「お待たせ。受付済んでるってさ」
管理棟を出て、二人のもとへ。
「二人で受付に来たってさ。
「だと思います」
「それじゃあ、テント張る場所決めようか?」
「はい」
「さやか、行くぞ」
「はーい」
「あ、子どもたちの団体来てるから、注意しろって言われたよ」
「ああ。じゃあ、あのバスがそうなんじゃない?」
そんな話をしながら、バイクに乗り、サイトへ向かう。
適当な場所に一度バイクを止めて、テントを張る場所を探しながら、俺は先に来ているらしい二人(恐らくは三人)を探す。
「
「どっち? ……良い感じだね」
さっき、俺が管理棟に行く前は険悪な感じだったさやかとリンちゃんは、すっかり仲良くなっていた。互いに敬語が外れている。
二人で、リンちゃんのテントを張る場所を探している。
しかし、先に来ている面々は何処に行ったのだろう? 荷物もそっちにあるはずだ。
今日はテントを四つ用意している。
リンちゃんのテント・
俺は一人で一つ使ってしまうから、他のテントに二人ずつ、先生のテントに四人入る形になるだろう。
しかし、そのテントの持ち主が見当たらない。
「お兄ちゃん! 場所決まったよ」
さやかの声だ。
「オッケー。じゃあ、荷物下ろしたらバイク移動させるよ」
「分かりました」
リンちゃんが返事をした。
荷物を下ろしたあと、さやかに荷物番を頼み、俺とリンちゃんはバイクを管理棟の前に移動。
今度は歩いてサイトへ向かう。
「リンちゃんってさ」
さりげなく話を振ってみる。
「普段はソロキャンだよね?」
「はい。この間先輩のところでなでしこと一緒にキャンプしたの、あれが誰かと一緒にキャンプするのが初めてでした」
俺のところって……。まあ、うちでキャンプしたのは事実だな。言い方次第……。
「それじゃあ、大勢でのグルキャンも初めて?」
「そうなりますね。それぞれに色んな楽しみかたがあるんですよね」
「だと思うよ。そっか……、だよね」
「どうしたんですか?」
俺の言い方で気になったのか、リンちゃんが尋ねてきた。
「いや。俺も大勢で一緒にキャンプするのは初めてなんだよね」
野クル部初キャンプの倍以上の人間が集まっている。
「そうなんですか?」
意外だったようだ。
「家がキャンプ場だから、キャンプっていうものが気になって、一人テントを張ったことはあるよ」
他に利用者が居ない日だった(隣のキャンプ場にも確認した)から、暇になったらトランペット吹いて過ごした。
「だからさ。実は今日めっちゃ楽しみ」
そう言って笑い掛ける。
「私もです」
リンちゃんもか。お、良い笑顔だ。
「おーい!」
戻って設営していると、何処からともなく元気な声が聞こえてきた。
「リンちゃん~! ブランケット先輩~!」
しかも、二人だ。
「お。元気な奴が来たぜ」
リンちゃんがそう呟く。
後から声がした方を見ると、水色の乗用車が止まっているのが見えた。
「リンちゃん~! 先輩~!」
「先輩! こっち無視しないでください!」
先に声のした方を向くと、そっちにはシルバーの乗用車が止まっていて、
となると、あの車は……。
「
「可児、お前何も持たずに行くな! お前も荷物運んで手伝えよ」
「はーい」
こっちへ来る途中で引き返した可児と合流し、車へ向かう。
「可児、泊まりにしたんだって?」
「はい。話聞いてたら楽しそうなんで、大町先生に登山部の耐寒シュラフ借りてきました」
その手があったか……。
しかし、それだけにしては大荷物のようだが、一体何が?
