくらいだわ!」

 

「覚悟を決めたか」

 

「こんなに急激に歌が変わるなんて、艦長は何か分かってるみたいですが?」

 

「最初は危険な戦場で、カガリ一人で歌わせないためにステージに立っていた。

 間奏で、カガリが何と戦ってきたのか理解して、本当の意味で隣で歌い続ける覚悟をしたのだよ」

 

「人類の心の中にいる悪魔とですか」

 

 そこにドミニオンからの通信が入る。

 地球軍の一部がプラントを直接攻撃しようとしている事を知る。

 ワルキューレはサウンドフィールドを展開し、地球軍とザフトを包み込む。

 

「この宙域にいる全ての兵士に伝える

 我々の真の敵は目の前にいる相手の兵士ではない

 全ての人間の心の中にいる悪魔が、そしてその悪魔に負け、そいつに突き動かされ死や破壊を撒き散らす者たちこそが我々の真の敵である

 今そこに憎しみに突き動かされプラント本国を直接攻撃しようと暴走している者達がいる

 そしてプラントにも憎しみでジェネシスを撃たんとする者達がいる

 我々はこれより歌姫達をラストナンバーを歌うための場所にエスコートする。

 その胸に誇りを持つならば我に続け!」

 

 双方の艦隊が動き始める。

 ザフトはプラントを攻撃しようとする艦隊を止めるために

 地球連合はワルキューレと共にヤキンドゥーエ、ジェネシスへと進路を向ける。

 

 ヤキンドゥーエでは当然プラントへ向かう艦隊の動きに気付いていた。

 本国防衛に残していた部隊は少ないためヤキンドゥーエからも救援を送る。その中にジャスティスに乗るアスランの姿もあった。

 

「連合め、本当にプラントを撃つつもりなのか!

 ラクス、こんな相手と本当に分かり合えると言うのか?」

 

 ヤキンドゥーエ防衛艦隊の主力は連合の艦隊に守られて近づいてくるワルキューレに向けられた。

 

「カガリ、君の歌は好きだったよ。

 もしかしたら本当に世界を変えてしまうかもしれないほどのものだった。

 だが君を撃てば世界は再び闇に包まれる。

 世界は君を撃ったプラントやザフトを憎むだろう」

 

 クルーゼは暗い思いを胸に秘めプロヴィデンスを駆る。

 世界の悪意と歌で戦おうとする歌姫達の下へ、その悪意が形を持って襲い掛かろうとしていた。

 

 プラントを直接攻撃しようとした艦隊はアスラン達防衛部隊と引き返してきたザフト艦隊の挟撃であっさり壊滅した。

 プラントが直接狙われた事で母を失った血のバレンタインを思い出し、ジェネシスに向かっている連合艦隊の方へ突っ込んで行く。

 アスランのジャスティスは凄まじい勢いで連合艦隊を切り裂いて進んで行く。

 その前に立ちはだかるフリーダム

 

「アスラン、これ以上は進ませない」

 

「キラ!何故邪魔をする?あいつらはプラントを狙ったんだぞ!」

 

「話を聞いてアスラン、彼らの行為は地球連合の総意じゃない!」

 

「だからなんだ、奴らも連合の一部だろう!」

 

 キラとアスランは再び激しく切り結ぶ。

 

 

 ワルキューレに悪意が襲い掛かろうとしていた。

 地球連合の部隊を蹴散らしプロヴィデンスがワルキューレを射程に収めようとしていたのだ。

 なすすべなく蹂躙されるしかないかに思われたが3機の機体がプロヴィデンスに攻撃を仕掛ける。

 地球連合の新型モビルスーツ、カラミティー、レイダー、フォビドゥンであった。

 地球とも繋がりを持ち暗躍していたクルーゼは、そのパイロットがブーステッドマンだと知っていた。

 

「ワルキューレはやらせねぇよ!」

 

「歌姫を守れってのがアズラエルのおっさんからのオーダーだからね」

 

「あのおっさんも、カガリの歌が好きな所だけは認めてやる」

 

 新型3機で喰らい付いてくる相手にクルーゼはドラグーンを駆使して迎え撃つ。

 

「お前達も人の悪意によって造られた者たちだろう!何故世界を守ろうとする?」

 

「確かに命令に逆らうことも出来ずに使い潰されて死んで行く、そんな世界を憎んでいたさ」

 

「でも変わった」

 

「アズラエルのおっさんは、僕達をまともに扱うようになった」

 

