【完結】本栖高校吹奏楽サークル   作:小林司

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 紅白そして、年越し

 

国道52号線、1号線、150号線を経て、道の駅『風のマルシェ御前崎』に到着。

 

ここまで来れば、叔父さんの家は目と鼻の先。

 

だからといって油断すると危険なので、小休止だ

道の駅のお店は、年末ということもあって休みだった。書き入れ時なんだけど……。

 

道の駅は、それ自体が観光地になり得るものだけど、こういった観光客が多そうな時期に限って休み……。まあ、俺が気にしてもしょうがない話か。

 

 

 

さてと。トイレを済ませたし、出発しよう。もうすぐだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叔父さんの家に到着。

 

インターホンを鳴らす。

 

『はい?』

 

純一(じゅんいち)です」

 

『おお、来たか。ビーノは適当に止めてくれて構わないよ。今行く』

 

適当に……。じゃあ、車の隣に。

 

ビーノを停め、スマホを取り外しポケットへ。

 

ヘルメットはハンドルにぶら下げ、鍵をかける……。

 

「遠路遙々お疲れ様だね。しかしまあ、大きくなったなぁ……」

 

叔父さんが出てきた。

 

「お久し振りです。何年経ったと思ってるんですか?」

 

……何年だっけか?

 

因みに、叔父さんと言っているが、正確には父の従兄弟だ。

 

「さ、上がって」

 

「お世話になります」

 

おや、ラインだ。

 

後で確認しよう。

 

 

 

叔父さん家のリビングに通される。

 

「適当に座って。今お茶入れるから」

 

近い椅子に腰掛ける。

 

さてと。ラインを確認しよう。

 

 

 

 リン:大晦日(おおみそか)ソロキャンの写真UPしたよ

    http……

 

各務原(かがみはら):ふおおお! 海だーっ!

 

各務原:って、海撮りすぎだよリンちゃん

 

 恵那(えな):海に憧れるのは梨っ子の習性なんだよ

    なでしこちゃん

 

 犬山(いぬやま):せやでー、なでしこちゃんかて富士山いっぱい撮ってまうやん

 

各務原:返す言葉もありません

 

 大垣(おおがき):あけましておめでとうございます!

 

 犬山:まだ早いわ!

 

 大垣:お年玉はアマゾンギフト券でいいですよ!

 

 リン:2万円分送っとくよ、使用済の奴

 

 大垣:まじか

 

各務原:そうそう、今こっち雪降ってるんだよ!

 

 リン:そうなの?

 

 恵那:うん。結構降って少し積もってるよ

 

 大垣:休み無い腹いせに、雪だるま作ったった

 

 犬山:腹いせて……

 

各務原:浜松って全然雪降んないからすっごくテンション上がるよ!

 

 滝野:恵那ちゃんのところでも積もってるの!

 

 恵那:あ、先輩

 

各務原:私のところでも積もってますよ

 

 滝野(たきの):ということは、四尾連湖(しびれこ)はそこそこ積もってるかな

 

 恵那:先輩のその言い方、今何処に居るんですか?

 

 滝野:御前崎

 

 リン:先輩、私は磐田に居ますよ

 

 滝野:おお。割と近いね

 

 リン:福田海岸を勧められました。初日の出は福田海岸に行きます

 

 犬山:海岸か、ええなぁ

 

 大垣:あたしはいぬ子と一緒に身延山行くズラ

 

 大垣:鳥羽(とば)先生に車出してもらって

 

 滝野 :じゃあ、俺もその福田海岸行くよ

 

各務原:あきちゃん、写真頼むね!

 

 大垣:なでしこは身延山行かないんだよな?

 

各務原:私はお姉ちゃんと一緒に別の場所に行くので

 

 犬山:何処なん?

 

各務原:それはヒミツです

 

 滝野:それでは皆様良いお年をお迎えください……

 

 大垣:締められた……!

 

 

 

「叔父さん、福田(ふくだ)海岸……? って、どの辺り?」

 

福田(ふくだ)? ……ああ、福田(ふくで)海岸ね。ここからだと往復で一時間ぐらいだな」

 

なら割と近いな。

 

「初日の出か?」

 

「うん。俺の……」

 

何て言おうか、一瞬迷った。

 

「ツーリング友だちが、今磐田市のキャンプ場にいて、明日福田海岸に行くって言ってるから」

 

「なるほど。彼処(あそこ)はこの時期だけ、何もない砂浜に鳥居が立てられてな。良い景色だよ」

 

そうなのか。じゃあ、俺も明日は行ってみようか。

 