「これって……!」
車に辿り着き、トランクに載っている物を見た俺は、驚きを隠せない。
「可児が持って行くって言うからな。この車なら積めるから言われた通りの物を持ってきたんだよ。まあ、可児は『ユーフォは重いから、今日はフルート』って言ってたけど」
そう。トランクには見覚えのある楽器ケースが二つ積まれている。
一つは普段使われていないペット。もう一つは俺の普段使っているペット……。
「さやかー! ちょっと来てくれ!」
俺の声に、さやかは首を
「どうしたの? まさか……」
「そのまさかだよ」
さやかがトランクを覗き込む。驚きのあまり声が出ないようだ。
「『おもてなし』、これにするか」
「うん!」
元気良く頷く。
「良いんじゃないか。先生は帰るから、盗難には気を付けろよ。明日の昼頃迎えに来るから」
車から荷物を下ろすと、大町先生は帰っていった。
「可児さん。どうしたんですか、これ?」
さやかが可児に尋ねる。
これ、とはトランペットのことだろう。
普通に考えれば、キャンプに楽器は不要。この事を抜きにしても、トランペットが二本あるということは……。
「先輩、妹さんもトランペットだって言ってましたよね?」
えっ?
「俺、そのことお前に話したっけ?」
「あれ? 先輩から聞いたんじゃなかったかな……。まあ、誰かから聞いたんですよ。だから、せっかくだし、と思って」
俺は教えた記憶がない。とはいえ、他に誰が言うだろうか? まあいい。
「久し振りにお兄ちゃんと一緒に吹けるなんて……。ありがとう可児さん!」
とても嬉しそうだ。かくいう俺も同じ。
引っ越してきてから一緒に吹く機会がなかったからな。
俺が京都に行っても、さやかが山梨に来ても、トランペットが二本もある事はなく、揃って演奏する機会がなかった。
三人で、楽器や荷物を持ってリンちゃんのところへ戻る。しかし、
「あれ? リンちゃんは?」
各務原さんしか居ない。
「あきちゃんが、まかいの牧場で安い薪を買ったから、取りに向かいました」
……。
居ないと思ったら、まかいの牧場に行ってたのか。
しかし、
「鳥羽先生に車出してもらった方が良かったんじゃないか?」
バイクで薪を持ってくとしても、それなりの重さがあるから、積める数が限られる。その点、車ならその心配はない。
「もう飲んじゃってるらしいですよ」
…………ダメじゃん。
じゃあ、二人は歩いて行ったのか。
「各務原さん。まかいの牧場って言ったよね?」
「はい。この近くですよね?」
確かに近い。
「俺も行ってくるよ。三人は留守番頼む」
「えっ? 先輩もですか?」
「いや、牧場までは行かないよ。ただ、駐車場からここまでも距離あるから、運ぶのを手伝った方が良いと思うから」
恐らく、一つや二つではないと思う。
まとめて持てる重さではないから、人手があった方が良い。
「じゃあ、私も手伝います」
おお、各務原さんも来てくれるのか。頼もしい。
「じゃあお願い。二人は留守番よろしく」
そう言い残し、二人で駐車場へ歩いて行く。
因みに、二人を残した理由は、さやかは慣れないバイクで疲れているだろうし、可児は単純に体力がない。
「あ、リンちゃん~!」
駐車場に着いて10分位待っていると、リンちゃんのビーノが見えた。
「なでしこに先輩。どうしたんですか?」
リンちゃんが俺たちがいるのに気づいて驚いている。
「薪持ってくるって聞いたから、手伝いに来た。どうせ何束か買ってくると思って」
荷台を見れば、予想通り薪が二束積まれている。
「全部で何束買ったの?」
「三束です。全部は積めないから、大垣が持ってきます」
これを抱えて歩いてくるの?