「研究所の奴らは涙を流しながら俺たちの治療を始めた」

 

「俺たちの暗く冷たい世界が、明るくて暖かい世界に変わったんだ!」

 

「僕たちの世界を変えてくれた」

 

「カガリの歌を」

 

「途切れさせたりなんかさせない」

 

 身体を改造され、治療されたとは言え長く生きられないだろう少年たちが未来を信じてクルーゼに向かってくる。

 

「明るい明日が続くと何故信じられる!人はまた間違う、それが人だ!」

 

「それでも、俺たちは明日もカガリの歌を聞いていたいんだ」

 

「あんただってそんな未来を望んだはずだ」

 

「お前達が若いからだ、大人はそう簡単には生き方を変えられんよ」

 

「世界で自分だけが不幸ですって悲劇のヒロインぶってるおっさんに、俺たちが一発ぶちかましてやるぜ」

 

 互いにフォローしながらプロヴィデンスに迫る地球連合の強化人間達。

 追い詰められつつある中でクルーゼの顔には笑みが浮かんでいた。

 

「闇に染まり光を拒絶した私が、闇の中から光に手を伸ばした者たちに撃たれるか。

 私を撃つのは、ムウかあの子供だと思っていたが、これも悪くない終わりだな」

 

 カラミティーの主砲スキュラがプロヴィデンスを至近距離で捉えている。

 いかにクルーゼでも、この状態ではかわせない。

 カラミティーの火力に撃ち抜かれ大破し、流れて行く。

 

 クルーゼやアスラン、ヤキンドゥーエ防衛艦隊の攻撃を振り切り、ワルキューレはついに目的の場所に到達した。

 それはジェネシス正面、正に射線上であった。

 

 アスランは混乱していた。

 ラクスの乗るワルキューレが、自らジェネシスに撃たれるような真似をしているのだ。

 

「キラ、ラクスは何を?」

 

「アスラン、これが僕達の戦いなんだ。

 人の悪意と歌で戦うんだ」

 

 そう言ってキラは、ワルキューレへと戻っていった。

 

 呆然としたアスランを残して。

 

 

「このワルキューレには、歌で世界の悪意と戦い続けてきた少女がいる。

 そして今、プラントの少女がこの終わりのない戦いのステージに立って歌うと決意した」

 

 ワルキューレの艦長の声が響く

 

「これがラストナンバーだ。

 この結果がどうなろうともこの戦いは終わらない。

 ゆえにこう言おう、歌姫達に続け!

 世界の悪意に膝を屈することなく抗い続けろと」

 

 そして最後の曲が始まった。

 

 大切な貴方との思い出を胸に前へと歩いて行きます。

 思い出の中の貴方は笑ってくれますか?

 自分の中の貴方は微笑んでくれているか?

 大切な貴方が安心して笑顔で見てくれる私でいたい。

 

 そんな想いを乗せたバラードが流れる。

 ジェネシスの前で、その引き金に指を掛けている者たちに向かって歌い続ける。

 その姿を前に自然と共に歌い始める。

 地球連合の艦隊が歌う

 ザフトの艦隊も歌う

 アスランも涙を流しながら歌っていた

 大破したプロヴィデンスの中で、クルーゼさえも歌を口ずさむ

 

 ワルキューレのサウンドフィールドは、プラント全域を包み込んでいた

 そして聞こえてくるプラントの市民達の歌

 

 ヤキンドゥーエ司令所では、この奇跡の前に誰もが涙を流していた。

 やがて歌は終わり、沈黙が流れる。

 もう、戦闘は行われていない。

 この宙域にいる人々は敵も味方も関係なく、ジェネシスが撃たれるか否かを見届けているのだ。

 パトリック・ザラが声を上げる。

 

「ジェネシス発射シーケンス・・・」

 

「議長!」

 

 まさか、この人々の願いを前に撃つのか?

 

「中止せよ、反射ミラーも外すんだ」

 

 続く命令に司令所の空気が軽くなる

 

「了解」

 

 

 宙域全ての人々が見守る中で、ジェネシスから反射ミラーが外されていく。

 

 その瞬間、陣営に関係なく全ての人々が歓声を上げた。

 少なくとも、今日は人々の中にいる悪魔に人類が勝ったのだと。




これで短編は終わりです。
一応全編通したプロットはあるんですが細部の設定が固まってないので連載編を書くのは未定です。
誤字などを修正しました
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