「そうだ。明日早起きするなら、今のうちに寝ておいた方が良いかもしれないよ。じゃないと紅白観れないからね」

 

あ。そうか。

 

「今年の紅白は見逃せないと思うよ! まあ。だから、尚子(なおこ)も今寝てるんだよ……」

 

尚子というのは、叔父さん……(たける)さんの奥さんだ。

 

紅白見るために今寝ているとは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

健さんの勧めで俺も少し眠った。

 

疲れているのもあり、起きれるか心配だったが、ちゃんと起きれた(※起こしてもらった)。

 

それで、今は紅白歌合戦を観ている。

 

大晦日ということで、寿司桶を囲みながら。

 

「それじゃあ、山梨から浜松まで?」

 

「はい。前に浜松で出会った友だちと、ツーリングに行くんです」

 

「遠いのに、頑張りますねぇ……」

 

健さんと尚子さんに、娘さんの聡美(さとみ)さん(中一)と四人でテレビを見ながら、会話にも花が咲く。

 

俺は健さんとしか面識が無いので、最初は自己紹介からだったけれど。

 

「純一さん、前は京都に住んでいたんですよね?」

 

「ん? そうだよ。十円硬貨の鳳凰堂(ほうおうどう)がある宇治市ね」

 

「じゃあ、渡月橋(とげつきょう)はご存じですか?」

 

渡月橋? 急に何で……ああ、この曲か。

 

今歌われているのは『渡月橋~君 想ふ~』。京都が舞台になった映画の主題歌だ。バックにはその映像が流れている。

 

「勿論。春は桜が、秋は紅葉が綺麗な観光地だよ。宇治市からだと電車を乗り継いで1時間位掛かるから、あまり行ったことはないけど……」

 

それこそ桜や紅葉の時期に行くと、酷い混雑だからその時期を避けてしか行ったことがない。

 

しかも、観光客の殆どが外国人だから、『これぞ、京都!』という景色の場所に居るのに、周りから日本語が聞こえてこないから、外国に居るような錯覚に陥ることもある。

 

「ドラマとかに出てくる竹林の道も近いかな」

 

「へぇ~。一度行ってみたいですね……」

 

「修学旅行で行かない? ……と、言ってみたものの、この辺りの中学校は修学旅行、何処へ行くんだろう?」

 

「一応、奈良・京都だけど、そこまで行くか分からないです」

 

まあ、そうなるよな……。

 

「ならさ、まだ俺の母と妹が宇治に住んでるから、機会あったら遊びに行けば良いと思うよ。俺と父さんが出て、空き部屋あるから、家に泊めれるからね」

 

「……それ、良いですね」

 

「健さん、宇治の家の番号分かりますよね?」

 

「ああ、大丈夫だよ」

 

「じゃあ、その時はお願いしますね!」

 

まあ、俺は居ないけど……。

 

 

 

 

 

 

その後も紅白は順調に進み、今回の目玉でもあるアーティスト*1の出演も終わり、いよいよ最後の『蛍の光』だ。

 

前回まで指揮を務めていた作曲家が今年亡くなった*2から、後任の指揮者*3による演奏だ。ん? 何か、編曲変わったな……。

 

 

紅白が終わり、年越し蕎麦を頂き、いよいよ……。

 

 

 

 

 

 

「新年」

 

「「「明けましておめでとうございます!」」」

 

2018年の始まりだ。

 

 

「と、言うわけで。明日が早いので、俺は寝ますね」

 

明日……いや、もう今日か。

 

「ああ、それじゃあお休み」

 

「お休みなさい」

 

声を掛け、用意されている寝室へと向かう。

 

 

 

 

*1
安室 奈美恵氏。翌年9月16日での引退を表明しており、最後の紅白歌合戦出場となった。

*2
故 平尾 昌晃氏。この年の7月21日に死去。

*3
都倉 俊一氏





お待たせしました。仕事が忙しくて執筆時間が取れなかったので、暫く休載しておりました。

この間に、ゆるキャン△原作の二次SSが増えましたね。読んでいて楽しいです。



余談ですが、これを執筆するために2017年の紅白歌合戦のDVD(録画)を視ました。

5年前です。もうね、「懐かしい!」って感じでしたよ。


当初は、

『天城越え』を聞いて、伊豆も良いなぁ……と思った矢先の 伊豆キャン とか、どうだろう……

とも思ったのですが、この年は『津軽海峡冬景色』だったんですよね。

この歳になると、紅白で『津軽海峡冬景色』か『天城越え』を聞かないと新年を迎えた気分にならないのです……。って、もう今年も既に折り返しですね(汗)
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