まあ……頑張れ。
「どうかしました?」
「あ。何でもないよ」
大垣さんが歩いているだろう方角を見ていたら、各務原さんが不思議そうに声掛けてきた。
「そういえば、何処に場所取りしたか、聞いてきた?」
「はい。薪持ってそっちへ行きましょう」
「あ、薪は俺と各務原さんで持つから、リンちゃんは案内よろしく」
「えっ? 分かりました……」
「あっ、鳥羽先生」
リンちゃんの先導で歩いて行くと、鳥羽先生の姿があった。
椅子に座っていびきかいて寝ている。
隣のテーブルには、スキレット・ガスバーナー・ビールの空き缶……。
スキレットには肉片。これはベーコンだろう。
「こんなところに居たのか……」
リンちゃんが呟く。
「先生、こんなところで寝てたら風邪引くよ」
そう言いながら各務原が頭からブランケットを被せる。
しかし、
「お化けみたいになってんじゃねぇか」
「息苦しそうだぞ」
「でも、こうしないと風邪引いちゃうよ。……そうだ」
首から上を出し、各務原さんが被っている帽子を被せ、その上にメガネを乗せる……。
「なんですか、これ……」
思わず口に出た。
「んが~」
なにも知らない先生は大いびきかきながら寝ている。
「ぷぷ……」
「くくく……」
二人は笑いをこらえるのに必至。
「ははは……」
俺は苦笑い。
その後、ちくわを連れた
これで役者が全員揃ったわけだ。
「先輩、役者って何ですか?」
「細かいことは気にしない」
リンちゃんは先に別の場所にテントを張ってしまったが、今からどちらかに合流するのは大変なので、『テントは寝るときに使うだけだから』と、こちらに野クル部のテントを設営することになった。
張るテントは三つ。
俺は自分が使うことになるテントを設営。
お、今度はシートを用意したな。段々分かってきたようだ。
「へぇ、大垣鉄スキレット持ってんだ」
「へへっ、まーな」
火傷しながらシーズニングしたやつだな……。
「
「うん。そうそう」
どれどれ。
流石、4万5千円のダウンシュラフ。化繊の奴とは大違いだ。
「「「いいなぁ~っ」」」
三人から羨望の眼差しを向けられ、恵那ちゃん冷や汗。
「そういえば、なでしこちゃんは何処まで行ったんだろう?」
話題を逸らすように言った。
えっと……居た。あんなところまで……。
「各務原さんは元気だな……」
ちくわと一緒に走り回っている各務原を眺め、呟く。
弱肉強食だとか言って、恵那ちゃんから渡されたソーセージを持って走っている。
「前から思ってたけど、なでしこって体力あるよな」
「ほんまやなぁ……」
「なでしこ強い子元気な子、だな」
「本当だよね……」
実は、各務原さんが体力がある理由を俺は知っている。
ダイエット目的だったわけだが、結果的に痩せて体力もついたんだと。
「凄いよなぁ……」
再び、一人呟いた。
こちらの設営が終わった。
「じゃあ、私は荷物持ってくる」
「それなら、可児とさやかに持って来させるよ。何が必要?」
あっちには二人も居る。こちらからわざわざ取りに行く必要もないだろう。
「あ、私志摩さんの道具見てみたいわぁ」
「あたしも!」
「良いけど、普通のだぞ?」
「じゃあ、みんなで行くか」
そう思ってスマホを取り出すが、みんなで行くことになったらしい……。
「それならみんなで行っておいで。俺は待ってるから。先生一人にしておくのも心配だし」
俺は荷物番として残る。
「ぐが~」
隣には、大きないびきをかきながら寝ている先生。
「酔ってなければ美人教師、なんだけど……」
先生の方を見る。
「これじゃあ、酔っぱらいのおっさんと変わらないよなぁ……」
聞こえていないと思い、一人呟く。まあ、もし聞こえていた場合、只では済まないだろう……。
しかし、普段学校ではメガネを掛けていないけれど、今は(間接的に)掛けている。
コンタクトなのだろうか? それとも、運転時の視力が足りないのだろうか?
