本来、今日は投稿する日ではないのですが、今日は『土用の丑』ですね。
と、いうわけで、ゆるキャン△アニメ史上最強の飯テロ回(?)をお送りします。
話に花が咲き、昨日は寝るのが遅くなってしまった。
二人揃って(※部屋は別)盛大に寝坊し、起きた時には昼を過ぎていた。
「それじゃあ、行って来ます」
「気を付けて!」
「行ってくるね~」
綾乃のお母さんに見送られながら、出発する。
『お兄さん、曲がる前には言いますからね! 気を付けて行きましょう!』
前を走る綾乃からだ。
「了解。どうした? そんなにはしゃいで」
『だって、走りながら話せるんですよ? 楽しいじゃないですか!』
そう。
出発前に、俺は買っておいたヘッドセットを綾乃に渡したんだ。俺はリンちゃんから貰ったのがあるので、綾乃のを買った。
ラインは既に交換してあるから、これで走りながらでも会話が出来る。
「まあね。楽しそうで何より」
『お兄さんはなんでつまらなさそうなんですか?』
「別にそんな訳じゃないよ。ただ、あまりはしゃいで疲れると、明日に響くからな。明日は朝早いんだからさ」
『それもそうか。ところで、お昼どうしますか?』
お昼。そういえば、起きるのが遅くなったから、まだ食べていない。
「任せるよ。そうだ、お正月関係無く働く綾乃を労って、お昼は俺が奢ろうじゃないか」
『マジで! 良いんですか、お兄さん!』
おお、綾乃の嬉しそうな声。
「マジで。何でも良いよ。勿論、鰻でも」
『ち、ちょっと冷静になりましょう』
しかし、急に声が震えだした。
信号で綾乃が停まる。
俺も続いて停車。
あ、綾乃がこっちを振り向いた。ゴーグル付けているから表情は分からないが、冷や汗が見えた……ような?
『今の、本気で言ってますか?』
こっちを見ているので、グッドサインをする。
「本気。お金のことは気にしなくて良いから。焼肉食べ放題でも構わんよ。まあ、こんな時間から営業してるから分からないけどさ。あ、青なったよ」
発進する綾乃に続く。
『……それじゃあ、鰻にしますか。この先に、美味しい鰻屋さんがあるんですよ』
「ならそこに行こう。道案内よろしく」
『えっ。半分冗談だったんですけど。マジですか?』
「マジ。よし、そこに行こう!」
そこはかとなく乗り気ではない感じの綾乃に対し、俺は決定を通した。
そんな金何処にあるのか、と思われるかもしれないが、俺は普段からキャンプ場間のやり取りなどで地道に稼いでいる。
あれで発生している報酬は、『お前がやっていることだから』と、父からほぼ全額貰っている。
まあ、バイクの維持費で収支はほぼトントンだからあまり手元には残らないんだけど……。
じゃあ鰻代は何処から捻出するのかって?
黙っていたが、
叔父さんは親戚だから、遠慮しつつも受け取ったのだが、綾乃のお父さんには驚いた。
泊めてもらっているのだから、むしろ幾らか払う側だ、と断ったのだが、あんなことを言われてしまったら、受け取らないわけにはいかないだろう……。そのお金を綾乃に還元する形になるからバチは当たるまい。
まあ、そんなわけだからお金の心配はないのだ。
エイプが駐車場に入って止まった。それに続く。
ここが言っていた鰻屋だろう。
ヘルメットとヘッドセット、グローブを外す。
「本当に良いんですよね? 結構なお値段ですよ」
「言っただろ。大丈夫、男に二言はない」
「分かりました。入りましょう」
綾乃に続いて入店。
うん。特上一人前四千円。普段なら手の届かない金額だ。でも、今の俺は迷うことなく特上二人前を頼む。
カウンターの目の前で、生きた状態から捌いてくれる鰻屋は初めてだ。
結論だけ言おう。鰻はとても美味かった。
「お兄さん。せっかくだし、ちょっとだけ寄り道して行きましょう」
お店を出て、バイクのスタンバイをしていると、不意に綾乃がそう言った。
「寄り道? 構わないけど、何処?」
「浜名湖佐久米駅です。この時期限定で、面白いものが見られるんです」
浜名湖佐久米駅……前回浜松に来たときに小休止した東
『到着です』
ちょっと寄り道、この言葉通りすぐのところでエイプが停まる。
「……? あ、これトイレか」
駅前には巨大な牛が鎮座していたが、隣駅には巨大なミカンがあったし、大して驚かない。
「あれ? トイレでの反応薄いなぁ……。でも、こっちに来れば驚きますよ」
「えっ? ちょっと!」
既に驚いています。
何故かって? 綾乃が俺の手を取り、駅舎へと
急に女の子に手を握られたら驚くよ、普通。急にどうしたんだろう……?