……本人に聞いてみなければ分からないか。
「待ってよぉ~!」
遠くの方から各務原さんの声。
「あ、ソーセージ奪われてる……」
持っていたはずのソーセージはちくわが咥えていて、追い掛ける立場が逆転している。
「というか、なんか増えてるよなぁ」
各務原さんの後ろには、小さい子どもたちが数人。団体さんだろう。
「お待たせしました」
リンちゃんたちが戻ってきた。
しかし。
「あれ? さやかと可児は?」
行った面々だけが荷物を持って戻ってきた形だ。
「二人は向こうで演奏していますよ。聴衆が数人いて動けないから、しばらくあっちに居るそうです」
そういうことですか。
「先輩のトランペットは持ってきましたよ。はい、これです」
「犬山さん、ありがとう」
トランペットを受け取る。
あれ? 譜面も一緒だ。さっき見たときは無かったのに。
「待ってってばぁ~!」
再び、各務原さんの声。
「元気やなぁ……」
「それじゃあ、あたしたちも参加するか?」
何処から取り出したのか、フリスビー片手に大垣さんが言う。
「ほんなら行こか」
「行くぞ~!」
犬山さんと大垣さんが各務原さんの方へ走って行く。
恵那ちゃんとリンちゃんは残った。
「行かないの?」
そう問いかけるも、返事はない。
しかし、こちらには期待の眼差しが向けられている。
「そういうことですか。分かったよ」
演奏しろ、という意味か。
ケースからペットを取り出し、スタンバイ。
譜面はあっても台は無いから、見ずに吹ける曲にしよう。
「あ……」
一度、先生の方を見る。
まあ、これなら起きる心配はないだろう。
♪~
チューニング良し。
構え、息を吐く。
♪~
『ルパン三世のテーマ』
『トランペット吹きの休日』
『残酷な天使のテーゼ』
『
何曲か吹いていると、いつの間にか聴衆が集まっていた。
その向こうでは、各務原さん他数名が、俺の演奏をBGMに走り回る。
そして、可児とさやかが合流。
これまた何処から出したのか、俺の前に譜面台を設置。譜面が置かれる。
♪~
『宝島』
サックスソロの部分は、さやかがトランペットで再現する。こいつ、いつの間にか、かなりの技量をつけてやがる……。
『トランペット吹きの休日(2回目)』
さやかと、可児のフルートも加わり、三人での演奏。
最後の一曲は、
『新世界より』
丁度夕方だし、この曲がピッタリだろう。
♪~
吹き終え、三人でお辞儀をする。
「わ~!」
「凄かったよ」
「お兄ちゃん格好いい!」
「お姉ちゃんも凄いねぇ」
まあ、子どもたちの可愛い歓声と拍手だった。
遊んでいた大垣さんたちは、子どもたちから貰ったというクッキーを手に戻ってきた。
そのクッキーで、軽くお茶にすることに。
もちろん、夕食には御馳走(らしい。皆はまだ何か知らない。知っているのは俺と犬山さんだけ)が待っているので、本当に軽く。軽くだよ、特に各務原さん。
「はい、どうぞ」
お湯が沸くと、手際よく恵那ちゃんがココアをいれる。
「サンキュー」
「ありがと」
「ありがとな」
「どうも」
「ありがとうございます」
「ありがとう!」
順に、みんなに渡してゆく。
「先輩もどうぞ」
「ありがとう」
おお。いれたてのココアの良い香りが。
おっ。手作りだというこのクッキー、旨いな。
「あれ……みんな揃ってたのね」
声がして振り向くと、鳥羽先生が立っていた。
「寝ちゃってたわ……」
良く寝てましたね。それこそ俺たちの演奏でも起きなかったぐらいに。
「先生もココア飲みますか?」
「頂くわぁ」
恵那ちゃんが用意し、先生に差し出す。
「どうぞ」
「ありがとー」
えっ? 先生、何するつもりですか?
「ちょっと、何やってるんですか?」
流石に恵那ちゃんも驚いている。
ココアを受け取ったと思ったら、
「ココアには意外とラム酒が合うのよ」
ラム酒ですか……。
「っぱぁー。温まるわあー。ん……。もうちょっと入れちゃえ」
「流石グビ姉……」
その姿を見た大垣さんが呟く。
夕食の準備が始まる。
「「おおっ~!」」
犬山さんがクーラボックスから
普段、見ることはあっても買うこと・手にすることはまず無い、高級なお肉だ。
「イヌ子はん。今晩はそのええお肉で何を作りはるんどす?」
大垣さんが手を合わせながら尋ねている。
何故関西弁? これじゃあ値切り交渉中の大阪のおばちゃんみたいだぞ。
「せやねー。クリスマスちゅー事で、今日はこれを使って……」
クーラボックスからまた何かを出す。
「すき焼きを作ります」
手にしたのは焼き豆腐だ。
「「すき焼き……?」」
みんなが頭に『?』を浮かべている中で、俺は腕を組み頷く。
「トラ先輩は知ってたんですか!」
大垣さんが愕然とした顔で俺を見ている。
「知ってるよ。あの日、大垣さん送ったあと、セルバに寄ったんだよ」
口にするのも
「仕事前に買っといて、ロッカー入れとこうと思っとったんよ。そしたら先輩に会って、学校戻るついでに家に届けてくれるって言うから、お願いしたんや」
それで
出迎えたのは、犬山さんを(胸も含めて)そのまま小さくした感じの子だった。妹さんらしい。
そこそこ重い荷物だったので訳を話したら、お祖母さんが出てきたので荷物をお願いした。
帰り際、妹さんに『お兄ちゃん、あおいちゃんの何なん?』って言われたときは、一瞬心臓が止まったが……。
因みに、その後は、『便利屋の先輩だよ』と返したら、『バイク乗っとる先輩か!』ってなり、今度機会あったら後ろに乗せる約束をした。何時になるかは分からないけど。
犬山さんが作っているのを、皆で眺める。
レシピや作り方を見たところ、関西風の正統派すき焼きといった感じだ。
「そろそろ頃合いやな」
そう言い、一度閉めた鍋の蓋を開く。
「出来たで、晩ごはん‼」
「「おおーっ!」」
犬山さんの声と、鍋の中を見て、全員目を輝かせる。
すき焼きが出来た。
生卵と器を受け取る。
さて。
音頭をとるのは犬山さんだ。
「それでは」
「「「いただきます!」」」
順に頂いていこう。
……うん。旨い。
「んむ~! 肉、超うめぇ~!」
「流石高級なお肉、口の中で溶けていくよぉ!」
なんというか。黙々と味わう人と、旨さを全身で表現する人とに分かれている……。
まあ、これも大勢で鍋を囲うことの
とはいえ、流石に九人は狭いが……。
「しくしく……」
ふと、泣き声がすると思ったら、その主は先生だった。
「ど、どうしたんです? 先生」
犬山さんも慌てているじゃないか。
「すき焼きに合う日本酒、忘れちゃったよぉ~!」
酒の話かい!
「あ、そうですか」
理由が分かると犬山さんはあっさり流す。
「あ、そろそろ具材追加しない?」
恵那ちゃんの声に鍋を覗くと、もうお肉しか残っていない。人数が多いと早い。
「いや、こっちのはもうおしまいや」
「えっ? まだお肉残ってるよ?」
各務原さんが言う通り、肉はまだ残っている。
「こっからは、こいつでお色直しや!」
そう言い、取り出したのは……トマト?
大垣さんが予め炒めておいた玉ねぎにトマトとバジルを加えて更に炒めた物を鍋で煮込む……。
「トマトすき焼きの出来上がりや!」
さっきまで至って普通のすき焼きだったのが、赤色の一見辛そうな鍋に早変わり。しかし、赤色の素はトマトだから、辛くないはず。
「んまっ!」
「トマトが合う!」
「和風のすき焼きが洋風にリメイクされたぁ~」
皆から歓声が上がる。
「ワインが合うのに……ワインが合うのに……」
「はいはい、忘れてしもたんですね……」
一人だけ泣いている。
しかし、簡単にあしらわれた……。
「そうだ、私クリスマスっぽいものを用意してたんだよね」
ふと、そう言って恵那ちゃんが自分の荷物を漁る。
「はい」
こ、これは……。
サンタクロースの衣装ではないか。
全員衣装を纏う。
『年末戦士、サンタクレンジャー!』
なんですか、これ?
大荷物だと思ったが、九人分のこれが入っていたのか……。
「なんか、仕事を終えたサンタが打ち上げしてるみてぇだな……」
大垣さんが呟く。
確かに、サンタクロースが九人もいると、有り難みが薄れる気がする。
「「ごちそうさまでした」」
「お粗末さまです」
いやぁ。食べた食べた。
「とは言ったけど、まだ終わりやあらへんねん」
まだあるの?
「〆に『チーズパスタ』が残っとるんや!」
マジか。もう食べられないよ、俺。
「食べる人?」
「はいはーい!」
各務原さん……。
「すげぇなおまえ」
クリスマスキャンプ真っ最中です。
私が文章をまとめるのが下手なので、クリキャンはもうニ話程続く予定です。
なお、キャンプ場での楽器演奏は、回りのキャンパーに配慮し、キャンプ場の許可を得て行っている こととします。
いくら場内が広いとはいえ、勝手に大きな音を出すのは回りに迷惑がかかりますからね。実際のキャンプ場ではその点の注意が必要です。禁止している場所もあると思いますので。
名前は明言していませんが、チビイヌ子が登場しましたね。このタイミングで彼女が出たということは……? まあ、そういうことだと思ってください。