駅前の階段を昇り、駅舎に入る。
無人駅らしく待合室の機能だけの駅舎を抜け、ホームに出ると……。
「うわっ!」
目の前を白い何かが横切った。
「ゆりかもめ?」
それが鳥というのに気付くまで、時間は掛からなかった。
ホームの先には浜名湖が見えるんだけど、ホームや線路、その先の堤防など、至るところにゆりかもめが止まっている。
勿論、飛んでいるのも。
「ほれっ」
綾乃が手を伸ばす。
手のひらに餌があると思ったのか、数羽のゆりかもめがやって来るが、手の前でホバリングし、何もないことに気付くと去ってゆく。
「人馴れしてるんだな」
さっきのもそうだし、ホームに止まっているのも。多少近付いたぐらいでは逃げていかない。
屈んで目線を合わせてみる。
お、此方を見て首を傾げた。
「か、可愛い……」
飛んだり止まったり、湖面に着水したり。と、思ったらまた飛んでホームへと戻ってくる。
「本当に可愛いなぁ……」
何時まででも眺めていれそう。
「お兄さん、そろそろ行きましょうよ?」
「そ、そうだな……」
いかん。本来の目的を忘れそうだった。
立ち上がって歩き出そうとすると……。
『フオォーン』
ん? これは電車*1の警笛か?
振り向くと、電車が接近してきている。
「うわっ!」
「わ~!」
ゆりかもめに襲われる(?)。
ゆりかもめが電車に轢かれないように鳴らした警笛で、俺たちがゆりかもめに轢かれた……。
結局
綾乃は夜のバイト(とはいっても、高校生は22時迄しか働けない。それと、決していかがわしい仕事ではない)だから、顔を出して終わりになりそうだ。
さっき、舘山寺温泉の辺りで潜った東名高速を再び潜る。高架下に踏切がある。ちょっと面白い光景だな。かわりに、見通しは悪そうだけど。
湖畔の道路を進むと、エイプが止まった。
「ここです」
そう言って指差す家には、玄関先に見覚えのあるバイクが止まっていた。
「こんにちは~。綾乃です」
「あら、アヤちゃんいらっしゃい!」
綾乃が、勝って知った家のように玄関を開いて入って行く。
そして、当たり前のように出迎える家人。
家族ぐるみでの長い付き合いとは聞いているが、それを証明するようなやり取りだ。
「あら? あなたが
俺に気づく。
孫たちってことはあの二人からか。どんな話を聞いているのだろう……?
「えっと、初めまして。滝野
「こちらこそ。さ、上がって頂戴。外は寒かったでしょう? おこた入りなさい」
見た感じだと、犬山さんのお祖母さんとは違ってふんわりとした優しそうな人だ。
「ごめんねお祖母ちゃん。気持ちは有り難いんだけど、このあとバイトあるからすぐ帰るね」
「あら、そうなの……。わざわざ来てくれてありがとうね」
「いえいえ。いつもお世話になってますから。改めまして。明けましておめでとうございます。今後ともよろしくお願いします」
律儀な人だ。顔を出すだけになっても、ちゃんとここまで来たんだから……。
「こちらこそ、今年もよろしくね。あ、滝野くんは上がっていくんでしょう? さ、どうぞ」
あれ?
俺も綾乃と一緒にお
「それじゃあ私はこれで」
そう言って出ていこうとする綾乃は、心なしか笑っているように見えた。
「また来てね」